自治体別 / 中核市
前橋市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
前橋市と高崎市は、平均年齢が43.5歳と43.6歳。0.1歳しか違いません。
ここまで155団体を見てきましたが、これだけ年齢が揃った隣どうしは他にありません。
そして総額は、前橋市399,758円、高崎市414,679円。14,921円の差があります。
年齢がほぼ同じなら、差がどこから来るのかは絞り込めます。
前橋市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、前橋市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 前橋市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.2 |
| 平均年齢 | 43.5歳 |
| 平均給料月額 | 333,500円 |
| 諸手当月額 | 66,258円 |
| 平均給与月額 | 399,758円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 373,102円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 3% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 3% |
高崎市と並べる
| 項目 | 前橋市 | 高崎市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 99.2 | 99.7 | 0.5ポイント |
| 平均年齢 | 43.5歳 | 43.6歳 | 0.1歳 |
| 平均給料月額 | 333,500円 | 336,400円 | 2,900円 |
| 諸手当月額 | 66,258円 | 78,279円 | 12,021円 |
| 平均給与月額 | 399,758円 | 414,679円 | 14,921円 |
| 地域手当 | 3% | 6% | 3ポイント |
年齢が0.1歳差、給料月額も2,900円差です。つまり給料表の上での位置は、ほぼ同じ。
差は諸手当の12,021円に集中しています。
そして高崎市の給料月額336,400円に対し、地域手当3ポイントの差はおよそ10,092円。諸手当の差12,021円のうち、8割以上が地域手当の3ポイントだけで説明できます。
年齢を揃えると、地域手当がそのまま総額の差として残る。中核市はここが7段階に分かれているので、この形がはっきり見えます。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は群馬県職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 交通計画、道路・自転車通行空間の整備 | インフラ企画、モビリティ事業企画 |
| 複数部門にまたがる計画の取りまとめ | 事業企画、PMO、経営企画 |
| 都市計画、区画整理 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・工業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 農業振興、産地の支援 | 調達、産地開発、商品企画 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「一つの施策に、目的が三つ乗っている」実務
前橋市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
自転車活用推進法第1条は、この法律が、極めて身近な交通手段である自転車の活用による環境への負荷の低減、災害時における交通の機能の維持、国民の健康の増進等を図ることが重要な課題であることに鑑み、自転車の活用の推進に関する基本理念や国の責務等を定めるものだとしています。
読んでほしいのは、目的が三つ並んでいることです。環境、防災、健康。
一つの手段に、まったく別の目的がぶら下がっています。
これは実務では、次のような形で現れます。
- 環境の担当は、自動車からの転換の量で見る
- 防災の担当は、災害時に動けるかで見る
- 健康の担当は、何人が日常的に乗ったかで見る
- 道路の担当は、通行空間が安全に作れたかで見る
- 観光の担当は、市外から来た人が使ったかで見る
同じ事業なのに、成否の判定基準が部署ごとに違います。そして全部を同時に最大にすることはできません。どれかを優先すれば、どれかは落ちます。
この「落とす判断」を誰も引き受けないと、事業は評価できないまま続きます。
企業でも、まったく同じことが起きています。
オフィスの移転が、コスト削減と採用力の強化と働き方の見直しを同時に背負う。新しいシステムが、業務効率と内部統制と顧客対応の三つを背負う。部門ごとに見ている指標が違うので、終わったあと誰も成否を言えません。
そして多くの企業で、この整理をする役割が空いています。各部門は自分の指標を守りますが、指標どうしがぶつかったときに順位を付ける人がいない。
求人票では、事業企画、PMO、経営企画、プロジェクトマネージャーといった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業の名前を出さないことです。いくつの目的が乗っていたか、どれを上位に置いたか、その結果どの目的をどこまで落としたか、そして落としたことを誰にどう説明したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
前橋で、どの経験が値になるか
1. 複数の目的がぶつかったときに順位を付けた経験
環境、防災、健康、安全、観光。全部を満たす案はありません。どれを上位に置いたかを説明できる人は、企業の横断プロジェクトで必要とされます。
2. 道路空間を作り替えた経験
車線、歩道、通行空間の配分。いま使っている人から何かを取らないと作れないという条件での合意形成は、そのまま用地開発や施設更新の職務につながります。
3. 農業の産地を支えた実務
品目、出荷量、担い手。仕入れ側の企業から見れば、産地の事情を知っている人は貴重です。
4. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
5. 県庁所在地としての調整
県、他市町村、国の出先。立場の違う組織のあいだで案をまとめた経験は、渉外やアライアンスに直接つながります。
県内・県外の求人を見るときに
前橋市は高崎市と隣接し、二つの都市のあいだで通勤圏が重なっています。東京への新幹線通勤も現実的な距離です。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進計画を担当」では読み手に何も残りません。計画名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何を優先し、何を落とし、どこで意見が割れて、どう決着させたか。
落とした目的を書く
複数の目的が乗った事業では、必ずどれかを落としています。落としたことを書かないと、全部うまくいったように読めて、かえって信用されません。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区間や施設の数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
供用中の道路での工事は、扱える人が限られる
車線を減らしながら進める、交差点の処理を段階的に変える、沿道の出入りを確保する。止められない場所で工事を組むという条件の工程管理は、経験者が多くありません。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。事業の運営に関わったなら、利用者数、費用、収支、想定との差で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 前橋市の一般行政職はラスパイレス指数99.2、平均給与月額399,758円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 高崎市とは平均年齢が0.1歳しか違いません(43.5歳/43.6歳)。155団体で最も年齢が揃った隣どうしです
- 給料月額の差は2,900円。総額の差14,921円の大半は諸手当12,021円から来ています
- その諸手当の差の8割以上は、地域手当3%と6%の3ポイント差だけで説明できます
- 諸手当は総額の16.6%で、中核市62市のうち下から10番目。条件で動く部分が薄い水準です
- 一つの施策に複数の目的が乗ったときに順位を付けた経験は、企業の横断プロジェクトで必要とされます(自転車活用推進法1条)
よくある質問
高崎市と年齢も給料月額もほぼ同じなのに、総額が15,000円近く違うのはなぜですか
地域手当です。前橋市3%、高崎市6%。高崎市の給料月額336,400円に対し、3ポイントの差はおよそ10,092円になります。総額の差14,921円のうち、給料表由来は2,900円だけで、残りは諸手当12,021円。そのうち8割以上が地域手当の3ポイント差です。平均年齢が0.1歳しか違わないので、年齢の影響がほぼ消えて、地域手当だけが残る形になっています。
諸手当が薄いと、転職で不利になりますか
なりません。むしろ去年の源泉徴収票の支払金額が、翌年もほぼそのままという読み方ができるので、求人票の想定年収と比べやすくなります。諸手当が厚い団体ほど、勤務条件や担当業務で年ごとの振れ幅が出ます。前橋市は総額の16.6%なので、比較の基準としては安定しているほうです。
複数の目的が乗った事業を担当しましたが、どれも中途半端に終わりました
三つの目的を同時に最大にできる案は存在しません。評価されるのは、どれを上位に置き、どれをどこまで落とし、落としたことを誰にどう説明したかです。企業でも一つの施策にコストと採用と働き方が同時に乗り、部門ごとに指標が違って誰も成否を言えない、という状況が増えています。順位を付けた経験は、そこで直接必要とされます。