選考対策 / 立場・年代別
民間に出たあと、公務員に戻れるか
「一度出たら、もう戻れないのではないか」というご相談を伺います。
制度の枠組みを確認しておくと、判断がしやすくなります。
この記事では、採用の仕組みと、確認すべき点を扱います。
⚠ 募集の有無・要件・時期は、団体ごとに異なります。必ず、各団体が公表する募集要項を確認してください。
採用は、競争試験又は選考によります
地方公務員法第17条の2第1項です。
> 人事委員会を置く地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験によるものとする。ただし、人事委員会規則(略)で定める場合には、選考(競争試験以外の能力の実証に基づく試験をいう。以下同じ。)によることを妨げない。
同条第2項です。
> 人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験又は選考によるものとする。
採用の方法が、競争試験又は選考と定められているということです。
つまり、「戻る」場合も、改めて採用の手続きを経ることになります。
在職していた事実によって、当然に復職するという仕組みではありません。
一方、選考は「競争試験以外の能力の実証に基づく試験」と定義されています。
民間での経験が、能力の実証として扱われる枠組みがあるということです。
戻る場合の主な枠組み
| 枠組み | 内容 |
|---|---|
| ① 一般の採用試験 | 年齢などの要件は団体による |
| ② 経験者を対象とする採用 | 民間での職務経験が要件 |
| ③ 任期を定めた採用 | 専門性を活かす枠組み |
| ④ 会計年度任用 | 任期は会計年度の単位 |
| ⑤ 国・他の団体 | 募集の枠組みは団体による |
②が、民間を経験した方の入口です。
職務経験の年数が要件として定められていることがあります。
③について。
任期を定めた採用の仕組みは任期付職員の任期満了後の進路に整理しています。
⑤について。
元いた団体に限らず、他の団体の募集も対象になります。
居住地や勤務地の条件に応じて、選べる範囲が変わります。
確認すること
| 項目 | 確認先 |
|---|---|
| 募集の有無と時期 | 各団体の公表 |
| 要件(年齢、経験の年数) | 募集要項 |
| 選考の方法 | 同上 |
| 採用後の処遇の扱い | 同上、または担当課 |
| 退職手当・共済・年金の通算 | 共済組合、年金事務所 |
1行目です。
募集は、各団体が公表します。
人づての情報ではなく、公表されている募集要項を確認してください。
5行目について。
通算の扱いは制度によります。
金額と要件は、共済組合と年金事務所に確認してください。
この記事では、金額には触れません。
民間の経験が評価される点
| 経験 | 行政での使いどころ |
|---|---|
| ① 顧客への対応 | 住民・事業者への対応 |
| ② 収支・原価の管理 | 予算、委託の管理 |
| ③ 事業の推進 | 計画の実行、進行の管理 |
| ④ 外部との交渉 | 事業者との協議 |
| ⑤ 民間の実務の理解 | 委託、指定管理、公民の連携 |
⑤が、経験者を対象とする採用で見られる部分です。
行政が民間と組む場面が増えているため、双方を知っている人が求められることがあります。
書類には、「発注を受ける側の実務を理解している」という形で書いてください。
戻る前提で辞めないこと
ここは、はっきり書いておきます。
| 確認 | 内容 |
|---|---|
| 募集の有無 | 毎年あるとは限りません |
| 要件 | 年齢や経験の年数が定められます |
| 競争 | 選考を経る必要があります |
| 時期 | 公表の時期は団体による |
「いつでも戻れる」という前提は、置かないでください。
募集があるか、要件を満たすか、選考を通るか。
いずれも、その時点で決まります。
したがって、転職の判断は、戻ることを前提とせずに行ってください。
在職中にしておくこと
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度の確認 | 退職手当、共済、年金の扱い |
| 記録 | 担当した業務、件数 |
| 募集の情報 | 経験者の採用の実施の状況 |
| 条件の整理 | 戻る場合の勤務地・職種 |
