選考対策 / 面接
入社日の決め方
内定を受諾した後、最初に決めるのが入社の日です。
応募先の都合と、いまの職場の事情の両方が関わります。早ければよいというものでもありません。
この記事では、決めるときに考える要素を扱います。提示を受ける場の全体はオファー面談で確認すべきことにあります。
役所は、年度で動いています
入社の日を考えるとき、いまの職場の区切りが影響します。
地方自治法第208条です。
> 普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。>> 2 各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。
会計年度は、4月1日から3月31日。
予算も、事業も、人事も、この区切りで動いています。
そのため、年度の途中で抜けると、引継ぎの負担が大きくなる場面があります。予算の執行、事業の進行、決算の作業。年度をまたぐ業務を抱えているほど、影響が出ます。
ただし、年度末まで待たなければならない、ということではありません。
決めるときの4つの要素
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| ① 退職の申し出の時期 | 所属の規程で定められていることがあります |
| ② 引継ぎに要する期間 | 担当している業務の量と、後任の状況 |
| ③ 年度の区切り | 年度末か、年度の途中か |
| ④ 応募先の都合 | 募集の背景(増員か後任か)、事業の時期 |
①を最初に確認してください。
規程で「◯か月前まで」と定められている場合、その期間を見込む必要があります。
内定を受諾してから調べ始めると、入社の日の回答が遅れます。
年度末に合わせる場合
| 利点 | 欠点 |
|---|---|
| 引継ぎが自然な形で済む | 入社まで時間がかかる |
| 年度の業務を完結できる | 応募先が待てない場合がある |
| 退職手当の算定の区切りが分かりやすい | 3月は退職者が多く、手続きが混み合う |
年度末退職・4月入社は、役所からの転職でいちばん多い形とされています。
ただし、応募先が「◯月までに入社してほしい」と考えている場合は、調整が必要になります。
募集の背景を確認してください。前任者の退職が決まっている場合、時期が固定されていることがあります。
年度の途中で辞める場合
可能ですが、準備が要ります。
| 準備 | 内容 |
|---|---|
| 引継ぎの資料 | 担当業務の一覧、進行中の案件、関係先、資料の場所 |
| 引継ぎの期間 | 1か月程度を見込む |
| 後任の状況 | 決まっているか、兼務になるか |
| 年度をまたぐ業務 | 誰がどう引き継ぐかを整理 |
1つ目は、退職が決まってから作るものではありません。
普段から整えておけば、異動のときにも使えます。
年度の途中の退職は、珍しいことではありません。育児や介護、健康上の事情でも生じます。制度として想定されています。
なお、応募先に入社の日を伝えるときは、幅ではなく日で答えてください。「3月末ごろ」ではなく「4月1日」。日が決まっていると、相手も受け入れの準備ができます。確定していない段階では、「所属の規程を確認のうえ、◯日までにお伝えします」と、回答の期限を示せば足ります。
空白を作るかどうか
退職の日と入社の日の間をどうするかも、決める必要があります。
| 形 | 内容 |
|---|---|
| 空けずにつなぐ | 3月31日退職、4月1日入社。手続きが簡単 |
| 数日〜数週間空ける | 休息や手続きの期間。保険と年金の手続きが必要 |
| 1か月以上空ける | 資格の取得や療養など。事前に計画を |
2つ目と3つ目では、健康保険と年金の手続きが必要になります。
共済組合から、国民健康保険か任意継続か、次の勤務先の健康保険か。扱いは状況によって異なります。
税・社会保険・年金は個別性が高いため、共済組合、年金事務所、市区町村の窓口で確認してください。
退職手当と、時期の関係
入社の日を決めるとき、退職の時期が退職手当の算定に影響する場合があります。
退職手当は、各自治体の条例で定められています。一般に、勤続の年数と退職の理由によって支給の率が変わる仕組みが採られています。
| 確認すること | 見る場所 |
|---|---|
| 勤続年数の数え方 | 所属の退職手当の条例・規則 |
| 支給の率が変わる年数 | 同上 |
| 自己都合による退職の扱い | 同上 |
