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簿記3級は公務員の転職に効くか
「まず何か取るなら」というご相談で、最初に挙がることが多い資格です。
効く場面と、効かない場面があります。
この記事では、その分かれ目を扱います。
⚠ 試験の内容・級・実施の方法は、実施する団体の公表を確認してください。この記事では、個別の内容には触れません。
帳簿の作成は、法律上の義務です
商法第19条第1項です。
> 商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
同条第2項です。
> 商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。
「一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従う」とされています。
つまり、会社の記録には、共通の作法があるということです。
簿記は、その作法の入口です。
株式会社については、会社法第432条にも定めがあります。
扱いは簿記2級を取る意味と、効いてくる転職先に整理しています。
効く場面
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| ① 応募条件に記載がある | 満たす材料になる |
| ② 数字を扱う職種を見る | 共通の作法を知れます |
| ③ 分野を変える | 学習していることを示せる |
| ④ 会社の資料を読みたい | 読み方の入口 |
| ⑤ 次の段階へ進む前提 | 基礎として |
④が中心です。
決算の資料や、事業の計画の数字を読むときに、用語の意味が分かります。
扱いは財務諸表の読み方|公会計との違いから入るに整理しています。
効きにくい場面
| 場面 | 理由 |
|---|---|
| ① 応募条件に記載がない | 判断の中心にならない |
| ② 予算・決算の実務がある | 経験のほうが具体 |
| ③ 経理を職務とする求人 | 水準が足りないことがあります |
| ④ 応募の時期が近い | 書類の作成が優先 |
| ⑤ 目的が曖昧 | 「何か取っておきたい」だけ |
②が、公務員からの転職では多いです。
予算の要求、執行の管理、決算の資料の作成。
これらの経験のほうが、具体に書けます。
行政の経験との重なり
| 行政での経験 | 重なる部分 |
|---|---|
| ① 予算の要求 | 見積りの根拠 |
| ② 執行の管理 | 残額と進捗の把握 |
| ③ 契約と支払 | 取引の流れ |
| ④ 決算の資料 | 実績の集計 |
| ⑤ 財産の管理 | 資産の把握 |
| ⑥ 数字の確認 | 突き合わせ、検算 |
⑥が、実務の材料です。
支出の前に根拠の資料と突き合わせる、合計を別の方法で確かめる。
この習慣は、資格とは別に評価されます。
扱いはExcel|民間で最初に問われる水準はどこかに整理しています。
書き方の例
悪い例
> 簿記の資格を取得しました。
良い例
> ◯◯課において、担当する事業の予算約◯千万円について、要求の資料を作成し、執行の状況を管理。支出の前に根拠の資料と突き合わせる手順を整備し、誤りの防止に対応。決算にあたり、実績を集計のうえ報告の資料を作成。(資格の欄)◯年に取得
資格の欄と、職務の欄が分かれています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
取る前に考えること
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| ① 応募したい求人の条件 | 記載があるか |
| ② 実務で書ける材料 | 予算、執行、決算 |
| ③ 目的 | 読むためか、条件を満たすためか |
| ④ 期限 | 応募の時期に間に合うか |
| ⑤ 次の段階 | 続けて学ぶ予定があるか |
③を1つに絞ってください。
目的が曖昧なまま取ると、書類でも面接でも使えません。
なお、取れば転職できる、という関係にはありません。
何を管理し、どう確認したかが、評価の対象です。
書くときの注意
| 注意 | 内容 |
|---|---|
| ① 取得の年を書く | いつ取ったか |
| ② 実務と併記 | 資格だけを書かない |
| ③ 級を正確に | 段階がある場合 |
| ④ できる範囲を限定 | 経理の実務まで含めない |
| ⑤ 次の段階に触れる | 続けていれば |
⑤について。
「入口として取り、いまは◯◯を学んでいる」と言えると、継続が伝わります。
⚠ 合格していない段階を保有と書かないでください。
