自治体別 / 中核市
奈良市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
奈良市と尼崎市は、平均年齢が41.3歳で完全に一致します。
地域手当も、どちらも10%で同率です。
それでも総額は15,422円離れます。423,105円と407,683円。条件を2つ揃えても、差は残ります。
奈良市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、奈良市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 奈良市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.4 |
| 平均年齢 | 41.3歳 |
| 平均給料月額 | 316,100円 |
| 諸手当月額 | 107,005円 |
| 平均給与月額 | 423,105円 |
| 平均給与月額(国ベース) | 380,462円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 10% |
| 地域手当(実際の支給割合) | 10% |
尼崎市と並べる(年齢が完全に一致)
| 項目 | 奈良市 | 尼崎市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 98.4 | 97.8 | 0.6ポイント |
| 平均年齢 | 41.3歳 | 41.3歳 | 0 |
| 平均給料月額 | 316,100円 | 310,500円 | 5,600円 |
| 諸手当月額 | 107,005円 | 97,183円 | 9,822円 |
| 平均給与月額 | 423,105円 | 407,683円 | 15,422円 |
| 地域手当 | 10% | 10% | 同率 |
年齢が完全に一致し、地域手当も同率です。
それでも給料月額で5,600円、諸手当で9,822円、どちらも奈良市が上回ります。2つが同じ方向に効いて、総額の差は15,422円になります。
条件を2つ揃えても、差は消えません。
揃えても残る差は、どこから来るのか
ここまでの記事で、いくつかの組み合わせを見てきました。
| 組み合わせ | 揃っている条件 | 残った総額の差 |
|---|---|---|
| 前橋市 − 高崎市 | 平均年齢(0.1歳差) | 14,921円 |
| 川口市 − 越谷市 | 給料月額(300円差)・地域手当 | 20,361円 |
| 奈良市 − 尼崎市 | 平均年齢(一致)・地域手当 | 15,422円 |
| 明石市 − 姫路市 | 給料月額(600円差)・年齢(0.7歳差) | 378円 |
条件を揃えても、差が消えることもあれば、2万円残ることもあります。
残るのは各団体の給料表の運用と手当の設計で、外から読み取れる数字ではありません。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は奈良県職員の転職に、年齢が一致する市は尼崎市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 鳥獣の保護と被害防止の両立 | リスク管理、事業企画 |
| 農林業への被害の調査と対策 | 調達、産地開発、リスク管理 |
| 観光の受入と生活の両立 | 観光事業企画、CS企画 |
| 都市計画、埋蔵文化財を抱える開発 | 用地開発、開発企画 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業用地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 窓口・住民対応の業務設計 | カスタマーサポート、業務設計 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「保護」と「管理」を同じ条文で扱う実務
奈良市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律第1条は、この法律が、鳥獣の保護及び管理を図るための事業を実施するとともに猟具の使用に係る危険を予防することにより、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化を図り、もって生物の多様性の確保、生活環境の保全及び農林水産業の健全な発展に寄与することを目的とすると定めています。
注目してほしいのは「保護」と「管理」が並んで書かれていることです。
守ることと、増えすぎたものを減らすこと。この2つが、同じ法律の目的に入っています。
かつてこの法律は「鳥獣保護法」と呼ばれていました。いまは題名に「管理」が入っています。守るだけでは足りない状況が、法律の名前に表れた形です。
実務は、次のような形になります。
- 守る対象と、減らす対象が、同じ地域にいる
- 被害を受けている側と、守りたい側の主張が衝突する
- どちらにも理があり、どちらも間違っていない
- 数を把握しないまま議論すると、話が感情に寄る
- そして、担い手そのものが減っています
