選考対策 / 面接
オファー面談で確認すべきこと
内定の提示の前後に、条件を説明する場が設けられることがあります。
呼び方は会社によって違いますが、選考の場ではありません。条件を確認し、疑問を解消するための場です。
この場を、質問せずに終えてしまう方がいます。受諾した後に確認するより、この場で聞くほうが、はるかに調整しやすいです。
この記事では、確認する項目を扱います。複数の内定から選ぶ場合は複数内定が出たときの選び方にあります。
「理解を深める」ための場です
この場の位置づけは、条文に書かれている考え方と重なります。
労働契約法第4条です。
> 使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。>> 2 労働者及び使用者は、労働契約の内容(中略)について、できる限り書面により確認するものとする。
理解を深めるようにする。できる限り書面により確認する。
この2つが、そのままこの場の性質です。
質問することは、想定されている行為です。遠慮する場面ではありません。
そして、口頭の説明だけで終えず、書面で確認してください。
確認する項目
| 分類 | 確認すること |
|---|---|
| ① 業務 | 担当する業務、配属先、入社直後に任される範囲 |
| ② 条件 | 処遇の内訳、賞与、昇給、退職金の制度、手当 |
| ③ 体制 | 部署の人数、教育の担当、相談の相手 |
| ④ 時期 | 入社の日、試用の期間、研修の予定 |
| ⑤ 働き方 | 勤務の時間、時間外の扱い、在宅勤務、休暇 |
①を最初に確認してください。
選考の過程で聞いた内容と、提示された職務の内容が一致しているか。ここがずれていると、入社後の相違につながります。
②——処遇は、内訳で確認する
総額だけで判断しないでください。
| 確認すること | なぜ必要か |
|---|---|
| 基本の額と手当の内訳 | 固定の時間外手当が含まれるか |
| 賞与の算定 | 支給の実績、評価による変動の幅 |
| 昇給の仕組み | 年数ではなく評価で決まる場合が多い |
| 退職金の制度 | 有無、算定の方法 |
| 通勤に関する扱い | 支給の上限 |
1つ目が、確認を要する部分です。
固定の時間外手当が含まれる場合、何時間分が含まれるかで、実質の条件が変わります。
公務員の給与の仕組みとは構成が違うため、同じ総額でも、手取りや働き方への影響が異なります。
③——体制を確認する理由
入社後の立ち上がりに直結します。
| 質問 | 分かること |
|---|---|
| 「配属先は何名の構成ですか」 | 相談できる相手の数 |
| 「入社後、教育を担当される方は決まっていますか」 | 受け入れの準備の状況 |
| 「中途で入られた方は、どのくらいで独り立ちされていますか」 | 想定される立ち上がりの期間 |
3つ目の答えが具体的であれば、中途の受け入れに慣れているということです。
「人によります」という答えしか返らない場合、受け入れの仕組みが固まっていない可能性があります。
④——入社の時期の調整
在職中の方は、ここが重要です。
所属の規程で、退職の申し出の時期が定められていることがあります。
| 確認の順 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 所属の規程で、申し出の時期を確認する |
| 2 | 担当している業務の区切りを確認する |
| 3 | 応募先に、入社可能な時期を伝える |
| 4 | 調整がつかない場合は、相談する |
多くの場合、入社の時期は調整されます。
ただし、募集の背景によっては、時期が決まっていることもあります。前任者の退職が迫っている場合などです。
先に確認しておいてください。
書面で確認する
口頭の説明で終えないでください。
| 受け取る書面 | 確認する内容 |
|---|---|
| 労働条件の通知 | 賃金、労働時間、就業の場所、業務の内容 |
| 内定の通知 | 入社の日、条件の概要 |
| 就業規則(閲覧できる場合) | 休暇、時間外、評価の仕組み |
労働基準法第15条第1項により、労働条件は明示されるものです。
同条第2項は、明示された条件が事実と相違する場合、労働者が即時に労働契約を解除できるとしています。
とはいえ、入社後に解除するより、受諾の前に確認するほうが、双方にとって負担が小さいです。
