自治体別 / 中核市
豊田市職員の転職|経験の活かし方と求人の探し方
豊田市の平均給与月額460,090円は、中核市62市のなかで最も高い数字です。
諸手当133,290円も1位。地域手当16%も1位。3つとも62市の先頭です。
ところが平均給料月額326,800円は、ラスパイレス指数が5.1ポイント低い豊橋市より200円少ない。総額の高さは、給料表から来ているわけではありません。
豊田市の給与水準を、数字で確認する
総務省の調査によると、豊田市の一般行政職は次のとおりです(令和6年4月1日現在)。
| 項目 | 豊田市 |
|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.1 |
| 平均年齢 | 42.1歳 |
| 平均給料月額 | 326,800円 |
| 諸手当月額 | 133,290円(中核市62市で1位) |
| 平均給与月額 | 460,090円(中核市62市で1位) |
| 平均給与月額(国ベース) | 413,660円 |
| 地域手当(国の指定基準) | 16%(中核市62市で1位) |
| 地域手当(実際の支給割合) | 16% |
総額が高い中核市
| 市 | 平均給与月額 | 地域手当 |
|---|---|---|
| 豊田市 | 460,090円 | 16% |
| 西宮市 | 452,766円 | 15% |
| 大津市 | 437,148円 | — |
| 八王子市 | 436,960円 | 15% |
| 八尾市 | 436,157円 | — |
2位の西宮市とは7,324円差です。
豊橋市と並べると、給料月額はほぼ同じ
| 項目 | 豊田市 | 豊橋市 | 差 |
|---|---|---|---|
| ラスパイレス指数 | 100.1 | 95.0 | 5.1ポイント |
| 平均年齢 | 42.1歳 | 40.2歳 | 1.9歳 |
| 平均給料月額 | 326,800円 | 327,000円 | 200円 |
| 諸手当月額 | 133,290円 | 95,224円 | 38,066円 |
| 平均給与月額 | 460,090円 | 422,224円 | 37,866円 |
| 地域手当 | 16% | 3% | 13ポイント |
給料月額は200円差。しかも豊橋市のほうが上です。
総額の差37,866円は、ほぼ全部が諸手当38,066円の差から来ています。
そして給料月額326,800円に対する地域手当13ポイントの差は、およそ42,484円。諸手当の差38,066円よりも大きい。つまり地域手当以外の手当では、豊橋市のほうが4,000円ほど厚いという計算になります。
諸手当が総額の29.0%
豊田市の諸手当133,290円は、総額460,090円の29.0%。
3割近くが、地域手当・時間外・住居・扶養・管理職手当などで構成されています。
中核市62市の分布は旭川市職員の転職に、県内の数字は愛知県職員の転職に、給料月額がほぼ同じ市は豊橋市職員の転職に整理しています。
中核市の職員は、保健所を持つ立場にある
地方自治法第252条の22は、中核市が、指定都市が処理することができる事務のうち政令で定めるものを処理することができる、と定めています。
とくに大きいのが、保健所を設置する立場にあることです。食品衛生、医療分野の許認可、感染症対策、動物愛護。これらは一般の市では都道府県の仕事ですが、中核市では市の仕事になります。
「市役所の仕事」と書かず、担当した事務の名前で書いてください。市の人口と処理件数を添えると、読まれ方が変わります。詳しくは旭川市職員の転職で整理しています。
市役所の経験は、民間で何と呼ばれるか
| 市役所での仕事 | 求人票での言い方 |
|---|---|
| 予算の要求・査定、財政計画 | 予実管理、投資判断、経営企画 |
| 創業支援・新規事業の立ち上げ支援 | 事業開発、インキュベーション |
| 規制の特例を使った事業の設計 | 規制対応、渉外、事業企画 |
| 事業転換・事業承継の支援 | 事業承継支援、金融法人営業 |
| 都市計画、工業用地の整備 | 用地開発、開発企画、都市開発 |
| 食品衛生・医療の許認可と監視 | 品質保証、薬事管理、規制対応 |
| 企業誘致・産業団地の整備 | 事業開発、用地開発、アライアンス |
| 上下水道など公営企業 | インフラ運営、事業運営 |
| 市有施設の設計・積算・監督 | 発注者支援、施工管理 |
