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選考対策 / 職務経歴書

システム導入の経験の書き方

情報システム課にいなくても、この経験は書けます。

システムの導入や更改で、業務側の担当として関わった方は多いはずです。ところが、職務経歴書ではこうなります。

「システムの更改に伴う作業を担当。」

何をしたかが、まったく読めません。

実際には、現行の帳票と手順を洗い出し、必要な機能を文書にし、事業者の提案を評価し、データの移行を確認し、職員向けの手順を作り、稼働後の不具合に対応していたはずです。

この記事では、6つの工程に分けて書き方を決めます。調達の側面は調達・入札の経験の書き方に整理しています。

結論:システムの経験は、6工程で書く

工程何をしたか
① 現行の棚卸し帳票、手順、例外の処理、他のシステムとの連携の整理
② 要件の定義必要な機能を文書にする。業務側の言葉で書く
③ 調達と選定提案の依頼、評価の項目の設計、事業者の選定
④ 移行とテストデータの移行の確認、テストの設計、不具合の管理
⑤ 稼働と定着職員向けの手順、研修、問い合わせの対応
⑥ 運用と保守契約後の管理、改修の要求、障害の対応

①②④⑤は、情報システム課でなくても担当している部分です。むしろ、業務を知っている側でないと書けない工程です。

個人情報の安全管理は、委託先にも及びます

自治体のシステムは、個人情報を扱うものがほとんどです。そこに、この経験の価値があります。

個人情報の保護に関する法律第66条第1項です。

> 行政機関の長等は、保有個人情報の漏えい、滅失又は毀損の防止その他の保有個人情報の安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。

そして同条第2項は、この規定を、行政機関等から個人情報の取扱いの委託を受けた者にも準用するとしています。同項第5号では、そこからさらに委託を受けた者(再委託を含む)も対象に挙げています。

つまり、委託先と、その先の再委託先まで、安全管理の網がかかっているということです。

システムの導入を担当するというのは、この網の設計と確認を担当するということです。事業者にどこまで触らせるか、作業の場所はどこか、データの持ち出しをどう制限するか、再委託を認めるか。

この管理を実務でやってきた経験は、民間の委託先の管理でそのまま読まれます。個人情報を扱う事業をしている会社では、同じ確認を毎年行っています。

悪い例と良い例

悪い例

> 基幹システムの更改にあたり、担当課として作業に参加した。

良い例

> 基幹システムの更改(期間◯年/関係◯課)>> 所管業務について、現行の帳票◯種類と、例外の処理◯類型を棚卸し。使用実績のない帳票◯種類を廃止し、◯種類に統合したうえで要件を整理。>> 業務側の要件を、機能の一覧として文書化(◯項目)。特定の製品に依存する記述を避け、達成したい業務の結果で記述。提案の評価では、業務の要件への適合の項目を設計し、審査に参加。>> データの移行について、移行の対象と対象外の区分を定義。移行後の件数と金額の突合を実施し、差異◯件の原因を特定して解消。>> 稼働にあたり、職員向けの操作の手順書を作成し、研修◯回を実施。稼働後◯か月の問い合わせ約◯件に対応し、頻出する◯件について手順書を改訂。>> 委託の契約では、作業の場所、再委託の可否、データの取扱いの範囲を仕様に明記し、作業の記録の提出を求める運用を設定。

6工程が全部入っています。

とくに「特定の製品に依存する記述を避けた」と「移行後の突合を実施した」は、民間でそのまま評価される記述です。

業務側の担当だからこそ書けること

情報システム課の経験がなくても、次の4つは書けます。

書けることなぜ価値があるか
現行の業務の棚卸し業務を知らないと書けない。導入の支援の会社が最も必要とする
例外の処理の洗い出しシステムが落ちるのは例外。ここを出せる人は少ない
データの移行の確認件数と金額の突合は、業務側でないとできない
稼働後の定着手順書、研修、問い合わせ。使われる状態にする仕事

「例外の処理を洗い出した」は、とくに効きます。標準の処理は誰でも列挙できますが、例外は、その業務を長くやっている人しか出せません。

規模と期間を添える

数えるもの書き方の例
対象の範囲関係◯課、利用する職員約◯人、対象のデータ約◯件
期間要件の整理から稼働まで◯年◯か月
文書要件の一覧◯項目、手順書◯頁、帳票◯種類
不具合稼働後の問い合わせ約◯件、改修の要求◯件
契約契約の金額の規模、保守の契約の期間

契約の金額は、規模として書いてください。自分の成果ではありません。

経験の言い換えから相談することもできます。

よくある失敗

1. 「更改に伴う作業」で終える

6工程に分けてください。業務側でも4工程は書けます。

2. 技術が分からないと前置きする

書かないでください。求められているのは業務の知識です。

3. 例外の処理の洗い出しを書かない

いちばん希少な経験が抜けます。

4. データの移行の確認を省略する

件数と金額の突合は、業務側にしかできない仕事です。

5. 稼働後を書かない

使われる状態にした工程が、定着の経験になります。

6. 事業者名や製品名を具体的に書く

業種と規模で足ります。契約の相手方が特定できる記述は避けてください。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

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よくある質問

会議に出ていただけで、要件を書いたのは事業者です

会議で何を答えたかが、要件の定義そのものです。事業者は、業務を知りません。「この処理は、こういう場合に例外が出る」「この帳票は年に1回しか使わない」という情報を出していたなら、それが要件の材料です。書くなら、「業務側の担当として、現行の処理と例外の類型を整理して提示。事業者の作成した要件の一覧について、業務の観点から◯件の修正を指摘」という形です。修正を指摘した件数が書ければ、なお具体的になります。文書を自分で書いたかどうかは、問われません。中身を出していたかどうかです。

標準化への対応で更改を担当しました。この経験はどう位置づけられますか

「他の自治体も同じことをしている」という点が、そのまま強みになります。同じ形の移行を経験している職員は各地にいますが、その経験を外に持ち出す人は限られています。自治体向けの事業をしている会社から見ると、移行の実務を通した人は、そのまま導入の支援の戦力です。書くときは、自分が担当した範囲を正確にしてください。全庁の取りまとめだったのか、所管の業務の部分だったのか。そのうえで、差異の解消の件数、廃止・統合した帳票の数、職員への周知の方法を書けば、実務の厚みが伝わります。移行の過程で苦労した点と、その解決の方法は、面接でよく聞かれる部分です。

導入に失敗した、あるいは稼働が遅れた案件しかありません

書けます。むしろ、要因を把握している書類のほうが読まれます。書き方は、事実と、そこで自分が取った対応を並べることです。「移行のデータに不整合が見つかり、稼働を◯か月延期。原因は、現行のシステムで運用上認められていた例外の入力が、要件の整理の段階で把握されていなかったこと。全件の確認を行い、◯件を修正したうえで移行を再実施」という形です。この記述は、次に同じことを起こさない人として読まれます。導入の支援を行う会社では、失敗の経験を持つ人のほうが、リスクを先に見つけられると評価されることがあります。隠すより、対処を書いてください。

出典

  1. 個人情報の保護に関する法律 第66条(安全管理措置)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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