選考対策 / 面接
最終面接で見られていること
最終の面接は、それまでの回とは相手が違います。
一次は人事や現場、二次は部門の責任者。最終は、役員や経営層であることが多くなります。
相手が変われば、見ているものも変わります。
最終で見られているのは、経歴でも、実務の深さでもありません。
この記事では、その中身を扱います。二次までの内容は二次面接で見られていることにあります。
「任命の権限を持つ者」が出てくる
最終の相手が誰なのかは、権限の構造で理解できます。
地方公務員法第6条第1項です。
> 地方公共団体の長、議会の議長(中略)その他法令又は条例に基づく任命権者は(中略)それぞれ職員の任命、人事評価、休職、免職及び懲戒等を行う権限を有するものとする。
任命を行う権限を持つ者が、任命権者です。
役所では、採用の可否を最終的に決めるのは、この任命権者です。
民間の最終面接も同じ構造で、採用を決める権限を持つ立場の人が出てきます。
その人が確認したいのは、実務の細部ではありません。組織に入れて問題がないか、長く働く見込みがあるかです。
最終で確認される3点
| 点 | 内容 |
|---|---|
| ① 定着 | すぐ辞めることにならないか。動機の一貫性 |
| ② 条件 | 処遇、入社の時期、勤務地。相違がないか |
| ③ 価値観 | 会社の方針と、本人の考え方が大きくずれていないか |
③は、試験ではありません。一致していることを求めているのではなく、衝突しないかを見ています。
①——動機の一貫性
最終では、志望動機を改めて聞かれます。
一次・二次と同じ内容で構いません。むしろ、変えると一貫性を疑われます。
確認されているのは、内容の新しさではなく、言っていることが変わっていないかです。
| ✕ | ○ |
|---|---|
| 回ごとに動機の重心が変わる | 同じ筋で、深さだけ変える |
| 二次で聞いた話を全面的に取り入れて語る | 聞いた内容を踏まえたうえで、元の動機と結ぶ |
二次で得た情報を反映させるのは自然です。ただし、元の動機を上書きしないでください。
> 二次で伺った、稼働後の支援に比重を置かれているという点は、私が役所で感じていた課題と重なっていました。制度を運用する側にいたときに、導入後の定着に手が回らない場面を見てきたので、その部分に関われることは、応募した理由とつながっています。
新しい情報を、元の動機の補強に使う。この形が、一貫性を保ちます。
②——条件の確認
最終の段階では、条件の話が具体的に出ます。
| 項目 | 準備 |
|---|---|
| 入社可能な時期 | 退職の手続きに要する期間を確認しておく |
| 処遇 | 現在の年間の支給を正確に把握しておく |
| 勤務地・転勤 | 制約があれば、この段階までに伝えておく |
| 他社の選考 | 進んでいる場合、状況を伝えて構わない |
4つ目について補足します。他社の選考が進んでいる場合、隠す必要はありません。
「他社も受けている」ことが減点になることは、ほとんどありません。むしろ、日程の調整がしやすくなります。
条件面の細かい確認は、内定の提示の後でも構いません。労働基準法第15条により、労働条件は明示されるものです。
③——価値観の確認
最終では、抽象的な質問が出ることがあります。
| 質問の例 | 見られていること |
|---|---|
| 「仕事で大事にしていることは」 | 判断の基準 |
| 「どういうときにやりがいを感じますか」 | 動機の源 |
| 「組織の方針と自分の考えが違ったら」 | 組織の中での動き方 |
3つ目は、答え方に注意が要ります。
「従います」だけだと、考えていないと受け取られます。「意見は述べたうえで、決まったことには従います」という形が自然です。
役所での動き方と、大きく変わりません。
公務員出身であることを、確認される場合
最終の面接で、経営層から直接問われることがあります。
「役所の方が、うちの環境でやっていけると思われますか」
責めている質問ではありません。過去に公務員出身者を採用した経験があり、定着した例とそうでない例の両方を見ていることがあります。
答えるときは、違いを具体的に挙げたうえで、自分の対処を述べてください。
| 違い | 述べ方 |
|---|---|
| 判断の速度 | 後戻りできる判断は先に進め、できない判断は確認する |
