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住民税はいつの所得で決まるか

退職して給与が減ったのに、住民税の請求は続く。転職した直後なのに、今の給与から思ったより大きな額が差し引かれる。こうしたときは、現在の給与と、税額の基になった所得の年を分けて確認すると理由をつかめます。

給与に係る住民税は、一般に前年の所得を基に翌年度の税額を決めます。さらに給与からの徴収は原則6月から翌年5月までなので、所得が生じる期間と支払う期間にはずれがあります。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。一般的な取扱いを整理し、個別の課税や申告は市区町村の住民税担当、所得税は税務署に確認してください。

所得年・課税年度・徴収期間の三つを分ける

地方税法第313条は、個人の市町村民税の所得割の課税標準について、原則として前年の所得を基にする仕組みを定めています。まず「何年の所得を見るのか」を確認し、その次に「何年度分として課税されるか」を確認します。

給与から差し引く特別徴収では、地方税法第321条の5に基づき、原則として6月から翌年5月までに分けて徴収します。この徴収期間も加えて考えると、同じ税について三種類の時間の区切りがあることが分かります。

確認するもの2026年度の給与に係る住民税の一般的な例
所得年2025年1月から12月までの所得
課税年度2026年度分として税額を決定
給与の特別徴収の期間2026年6月から2027年5月まで

2027年1月の給与から差し引かれる税であっても、通常の2026年度の特別徴収分なら、基になっているのは2025年の所得です。給与を受け取った月の所得に、そのままその月の住民税が対応しているわけではありません。

普通徴収の場合は、給与の特別徴収と納期の分け方が異なります。自分で納める納付書に変わったときは、通知書の年度と各納期を確認してください。年度途中の変更通知がある場合は、最初に届いた通知だけで残額を判断しないことも大切です。

2026年に退職しても2026年度分は残る

2026年中に退職して所得が減っても、2025年の所得を基に決まった2026年度の住民税が、それだけで自動的に消えるわけではありません。退職時点で給与から差し引いていない分があれば、残額をどう納めるか確認する必要があります。

給与の特別徴収から普通徴収に切り替わる、一括徴収でまとめて納める、次の勤務先で特別徴収を継続するなど、状況に応じた処理があります。これらは主に徴収の方法の違いであり、「現在働いていないから課税の対象年もなくなる」という意味ではありません。

一方、2026年中の給与などの所得は、一般に2027年度の住民税に反映されます。退職後に働かない期間があっても、同じ2026年中に退職前の給与や賞与を受け取っていれば、その年の所得を確認する必要があります。「退職の翌年は必ず住民税がゼロ」とは考えないでください。

退職月の控除については住民税の特別徴収の仕組みで整理しています。まず現在の年度の未徴収分を確認し、次に翌年度に向けて所得資料を整理するという順番で進めると混乱を防げます。

収入がそのまま税額の基礎になるわけではない

給与の「収入」と「所得」は異なります。給与収入から給与所得控除を差し引いて給与所得を求め、さらに適用される所得控除などを踏まえて課税所得を計算します。給与明細の手取り額や、銀行に振り込まれた額をそのまま課税対象額として使うわけではありません。

横浜市の個人住民税の案内でも、収入から必要経費などを差し引き、所得控除を踏まえて課税標準を求める流れを示しています。給与収入の場合に使う給与所得控除と、本人の事情などに応じた所得控除は、役割の異なるものです。

同じ年に公務と民間企業の両方から給与を受けた場合は、その年の給与全体と申告・年末調整の状況を確認します。勤務先が変わるごとに所得の年が区切られたり、それぞれで独立した一年分の給与所得控除を自由に使えたりするわけではありません。前職・現職の源泉徴収票などを整理してください。

住民税には所得割のほか均等割があり、併せて徴収される森林環境税は国税です。非課税の条件や控除、税額控除、自治体独自の取扱いも関係するため、「前年の給与収入に一つの率を掛ければすべて分かる」とは限りません。本人の年度の資料で確認する必要があります。

今後の仕事の選択肢は公務員経験を生かせる求人一覧から確認できます。求人の条件と、手元の資金から支払う税の予定は、別の項目として整理してください。

引越しでは1月1日の住所を確認する

地方税法第318条は、個人の市町村民税の賦課期日を、その年度の初日の属する年の1月1日と定めています。通常、住所地に基づく課税については、その年の1月1日の住所地の市区町村を確認します。

たとえば2026年1月1日にA市に住所があり、その後B市へ転居した場合、2026年度分については、通常はA市から課税されます。年の途中で引っ越したから、その年度の税を住所地の月数に応じてA市とB市へ自由に分けるという仕組みではありません。

