選考対策 / 退職と在職中の進め方
退職願・退職届の書き方と出す相手
退職の意思を伝えた後、書面を出すことになります。
様式は、所属によって定められていることがほとんどです。まず、所属の規程を確認してください。
この記事では、書面の位置づけと、出す相手を扱います。時期の決め方は退職時期の決め方|年度末と年度途中にあります。
出す相手は、任命権者です
誰に出すのかは、権限の構造で決まります。
地方公務員法第6条第1項は、任命権者が職員の任命、人事評価、休職、免職及び懲戒等を行う権限を有すると定めています。
そして同条第2項です。
> 前項の任命権者は、同項に規定する権限の一部をその補助機関たる上級の地方公務員に委任することができる。
権限の一部は、委任できる。
つまり、退職の願い出を受ける相手は、任命権者か、委任を受けた者ということになります。
実務上は、所属の規程で「◯◯あて」と定められているのが通常です。
書面の宛先は、規程に従ってください。
ただし、書面を渡す相手は、直属の上司であるのが一般的です。宛先と、手渡す相手は別です。
「退職願」と「退職届」
言葉の使い分けについて、一般的な整理を示します。
| 名称 | 一般的な位置づけ |
|---|---|
| 退職願 | 退職を願い出る文書 |
| 退職届 | 退職することを届け出る文書 |
| 辞職願・辞職届 | 同様の意味で使われることがあります |
公務員の場合、所属の規程で様式と名称が定められていることが多いです。
規程に様式がある場合は、それに従ってください。独自の形式で作る必要はありません。
様式が定められていない場合は、一般的な形式で足ります。
書面に書く内容
様式がない場合の、一般的な記載事項です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 標題 | 「退職願」または規程で定める名称 |
| 本文 | 退職する旨と、退職を希望する日 |
| 理由 | 「一身上の都合により」で足ります |
| 日付 | 提出する日 |
| 所属・氏名 | 所属の部署名と氏名 |
| 宛先 | 規程で定める宛先 |
理由を詳しく書く必要はありません。
「一身上の都合により」が、一般的な書き方です。
転職先の名称を書く必要もありません。
出すまでの流れ
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 入社日を確定させる |
| 2 | 直属の上司に、口頭で意思を伝える |
| 3 | 上司と、退職日と引継ぎの計画を相談 |
| 4 | 所属の規程に従って、書面を提出 |
| 5 | 人事の担当から、手続きの案内を受ける |
2を飛ばして書面を出さないでください。
先に書面が回ると、上司が状況を把握していない状態で手続きが進みます。
口頭で伝えてから、書面を出す。この順です。
出す時期
規程で、退職の申し出の時期が定められていることがあります。
| 定め | 対応 |
|---|---|
| 「◯か月前まで」 | その期間を見込んで、逆算する |
| 定めがない | 1〜2か月前が一般的とされています |
| 引継ぎに時間がかかる | 早めに伝える |
入社日が確定してから、逆算してください。
確定する前に出すと、日程が動いたときに修正が必要になります。
書面の例
様式が定められていない場合の、一般的な形です。
> 退職願>> このたび、一身上の都合により、令和◯年◯月◯日をもって退職いたしたく、お願い申し上げます。>> 令和◯年◯月◯日>> ◯◯部◯◯課 氏名 印>> ◯◯市長 ◯◯ ◯◯ 様
4行で足ります。
宛先は、規程で定められた相手です。任命権者が長であっても、委任により別の職が指定されている場合があります。
「退職いたしたく、お願い申し上げます」という言い回しが、願い出の形です。「退職します」と断定する形にするかどうかは、所属の様式と名称に合わせてください。
手書きかデータかも、規程に従ってください。定めがない場合、どちらでも問題になりません。
提出の前に確認する5点
| # | 確認 |
|---|---|
| 1 | 退職日が、入社日との関係で正しいか |
| 2 | 宛先が、規程で定められた相手か |
| 3 | 所属の名称が、現在の名称か |
| 4 | 日付が、提出する日になっているか |
| 5 | 控えを取ったか |
1つ目を間違えると、手続き全体に影響します。
退職日と入社日の間に空白を作るかどうかも、この時点で確定させてください。空白が生じる場合、健康保険と年金の手続きが必要になります。
