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選考対策 / 面接

5年後10年後のキャリアを聞かれたとき

面接の後半で出る質問です。

「5年後、10年後に、どうなっていたいですか」

抽象的に答えると、抽象的なまま終わります。「成長していたいです」「貢献できる人材になりたいです」。これでは、何も伝わりません。

聞かれているのは、夢ではありません。応募先の中で、どの役割に向かうつもりかです。

この記事では、その組み立てを扱います。面接の全体像は公務員からの転職面接|全体の流れと準備にあります。

役所の昇進は、一本道です

民間との違いを、先に押さえておきます。

地方公務員法第21条の3です。

> 職員の昇任は、任命権者が、職員の受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づき、任命しようとする職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力及び当該任命しようとする職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。

「職制上の段階」を上がっていく。これが、自治体の昇進の基本の形です。

担当から主任、係長、課長補佐、課長。段階は組織で決まっていて、多くの職員が同じ道を通ります。

民間では、複数の道があることが珍しくありません。

方向内容
管理の方向人と組織を動かす。管理職、部門の責任者
専門の方向特定の領域を深める。専門職、技術職、顧客担当

この質問では、どちらの方向かを述べると、答えが具体的になります。

会社によっては、制度として両方の道が用意されています。面接で、「専門の職として進む道はありますか」と確認しても構いません。

結論:3点で答える

点内容長さ
① 役割応募先の中で、どの役割に向かうか20秒
② 能力そのために身につけたいこと20秒
③ 行動最初の1年で何をするか(具体的に)20秒

③があるかどうかで、話の現実味が変わります。

5年後の話だけをすると、「そのために今何をするのか」が抜けます。

答え方の例(専門の方向)

> 5年後は、自治体向けの導入の支援で、難しい案件を任せていただける状態を目指しています。(①)>> そのために、業務の要件を整理する力に加えて、システムの側の制約を理解して話せるようになりたいと考えています。いまは発注する側の視点しかないので、実装の事情を踏まえた提案ができる状態になりたいです。(②)>> 最初の1年は、担当する自治体の業務を覚えることと、導入の工程を一通り経験することに集中します。役所の業務は分かるつもりですが、御社の進め方は分からないので、まずそこを揃えたいと考えています。(③)

答え方の例(管理の方向)

> 10年後は、チームを持って、複数の案件を回す立場を目指しています。(①)>> 役所では係の進行の管理を担当していましたが、事業の採算を見ながら人を配置する経験はありません。そこを身につけたいと考えています。(②)>> 最初の数年は、担当者として実務を覚えることが優先だと考えています。入社してすぐ管理の役割を希望する段階ではないので、まず結果を出せる状態を作ります。(③)

どちらも、③で足元の話に戻しています。

年代による違い

年代重心を置く点
20代②の能力。何を身につけたいかを具体的に
30代①の役割。どの方向に進むかを明確に
40代以降③の行動。入社直後に何を持ち込むか

40代以降では、将来像より足元の貢献が見られます。

「5年後に管理職を目指します」より、「最初の1年で、行政との折衝の部分を任せていただける状態にします」のほうが、この年代では伝わります。

材料は、いまの仕事から取る

将来像は、いまの仕事の延長で考えると具体的になります。

いまの仕事5年後の言い方
予算の査定事業の採算を見て、投資の順番を決める立場
用地の交渉利害の異なる相手との合意を、自分の判断で作る立場
窓口の運用顧客の対応の品質を、仕組みとして設計する立場
制度の改正ルールを設計して、組織に定着させる立場
補助金の申請外部の資金を使って、事業の形を組み立てる立場

いま担っている機能を、一段広げた形が、実現可能な将来像になります。

まったく違う分野を挙げると、「では、いままでの経験は何のために」という確認が入ります。経験と将来像がつながっているほうが、話が短く済みます。

「分かりません」と答えてよいか

未経験の業界に応募する場合、将来像が描けないこともあります。

その場合は、正直に述べたうえで、判断の材料を示してください。

> 業界の中でどういう道があるのか、まだ把握できていません。そのうえで申し上げると、これまで人に指示を出すより、自分で調べて形にする仕事のほうが合っていると感じています。まずは実務を覚えて、方向は働きながら決めたいと考えています。

「分かりません」で止めないことが条件です。自分の傾向を1つ述べれば、答えとして成立します。

役所での将来像との関係

「役所に残っていたら、どうなっていましたか」と聞かれることがあります。

この質問には、事実で答えて構いません。

> 順調にいけば、数年後に係長級に昇任する見込みでした。その先は、課長補佐、課長という段階があります。ただ、担当する分野は異動で決まるので、いまの分野を続けられるかどうかは選べません。

役所の仕組みを説明したうえで、選べない部分を述べる。これは、転職の理由とも自然につながります。

役所の将来を否定する必要はありません。

経験の言い換えから相談することもできます。

よくある失敗

1. 抽象的に答える

「成長したい」では、何も伝わりません。

2. ③の足元の話が無い

5年後だけを語ると、現実味が出ません。

3. 独立や起業に触れる

在籍の期間が短く見積もられます。

4. 応募先で実現できないことを挙げる

確認の質問が続きます。

5. 「分かりません」で止める

自分の傾向を1つ述べてください。

6. 役所の将来を否定する

否定しなくても、動く理由は述べられます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。

よくある質問

管理職になりたいとは思えません。正直に言ってよいですか

言って構いません。ただし、「なりたくない」ではなく「どちらに向かいたいか」で述べてください。「人を管理する役割より、自分が担当する領域を深めるほうが向いていると感じています」という形です。専門の方向を選ぶことは、消極的な選択ではありません。加えて、その会社に専門職の制度があるかを確認してください。制度が無い会社では、一定の年次以降は管理の役割が期待される場合があります。入社後に相違が生じないよう、面接の場で確認しておくほうが確実です。

定年が近く、5年後の話がしにくいです

年数ではなく、貢献の内容で述べてください。「在籍できる期間は限られていますが、その中で◯◯の部分は確実に引き継げる形にしたいと考えています」という形です。この年代で見られているのは、期間の長さではなく、入社直後から持ち込める経験です。加えて、後進に引き継ぐ意思を述べると、受け入れる側の見通しが立ちます。「自分が抜けた後も回る形にしておく」という姿勢は、年数の短さを補う材料になります。年齢を理由に答えを濁すより、期間を前提にした貢献を述べるほうが伝わります。

前の記事で「専門を深めたい」と答えると書きましたが、会社が求める方向と違ったら

確認すれば足ります。「御社では、専門を深める形と、管理に進む形の両方がありますか」と聞いてください。この確認は、意欲の欠如とは受け取られません。むしろ、入社後の相違を避けようとしていると受け取られます。会社の方針が管理の方向しかない場合、それを知ったうえで判断できます。なお、入社の時点で方向を確定させる必要はありません。「まず実務を覚えたうえで、働きながら決めたい」と述べても構いません。決めていないこと自体は、問題になりません。決めるつもりがないことが問題になります。

出典

  1. 地方公務員法 第21条の3(昇任の方法)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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