自治体別 / 中核市
岐阜市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
岐阜市と豊橋市は、ラスパイレス指数が99.7と95.0。4.7ポイント違います。
地域手当も6%と3%で、岐阜市が倍です。
それでも総額の差は252円しかありません。421,972円と422,224円。しかも上回っているのは豊橋市のほうです。
岐阜市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、岐阜市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 岐阜市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.7 |
| 平均年齢 | 41.2歳 |
| 平均給料月額 | 323,000円 |
| 諸手当月額 | 98,972円(中核市62市で16番目に厚い) |
| 平均給与月額 | 421,972円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 372,601円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 6% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 6% |
豊橋市と並べる
| 項目 | 岐阜市 | 豊橋市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.7 | 95.0 | 4.7ポイント |
| 平均年齢 | 41.2歳 | 40.2歳 | 1.0歳 |
| 平均給料月額 | 323,000円 | 327,000円 | 4,000円 |
| 諸手当月額 | 98,972円 | 95,224円 | 3,748円 |
| 平均給与月額 | 421,972円 | 422,224円 | 252円 |
| 地域手当 | 6% | 3% | 3ポイント |
指数は4.7ポイント、地域手当は倍。岐阜市が有利に見える条件が2つあります。
それでも総額は252円差で、しかも豊橋市が上です。
内訳を追うと、給料月額では豊橋市が4,000円上回り、諸手当では岐阜市が3,748円上回る。この2つがほぼ打ち消し合って、252円だけが残ります。
指数が4.7ポイント違って、給料月額は逆転する
ここがいちばん読みにくいところです。
ラスパイレス指数は、年齢と学歴の構成を国に合わせて補正したうえで、給料表の水準を比べた数字です。補正しているので、そのままの平均給料月額とは別の数字になります。
岐阜市は年齢が1.0歳高く、指数も4.7ポイント高い。それでも補正前の給料月額では4,000円下回ります。
指数と給料月額は、順序が一致しません。そして総額には、さらに諸手当が乗ります。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は岐阜県職員の転職に、総額がほぼ同じ市は豊橋市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 商店街・組合との調整と支援 | パートナー管理、加盟店開発 |
| 事業者の共同事業の立ち上げ | 事業開発、アライアンス |
| 繊維・アパレルなど地場産業の支援 | 技術営業、調達、商品企画 |
| 都市計画、区画整理、駅周辺の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「競合どうしに、同じ負担を引き受けさせる」実務
岐阜市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
商店街振興組合法第1条は、この法律が、商店街が形成されている地域において小売商業又はサービス業に属する事業その他の事業を営む者等が協同して経済事業を行なうとともに、当該地域の環境の整備改善を図るための事業を行なうのに必要な組織等について定めることにより、これらの事業者の事業の健全な発展に寄与するものだとしています。
注目してほしいのは「協同して」という言葉です。
同じ通りで商売をしている相手は、多くの場合、競合です。その競合どうしに、街灯、アーケード、駐車場、イベント、清掃といった共通の負担を分け合わせるのが、この仕組みです。
実務は、次のような形になります。
- 直接の売上にならないものに、費用を出してもらう
- 出す側の規模も業種も体力も、ばらばらである
- 恩恵を受けるが費用を出さない店が、必ず出てくる
- 抜ける店が増えると、残った店の負担が重くなる
- そして脱退した店にも、街灯は当たり続ける
「自分だけ出さなくても困らない」という構造を、それでも成立させる仕事です。
企業でも、まったく同じ問題があります。
業界団体の会費、共同の物流網、共通の販売基盤、共有システムの維持費。全員が使うのに、費用の負担は均等にできません。そして使うが出さない側が出てくると、仕組み自体が維持できなくなります。