| 山間部の生活交通・集落の維持 | 地域事業企画、事業運営 |
| 内部管理(人事・財政・総務・会計) | コーポレート、管理部門 |
| 議会対応、条例・規則の改正 | 渉外、法務、規程整備 |
部署ごとの詳しい対応は自治体の部署別 仕事ガイドにまとめています。財政課であれば財政課の経験は民間で何と呼ばれるかで、さらに細かく分解しています。
「新陳代謝」を言葉どおりに扱う実務
豊田市役所の方に、いちばん強く伝えたいのがこの点です。
産業競争力強化法第1条は、この法律が、我が国の産業を中長期にわたる低迷の状態から脱却させ、持続的発展の軌道に乗せるため、規制の特例措置の整備等及びこれを通じた規制改革を推進し、併せて、産業活動における新陳代謝の活性化を促進するための措置などを講ずるものだとしています。
注目してほしいのは「新陳代謝」という言葉が、条文に書かれていることです。
新陳代謝は、新しいものが生まれることだけを指しません。古いものが役目を終えて入れ替わることまで含めて、初めて成立します。
そして実務では、この両側を同時に扱うことになります。
- 新しく始める側を支える。創業、新規の事業
- 続けられなくなった側を扱う。転換、承継、廃業
- 規制が邪魔をしている場合は、特例を使えないか探す
- 特例を使うには、何が障害かを具体的に示す必要がある
- そして畳む判断を、遅らせないほうがよい場合がある
いちばん言いにくいのは、最後です。
支える側の立場からは、「やめたほうがいい」とは言いにくい。それでも、残せる資産があるうちに畳んだほうが、次に移れます。手遅れになってからでは、技術も取引先も人も散ってしまいます。
企業でも、これがそのまま課題になっています。
不採算の事業、伸びない拠点、使われなくなった仕組み。始めるときの決裁はあります。ところが畳むときの決裁は、誰も持ち出しません。
そして多くの企業で、畳む基準を先に決めた人がいません。始めた人は責任を問われたくない。引き継いだ人は自分の代で止めたくない。だから「もう少し様子を見る」が何年も続きます。
求人票では、事業企画、経営企画、事業再編、PMO、事業承継支援といった名前で書かれています。
書くときのこつは、事業の名前を出さないことです。何をもって「続ける/畳む」を判断したか、畳む判断をいつ誰に伝えたか、畳んだあと何を残したか、そして遅れた事例では何が原因だったか。この形にすると、そのまま職務能力として読まれます。
豊田で、どの経験が値になるか
1. 畳む判断に関わった経験
転換、承継、撤退。始める話ではなく終える話を扱った経験は、企業の事業再編でそのまま必要とされます。
2. 規制が障害になっている点を特定した経験
「できない」と言われたときに、何がどう禁じているのかを条文まで下りて確認した経験は、規制対応の職務に直結します。
3. 一つの産業に依存する地域を扱った経験
依存していること自体をどう扱うか。これは企業の取引先構成や事業ポートフォリオの話と同じ構造です。
4. 市街地と山間部を同時に持つ自治体の実務
条件がまったく違う区域を、同じ計画で扱う。広域を担当する職務で効きます。
5. 医療・保健の許認可と監視
食品衛生、医療、環境。県レベルの権限を伴う事務を担っていることは、書けば伝わります。
県内・県外の求人を見るときに
豊田市は名古屋圏にあり、愛知県内の求人が日常的な選択肢に入ります。同時に、製造業の集積地として、担当エリア型の求人も多くあります。
判断の誤りは、通勤時間だけで線引きしてしまうことです。近年はリモート可、週数日出社といった勤務形態の求人が増えています。
まず職種で絞り、そのあとに勤務形態と担当エリアを確認する。勤務地から検索を始めると、この種の求人が最初から視界に入りません。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
職務経歴書に、市役所の仕事をどう落とすか
制度名ではなく、判断したことを書く
「○○支援事業を担当」では読み手に何も残りません。何をもって続ける/畳むを判断し、いつ誰に伝えたか。
遅れた事例を書く
判断が遅れて手遅れになった案件が、必ずあります。何が原因で遅れたかを書けると、構造を見ていたことが伝わります。
規模を必ず書く
市の人口、扱った事業者の数、案件数、事業費。数字を添えないと規模が伝わりません。
技術職の場合は、探し方が変わる
発注者側の経験そのものが職種になる