新しい住所に旧住所地の納税通知書が届いても、それだけで誤りとはいえません。通知書の年度と1月1日の住所を確かめてください。一方、届出内容と実際の居住状況などで確認が必要な場合は、課税した自治体に事情を伝えます。

転居後に通知書を受け取れないと、納期限を把握できなくなるおそれがあります。転送だけに頼らず、課税した自治体に住所変更の連絡が必要かを確認しましょう。国外への転出など、通常と異なる事情がある場合も、出発前に納税方法や連絡先を相談してください。

税制改正は対象年度と税の種類を見る

控除の見直しに関するニュースを見たときは、「所得税の何年分」と「住民税の何年度分」がそれぞれどう変わるかを確かめます。所得税と住民税では同じ名前の控除でも取扱いが一致するとは限らず、改正の適用時期も同じ表示とは限りません。

渋谷区の2026年度住民税の改正案内では、給与所得控除の最低保障額の見直し、扶養控除などに係る所得要件の見直し、特定親族特別控除の新設を説明しています。一方、所得税の基礎控除の改正については、個人住民税の基礎控除に変更はないと案内しています。

したがって、所得税の基礎控除の説明をそのまま住民税の計算へ転記することはできません。前年の通知書の数字を翌年度にも使い回すのではなく、その年度に適用される計算方法と、本人の所得・扶養などの要件を確認してください。

将来の税額を試算する場合も、改正が検討中なのか、すでに適用される制度なのかを区別します。自治体の試算ページを使うなら対象年度の表示を確かめ、不明な条件は担当窓口に照会します。記事の公開時点と実際に申告する時点が離れる場合は、最新の案内を読み直してください。

通知書を読むときの順番と準備する資料

最初に年度と課税した自治体を見ます。次に、所得欄がどの年の収入を基にしているか、給与以外の所得が含まれているか、適用された所得控除・税額控除は何かを確認します。最後に年税額と徴収方法、月ごと・納期ごとの金額を照合してください。

手元には対象年の源泉徴収票、確定申告をした場合は申告内容の控え、住民税の通知書、給与明細などを用意します。勤務先が複数あった場合は、それぞれの給与に関する資料を整理します。見込額と通知額が違う場合も、まずどの所得や控除が異なるかを探します。

誤りが疑われるときは、自己判断で納付を止めず、通知書の窓口へ相談します。訂正の要否、必要な手続き、納期限までの扱いを確認してください。申告や異議に関わる手続きはそれぞれ期限があるため、通知を受け取った後は早めに相談することが大切です。

仕事の条件や入社時期を整理する場合は、相談の申込みも利用できます。税額の確定は市区町村や税務署に確認し、確認できた支払い予定を生活設計に反映させましょう。

退職所得などには別の取扱いがある

「前年の所得で翌年度に課税」という説明は、給与などの一般的な住民税の仕組みです。すべての所得と徴収を同じ時期で説明できるわけではありません。横浜市は、退職所得に係る市民税・県民税は退職時に特別徴収すると案内しています。

退職手当の明細では、退職所得自体に係る税と、給与に係る住民税の未徴収分をまとめて差し引く処理を区別します。前者を翌年度に必ず同じ形で請求される税と考えたり、後者を退職所得への課税と考えたりしないようにしてください。

ほかの所得がある場合も、課税や申告の方法によって取扱いが異なります。この記事の給与中心の例だけで判断せず、所得の種類と申告内容を伝えて照会しましょう。複数の制度を含む明細では、控除の合計額ではなく内訳を確認することが近道です。

よくある質問

2026年度の住民税は2026年の給与で決まりますか

一般に2025年中の所得を基に決まります。給与の特別徴収は原則2026年6月から2027年5月までです。現在受け取っている給与と、税額の対象になった所得年を分けて確認してください。

退職して無収入になれば翌月から住民税はなくなりますか

自動的にはなくなりません。すでに課税された年度の未徴収分と、退職した年の所得に基づく翌年度分を分けて確認します。納付が難しい場合も、納期限の前に市区町村へ相談してください。

引っ越した後も前の自治体から請求が来るのはなぜですか

通常、その年度の課税先は1月1日の住所地で確認するためです。通知書の年度とその日の住所を見てください。課税内容や住所の扱いに疑問がある場合は、通知した自治体に照会します。

住民税は、所得年、課税年度、支払う期間を分けると読みやすくなります。今ある通知と翌年度の見込みを整理した上で、働き方も検討しましょう。LINEでの相談窓口も利用できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。

出典

  1. 地方税法 第313条・第318条・第321条の5
  2. 横浜市 個人の市民税・県民税について
  3. 渋谷区 令和8年度住民税の税制改正のお知らせ
  4. 川崎市 退職後の個人住民税・森林環境税の納め方について知りたい。

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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