選考対策 / 面接
公務員からの転職面接|全体の流れと準備
公務員の採用試験と、民間の中途採用の面接は、性質が違います。
採用試験は、基準に照らして判定する手続きです。中途採用の面接は、双方が条件を確認し合う場です。
この違いを押さえずに臨むと、「試験を受ける」姿勢のまま終わります。聞かれたことに答えるだけで、こちらから確認すべきことを確認しないまま進んでしまう。
この記事では、面接の全体像と準備を扱います。書類の作り方は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本にあります。
面接は、条件を確認する場でもあります
労働基準法第15条第1項です。
> 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
そして同条第2項です。
> 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
条件は明示されるものであり、事実と違えば、即時に解除できる。
つまり、条件を確認することは、応募者の側の正当な行為です。遠慮して聞かないまま入社すると、確認できたはずの相違が、入社後に判明します。
面接は、選ばれる場であると同時に、選ぶ場です。この前提で準備してください。
回数と、回ごとの論点
回数も進め方も、会社によって異なります。公開されている募集要項に記載がある場合は、そちらが確実です。一般的な例として挙げられる形は、次のとおりです。
| 回 | 会う相手の例 | 論点になりやすいこと |
|---|---|---|
| 一次 | 現場の責任者、人事 | 経歴の裏づけ。書類に書いたことを実際にやったか |
| 二次 | 部門の責任者 | 入社後に任せる範囲。どの場面で使えるか |
| 最終 | 役員、経営層 | 定着の見込みと条件。長く働けるか |
回が進むほど、経歴の話は減ります。最終の面接で経歴を詳しく聞かれることは多くありません。
一次で詰められるのは、書類の中身です。数字の根拠、自分が決めた範囲、担当した工程。書類に書いたことを、口で説明できる状態にしておいてください。
必ず準備する5つ
| # | 問い | 長さの目安 |
|---|---|---|
| 1 | 自己紹介・職務経歴の説明 | 2〜3分 |
| 2 | なぜ民間へ、なぜ転職するのか | 1分 |
| 3 | なぜこの会社か | 1分 |
| 4 | 入社後に何ができるか | 1分 |
| 5 | 失敗した経験と、その後 | 1〜2分 |
この5つを用意しておけば、面接の大半は埋まります。
答えを暗記する必要はありません。要素を3つずつ決めておくだけで足ります。暗記した答えは、聞き方が変わると崩れます。
それぞれの答え方は、自己紹介は何分で何を話すか、面接で「なぜ民間へ」と聞かれたときに分けて書きました。
公務員が詰まりやすい3つ
面談で伺っていて、答えに詰まりやすい質問を挙げます。
| 質問 | 詰まる理由 |
|---|---|
| 「ご自身で決めた範囲はどこまでですか」 | 決裁の段数を答えてしまう |
| 「数字で成果を説明できますか」 | 制度で決まっていた部分と、自分の工夫が分かれていない |
| 「スピード感が違いますが、大丈夫ですか」 | 否定も肯定もしにくく、抽象的な答えになる |
3つ目は、準備しておくと差が出ます。
答え方の例としては、速度が違う理由を構造で説明したうえで、自分が短縮した経験を1つ添える形があります。
> 手続きの段数が多いのは事実です。ただ、同じ手続きでも、事前に関係課と論点を詰めておくと、決裁に回してから戻る回数が減ります。実際に、◯◯の案件では、事前の協議を先に済ませることで、◯か月かかっていた工程を◯か月に短縮しました。
「大丈夫です」だけでは、根拠がありません。
条件は、こちらから確認する
面接の終わりに、質問の時間があるのが一般的です。ここで条件の確認をしてください。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 入社直後に任せる範囲 | 「入社後の3か月で、どの業務を担当することを想定されていますか」 |
| 評価の仕組み | 「評価はどのような項目と頻度で行われますか」 |
| 働き方 | 「在宅勤務や時差出勤の運用は、部署によって違いますか」 |
