選考対策 / 職務経歴書
職務経歴書を自分で見直すチェックリスト
書類は、書き終えた時点では完成していません。
自分で書いた文章は、自分にとっては読めるようにできています。書いた本人には、足りない情報が見えません。
だから、点検の手順を決めておく必要があります。読み返すのではなく、項目に当てて確認するという意味です。
この記事では、提出の前に見る20項目を挙げます。書類の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本にあります。
「確保するための方針を定め、体制を整備する」
点検を仕組みにする、という考え方は、自治体の実務にも入っています。
地方自治法第150条第1項です。
> 都道府県知事及び(中略)指定都市の市長は、その担任する事務のうち次に掲げるものの管理及び執行が法令に適合し、かつ、適正に行われることを確保するための方針を定め、及びこれに基づき必要な体制を整備しなければならない。
「適正に行われることを確保するための方針を定め」「体制を整備する」。
個人の注意力に頼るのではなく、方針と体制で確保するという考え方です。
書類の点検も同じです。「よく読み返す」ではなく、項目を決めて、順番に当てる。そのほうが、確実に漏れが減ります。
見る順番
順番を間違えると、手戻りが出ます。
| 順 | 群 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 事実の正確さ | 誤りがあれば、他をいくら直しても意味がない |
| 2 | 構成 | 並び順を変えると、中身の書き方も変わる |
| 3 | 中身 | 構成が固まってから、記述を厚くする |
| 4 | 体裁 | 最後。先にやると、直すたびに崩れる |
体裁から始める方が多いのですが、いちばん最後です。
① 事実の正確さ(5項目)
| # | 確認する点 |
|---|---|
| 1 | 在籍の期間が、履歴書と一致しているか |
| 2 | 役職に就いた時期が、履歴書と一致しているか |
| 3 | 資格の名称が正式名称か、級と取得年が正しいか |
| 4 | 組織の名称が正しいか(部・課・係の表記) |
| 5 | 数字の根拠を、すべて1行で説明できるか |
5番目が要です。書いた数字を指差して、「これは何を数えた数字ですか」と自分に問い、答えられないものは外してください。
② 構成(5項目)
| # | 確認する点 |
|---|---|
| 6 | 1枚目の上に、要約の5行があるか |
| 7 | 担当業務が、部署名ではなく機能で並んでいるか |
| 8 | 応募先に関係する機能が、上に来ているか |
| 9 | 実績が3〜5項目あるか |
| 10 | 在籍の一覧の表が、下にあるか |
8番目は、応募先ごとに確認してください。中身を書き直す必要はありません。順番を入れ替えるだけです。
③ 中身(6項目)
| # | 確認する点 |
|---|---|
| 11 | 「従事」「対応」「統括」で終わっている行がないか |
| 12 | 自分が決めていた範囲が書いてあるか |
| 13 | 規模の数字(人口・予算・件数)が入っているか |
| 14 | 実績が「担当した」ではなく「設計した/変えた」で書かれているか |
| 15 | 庁内の言葉が残っていないか(起案・合議・供覧・専決・所管) |
| 16 | 求人票の「応募条件」の各行に対応する記述があるか |
16番目が、通過率にいちばん効きます。求人票を横に置いて、1行ずつ指差しで確認してください。
④ 体裁(4項目)
| # | 確認する点 |
|---|---|
| 17 | A4で2枚(3年目以内は1枚、技術職は3枚まで)に収まっているか |
| 18 | 文字の大きさと余白が、読める状態か |
| 19 | ファイル名が、書類の種類+氏名+日付になっているか |
| 20 | 変換後のファイルで、体裁が崩れていないか |
面接を想定した、最後の1問
20項目を通したあとに、自分に1つだけ質問してください。
「この書類のどこを、面接で詳しく聞かれると思うか」
答えられる箇所が2つ以上あれば、書類としては機能しています。面接官が食いつく場所を、自分で予想できているという意味だからです。
逆に、どこを聞かれるか想像できない場合は、書類が平坦になっています。実績欄のどれか1つを選んで、状況・判断・結果を厚くしてください。