1行目です。
退職の前に、通算の扱いを確認してください。
退職の時期によって扱いが変わることがあります。
扱いは退職手当はいつ振り込まれるかも併せて確認してください。
3行目について。
在職中に、経験者を対象とする採用の実施の状況を見ておくと、見通しが立ちます。
経験の言い換えから相談することもできます。
民間での過ごし方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実績の記録 | 件数、規模、役割 |
| 資格 | 取得、更新 |
| 分野の一貫性 | 経験がつながる形で |
| 期間 | 要件の年数を意識する |
4行目です。
経験者を対象とする採用では、職務経験の年数が要件となることがあります。
短期間で移ると、年数が満たせない場合があります。
要件を確認したうえで、期間を考えてください。
3行目について。
分野を頻繁に変えると、経験がつながりにくくなります。
戻る場合も、民間で続ける場合も、一貫した分野のほうが説明がしやすくなります。
よくある失敗
1. 「いつでも戻れる」と考える
募集があるとは限りません。
2. 募集要項を確認しない
要件は団体によって異なります。
3. 通算の扱いを確認しない
退職の時期で変わることがあります。
4. 戻る前提で転職を決める
戻れなくても納得できるかで判断してください。
5. 民間での実績を記録しない
選考の材料になります。
6. 元いた団体だけを見る
他の団体の募集も対象です。
7. 経験の年数の要件を見ない
短期間で移ると満たせないことがあります。
8. 人づての情報で判断する
公表されている募集要項を確認してください。
まとめ
- 地方公務員法第17条の2は、職員の採用を競争試験又は選考によるとしています。選考は「競争試験以外の能力の実証に基づく試験」と定義されています
- 戻る場合も、改めて採用の手続きを経ます。当然に復職する仕組みではありません
- 枠組みは、①一般の採用試験 ②経験者を対象とする採用 ③任期を定めた採用 ④会計年度任用 ⑤他の団体です
- 募集の有無・要件・時期は、各団体の公表で確認してください
- 退職手当・共済・年金の通算は、共済組合と年金事務所に確認してください
- 「いつでも戻れる」という前提は置かないでください。判断は、戻れなくても納得できるかで行ってください
- 行政に関わり続けたいだけなら、戻らなくても実現できます
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よくある質問
経験者を対象とする採用は、どこで調べますか
各団体のウェブサイトです。「職員採用」「採用情報」のページに、募集要項が掲載されます。実施の有無、区分、要件、日程が示されます。なお、毎年実施されるとは限りません。また、職種によって実施の状況が異なります。在職中に、関心のある団体の過去数年の実施の状況を見ておくと、見通しが立ちます。人づての情報では、要件を取り違えることがあります。必ず、公表されている募集要項を直接確認してください。他の団体の募集も対象になるため、範囲を広げて見てください。
民間での経験は、どの程度評価されますか
募集の区分によります。経験者を対象とする採用では、職務経験の年数が要件として定められていることがあります。そのうえで、選考では、担当した業務の中身が見られます。評価されやすいのは、行政の業務に接続する経験です。委託や指定管理の受託側の実務、事業の企画と推進、収支の管理、外部との交渉。「発注を受ける側の実務を理解している」という点は、公民の連携の場面で使えます。書類には、件数・規模・役割を書いてください。扱いは募集要項の選考の方法に示されます。
戻ることを考えながら、民間で働くのは中途半端でしょうか
中途半端にはなりません。ただし、「戻るまでのつなぎ」として働くと、実績が積み上がりません。民間での経験が評価されるのは、担当した業務の中身です。腰を据えて取り組んだ結果が、戻る場合の材料にもなります。ですから、目の前の仕事に取り組むことと、選択肢を持っておくことは両立します。なお、要件の年数を意識することは必要です。短期間で移ると、経験の年数が満たせないことがあります。判断の目安は、募集要項の要件です。確認したうえで、期間を考えてください。そして、戻らない判断をしても、それは失敗ではありません。