在職中にできること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 実務の整理 | 予算の規模、確認の手順 |
| 目的の言語化 | なぜ学ぶのか |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 企業の資料を読む | 決算の資料、採用のページ |
4行目です。
学んだ内容を、実際の資料で試すと、定着します。
応募先の候補の資料を読むと、そのまま準備にもなります。
経験の言い換えから相談することもできます。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 取得の理由 | 1つの理由で短く |
| その後の学習 | 続けているか |
| 実務との関係 | 数字を扱った経験 |
| 公会計との違い | 理解を示す |
| できる範囲 | 正確に、限定して |
1行目です。
「何となく」では、目的が伝わりません。
実務の場面と結び付けて説明してください。
読めるようになると変わること
| 場面 | 変わること |
|---|---|
| ① 応募先を調べる | 規模と事業の構成が分かる |
| ② 求人票を読む | 会社の状況の見当がつく |
| ③ 面接で質問する | 具体の問いが作れる |
| ④ 条件を判断する | 制度の背景が読める |
| ⑤ 入社後 | 会議の数字が追える |
③が、最も直接に効きます。
「主力の事業はどちらですか」「この分野は今後どう位置づけられますか」。
資料を読んだうえでの質問は、準備の有無として伝わります。
扱いは有価証券報告書の読み方|転職者が見るべき箇所にも整理しています。
よくある失敗
1. 資格だけを書く
実務と併記してください。
2. 目的を絞らない
書類でも面接でも使えません。
3. 数字の確認の習慣を書かない
資格とは別に評価されます。
4. 経理の実務まで含めて書く
できる範囲を限定してください。
5. 取得の年を書かない
いつの知識かが分かりません。
6. 応募の時期が近いのに受験を優先する
書類の作成が先です。
7. 記載のない求人でも必須だと考える
判断の中心にはなりません。
8. 取れば転職できると考える
何を管理し確認したかが評価の対象です。
まとめ
- 商法第19条は、商人の会計は一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うとし、適時に、正確な商業帳簿を作成しなければならないとしています
- 会社の記録には、共通の作法があります。簿記は、その作法の入口です
- 効くのは、応募条件に記載がある、数字を扱う職種を見る、分野を変える、会社の資料を読みたい場合です
- 効きにくいのは、記載がない、予算・決算の実務がある、経理を職務とする求人の場合です
- 目的を「読めるようになること」に置くと、どの求人でも役に立ちます
- 資格だけを書かず、実務と併記してください
- 止まっている状態を動かす一歩として使ってください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
予算や決算を担当したことがありません
扱った数字で書いてください。担当する事業の予算、物品の購入、委託の契約、使用料の収納。どの部署でも、数字を扱う場面があります。書き方は、「担当する事業の予算約◯百万円について、執行の状況を管理し、残額を月次で確認」という形です。規模が小さくても、工程は同じです。なお、確認の手順を書くと、実務の水準が伝わります。「支出の前に根拠の資料と突き合わせる手順を整備」。扱いはExcel|民間で最初に問われる水準はどこかに整理しています。
上位の級まで進むべきですか
目的によります。会社の資料を読むためであれば、入門の範囲で足りることがあります。一方、経理や管理を職務とするのであれば、上位の範囲が役立ちます。判断の目安は、応募したい求人の応募条件です。なお、続けて学んでいること自体は、面接で説明できます。「入口として取り、いまは◯◯を学んでいる」。段階を踏んでいることが伝わります。扱いは簿記2級を取る意味と、効いてくる転職先に整理しています。⚠ 級の構成は、実施する団体の公表を確認してください。
学んだ内容を、どう転職の準備に使えますか
応募先の資料を読んでください。決算の資料、事業の説明、採用のページ。用語が分かると、事業の構成や規模が読めます。そのうえで、面接で聞く質問を作るという使い方ができます。「主力の事業はどちらになりますか」「この分野は、今後どのように位置づけられていますか」。調べた内容を、質問の材料にするという形です。扱いは応募前の企業調査で見るべき資料に整理しています。学習と準備を、同じ作業にしてください。