| 支給の時期 | 所属の人事・給与の担当 |
あと数か月で勤続の年数の区切りに達する場合、時期によって差が生じることがあります。
これは、面接の準備とは別に、先に確認しておくべき事項です。
税の取扱いも併せて確認してください。退職所得の課税は、他の所得と分けて計算される仕組みがあります。ただし、具体的な計算は個別の事情によるため、税務署や税理士に確認してください。
この記事では、具体的な金額や率は示しません。自治体ごとに条例が異なるためです。
決める手順
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 所属の規程で、退職の申し出の時期を確認する |
| 2 | 担当業務の引継ぎに要する期間を見積もる |
| 3 | 1と2から、最短の退職日を出す |
| 4 | 応募先に伝え、調整する |
| 5 | 確定したら、上司に退職の意思を伝える |
5の順序に注意してください。
入社の日が確定する前に退職を申し出ると、日程が動いたときに困ります。
ただし、①の確認は、退職を申し出る前にできます。規程は、例規集で確認できるのが通常です。
経験の言い換えから相談することもできます。
引継ぎの資料は、後任のためだけのものではありません。自分が担当してきた業務の一覧を作る作業は、職務経歴書の担当業務欄とほぼ同じ内容になります。書き方は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
よくある失敗
1. 規程を確認せずに入社の日を答える
後から調整が必要になります。
2. 「できるだけ早く」と曖昧に答える
相手の計画が立ちません。
3. 引継ぎの期間を見込まない
残る同僚に負担が残ります。
4. 空白期間の手続きを調べない
保険と年金の手続きが必要になります。
5. 入社の日が確定する前に退職を申し出る
日程が動いたときに困ります。
6. 年度末以外は辞められないと思い込む
年度の途中の退職も、制度として想定されています。
まとめ
- 地方自治法第208条は、会計年度を4月1日から3月31日までとしています。予算も事業も人事も、この区切りで動きます
- 決める要素は、①退職の申し出の時期 ②引継ぎの期間 ③年度の区切り ④応募先の都合の4つです
- ①は、所属の規程で確認してください。受諾してから調べ始めると、回答が遅れます
- 年度末退職・4月入社が多い形ですが、年度の途中の退職も制度として想定されています
- 退職日と入社日の間を空ける場合、保険と年金の手続きが必要です。個別に確認してください
- 「できるだけ早く」と答えない。日が明確であれば、2か月後でも問題になりません
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よくある質問
年度末は繁忙期で、引継ぎの時間が取れません
3月は、退職と異動の手続きが重なる時期です。引継ぎの資料は、もっと早い段階から作り始めてください。内定を受諾した時点で、担当業務の一覧と、進行中の案件の状況を書き出しておくと、3月に慌てずに済みます。加えて、引継ぎは、後任が決まってから始めるものとは限りません。資料の形で残しておけば、後任が誰になっても使えます。なお、異動の内示の時期と重なるため、後任が決まるのが遅くなることがあります。その前提で、文書での引継ぎを厚めに準備してください。
有給休暇が残っている場合、消化できますか
取得は可能ですが、業務の状況によります。年次休暇の残日数は、退職の時点で確認してください。消化する場合、引継ぎの期間と重なることになるため、上司と相談して日程を組む必要があります。なお、退職日を後ろにずらして消化するという形もあります。その場合、入社の日との関係を確認してください。空白を作らずにつなぐ場合、消化できる日数が限られます。優先順位を先に決めてください。消化しきれない場合の扱いは、所属の規程によります。
内定を受諾した後に、入社の日を変更できますか
事情があれば、相談できます。ただし、受諾の時点で合意した内容なので、変更には相手の了解が要ります。相談する場合は、理由を具体的に述べてください。「引継ぎの後任が決まらず、所属から◯月までの在籍を求められています」という形です。制度上の理由や、組織の事情であれば、理解されることが多いです。一方、個人の都合による変更は、応じられないことがあります。なお、変更の相談は、分かった時点で早く伝えてください。直前の変更は、相手の計画に影響します。