「正しさが2つある問題を、数で扱えるようにする」仕事です。
企業でも、同じ構造の問題があります。
増やしすぎた商品の種類、膨らんだ取引先の数、伸ばしすぎた拠点網、積み上がった社内の制度。どれも増やしたときには理由がありました。そして減らそうとすると、必ず守りたい側がいます。
そして多くの企業で、この議論が数字で行われません。現場は残したい理由を語り、管理部門は全体の費用を語る。ところが「それぞれが、いくつあって、どれだけ負担になっていて、減らすと何が起きるか」を出した人がいません。だから議論が価値観のぶつかり合いになり、決まらないまま残ります。
求人票では、事業企画、経営企画、リスク管理、購買、PMOといった名前で書かれています。
書くときのこつは、制度や地域の名前を出さないことです。守る側と減らす側の主張をどう整理したか、何を数えて判断の土台にしたか、決めた基準をどう説明したか、そして決めたあと実際どうなったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
奈良で、どの経験が値になるか
1. 正しさが2つある問題を、数で扱った経験
守りたい側と、困っている側。どちらにも理があるときに、数えて土台を作った経験は、企業の事業整理でそのまま必要とされます。
2. 減らす判断をした経験
増やす話は誰でもできます。減らす基準を作って説明した経験は、そう多くの人が持っていません。
3. 観光と生活の両立を扱った経験
来る人と住んでいる人。両方の負担を見た経験は、施設運営と地域事業で効きます。
4. 埋蔵文化財を抱える土地での開発
掘れば出る前提での工程管理。開発の期間が読みにくい条件を扱った経験は、用地開発で直接効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
奈良市は大阪・京都への通勤圏にあり、関西圏の求人が現実的な選択肢に入ります。奈良県内を担当エリアとする求人も多くあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○対策を担当」では読み手に何も残りません。何を数えて土台にし、どの基準で決め、どう説明したか。
決まらなかった話を書く
正しさが2つある問題では、決まらないことがあります。何が足りなくて決まらなかったかを書けると、構造を見ていたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、対象となる区域の面積、被害の件数や金額、対応した件数。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
埋蔵文化財が想定される土地での工事は、扱える人が限られる
試掘、本調査、工期の組み直し、費用の負担。掘ってみないと分からないものを前提に工程を組むという条件は、他の分野にあまりありません。用地と開発を扱う企業から直接求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。対策や整備に関わったなら、対象の規模、被害の額、対策にかかった費用、減った割合で答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 奈良市の一般行政職はラスパイレス指数98.4、平均給与月額423,105円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 尼崎市とは平均年齢が41.3歳で完全に一致し、地域手当も同率10%です
- それでも総額は15,422円離れます。給料月額5,600円と諸手当9,822円が同じ方向に効いています
- 一方で明石市と姫路市は、地域手当が倍違うのに総額378円差です
- 揃えた条件の数と、残る差の大きさは対応しません
- 正しさが2つある問題を、数えて土台にした経験は、企業の事業整理で必要とされます(鳥獣保護管理法1条)
よくある質問
年齢も地域手当も尼崎市と同じなのに、総額が15,422円違うのはなぜですか
給料月額と諸手当が、同じ方向に効いているからです。給料月額で5,600円、諸手当で9,822円、どちらも奈良市が上回ります。平均年齢は41.3歳で完全に一致し、地域手当も同率10%なので、この2つでは説明できません。残るのは各団体の給料表の運用と手当の設計で、外からは読み取れない部分です。
どの条件を揃えれば、団体どうしを比べられますか
揃えても比べられません。奈良市と尼崎市は年齢が完全に一致し地域手当も同率で、それでも15,422円離れます。逆に明石市と姫路市は地域手当が倍違うのに378円差です。揃えた条件の数と、残る差の大きさは対応しません。知りたいのは自分の実額と求人票の想定年収の比較のはずなので、源泉徴収票の支払金額を複数年ぶん並べてください。
どちらの側からも責められて、結局何も決まりませんでした
正しさが2つある問題では、それが普通です。抜け出す方法は、数えることです。それぞれがいくつあって、どれだけ負担になっていて、減らすと何が起きるか。企業でも増やしすぎた商品や取引先で同じところに止まっていて、数字で土台を作った人がいません。両側の主張の整理、数えたもの、決めた基準、決めたあとの結果を書いてください。