選考対策 / 退職と在職中の進め方
退職時期の決め方|年度末と年度途中
内定が出た後、最初に決めるのが退職の時期です。
入社日の決め方は入社日の決め方に書きました。この記事では、辞める側の事情を扱います。
年度末にするか、年度の途中にするか。この判断には、複数の要素が関わります。
給付は、条例に基づきます
時期が影響する要素として、まず確認しておく点があります。
地方自治法第204条の2です。
> 普通地方公共団体は、いかなる給与その他の給付も法律又はこれに基づく条例に基づかずには、これを(中略)支給することができない。
給与も、その他の給付も、条例に基づいて支給される。
退職手当も、各自治体の条例で定められています。
したがって、支給の率や算定の方法は、条例を確認するのが確実です。
一般に、勤続の年数と退職の理由によって支給の率が変わる仕組みが採られていますが、細部は団体によって異なります。
この記事では、具体的な率や金額は示しません。所属の規程で確認してください。
決めるときの4要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| ① 規程 | 退職の申し出の時期が定められていることがあります |
| ② 引継ぎ | 担当業務の量と、後任の状況 |
| ③ 退職手当 | 勤続の年数の区切りに近いかどうか |
| ④ 次の入社日 | 応募先との調整 |
①を最初に確認してください。
「退職を希望する日の◯か月前まで」といった定めがある場合、その期間を見込む必要があります。
例規集で確認できます。人事の担当に聞くと、その時点で意向が伝わるため、先に規程を見るほうが確実です。
年度末に辞める場合
| 利点 | 欠点 |
|---|---|
| 引継ぎが自然な形で済む | 入社まで時間がかかる |
| 年度の業務を完結できる | 応募先が待てない場合がある |
| 異動の時期と重なり、後任が決まりやすい | 3月は手続きが混み合う |
| 年次休暇の年度の区切りと合う | 同時期の退職者が多い |
3月31日退職、4月1日入社が、役所からの転職でいちばん多い形とされています。
年度をまたぐ業務を抱えている場合、この形が自然です。
ただし、内定から入社まで数か月空くことがあります。
応募先が待てるかを、早い段階で確認してください。
年度の途中で辞める場合
可能ですが、準備が要ります。
| 準備 | 内容 |
|---|---|
| 引継ぎの資料 | 後任が決まる前に、文書で作る |
| 進行中の案件 | 年度をまたぐものは、引継ぎの方法を整理 |
| 後任の状況 | 決まるか、兼務になるか |
| 周囲への影響 | 繁忙期を避けられるか |
年度の途中の退職は、珍しいことではありません。
育児や介護、健康上の事情でも生じます。制度として想定されています。
避けたほうがよいのは、繁忙期の直前です。
| 避けたい時期 | 理由 |
|---|---|
| 予算の編成期 | 財政部門と事業部門が動いています |
| 議会の開会中 | 答弁と資料の準備が集中します |
| 所管の繁忙期 | 窓口の集中、申請の受付の期間 |
| 年度末の直前 | 決算と異動の準備が重なります |
繁忙期を避けるという点では、所属の業務の年間の波を思い出してください。窓口であれば申請の集中する月、事業課であれば工期や交付の時期。自分の担当の波は、自分がいちばん把握しています。
退職手当の確認
時期が影響する可能性があるため、先に確認してください。
| 確認すること | 見る場所 |
|---|---|
| 勤続年数の数え方 | 所属の退職手当の条例・規則 |
| 支給の率が変わる年数 | 同上 |
| 自己都合による退職の扱い | 同上 |
| 支給の時期 | 人事・給与の担当 |
税の取扱いも併せて確認してください。
退職所得の課税は、他の所得と分けて計算される仕組みがありますが、具体的な計算は個別の事情によります。
税務署や税理士に確認してください。
時期によって変わる実務
退職の時期が変わると、手続きの中身も変わります。主なものを挙げます。
| 項目 | 年度末(3月31日) | 年度の途中 |
|---|---|---|
| 年次休暇 | 年度の区切りと合う | 残日数の扱いを確認 |
| 住民税 | 5月までの分の扱いを確認 | 一括で差し引かれる場合がある |
| 退職手当の支給 | 3月は件数が多く、時期が集中 | 通常の処理 |
| 共済の手続き | 同時期の退職者が多い | 個別に進む |
| 後任 | 異動の内示で決まる | 決まらないことがある |
