選考対策 / 立場・年代別
国家公務員から民間へ
国家公務員からの転職には、他とは異なる注意があります。
在職中の求職について、法律に規律が置かれているためです。
この記事では、その前提と、経験の示し方を扱います。
⚠ 規律の適用は、官職・利害関係の有無によって異なります。必ず、所属の人事担当や再就職に関する担当に確認してください。この記事は一般的な整理にとどめます。
在職中の求職に、規律があります
国家公務員法第106条の3第1項です。
> 職員は、利害関係企業等(営利企業等のうち、職員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。
同条第2項は、適用しない場合を挙げています。
> 一 退職手当通算予定職員(略)が退職手当通算法人に対して行う場合>> 二 在職する局等組織(略)の意思決定の権限を実質的に有しない官職として政令で定めるものに就いている職員が行う場合>> 三 センターから紹介された利害関係企業等との間で(略)職員が行う場合>> 四 (略)政令で定める手続により内閣総理大臣の承認を得た職員が当該承認に係る利害関係企業等に対して行う場合
要点は3つです。
1つ目。規律の対象は「利害関係企業等」であり、その範囲は政令で定められます。
2つ目。職の性質によって、適用されない場合があります。
3つ目。例外に当たるかどうかは、自分で判断せず、担当に確認してください。
最初にすること
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 所属の担当に、規律の適用について確認する |
| 2 | 自分の職務と利害関係の範囲を把握する |
| 3 | 進め方の可否を確認する |
| 4 | そのうえで、求人を見る |
1を最初に置いてください。
確認の仕方は、「再就職に関する規律について、一般的な説明を伺いたい」で足ります。
多くの府省で、相談の窓口や手引が用意されています。
⚠ 離職した後についても、別に規律が置かれています。この点も併せて確認してください。
なお、地方公務員については、別の法令と各団体の規程によります。
扱いが異なるため、地方公務員の方は所属の人事担当に確認してください。
国の仕事の経験
| 経験 | 内容 |
|---|---|
| ① 法令・制度の立案 | 条文の設計、他省庁との協議 |
| ② 予算 | 要求、査定、執行 |
| ③ 国会への対応 | 答弁、資料、説明 |
| ④ 地方との調整 | 通知、照会、支援 |
| ⑤ 審議会・有識者 | 運営、資料、とりまとめ |
| ⑥ 国際 | 交渉、会議、条約・協定 |
①と⑤が、民間で読まれにくい項目です。
書いておいてください。
制度の設計と、多数の関係者のとりまとめは、どの業界でも必要とされます。
書き方の例
悪い例
> ◯◯省で、◯◯制度を担当しました。
良い例
> ◯◯に関する制度の企画を担当。関係省庁◯者との協議を経て、政令・省令の改正案を作成。審議会(委員◯名)の運営と資料の作成を担い、とりまとめを実施。施行に際し、地方公共団体向けの通知と照会への回答を担当し、◯件の照会に対応。
「関係者の数」「作ったもの」「とりまとめ」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
言い換えの対応
| 役所の言葉 | 民間での読まれ方 |
|---|---|
| 制度の企画・立案 | 制度の設計、ルールの策定 |
| 省庁間の協議 | 部門間・社外との調整 |
| 国会への対応 | 経営層・社外への説明 |
| 審議会の運営 | 有識者会議の運営、合意の形成 |
| 通知・解釈の発出 | 運用基準の整備、照会への回答 |
| 予算の要求・査定 | 予算の策定、資源の配分 |
5行目です。
通知や解釈の発出は、「運用のルールを決めて、問い合わせに答える」という動作です。
規制を受ける側の会社では、この理解が求められます。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 何を担当したか | 制度名ではなく、動作で |
| どこまで自分で決めたか | 起案した範囲、調整した論点 |
| 難しい局面の対応 | 3件、経緯と結論 |
| 民間の速さへの適応 | 期限の管理の経験 |
| 規律の確認 | 手続を踏んでいるか |
5行目です。
在職中の求職に規律があることは、採用する側も承知しています。
確認を済ませていることを伝えられると、進め方の話が早くなります。
なお、特定の事案が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、退職した後も続きます。
準備の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 規律の適用を確認する |
| 2 | 担当した制度・業務を書き出す |
| 3 | 関係者の数、作ったものを確認する |
| 4 | 民間の言葉に置き換える |
| 5 | 求人を読む |
| 6 | 職務経歴書を作る |
1が前提です。
2について。
制度の名前ではなく、「誰と協議し、何を作り、何を決めたか」で書き出してください。
経験の言い換えから相談することもできます。
在職中の進め方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 規律の確認 | 最初に。担当の窓口へ |
| 記録 | 担当した業務と、関係者の数 |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 日程の確保 | 国会・予算の時期を避ける |
4行目です。
国会の会期中と予算の時期は、時間が取れません。
選考の開始を、この時期と重ならないように選んでください。
扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。
よくある失敗
1. 規律の確認をせずに進める
最初に確認してください。
2. 例外に当たるかを自分で判断する
担当に確認してください。
3. 離職後の規律を見落とす
別に定めがあります。
4. 制度の名前だけで書く
動作で書いてください。
5. 審議会の運営を書かない
合意の形成として読まれます。
6. 通知・解釈の発出を書かない
運用基準の整備に対応します。
7. 国会・予算の時期に選考を始める
途中で止まります。
8. 特定の事案が分かる説明をする
守秘の義務は退職後も続きます。
まとめ
- 国家公務員法第106条の3第1項は、利害関係企業等に対する在職中の求職について規律を置いています。範囲は政令で定められます
- 同条第2項に、適用しない場合が定められています。例外に当たるかは自分で判断せず、担当に確認してください
- 離職した後についても、別に規律があります
- 求人を見る前に、規律の確認をしてください
- 経験は、制度名ではなく動作で書いてください
- 審議会の運営と、通知・解釈の発出を書いてください
- 規制を受ける側の会社では、制度の理解が業務の前提になります
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
どこに確認すればよいですか
所属の人事担当、または再就職に関する事務を所管する部署です。多くの府省で、相談の窓口や手引が用意されています。確認の仕方は、「再就職に関する規律について、一般的な説明を伺いたい」で足ります。転職の意思を伝える必要はありません。制度の照会として聞くことができます。確認すべきは、①自分の官職が規律の対象か ②利害関係企業等の範囲 ③進め方として何が可能かの3点です。この3点が分かれば、求人を見る範囲が決まります。なお、内容は官職や職務によって異なります。人づての情報ではなく、担当に直接確認してください。
利害関係のない会社なら、自由に進められますか
判断を自分でしないでください。利害関係企業等の範囲は政令で定められ、職務との関係で決まります。自分の職務がどの範囲に及ぶかは、担当に確認するのが確実です。また、適用されない場合に当たるかどうかも、官職によります。なお、紹介を通す場合でも、この確認は必要です。紹介する側は、応募者の官職や職務の内容を把握していません。確認の結果を踏まえたうえで、進められる範囲を伝えていただければ、その範囲で求人を示すことができます。順序を間違えないでください。
国の仕事は、民間で評価されますか
評価される領域があります。とくに、規制を受ける側の会社では、許認可の対応、報告の作成、制度の改正への対応を担う人が必要とされます。また、行政を顧客とする事業——コンサルティング、調査、システム、公共政策——では、制度の設計の経験と、関係者のとりまとめの経験が直接使えます。書類では、「誰と協議し、何を作り、何を決めたか」を具体に書いてください。制度の名前だけでは、中身が伝わりません。探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。