選考対策 / 退職と在職中の進め方
公務員に失業給付が出ない理由と、代わりの備え
民間から民間への転職を前提にした情報を読むと、失業給付の話がよく出てきます。
公務員の場合、この前提が当てはまりません。
この記事では、理由と、代わりに確認すべきことを扱います。
⚠ 制度の詳細は個別性が高いため、この記事は一般的な整理にとどめます。所属の規程と、関係する窓口で確認してください。
失業等給付とは何か
まず、何が支給されないのかを確認します。
雇用保険法第10条第1項です。
> 失業等給付は、求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付及び雇用継続給付とする。
同条第2項は、求職者給付として基本手当、技能習得手当、寄宿手当、傷病手当を挙げています。
一般に「失業給付」と呼ばれるのは、この求職者給付のうちの基本手当です。
これらは、雇用保険の制度にもとづく給付です。
なぜ公務員には支給されないのか
雇用保険法第6条は、適用除外を定めています。第6号では、次の者を挙げています。
> 国、都道府県、市町村その他これらに準ずるものの事業に雇用される者のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、求職者給付及び就職促進給付の内容を超えると認められる者
「他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与」が、求職者給付の内容を超えると認められる場合。
これが、適用除外の理由です。
つまり、退職手当などの制度があることを前提に、雇用保険の適用から外されているという構造です。
「公務員だから出ない」のではなく、「別の制度があるから、雇用保険には入らない」という整理です。
退職手当との関係
| 項目 | 一般的な内容 |
|---|---|
| 退職手当 | 各自治体の条例で定められています |
| 算定 | 勤続の年数と退職の理由による仕組みが一般的 |
| 支給の時期 | 規程による |
| 雇用保険との関係 | 適用除外の前提になっています |
退職手当は、失業給付とは性質が異なります。
失業給付は、失業している期間に対して支給されるものです。
退職手当は、退職の事実に対して支給されるものです。
したがって、「次の職が決まっているかどうか」は、退職手当の支給に影響しないのが通常です。
失業者の退職手当という制度
一部の団体では、退職手当の額が一定の水準に満たない場合の取扱いが定められていることがあります。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 制度の有無 | 所属の退職手当の条例・規則 |
| 要件 | 勤続の年数、退職手当の額など |
| 手続き | 申請の要否、窓口 |
この制度の有無と要件は、団体によって異なります。
該当する可能性がある場合は、所属の人事・給与の担当に確認してください。
この記事では、具体的な要件や金額は示しません。
代わりに確認する備え
| 備え | 内容 |
|---|---|
| ① 退職手当の見込み | 所属の規程で確認 |
| ② 支給の時期 | 退職日の直後とは限りません |
| ③ 手元の資金 | 収入がない期間を支えられるか |
| ④ 固定の支出 | 住居、保険、教育、返済 |
| ⑤ 手続きに伴う支出 | 健康保険、年金、住民税 |
5つ目が、見落とされやすい部分です。
在職中は給与から差し引かれていたものを、自分で納めることになります。
扱いは退職後の住民税の納め方などに整理しています。
次の勤務先では加入します
| 時点 | 扱い |
|---|---|
| 公務員として在職中 | 雇用保険に加入していないのが通常 |
| 民間に入社 | 加入するのが通常(要件を満たす場合) |
| 将来、離職した場合 | 加入期間などの要件により、給付の対象となり得ます |
入社後は、雇用保険の被保険者になります。
そのため、入社の手続きで「雇用保険被保険者証」を求められることがあります。
公務員として勤務していた期間は加入していないため、手元にないのが通常です。
その旨を伝えれば、新たに手続きされます。
資金の見積もり方
失業給付がない前提で、必要な額を見積もってください。
| 項目 | 見積もり方 |
|---|---|
| 固定の支出 | 住居、保険、教育、返済の月額を合計 |
| 生活の支出 | 直近3か月の平均 |
| 手続きに伴う支出 | 健康保険、年金、住民税の月額 |
| 期間 | 無収入になる月数 |
