選考対策 / 退職と在職中の進め方
退職を切り出すタイミングと相手
内定を受諾したら、次は職場に伝える番です。
ここでつまずく方が多くいます。言い出しにくい、いつ言えばよいか分からない、誰に言えばよいか迷う。
この記事では、相手・時期・伝え方を扱います。書面の出し方は退職願・退職届の書き方と出す相手にあります。
最初に伝えるのは、直属の上司です
組織の中の関係は、制度で定められています。
地方公務員法第32条です。
> 職員は、その職務を遂行するに当つて、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
上司の職務上の命令に従う。
日常の業務は、この関係の上で動いています。
退職は、その関係を終える話です。だから、最初に伝えるのは直属の上司になります。
人事の担当に先に相談したり、同僚に先に話したりすると、上司が最後に知ることになります。
それは、その後の引継ぎの調整に影響します。
伝える順番
| 順 | 相手 | 時期 |
|---|---|---|
| 1 | 直属の上司(係長・課長補佐など) | 入社日が確定した直後 |
| 2 | 課長など、所属の長 | 上司の判断で同席または別途 |
| 3 | 人事の担当 | 書面の提出に合わせて |
| 4 | 同僚 | 所属の長の了解を得てから |
| 5 | 関係する他課・外部 | 引継ぎの段階で |
4を自分の判断で進めないでください。
誰に、いつ伝えるかは、所属の長が決めるのが通常です。
先に同僚に伝わると、業務の割り振りや、周囲の受け止めに影響します。
時期の目安
| 状況 | 伝える時期 |
|---|---|
| 規程に定めがある | その期間を見込んで逆算 |
| 定めがない | 1〜2か月前が一般的とされています |
| 引継ぎに時間がかかる | 早めに |
| 年度末の退職 | 年内から年明けにかけて |
入社日が確定してから伝えてください。
確定前に伝えると、日程が動いたときに修正が必要になります。
逆に、遅すぎると引継ぎの時間が取れません。
伝える場の作り方
| 項目 | 実務 |
|---|---|
| 場所 | 個室か、人のいない場所(執務室では避ける) |
| 時期 | 繁忙期の直前や、会議の直前は避ける |
| 方法 | 対面。やむを得ない場合は電話 |
| 時間 | 15〜30分程度を見込む |
| 切り出し方 | 「お時間をいただけますか」と先に伝える |
5つ目について補足します。
「ご相談があります」と切り出すと、相談の話になります。
すでに決まっているなら、「ご報告したいことがあります」のほうが、内容と合っています。
最初の一言
次の3点を、最初の1分で伝えてください。
| 順 | 内容 |
|---|---|
| ① | 退職したいと考えていること |
| ② | 希望する退職日 |
| ③ | 引継ぎに協力する意思 |
> お時間をいただきありがとうございます。私事で恐縮ですが、◯月◯日をもって退職させていただきたいと考えております。引継ぎについては、できる限りの準備をいたします。
3文で足ります。
①を曖昧にしないでください。「考えている段階で」と述べると、相談として受け取られます。
決まっているなら、決まっていると伝える。これが、いちばん誠実です。
聞かれることへの備え
| 質問 | 答え方 |
|---|---|
| 「どこに行くのか」 | 業種程度で足ります(詳細は不要) |
| 「いつから考えていたのか」 | 「数か月前から検討していました」 |
| 「不満があったのか」 | 人や組織への不満は述べない |
| 「考え直す余地はないか」 | 意思が固いことを、丁寧に伝える |
| 「引継ぎはどうするのか」 | 準備している旨を述べる |
1つ目について補足します。
転職先を詳しく伝える必要はありません。とくに、その会社が自治体と取引がある場合は、在職中に具体的な話をすることは避けてください。
「民間の会社です」という程度で足ります。
伝える前に、手元で整えておくこと
その場で聞かれることに答えられるよう、次の4点を整理しておいてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 希望する退職日 | 日で答える。「年度末ごろ」では調整が進みません |
| 引継ぎに必要な期間の見積もり | 担当業務の量から逆算した日数 |
| 進行中の案件の一覧 | 年度をまたぐものを含めて |
| 年次休暇の残日数 | 消化を希望するかどうか |
2つ目と3つ目を用意しておくと、その場で引継ぎの計画の話に進めます。