公務員から移る場合に特有の確認
制度の切り替えが生じるため、次の4点も確認しておいてください。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 社会保険 | 共済組合から健康保険・厚生年金への切替えの時期と手続き |
| 年金 | これまでの期間の扱い。共済組合や年金事務所で確認 |
| 退職手当 | 所属の規程での算定。税の取扱いも併せて |
| 入社日と退職日の間 | 空白が生じる場合の保険と年金の扱い |
4つ目が、見落とされやすい点です。
退職の日と入社の日の間に日が空くと、その期間の健康保険と年金の手続きが必要になる場合があります。
空けずにつなぐか、空く場合の手続きを確認しておくか。どちらかを先に決めてください。
なお、税・社会保険・年金は個別性が高いため、一般的な取扱いとして理解したうえで、所属の共済組合、年金事務所、税務署で確認してください。応募先の人事部門も、公務員からの切替えの実務には詳しくないことがあります。
持ち帰ってよい
その場で受諾する必要はありません。
> 本日伺った内容を確認させていただいたうえで、◯日までにお返事いたします。
期限を自分から示してください。
家族と相談する時間が必要な場合も、その旨を伝えて構いません。勤務地や働き方が変わる場合、世帯の条件に影響します。
経験の言い換えから相談することもできます。
確認した内容は、その日のうちに記録に残してください。書面に書かれていない口頭の説明は、時間が経つと曖昧になります。入社後に確認したくなったときの材料になります。
よくある失敗
1. 質問せずに終える
理解を深めるための場です。想定されている行為です。
2. 総額だけで判断する
固定の時間外手当が含まれることがあります。
3. 口頭の説明だけで受諾する
書面で確認してください。
4. 入社の時期を確認せずに受諾する
所属の規程と合わない場合があります。
5. その場で即答する
持ち帰って構いません。期限を示してください。
6. 体制を確認しない
入社後の立ち上がりに直結します。
まとめ
- 労働契約法第4条は、使用者に労働者の理解を深めるようにすることを求め、できる限り書面により確認するとしています
- 質問することは、想定されている行為です。遠慮する場面ではありません
- 確認するのは、①業務 ②条件 ③体制 ④入社の時期 ⑤働き方の5分類です
- 処遇は内訳で確認。固定の時間外手当が含まれるかで、実質の条件が変わります
- 口頭の説明だけで受諾しない。労働条件は書面で明示されるものです
- その場で即答する必要はありません。期限を自分から示して、持ち帰ってください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
この場が設けられない場合もありますか
あります。内定の通知と労働条件の書面が送られてきて、確認は書面のやり取りで済むという進め方もあります。その場合でも、疑問があれば質問して構いません。メールで「何点か確認させてください」と伝えれば足ります。人材会社を経由している場合は、担当者が窓口になります。なお、場が設けられないこと自体は、会社の運営の方針であって、受け入れの体制が不十分という意味ではありません。書面の内容が具体的であれば、それで足ります。
条件に納得できない場合、交渉できますか
相談すること自体は可能です。ただし、幅の範囲内の調整にとどまることが多いのが実際です。相談する場合は、根拠を添えてください。「求人票に挙げられている◯◯の経験について、◯年の実務があります」という形です。根拠のない増額の要望は、通りにくいです。加えて、金額以外の条件(入社の時期、勤務地、働き方)で調整できる場合もあります。何を優先するかを先に決めてから相談してください。人材会社を経由している場合は、担当者に依頼するほうが進めやすいです。
試用の期間中の条件は、確認すべきですか
確認してください。試用の期間が設けられる場合、その間の処遇や条件が、本採用後と異なることがあります。確認するのは、期間の長さ、その間の処遇、本採用の判断の基準の3点です。なお、試用の期間中であっても、労働契約は成立しています。条件は書面で明示されるものです。公務員の条件付採用(地方公務員法第22条)と似た仕組みですが、期間も取扱いも制度が違います。同じものとして考えず、提示された内容で確認してください。