合計 × 月数が、必要な額です。
そのうえで、退職手当の支給の時期を確認してください。
支給が退職から数週間後であれば、その間の資金も必要になります。
この見積もりは、退職を決める前にしてください。
数字が出れば、「在職中に探すか、退職してから探すか」の判断が具体になります。
在職中にできる備え
| 備え | 内容 |
|---|---|
| 固定の支出の見直し | 保険、通信、定期の支払い |
| 手元の資金の確保 | 生活費の数か月分 |
| 退職手当の見込みの確認 | 所属の規程 |
| 共済の貸付の確認 | 退職時の取扱い |
4つ目を先に確認してください。
貸付の残高がある場合、退職時に一括での返済を求められることがあります。
扱いは貸与物・共済関係の返却と手続きに整理しています。
この確認は、退職の意思を伝える前でもできます。
転職を繰り返す場合の備え
将来、再び転職する可能性を考えるなら、次の点を知っておいてください。
| 項目 | 一般的な内容 |
|---|---|
| 加入期間 | 給付の要件に、加入していた期間が関わります |
| 離職の理由 | 給付の内容に影響する仕組みがあります |
| 手続き | 公共職業安定所で行います |
民間で働き始めれば、次からはこの制度の対象になります。
詳しい要件は、公共職業安定所で確認してください。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、これらの備えは、転職しない場合にも無駄になりません。固定の支出の把握と、手元の資金の確認は、在職中にしておいて損のない作業です。
よくある失敗
1. 失業給付を前提に資金を計画する
公務員には適用されないのが通常です。
2. 一般の転職の情報をそのまま当てはめる
制度の前提が違います。
3. 退職手当の支給の時期を確認しない
退職日の直後とは限りません。
4. 手続きに伴う支出を見込まない
健康保険、年金、住民税が生じます。
5. 雇用保険被保険者証を探す
加入していないのが通常です。
6. 失業者の退職手当の制度を確認しない
団体によって定めがあることがあります。
まとめ
- 雇用保険法第10条は、失業等給付を求職者給付、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付としています
- 同法第6条第6号により、条例等に基づく給与が求職者給付等の内容を超えると認められる公務員は、適用除外とされています
- 「公務員だから出ない」のではなく、「別の制度があるから雇用保険に入らない」という構造です
- 退職手当は、失業給付とは性質が異なります。次の職の有無は支給に影響しないのが通常です
- 失業者の退職手当に関する定めがある団体もあります。所属の規程で確認してください
- 在職中に探し、内定を得てから退職する。この形なら、無収入の期間が生じません
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よくある質問
公共職業安定所は使えますか
職業の紹介や相談は、雇用保険の加入の有無にかかわらず利用できるのが通常です。求人の検索、職業の相談、各種のセミナー。これらは、給付を受けていなくても利用できます。一方、基本手当などの給付は、雇用保険の被保険者であった期間などの要件があります。公務員として勤務していた期間は、その対象にならないのが通常です。利用できる範囲を、窓口で確認してください。なお、在職中でも、相談は可能です。ただし、勤務時間中に行かないでください。
退職手当が少ない場合の救済はありますか
団体によっては、退職手当の額が一定の水準に満たない場合の取扱いが定められていることがあります。要件と手続きは、所属の退職手当の条例・規則によります。勤続の年数が短い場合などが想定されますが、扱いは団体ごとに異なります。該当する可能性がある場合は、人事・給与の担当に確認してください。なお、この制度がある場合でも、申請が必要なことがあります。退職の手続きのときに、あわせて確認してください。
次の勤務先を辞めた場合は、給付を受けられますか
要件を満たせば対象になり得ます。民間の勤務先で雇用保険に加入していれば、その期間が加入期間として扱われるのが通常です。ただし、給付には、加入していた期間や離職の理由に関する要件があります。公務員として勤務していた期間は、この加入期間に含まれないのが通常です。したがって、入社直後に離職した場合、要件を満たさないことがあります。詳しくは、公共職業安定所で確認してください。この点も、入社の時期を判断する材料になります。