5つ目が、実務上いちばん影響します。
年度末であれば、異動の内示で後任が決まります。一方、年度の途中では、後任が補充されず、残る職員が兼務することがあります。
その場合、引継ぎの相手が複数になります。
文書での引継ぎを厚めに用意してください。誰が引き継いでも使える形にしておけば、後任が決まっていなくても渡せます。
内定前に確認しておくこと
退職の時期は、内定が出てから考えるものではありません。
| 時期 | 確認しておくこと |
|---|---|
| 応募する前 | 退職の申し出の時期(規程) |
| 選考が進んだ段階 | 引継ぎに要する期間の見積もり |
| 内定の提示のとき | 入社可能な日を答えられる状態に |
1つ目を、応募の前に確認しておいてください。
面接で「いつから入社できますか」と聞かれたときに、具体的に答えられます。
「確認します」と答えると、回答が数日遅れます。
決める手順
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 規程で退職の申し出の時期を確認する |
| 2 | 担当業務の引継ぎに要する期間を見積もる |
| 3 | 退職手当の区切りを確認する |
| 4 | 1〜3から、希望する退職日を出す |
| 5 | 応募先と入社日を調整する |
| 6 | 確定したら、上司に退職の意思を伝える |
6の順序を守ってください。
入社日が確定する前に退職を申し出ると、日程が動いたときに困ります。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、退職の時期が決まったら、そこから逆算して引継ぎの計画を作ってください。残りの期間を週単位で割り、いつまでに何を渡すかを決めておくと、最終の月が慌ただしくなりません。進め方は、後の記事で別に整理します。
よくある失敗
1. 規程を確認せずに時期を決める
申し出の時期が定められていることがあります。
2. 「年度末が常識」とだけ考える
制度上の義務ではありません。
3. 退職手当の区切りを確認しない
時期によって差が生じることがあります。
4. 繁忙期の直前に辞める
引継ぎが雑になります。
5. 入社日が決まる前に申し出る
日程が動いたときに困ります。
6. 引継ぎの資料を後回しにする
後任が決まる前に作れます。
まとめ
- 地方自治法第204条の2は、給与その他の給付は法律又は条例に基づかずには支給できないとしています。退職手当も条例で定められています
- 決める要素は、①規程 ②引継ぎ ③退職手当 ④次の入社日の4つ。①から確認してください
- 年度末退職・4月入社が多い形ですが、制度上の義務ではありません
- 年度の途中の退職も、制度として想定されています。繁忙期の直前だけは避けてください
- 退職手当の算定と税の取扱いは、所属の規程と税務署で確認してください
- 入社日が確定してから、退職の意思を伝えてください
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よくある質問
規程で定められた期間より短く辞められますか
所属の運用によります。規程で「◯か月前まで」と定められている場合でも、業務の状況によっては、短い期間で認められることがあります。逆に、引継ぎの都合で、規程より長く求められることもあります。いずれにしても、上司との相談で決まるのが実際です。なお、内定を受諾する前に、規程を確認しておいてください。応募先に入社可能な時期を伝えるときに、具体的な日を答えられる状態にしておくほうが、調整が早く進みます。
年度の途中で辞めると、周囲に迷惑をかけませんか
引継ぎの準備次第です。担当業務の一覧、進行中の案件の状況、関係する相手先、資料の所在。これらが文書で残っていれば、後任が誰であっても引き継げます。逆に、口頭の引継ぎしか用意していない場合、年度末であっても負担が残ります。つまり、時期より準備のほうが影響します。なお、年度の途中で人が抜けることは、育児や介護、健康上の事情でも生じます。組織として、対応の仕組みはあります。過度に気にする必要はありません。
退職日を月末にすべきですか
社会保険の扱いが変わることがあります。一般に、退職の日が月末かそれ以外かで、保険料の負担の月が変わるとされています。ただし、共済組合から次の勤務先の健康保険への切替えの時期や、空白が生じるかどうかによって扱いが異なります。この点は、共済組合と、次の勤務先の担当に確認してください。一般的な取扱いと、自分の場合が異なることがあります。あわせて、年金の期間の扱いも確認しておくと、後から手続きが発生しません。