自治体別 / 中核市
水戸市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
水戸市のラスパイレス指数98.9は、福島市101.0を2.1ポイント下回ります。平均給料月額313,200円も、福島市より8,900円低い。
ところが平均給与月額は407,795円で、福島市393,067円を14,728円上回ります。
指数も給料月額も下なのに、総額では上。中核市で頻繁に起きるこの逆転から読み解いてください。
水戸市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、水戸市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 水戸市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.9 |
| 平均年齢 | 40.4歳 |
| 平均給料月額 | 313,200円 |
| 諸手当月額 | 94,595円 |
| 平均給与月額 | 407,795円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 372,929円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10% |
福島市と並べてみる
| 項目 | 水戸市 | 福島市 |
|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.9 | 101.0 |
| 平均年齢 | 40.4歳 | 40.6歳 |
| 平均給料月額 | 313,200円 | 322,100円 |
| 諸手当月額 | 94,595円 | 70,967円 |
| 平均給与月額 | 407,795円 | 393,067円 |
| 地域手当(実支給) | 10% | 0% |
平均年齢は0.2歳しか違いません。それでも諸手当は23,628円開き、総額では水戸市が14,728円上回ります。
差の大部分は地域手当10%です。
中核市62市は地域手当が0%から16%まで7段階に分かれます。この違いがあるため、指数や給料月額の順序と、総額の順序が一致しないことが頻繁に起こります。特別区23区は全区20%で同じだったので、この逆転は起きませんでした。
水戸市の諸手当94,595円は、比率にして23.2%。中核市のなかでは厚いほうです。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は茨城県職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 文化財の保存・活用・公開 | 文化事業企画、施設運営、集客企画 |
| 史跡・庭園の管理と整備 | 施設運営、アセットマネジメント |
| 観光の誘客・受入環境整備 | 観光事業企画、集客企画 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・立地支援 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 中心市街地の再生・商業振興 | 店舗開発、事業開発 |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「保存」と「活用」を同じ手で扱う実務
水戸市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
文化財保護法第1条は、この法律が文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もつて国民の文化的向上に資することを目的とすると定めています。
「保存し、且つ、活用を図り」。この2つが同じ文に置かれています。
そして実務では、この2つはしばしばぶつかります。
- 人を入れれば傷むが、入れなければ価値が伝わらない
- 修理をすれば元の材が失われるが、しなければ朽ちる
- 収益を上げれば維持費は賄えるが、性格が変わる
- 公開の範囲を広げるほど、管理の手間と費用が増える
- 専門家と、来訪者と、地元の求めるものが違う
「守ることと、使うことを、同じ手で扱う」という仕事です。
そして企業でも、まったく同じ構造の判断が増えています。
長く使ってきたブランド、古い建物を使った店舗、創業時からの製法。そのまま守れば時代に合わなくなり、変えれば積み上げたものが失われる。
この判断を、誰かが基準を持って下さなければなりません。しかし多くの企業では、「守りたい人」と「変えたい人」が別々の部署にいて、議論が感情論になります。
保存と活用の折り合いを、制度と予算のなかで実際に付けてきた経験は、ここで効きます。
求人票では、文化事業企画、ブランド戦略、施設運営、集客企画といった名前で書かれています。
書くときのこつは、文化財の価値を語らないことです。対象の件数、公開や活用をどこまで認めたか、傷みや費用をどう見積もったか、そして専門家と来訪者の求めが食い違ったときに何を優先したか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
水戸で、どの経験が値になるか
1. 保存と活用の折り合いを付けた経験
公開の範囲、修理の方針、収益の扱い。守ることと使うことを同じ手で扱った経験は、ブランド戦略や施設運営で必要とされます。
2. 史跡や庭園を運営した経験
来訪者、維持費、人手、季節変動。収入が限られるなかで質を保った経験は、施設運営の職務に直接つながります。
3. 観光の誘客と受入環境
誘客だけでなく、受入環境の整備や地域との調整まで担当していれば、それは観光事業企画の中核です。
4. 首都圏に近い立地での企業誘致
用地、インフラ、支援制度。進出や増設を考える企業から見れば、これは自分たちが最も苦労する部分です。
5. 保健所を持つ市としての実務
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
水戸市は首都圏との行き来がしやすい位置にあり、担当エリア型の求人であれば、拠点がここにあること自体が条件になることがあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○推進事業を担当」では読み手に何も残りません。事業名は庁内でしか意味を持たない固有名詞です。何件を、どういう基準で審査し、どこで判断が割れて、どう決着させたか。
食い違ったときに何を優先したかを書く
保存と活用のように、要求がぶつかる仕事では、優先順位をどう決めたかが実力を示します。折衷ではなく、選んだ理由を書いてください。
規模を必ず書く
市の人口、対象の件数、来訪者の数、予算額。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、建築士、造園施工管理技士。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
歴史的建造物と庭園の保存修理は、希少な経験になる
構造の補強、意匠の維持、現行基準との折り合い、樹木の管理。使い続けられる形にする設計を扱える人は限られます。設計事務所と、歴史的な建物を活用する事業者の両方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。施設の運営に関わったなら、来訪者数、維持費、収入、優先順位の決め方で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 水戸市の一般行政職はラスパイレス指数98.9、平均給与月額407,795円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 福島市とは指数で2.1ポイント、給料月額で8,900円下回るのに、総額では14,728円上回ります
- 差の大部分は地域手当。水戸市10%、福島市0%です
- 地域手当は勤務地に紐づくもの。指定がない地域に本社がある企業に応募するときは前提が変わります
- 保存と活用を同じ手で扱った経験は、企業のブランド戦略と同じ構造です(文化財保護法1条)
- 折衷ではなく、食い違ったときに何を優先し、なぜそれを選んだかを書いてください
よくある質問
指数も給料月額も福島市より下なのに、総額が上なのはなぜですか
地域手当の差です。水戸市10%、福島市0%。平均年齢は0.2歳しか違わず、指数は福島市が2.1ポイント高いのに、諸手当で23,628円上回り、総額では14,728円上回ります。中核市62市は地域手当が7段階に分かれるため、この種の逆転が頻繁に起こります。
文化財の担当ですが、事業を作った経験がありません
やってきたのは、守ることと使うことの折り合いを付けることのはずです。人を入れれば傷むが、入れなければ価値が伝わらない。この判断を予算と制度のなかで下してきた。企業でも、長く使ってきたブランドや創業時からの製法で同じことが起きていて、守りたい人と変えたい人が別々の部署にいて議論が感情論になります。
市外の求人を見るとき、何に気をつければよいですか
地域手当10%が付かない可能性を前提に読んでください。地域手当は勤務地に紐づくもので、指定がない地域に本社がある企業では前提が変わります。複数年の源泉徴収票で実額とぶれ幅を把握し、そのうえで求人票の想定年収と比べてください。住居費まで含めた手元に残る額で考えると、見え方が変わることがあります。