受理されない場合
書面を出しても、すぐに受理されないことがあります。
| 状況 | 対応 |
|---|---|
| 引継ぎの都合で時期の調整を求められた | 相談のうえ、調整する |
| 引き留めを受けた | 意思が変わらないなら、改めて明確に伝える |
| 上司が受け取らない | 人事の担当に相談 |
1つ目は、通常の調整です。
業務の区切りを理由に、数週間の調整を求められることはあります。
入社日との関係で調整が難しい場合は、その旨を伝えてください。
2つ目の扱いは、別の記事で整理します。
会計年度任用職員の場合
任期の定めがある職では、扱いが異なります。
| 状況 | 扱い |
|---|---|
| 任期の満了で終わる | 退職の願い出は不要なことがあります |
| 任期の途中で辞める | 規程に従って申し出が必要 |
| 更新の予定がある | 更新しない旨を伝える時期を確認 |
3つ目に注意してください。
更新の意向を確認される時期が、所属で定められていることがあります。その時期までに伝えれば足りる場合があります。
任期の定めがある職では、退職の手続きそのものが簡単になることが多いですが、規程は必ず確認してください。
なお、任期の定めの有無にかかわらず、引継ぎの必要性は変わりません。担当していた業務の資料は、同じように整理してください。
書面を出した後
| やること | 時期 |
|---|---|
| 引継ぎの計画を作る | 直後 |
| 貸与品の一覧を確認 | 1か月前 |
| 共済・年金の手続きの確認 | 1か月前 |
| 受け取る書類の一覧を作る | 2週間前 |
| 返還と受領 | 最終の週 |
4つ目を忘れないでください。
離職に関する証明、源泉徴収票、年金に関する書類。次の入社の手続きで使います。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 所属の規程を確認しない
様式と宛先が定められていることがほとんどです。
2. 口頭で伝える前に書面を出す
上司が状況を把握できません。
3. 理由を詳しく書く
「一身上の都合により」で足ります。
4. 転職先を書く
書く必要はありません。
5. 控えを取らない
後から確認が必要になることがあります。
6. 入社日が確定する前に出す
日程が動いたときに修正が必要です。
まとめ
- 地方公務員法第6条第1項は任命権者の権限を定め、第2項は権限の一部を補助機関に委任できるとしています。宛先は、所属の規程で確認してください
- 様式が定められていることがほとんどです。独自の形式で作る必要はありません
- 記載するのは、標題・退職日・一身上の都合・日付・氏名・宛先の6つです
- 理由を詳しく書かない。転職先も書きません
- 口頭で伝えてから、書面を出す。順序を逆にしないでください
- 入社日が確定してから提出してください
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よくある質問
退職願を出した後、撤回できますか
受理される前であれば、撤回の申し出はできると考えられます。ただし、扱いは個別の事情によって判断されます。実務としては、上司や人事の担当に相談することになります。なお、内定を受諾したうえで退職の手続きに入っている場合、撤回すると応募先にも影響します。辞退の扱いは内定辞退の伝え方に整理しています。迷いがあるなら、受諾の前に整理してください。書面を出す段階では、判断は固まっているべきです。
上司が受け取ってくれません
人事の担当に相談してください。退職の意思表示は、任命権者またはその委任を受けた者に対して行うものです。直属の上司が受け取らない場合でも、手続きの経路は所属の規程で定められています。まず、規程を確認してください。そのうえで、人事の担当に「規程に従って提出したい」と相談すれば、経路の案内を受けられます。なお、受け取らない理由が引継ぎの都合である場合は、時期の調整で解決することがあります。話を聞いたうえで判断してください。
「一身上の都合」以外の理由を書くべき場合はありますか
通常はありません。ただし、所属の様式に理由の欄があり、選択肢が設けられている場合は、該当するものを選んでください。「自己都合」「転職」といった区分が設けられていることがあります。この区分は、退職手当の算定に関わることがあるため、正確に記載してください。なお、詳細な事情を書く必要はありません。区分の選択と、「一身上の都合により」という記載で足ります。迷う場合は、人事の担当に確認してください。