| 成果の測られ方 | 数字で測られることを、条件として受け止めている |
| 顧客の存在 | 相手を選べる代わりに、選ばれる側になることを理解している |
| 前例の扱い | 前例が無い場面で、判断の基準を自分で作った経験がある |
4つのうち2つを挙げれば足ります。
「大丈夫です」と答えるより、違いを認識していることを示すほうが、この質問には効きます。
最終で落ちる場合
最終まで進んで見送りになることもあります。理由として多いのは、次の3つです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 条件の不一致 | 処遇や入社の時期が折り合わない |
| 定着の懸念 | 動機が回ごとに変わった、意思が曖昧だった |
| 他の候補者との比較 | 経験の優劣ではなく、枠との適合 |
3つ目は、こちらで対処できません。
1つ目と2つ目は、準備で避けられます。条件は早い段階で伝え、動機は一貫させる。これだけです。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、この質問が出ること自体は、悪い合図ではありません。採用を真剣に検討しているからこそ、入社後の定着を確かめようとしていると受け取って構いません。
よくある失敗
1. 動機を回ごとに変える
一貫性を疑われます。同じ筋で、深さだけ変えてください。
2. 意思が曖昧
確認すべき点を挙げるほうが誠実に受け取られます。
3. 業務の細かい質問をする
最終では、会社の方針を聞いてください。
4. 条件を最終まで伝えない
制約は、この段階までに伝えてください。
5. 「従います」だけで答える
意見は述べたうえで従うという形にしてください。
6. 他社の選考を隠す
隠す必要はありません。日程の調整がしやすくなります。
まとめ
- 最終で見られているのは、①定着 ②条件 ③価値観の3点です。実務の深さではありません
- 地方公務員法第6条第1項は、任命を行う権限を持つ者を任命権者としています。最終は、決める権限を持つ立場が出る場です
- 志望動機は、一次・二次と同じ筋で。二次で得た情報は、元の動機の補強に使ってください
- 条件(時期・処遇・勤務地)は、この段階までに伝えてください
- 意思を曖昧にしない。確認すべき点があれば、その場で挙げてください
- 逆質問は、会社の方針や事業の方向を聞きます。業務の手順は聞きません
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よくある質問
最終面接は、顔合わせだけだと聞きました
会社によります。実質的に決定済みで、意思の確認が中心という場合もありますが、最終で見送りになることも珍しくありません。準備としては、志望動機と条件の2点を整えておけば足ります。実務の細かい準備は不要ですが、「顔合わせだから」と準備をしないのは避けてください。とくに、志望動機を改めて聞かれたときに、一次・二次と違う話をしてしまうことがあります。それまでに話した内容を、手元で確認してから臨んでください。
役員の方に、何を話せばよいか分かりません
業務の細部ではなく、構造で話してください。「どういう組織で、どういう役割を担い、何を判断してきたか」。役員の方が知りたいのは、この人を組織に入れて機能するかです。加えて、役所の仕組みについて質問されることがあります。自治体の予算の流れ、意思決定の段階、制度の改正の周期。これらを簡潔に説明できると、それ自体が価値になります。自治体を顧客とする会社であれば、経営層がその知識を必要としている場合があります。専門の説明ではなく、構造の説明を意識してください。
最終で内定をその場で示されたら、どう答えますか
その場で受諾しなくて構いません。「ありがとうございます。条件を書面で確認させていただいたうえで、◯日以内にお返事いたします」という形で足ります。期限を自分から示すと、誠実に受け取られます。他社の選考が進んでいる場合は、その旨を伝えて期限を相談してください。「他社の選考が◯日に終わりますので、その後にお返事させてください」。隠して引き延ばすより、状況を伝えるほうが調整がつきます。なお、条件が想定と違う場合は、この段階で相談できます。受諾の前に確認してください。