予想した箇所については、そのまま面接の準備になります。詳しく聞かれたときに、数字の根拠と、判断した理由を1分で説明できる状態にしておけば足ります。この準備は、書類の点検と同時に済ませられます。別の日に改めて面接の対策をするより、効率がよい進め方です。
他人に読んでもらう
自己点検の後に、1人に読んでもらうと精度が上がります。
| 誰に | 何を見てもらうか |
|---|---|
| 役所の外で働いている家族・友人 | 意味が分からない言葉はないか |
| 同じ業界を目指している人 | 応募先との対応が取れているか |
| 人材会社の担当者 | 求人票との対応、業界での読まれ方 |
役所の同僚に読んでもらうのは、この目的には向きません。庁内の言葉がそのまま通じてしまうためです。「分かりやすい」と言われても、外の読み手には通じないことがあります。
読んでもらうときは、「どこで止まったか」を聞いてください。評価ではなく、引っかかった場所が知りたい情報です。
経験の言い換えから相談することもできます。
読んでもらう相手がいない場合は、1日おいてから自分で読み返してください。書いた直後は、頭の中の情報が文章を補って読めてしまいます。1日おくと、その補正が外れます。それも難しければ、画面ではなく印刷して読む、あるいは文字の大きさを変えて表示するだけでも、見え方が変わって抜けが見つかります。
よくある失敗
1. 体裁から直し始める
事実→構成→中身→体裁の順です。逆だと手戻りが出ます。
2. 求人票を見ずに点検する
16番が確認できません。横に置いてください。
3. 書いた直後に点検する
1日おくと、抜けが見つかりやすくなります。
4. 役所の同僚だけに読んでもらう
庁内の言葉が通じてしまいます。
5. 数字の根拠を確認しない
面接で聞かれます。説明できないものは外してください。
6. 応募のたびに全部を点検する
応募先ごとに見るのは8番と16番だけで足ります。
まとめ
- 点検は、事実の正確さ → 構成 → 中身 → 体裁の順です。体裁は最後です
- 地方自治法第150条第1項は、事務の管理と執行が適正に行われることを確保するための方針を定め、体制を整備することを求めています。個人の注意力ではなく、項目で確認します
- 数字は、根拠を1行で説明できるものだけを残します
- 「従事」「対応」「統括」と、庁内の言葉は検索で拾えます
- 求人票の応募条件の各行に対応する記述があるかを、指差しで確認してください
- 点検は20項目のうち15項目を満たせば足ります。完璧を目指して応募が遅れるほうが損です
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
誤字を完全になくす自信がありません
誤字で落ちることは、ほとんどありません。ただし、固有名詞の誤りだけは別です。応募先の会社名、職種の名称、自分の所属の名称。この3つは、必ず確認してください。とくに、応募先の会社名を旧名称や略称で書くことは避けてください。使い回しをした形跡として読まれます。本文の誤字については、変換の誤りが起きやすい語(保健と保険、監査と鑑査、所管と所轄)を検索で確認しておくと、主なものは拾えます。完璧を目指すより、この2点を押さえるほうが実用的です。
点検しても、何を直せばよいか分かりません
20項目のうち、該当しない項目を1つ選んで、そこだけ直してください。全部を一度に直そうとすると手が止まります。優先するなら、16番(求人票との対応)→ 6番(要約の5行)→ 12番(決めていた範囲)の順です。この3つを満たすだけで、書類の読まれ方は変わります。それでも分からない場合は、求人票を1枚印刷して、自分の書類の該当箇所に線を引くという作業をしてみてください。線が引けない行が、足りない部分です。この方法なら、直す場所が具体的に見えます。
他人に読んでもらうのが気恥ずかしいのですが
全文を見せる必要はありません。1枚目の上の5行だけを見せて、「この人はどんな仕事をしてきた人に見えますか」と聞いてください。返ってきた答えが、自分の意図と違っていれば、要約欄を直す必要があるということです。この方法なら、経歴の詳細を見せずに確認できます。在職中で、周囲に転職活動を知られたくない場合にも使えます。なお、人材会社の担当者に見せる場合は、守秘の前提で扱われます。在職中であることを伝えておけば、応募先への連絡の時期も調整できます。