選考対策 / 立場・年代別
教員から民間へ
教員からの転職では、「授業しかしていない」と感じる方がいらっしゃいます。
実際には、複数の役割を同時に担っています。
この記事では、経験の分け方と、示し方を扱います。
学校は、職ごとに職務が定められた組織です
学校教育法第37条第1項です。
> 小学校には、校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員を置かなければならない。
同条第4項です。
> 校長は、校務をつかさどり、所属職員を監督する。
同条は、教諭について、次のように定めています。
> 教諭は、児童の教育をつかさどる。
職ごとに、職務が条文で定められているという構造です。
つまり、学校は組織であり、その中で職務が分かれているということです。
なお、中学校・高等学校については、それぞれ準用や別の規定が置かれています。
自分の校種に応じた規定を確認してください。
「教育をつかさどる」の中身を分ける
| 要素 | 実際にやっていること |
|---|---|
| ① 授業の設計 | 年間の計画、単元の構成、教材の作成 |
| ② 授業の実施 | 進行、説明、個別の対応 |
| ③ 評価 | 到達の確認、記録、説明 |
| ④ 学級の経営 | 集団の運営、行事、個別の面談 |
| ⑤ 保護者への対応 | 説明、相談、苦情 |
| ⑥ 校務の分掌 | 教務、生徒指導、進路、研究 |
| ⑦ 部活動・課外 | 指導、大会の運営 |
①〜③が、民間では「研修の設計・実施・評価」にあたります。
④が「集団の運営」、⑤が「顧客対応」、⑥が「部門の業務」です。
「授業しかしていない」のではなく、7つを同時に担っているということです。
書き方の例
悪い例
> ◯◯小学校で、教諭として勤務しました。
良い例
> ◯◯において、児童◯名の学級を担任。年間の指導の計画を作成し、単元ごとの教材と評価の基準を設計。保護者◯世帯への説明会の運営と、個別の面談を年◯回実施。校務分掌として◯◯を担当し、◯名の教職員と行事の企画・運営を担った。新規に着任した教職員への指導を担当。
「人数」「設計したもの」「運営」「指導」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
言い換えの対応
| 学校の言葉 | 民間での読まれ方 |
|---|---|
| 指導の計画の作成 | 研修・カリキュラムの設計 |
| 授業の実施 | 講師、ファシリテーション |
| 評価・所見 | 到達度の測定、フィードバック |
| 学級の経営 | 集団の運営、チームの管理 |
| 保護者への対応 | 顧客対応、苦情の対応 |
| 校務分掌 | 部門の業務、委員会の運営 |
| 教材の作成 | コンテンツの制作 |
| 研究授業・研修 | 社内の勉強会、ノウハウの共有 |
1行目と4行目が、最も使える部分です。
人材の育成を担う部署では、①〜④がそのまま業務になります。
民間での使いどころ
| 領域 | 使える経験 |
|---|---|
| ① 研修・人材の開発 | 設計、実施、評価の一連 |
| ② 教育に関する事業 | 教材、学習のサービス、進路 |
| ③ 自治体・教育委員会が相手の事業 | 学校の実情が分かる |
| ④ 顧客対応・相談 | 保護者への対応の経験 |
| ⑤ 採用・育成の部門 | 指導と評価の経験 |
③が見落とされやすいです。
学校向けのシステム、教材、施設、給食、ICTの支援。
これらの事業では、「学校がどう動くか」を知っている人が求められます。
年度の流れ、行事の時期、教職員の体制、教育委員会との関係。
外から見ても分かりません。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 何を担当したか | 人数、設計したもの、期間 |
| 難しい対応の経験 | 3件、経緯と結論 |
| 大人を相手にできるか | 保護者・同僚との協働の例 |
| 数字への向き合い方 | 評価・集計の経験 |
| 退職の時期 | 年度との関係 |
3行目です。
「子どもが相手の仕事」と見られることがあります。
保護者への説明、同僚との分掌の調整、地域との連携。
大人を相手にした場面を、具体に用意してください。
なお、特定の児童生徒や保護者が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、退職した後も続きます。
準備の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 担当した学級・教科・人数を書き出す |
