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情報処理安全確保支援士|自治体のセキュリティ経験を形にする
情報の管理に関わってきた方から、「経験をどう示せばよいか」というご相談を伺います。
この分野には、法律に定められた資格があります。
この記事では、位置づけと、経験の示し方を扱います。
⚠ 受験・登録の要件と手続は、所管するところの公表を確認してください。この記事では、個別の要件には触れません。
試験も名称も、法律に定められています
情報処理の促進に関する法律第6条第1項です。
> 情報処理安全確保支援士試験(以下この節において「支援士試験」という。)は、情報処理安全確保支援士として必要な知識及び技能について行う。
同法第24条です。
> 情報処理安全確保支援士でない者は、情報処理安全確保支援士という名称を使用してはならない。
同法第22条は、秘密保持義務を定めています。
> 情報処理安全確保支援士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らし、又は盗用してはならない。
試験、名称の使用制限、秘密保持義務が、法律に置かれているということです。
民間の団体が実施する資格とは、位置づけが異なります。
このため、応募条件で扱われる場面も違います。
自治体での経験は何にあたるか
| 経験 | 民間での読まれ方 |
|---|---|
| ① 規程の整備 | 方針・基準の策定 |
| ② 研修の実施 | 教育、周知 |
| ③ 権限の管理 | アクセスの管理 |
| ④ 事故への対応 | 初動、報告、再発の防止 |
| ⑤ 監査への対応 | 内部統制、是正 |
| ⑥ 調達での確認 | 委託先の管理 |
①と⑥が、行政ならではです。
①について。
規程や要綱を作り、改正してきた経験は、方針や基準を作る仕事にあたります。
⑥について。
委託先に求める条件を仕様に書き、履行を確認したという経験です。
扱いは契約書の読み方|自治体の契約実務との差にも整理しています。
書き方の例
悪い例
> 情報セキュリティの担当をしていました。
良い例
> ◯◯課において、情報の取扱いに関する規程と手順書の整備を担当。職員◯名への研修を年◯回実施し、理解の状況を確認。権限の付与と抹消の手順を整備し、異動・退職時の処理を月次で確認。委託にあたり、求める条件を仕様に記載し、履行を確認。事案が生じた際は、経緯を整理し、報告と再発の防止の手順を作成。
「規程」「研修」「権限」「委託」「事案」が入っています。
⚠ 具体の事案が特定される記述は避けてください。守秘の義務は、退職した後も続きます。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
資格の位置づけ
| 状況 | 扱い |
|---|---|
| ① 応募条件に記載がある | 満たす材料になる |
| ② 技術の実務がない | 到達を示すものが他にない |
| ③ 規程・運用の実務がある | 経験のほうが具体 |
| ④ 名称を用いる業務 | 法律に定めがあります |
| ⑤ 目的が曖昧 | 優先順位を下げてください |
④について。
名称の使用制限が法律に置かれているため、名称を用いる場面では、登録が前提になります。
⚠ 受験・登録の要件と手続は、所管の公表を確認してください。
なお、取れば転職できる、という関係にはありません。
何を整備し、どう運用したかが、評価の対象です。
どの転職先で効くか
| 領域 | 使いどころ |
|---|---|
| ① 自治体向けの事業 | 規程と運用の実情が分かる |
| ② 情報の管理の部門 | 規程、権限、教育 |
| ③ 内部監査 | 是正、記録 |
| ④ 委託先の管理 | 条件の設定、確認 |
| ⑤ 規制を受ける業種 | 監査への対応 |
①について。
自治体を顧客とする事業では、相手の規程に沿った運用が求められます。
どの条件が求められるか、監査で何を見られるか。
これは、受ける側にいないと分かりません。
探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。
書くときの注意
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| ① 取得・登録の年 | いつ取ったか |
| ② 登録の状況 | 有効かどうか |
| ③ 立場を明記 | 規程・運用側か、技術側か |