| 異動・転勤 | 「職種や勤務地の変更が生じる可能性はありますか」 |
| 前任者 | 「このポジションは増員ですか、後任ですか」 |
最後の1つは、聞いておくと情報が多い質問です。増員なら事業の拡大、後任なら前任者がどういう理由で動いたかが話題になります。
条件面の細かい話(給与の額、休暇の日数)は、最終の面接か、内定の提示の段階で確認するのが一般的です。一次の面接で詳しく聞くと、条件だけを見ていると受け取られることがあります。
逆質問は、3つ用意しておいてください。調べれば分かること(事業の内容、拠点の数)は聞きません。聞くのは、公開されていないことです。任せる範囲、評価の運用、部署の人数の構成。3つ用意しておけば、1つが会話の中で解消されても残ります。
オンラインの面接
画面越しの面接も一般的です。準備する点は限られます。
| 項目 | 実務 |
|---|---|
| 接続 | 開始の10分前に接続を確認。予備の通信手段を用意 |
| 背景 | 無地の壁か、落ち着いた背景 |
| 音声 | マイク付きのイヤホンがあると聞き取りやすい |
| 目線 | 画面ではなく、カメラを見る時間を作る |
| 資料 | 職務経歴書を手元に。画面共有を求められる場合もある |
在職中の方は、職場からの接続は避けてください。通信の環境と、情報の取扱いの両方で問題になります。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 書類の内容を説明できない
一次で詰められるのは書類です。数字の根拠を確認しておいてください。
2. 条件を確認しない
面接は、選ぶ場でもあります。確認は正当な行為です。
3. 答えを暗記する
聞き方が変わると崩れます。要素を3つ決めておけば足ります。
4. 前提から説明を始める
先に結論、聞かれたら補足です。
5. 逆質問を用意しない
3つ用意しておいてください。調べれば分かることは聞きません。
6. 職場から接続する
在職中でも、場所は選んでください。
まとめ
- 面接は、選ばれる場であると同時に、条件を確認する場です
- 労働基準法第15条は、労働条件の明示を義務づけ、明示された条件が事実と相違する場合は即時に労働契約を解除できるとしています
- 回数と進め方は会社によって異なります。募集要項に記載があれば、そちらが確実です
- 準備するのは、自己紹介・転職の理由・志望動機・入社後にできること・失敗の経験の5つです
- 暗記せず、要素を3つずつ決めておいてください
- 答えは先に結論、聞かれたら補足。前提から説明を始めないでください
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よくある質問
面接の服装に決まりはありますか
指定がなければ、スーツが無難です。「服装自由」と案内された場合でも、襟のある服装であれば問題になりません。オンラインの面接でも、画面に映る範囲は同じ基準で考えてください。気をつけるのは、在職中に平日の日中の面接を受ける場合です。スーツで職場を出ることが難しい場合は、面接の時間帯を夕方以降にできないか相談してください。多くの場合、調整されます。服装で選考の結果が変わることは多くありませんが、指定を無視すると、確認の手間が生じます。
面接の練習はしたほうがよいですか
5つの答えを、声に出して1回ずつ言ってみるだけで十分です。頭の中で考えた答えは、口に出すと長くなります。時間を計ると、2分のつもりが5分だったということが起きます。1人で練習する場合は、録音して聞き返す方法が確実です。自分の話す速度と、言い回しの癖が分かります。誰かに聞いてもらえる場合は、「どこで話が分からなくなったか」を聞いてください。評価ではなく、引っかかった場所が必要な情報です。人材会社を経由している場合は、面接の前に想定される質問を確認できることもあります。
在職中で、面接の日程が取れません
この事情は、率直に伝えて構いません。中途採用では、在職中の応募者が多数です。平日の夕方以降、または休暇を取得できる日の候補を3つ程度示すと、調整が早く進みます。オンラインの面接であれば、移動の時間が不要なので、昼休みの時間帯で調整できる場合もあります。なお、年度末や議会の時期など、動きにくい期間がある場合は先に伝えておいてください。多くの場合は考慮されます。隠して直前に変更するより、最初に条件を伝えるほうが、双方の手間が減ります。