| 2 | 設計したものを書き出す(計画、教材、基準) |
| 3 | 校務分掌と、担った役割を書き出す |
| 4 | 大人を相手にした場面を書き出す |
| 5 | 民間の言葉に置き換える |
| 6 | 求人を読む |
2と4が要です。
4について。
保護者への説明、同僚との調整、地域や関係機関との連携。
これらは、面接で必ず材料になります。
経験の言い換えから相談することもできます。
在職中の進め方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録 | 担当した人数、作成した教材・資料 |
| 制度の確認 | 退職の手続きと、年度との関係 |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 日程の確保 | 学期中と行事の時期を避ける |
2行目です。
教員の退職は、年度との関係で時期が限られることがあります。
手続きの時期を、早めに人事担当に確認してください。
制度の照会として聞くことができます。
後任の確保や引継ぎの関係で、調整に時間がかかることがあります。
早く確認するほど、選べる時期が広がります。
扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。
よくある失敗
1. 「授業をしていた」とだけ書く
設計した側面を書いてください。
2. 人数を書かない
規模が伝わりません。
3. 校務分掌を書かない
部門の業務として読まれます。
4. 大人を相手にした場面を用意しない
面接で聞かれます。
5. 評価・集計の経験を書かない
数字への向き合い方が伝わります。
6. 学校向けの事業を見ない
学校の実情が分かる人が求められます。
7. 退職の時期を確認しない
年度との関係があります。
8. 特定の児童生徒が分かる説明をする
守秘の義務は退職後も続きます。
まとめ
- 学校教育法第37条は、置くべき職員を定め、校長は校務をつかさどり所属職員を監督する、教諭は児童の教育をつかさどるとしています
- 「教育をつかさどる」の中身は、7つの要素に分けられます
- ①〜③は、研修の設計・実施・評価にあたります
- 設計した側面を書いてください。実施だけでは講師の経験としてしか読まれません
- 大人を相手にした場面を、面接用に用意してください
- 学校向けの事業では、学校の実情を知っていることが要件になります
- 退職の時期は、年度との関係を早めに確認してください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
退職の時期は、年度末でなければなりませんか
手続きの定めを確認してください。教員の退職については、年度の途中の場合、後任の確保や引継ぎの関係で調整が必要になることがあります。時期と手続きは、所属の人事担当に確認してください。制度の照会として聞くことができます。なお、内定から入社までの期間については、応募の段階で相手に伝えておいてください。「年度の区切りでの退職になる見込み」と先に伝えれば、企業側も計画を立てられます。伝えずに進めて、内定後に時期が合わないほうが問題になります。扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。
企業での勤務の経験がなく、応募条件を満たせません
応募条件の書き方を見てください。「業界経験」が必須とされている求人は難しくなります。一方、「研修の企画・運営の経験」「人材の育成の経験」「顧客への説明の経験」が挙げられている場合、該当します。教員の経験は、これらの言葉に置き換えられます。また、学校・教育委員会が相手の事業では、学校での勤務経験そのものが要件になることがあります。探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。職種名ではなく、応募条件の言葉で判断してください。
部活動の指導は、書いてよいですか
運営の側面を書いてください。「部活動を担当」だけでは、中身が伝わりません。「◯名の集団の活動を計画し、年間の日程と大会への参加を管理」「保護者への説明と、外部の指導者との調整を担当」という形にすると、運営の経験として読まれます。また、大会の運営に関わった経験があれば、行事の企画・運営として書けます。参加の人数、関わった団体の数、準備の期間。数を入れてください。なお、指導の成果を強調しすぎないほうが読まれやすいです。担った役割と範囲を書いてください。