| ④ できる範囲を限定 | 技術の実装まで含めない |
| ⑤ 事案は書かない | 特定される記述を避ける |
⑤が最も重要です。
事案の詳細は書かないでください。
「経緯を整理し、報告と再発の防止の手順を作成」という形で、動作で書いてください。
在職中にできること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 整備した規程の整理 | 作った文書の種類 |
| 運用の記録 | 権限、研修、確認の頻度 |
| 要件の確認 | 所管の公表を確認 |
| 求人を読む | 週に30分 |
3行目です。
受験・登録の要件は、実務の経験の年数や内容で定められていることがあります。
人づての情報で判断しないでください。
2行目について。
確認の周期と、確認した件数を残しておいてください。
運用を回した証明になります。
経験の言い換えから相談することもできます。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 整備した規程 | 種類と、改正の経緯 |
| 運用の頻度 | 確認の周期 |
| 事案への対応 | 手順(詳細ではなく) |
| 委託先の管理 | 条件、確認の方法 |
| 立場 | 規程・運用側か、技術側か |
3行目です。
「守秘の義務があるため、個別の事案には触れられませんが」と前置きすれば、手順の説明はできます。
よくある失敗
1. 規程を作ったことだけを書く
回したことのほうが伝わります。
2. 権限の管理を書かない
異動・退職時の処理は運用の中心です。
3. 委託先の確認を書かない
条件の設定と履行の確認は経験です。
4. 事案の詳細を書く
動作で書いてください。
5. 立場を書かない
規程・運用側か技術側かを明記してください。
6. 登録の状況を確認しない
有効かどうかを確認してください。
7. 要件を人づてで判断する
所管の公表を確認してください。
8. 取れば転職できると考える
何を整備し運用したかが評価の対象です。
まとめ
- 情報処理の促進に関する法律第6条は試験を、第24条は名称の使用制限を、第22条は秘密保持義務を定めています
- 民間の団体が実施する資格とは、位置づけが異なります
- 自治体での経験は、規程の整備、研修、権限の管理、事故への対応、監査への対応、調達での確認にあたります
- 規程の整備と、調達での確認が、行政ならではの材料です
- 規程を作ったことより、運用を回したことを書いてください
- 事案の詳細は書かないでください。動作で書いてください
- 仕組みの理解を足してください。説明できることが目的です
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
技術の担当ではありませんでしたが、書けますか
書けます。規程の整備、研修の実施、権限の管理、委託先の確認。これらは、技術の担当でなくても担っていることがあります。書き方は、「情報の取扱いに関する規程と手順書の整備を担当」「権限の付与と抹消の手順を整備」という形です。動作で書けば、立場が伝わります。なお、求人票の応募条件で、技術の実務が必須とされている場合は、範囲が異なります。「規程・運用」「内部監査」「委託先の管理」を求める求人を探してください。読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。
事案への対応の経験は、どこまで話せますか
手順までは話せます。「守秘の義務があるため、個別の事案には触れられませんが、進め方としては」と前置きしてください。そのうえで、初動で何を確認したか、誰に報告したか、どの範囲を止めたか、記録に何を残したかを説明します。事案を特定せずに、判断の過程は伝えられます。書かない・話さないのは、発生の時期、関係者、影響の範囲が分かる記述です。判断に迷う内容は、書かないでください。扱いは警察官から民間へに整理した考え方と同じです。
資格の要件を満たしているか分かりません
所管するところの公表を確認してください。受験や登録の要件は、実務の経験の年数や内容で定められていることがあります。どの職務が該当するかは、公表されている案内で確認するのが確実です。人づての情報や、以前の記憶で判断しないでください。要件は改められることがあります。なお、在職中に要件を満たしているなら、在職中に進めるほうが負担が小さいことがあります。証明の書類が必要になる場合、所属での手続が要ることもあります。時期と手続を、早めに確認してください。