そして多くの企業で、ここを設計できる人がいません。営業は自社の数字を見ます。法務は契約の形を整えます。ところが「負担の配分を、参加者が納得する形に設計する」役割が、誰にも割り当てられていません。均等割にすれば小さい参加者が抜け、規模割にすれば大きい参加者が不満を持ちます。
求人票では、アライアンス、パートナー管理、加盟店開発、事業開発、事業企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、組合や事業の名前を出さないことです。何者と何者に、何の負担を分け合わせたか。配分をどう決めたか。抜けた相手にどう対応したか。そして抜けたあと、仕組みをどう組み直したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
岐阜で、どの経験が値になるか
1. 競合どうしに共通の負担を引き受けさせた経験
規模も業種も違う相手に、同じ枠組みに入ってもらう。この交渉は、企業のアライアンス業務そのものです。
2. 抜けた相手を扱った経験
脱退、不参加、滞納。抜けたあとに仕組みを組み直した経験は、そう多くの人が持っていません。
3. 直接の利益にならないものに費用を出させた経験
共通の設備、共通の広報。「出しても自分に返ってこないもの」を説明した経験は、共通費や間接部門の予算交渉で効きます。
4. 地場産業を支えた実務
繊維、アパレル、卸。事業所の実力を外から判断した経験は、調達や金融でそのまま必要とされます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
岐阜市は名古屋圏に近く、愛知県内の求人が現実的な選択肢に入ります。同時に、岐阜県内や東海地方を担当エリアとする求人も多くあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○振興事業を担当」では読み手に何も残りません。何者に何の負担を分け合わせ、配分をどう決め、抜けた相手にどう対応したか。
まとまらなかった話を書く
全員が納得した事例ばかりではありません。まとまらなかった理由を書けると、構造を見ていたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、参加した事業者の数、費用の規模、対象となる区域。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
営業中の商店街での工事は、扱える人が限られる
歩行者の動線、荷物の搬入、夜間作業、工期の分割。店を開けたまま直すという条件での工程管理は、経験者が多くありません。都市部の改修工事で直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。事業者の支援に関わったなら、参加した事業者の数、費用の規模、継続した割合、抜けた理由で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 岐阜市の一般行政職はラスパイレス指数99.7、平均給与月額421,972円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 豊橋市とは指数で4.7ポイント、地域手当で倍の差がありながら、総額は252円差です
- しかも上回っているのは豊橋市のほう。給料月額で4,000円下回り、諸手当で3,748円上回って打ち消し合います
- 指数は補正した給料表の水準、総額は補正していない実額に手当を足したもの。別の数字です
- 諸手当98,972円は中核市62市で16番目、総額の23.5%。3年ぶん並べないとぶれ幅が読めません
- 競合どうしに共通の負担を引き受けさせた経験は、企業のアライアンス業務でそのまま必要とされます(商店街振興組合法1条)
よくある質問
指数が4.7ポイント高く地域手当も倍なのに、総額が豊橋市より低いのはなぜですか
指数は補正した数字だからです。ラスパイレス指数は年齢と学歴の構成を国に合わせて補正したうえで給料表の水準を比べます。補正前の給料月額では、岐阜市323,000円に対し豊橋市327,000円で、豊橋市が4,000円上回ります。そこに諸手当(岐阜市が3,748円上)が乗って、総額は252円差に収まります。
諸手当が総額の2割を超えていると、どう考えればいいですか
年による振れ幅が出やすい、ということです。地域手当は割合が決まっていますが、時間外、住居、扶養、管理職手当は担当業務と家族構成と役職で変わります。求人票の想定年収と比べるときは、複数年ぶんの源泉徴収票の支払金額を並べてください。1年ぶんだけだと、高い年か低い年かがわかりません。
事業者の集まりを担当しましたが、まとまらないことのほうが多かったです
それが普通です。同じ通りの店は競合で、規模も業種も体力も違い、出しても自分に返ってこない費用を分け合ってもらう仕組みだからです。企業でも業界団体の会費や共同の物流網で同じ問題が起きていて、「負担の配分を参加者が納得する形に設計する」役割が空いています。何者に何を分け合わせたか、配分の決め方、抜けた相手への対応、そのあとの組み直しを書いてください。