「引継ぎはどうするのか」と聞かれて、「これから考えます」と答えると、相手は判断の材料を持てません。
一覧を手元に持っていれば、「この案件は◯月までに、この案件は後任へ」という話ができます。
用意に要するのは1時間程度です。伝える前日にでも作れます。
部署の状況で、時期を微調整する
同じ1〜2か月前でも、部署の事情で適切な週が変わります。
| 状況 | 避けたい週 |
|---|---|
| 議会の開会中 | 会期中と、その直前の準備の週 |
| 予算の編成期 | 要求の締切の直前 |
| 窓口の繁忙期 | 申請が集中する時期の直前 |
| 監査の対応中 | 実地の監査の前後 |
避けるのは「その週」であって、「その月」ではありません。
数日ずらせば足りることがほとんどです。時期を大きく後ろにずらすと、引継ぎの時間が減ります。
伝えた後にすること
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 上司と、退職日と引継ぎの計画を相談 |
| 2 | 所属の長への報告の段取りを確認 |
| 3 | 同僚へ伝える時期を、上司と決める |
| 4 | 書面を提出 |
| 5 | 引継ぎの資料の作成に着手 |
3を確認してください。
「いつ、誰に、どこまで伝えてよいか」を、上司と決めておくと、周囲との関係が保てます。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、伝えた直後に業務の割り振りが変わることがあります。新しい案件を持たない、長期の業務から外れる、といった形です。これは通常の調整であって、排除ではありません。引継ぎの時間を作るための措置と受け止めてください。
よくある失敗
1. 同僚に先に話す
上司が最後に知ることになります。
2. 「相談があります」と切り出す
決まっているなら、報告の形にしてください。
3. 入社日が確定する前に伝える
日程が動いたときに修正が必要です。
4. 執務室で立ち話として伝える
場を作ってください。
5. 転職先を詳しく話す
業種程度で足ります。
6. 言い出せないまま遅れる
引継ぎの時間が減ります。
まとめ
- 地方公務員法第32条は、上司の職務上の命令に忠実に従うことを定めています。最初に伝えるのは直属の上司です
- 順番は、①直属の上司 ②所属の長 ③人事の担当 ④同僚 ⑤関係先。④を自分の判断で進めないでください
- 時期は、入社日が確定してから。規程に定めがあれば、その期間を逆算します
- 場を作ってください。執務室での立ち話は避けます
- 最初の1分で、①退職の意思 ②希望する退職日 ③引継ぎへの協力の3点を伝えます
- 「相談があります」ではなく「報告したいことがあります」。決まっているなら、そう伝えてください
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よくある質問
直属の上司と関係が良くありません
それでも、最初に伝えてください。順序を飛ばすと、後の調整がさらに難しくなります。伝える内容は、事実と日程だけで足ります。感情の部分に触れる必要はありません。「◯月◯日をもって退職したいと考えております」と述べ、引継ぎに協力する意思を添える。それで手続きは進みます。なお、どうしても直接伝えることが難しい事情がある場合は、所属の長か人事の担当に相談してください。事情によっては、経路が調整されることがあります。ただし、原則は直属の上司です。
上司が不在がちで、時間が取れません
予定を押さえてください。「◯分ほどお時間をいただきたいのですが」と、先に依頼する形です。内容を先に伝える必要はありません。それでも時間が取れない場合は、電話でも構いません。重要なのは、早く伝えることです。対面にこだわって時期が遅れるより、電話で伝えて、後日改めて相談の場を持つほうが確実です。なお、メールだけで済ませるのは避けてください。記録として残す必要がある場合も、口頭で伝えた後に送るという順にしてください。
異動の内示が出た直後に、退職を伝えることになりました
その場合も、早く伝えてください。内示の後に退職が判明すると、配置の調整をやり直すことになります。遅れるほど、影響が大きくなります。伝えるときは、内示を受けた事実に触れたうえで、退職の意思を述べる形になります。「内示をいただいたところ恐縮ですが」という一言を添えれば足ります。謝りすぎる必要はありません。なお、内示の前に伝えられるなら、そのほうが望ましいです。人事の作業は、年明けから動いていることがあります。