「発注者支援」という職種が、建設コンサルタント業界には確立しています。設計の審査、積算の確認、工事の監督、住民説明。市役所でやってきたことが、そのまま職務内容として書かれた求人です。
資格が入口で効く
技術士、施工管理技士、測量士、電気主任技術者、食品衛生監視員。実務経験の年数が受験要件になっているものは、在職中でなければ積めません。取れるものがあるなら、動く前に取っておいてください。
工業用地と大型施設の整備は、そのまま職種になる
用地、造成、道路、供給設備、排水。大きな敷地を一体で計画した経験は、製造業の設備投資と物流施設の開発の両方から求められます。
面接で必ず詰められる2つのこと
「意思決定のスピードに耐えられるか」
行政は手続きの段数が多く、決裁を経て動きます。民間は月次で数字を締め、その場で方針を変えます。稟議の段数を弁解せず、自分の判断で動かした範囲を具体的に答えてください。
「数字への意識があるか」
「利益を意識したことはありますか」という形で聞かれます。事業者の支援に関わったなら、扱った件数、成立した割合、続いた割合、畳んだ案件の扱いで答えてください。「行政なので利益はありません」と答える必要はありません。
在職中に進めるときの注意点
顔が知られている前提で動く
市内の企業の多くは、市役所と何らかの接点を持っています。取引先、許認可の相手方、補助事業の対象。在職中の活動が伝わりやすい環境だという前提で進めてください。応募先が現在の担当業務の相手方である場合は、とくに慎重に扱う必要があります。
服務上の扱いを先に確かめる
在職中に得た情報を持ち出すことは避けなければなりませんし、退職後の営業活動についても扱いを確認しておいたほうが安全です。判断に迷う場合は、応募の前に人事担当課に制度上の取扱いを確認してください。
面接の日程は、議会日程から逆算する
地方自治法第211条は、長が毎会計年度予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならないと定めています。市町村は年度開始前20日までに予算を議会へ提出するようにしなければならない、とも書かれています。決算は、出納閉鎖後3か月以内の長への提出、監査委員の審査、議会の認定という順です(第233条)。予算編成の山と定例会の会期中は、平日日中の面接を入れるのが難しくなります。
在職中に決める
公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
まとめ
- 豊田市の一般行政職はラスパイレス指数100.1、平均給与月額460,090円(令和6年4月1日現在・総務省調査)
- 総額・諸手当・地域手当の3つとも中核市62市で1位です(2位の西宮市とは7,324円差)
- ところが給料月額326,800円は、指数が5.1ポイント低い豊橋市より200円少ない
- 総額の高さは給料表ではなく、諸手当133,290円と地域手当16%から来ています
- 諸手当は総額の29.0%。年によってぶれるので、3年ぶん並べてから求人票と比べてください
- 畳む判断に関わった経験は、いま企業の事業再編でいちばん足りていません(産業競争力強化法1条)
よくある質問
総額が中核市で1位なのに、給料月額が豊橋市より低いのはなぜですか
総額の高さが、給料表から来ていないからです。給料月額は豊田市326,800円、豊橋市327,000円で200円差。総額の差37,866円は、ほぼ全部が諸手当38,066円の差です。そして地域手当16%と3%の13ポイント差は、給料月額に対しておよそ42,484円。つまり地域手当以外の手当では、豊橋市のほうが4,000円ほど厚い計算になります。
諸手当が総額の3割近いと、どう考えればいいですか
年による振れ幅が大きい、ということです。地域手当は割合が決まっていますが、時間外、住居、扶養、管理職手当は担当業務と家族構成と役職で変わります。1年ぶんだけを見ると、高い年を基準にして「下がる」と判断してしまうことがあります。複数年ぶんの源泉徴収票の支払金額を並べて、自分の実額の幅を確かめてください。
支援する立場で「やめたほうがいい」とは言いにくかったです
言いにくいのは当然ですが、残せる資産があるうちに畳んだほうが次に移れます。手遅れになると、技術も取引先も人も散ってしまいます。企業でも同じで、始めるときの決裁はあるのに畳むときの決裁を持ち出す人がいません。何をもって続ける/畳むを判断したか、いつ誰に伝えたか、畳んだあと何を残したか、遅れた事例の原因を書いてください。