部署別 / 管財課
管財課の面接|聞かれることと、答え方の型
管財課からの面接には、最初に越える関門があります。
「管財課では、どういうことをされていたんですか」
この質問に、備品の発注や庁舎の鍵の管理をしていた人だと思われたまま答えてしまう方が多くいます。
実際にやっていたのは、組織が持つ資産の全体を把握し、使い方を決め、直すか手放すかを判断する仕事です。最初の一言で、そこを切り替えられるかどうかが分かれ目になります。
この記事では、実際に出てくる質問を並べ、それぞれをどう答えるかを整理します。
言い換えは管財課の経験は民間で何と呼ばれるか、行き先は管財課からの転職先、書類は職務経歴書に分けて書いています。
「できない」の中に、例外の余地が書かれています
答え方の前に、この部署の判断の性格を条文で確認します。
地方自治法第238条の4第1項は、行政財産は、原則として貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができないとしています。
ところが、第2項がこう続きます。
行政財産は、次に掲げる場合には、その用途又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。
注目してほしいのは、「その用途又は目的を妨げない限度において」という条件です。
できない、で終わっていません。「本来の使い方の邪魔にならない範囲なら、貸せる」と書かれています。
これが管財課の判断の性格です。制約は厳しいが、余地はある。そして、その余地がどこにあるかを探すのが仕事です。
庁舎の空きスペースに自動販売機を置く。駐車場の一角を催事に使わせる。屋上に通信設備を置かせる。どれも「用途を妨げない限度」という判断の上に成り立っています。
面接で問われるのも、ここです。制約があったことではなく、制約の中で何を見つけたかを答えてください。
質問1:「管財課では、どういうことをされていたんですか」
最初に来ます。ここで枠を作れるかどうかが、その後の質問の向きを決めます。
避けたい答え方
「庁舎の管理や、財産の台帳、貸付けなどを幅広く担当していました」。
間違いではありませんが、備品と鍵の管理を想像されたままになります。
組み立て方
民間の職種名で枠を作ってから、中身を話してください。
> 御社でいうとアセットマネジメントにあたる仕事です。市が持つ土地◯筆、建物◯棟、延べ床面積約◯万平方メートルを台帳で管理し、どれを使い続け、どれを貸し、どれを手放すかを判断していました。あわせて、庁舎の維持管理として、保守や清掃など◯件の委託契約と、年間◯千万円の維持管理費を管理しています。
1文目で枠を作る。これだけで、その後の質問が「備品の話」から「資産の話」に変わります。
延べ床面積は必ず入れてください。規模がいちばん伝わる数字です。
質問2:「なぜ転職しようと思ったのですか」
避けたい答え方
「施設を減らす計画を立てても、実際には減らせなかった」。
組織への不満に聞こえます。しかも、拠点の再編が進まないのは民間でも同じです。
組み立て方
やってきたことを起点にします。
> 管財課で6年、台帳の管理から統廃合の検討までを担当してきました。公共施設等総合管理計画の改定で更新需要を試算したときに、方針を立てるところまでは進んでも、実際に動かすには合意形成のほうが重いと分かりました。自治体では、利用者が住民であるぶん、決めてから動くまでに時間がかかります。方針と実行の両方に関われる場所で、同じ仕事をしたいと考えています。
否定していません。やってきたことの延長線上に、次の希望を置いています。
質問3:「制約の中で工夫した話を教えてください」
この経歴でいちばん強く答えられる質問です。
組み立て方
制約 → 余地の発見 → 実行 → 結果の順で話します。
> 行政財産は原則として貸せませんが、法律は「用途又は目的を妨げない限度において」貸付けができるとしています。そこで、庁舎と公共施設の未利用スペースを洗い出し、本来の用途を妨げない範囲で使える場所を整理しました。具体的には、自動販売機の設置場所を公募制にして使用料を見直し、屋上や敷地の一部について通信設備の設置を受け入れています。年間で◯件、使用料は◯万円から◯万円に増えました。売れない資産でも、使い方を変えれば収入は作れる、という形です。
「できないと言われている中で、できる範囲を探した」という話は、企業の資産管理でもそのまま評価されます。
質問4:「施設を減らす検討で、難しかったことは」
拠点再編の求人で出ます。合意に至らなかった話でも構いません。
組み立て方
> 統廃合の検討では、数字だけでは決まりませんでした。利用実績が少ない施設でも、代替できる施設が遠い、地域の合意が得られない、といった事情があります。そこで、閉められない理由を「法令で決まっている」「条例を変えれば動く」「合意が得られれば動く」「単に前例で続いている」の4つに分けて整理しました。手がつけられる順番を先に決めるためです。結果として、4つ目に当たる◯件から着手し、うち◯件の統合について合意に至っています。
「閉められない理由を分類した」という話が効きます。企業の拠点再編でも、まったく同じことが起きます。
なお、この4分類は、そのまま面接の答えの構造になります。「減らせませんでした」ではなく、「減らせない理由を4つに分け、手のつく順番を決め、そこから着手しました」と言えれば、判断の手順を持っている人として読まれます。どこまで進んだかは、正直に言って構いません。
質問5:「台帳と現物が合っていないとき、どうしましたか」
資産管理の求人で出ます。どの組織でも起きる問題です。
組み立て方
> 現物との突合を実施したときに、◯件の不一致が見つかりました。既に取り壊されている建物が台帳に残っていたり、取得したのに登録されていない土地があったりという内容です。原因は、取得や廃止のときに台帳を直す手順が各課任せになっていたことでした。そこで、是正と並行して、取得・廃止のときに管財課へ通知する流れを文書で定めています。是正した件数だけでなく、その後ずれなくなったかまで確認しました。
「直した」だけでなく「ずれない形にした」まで話すと、運用を任せられる人として読まれます。
質問6:「うちで何ができますか」
応募先の方向によって、答えを完全に変えます。
| 応募先の方向 | 前に出すこと |
|---|---|
| 不動産・アセットマネジメント | 台帳、貸付け・売払い、用途廃止、遊休資産 |
| ファシリティマネジメント | 維持管理、委託契約、設備の更新、費用の管理 |
| 拠点再編・中長期保全計画 | 総合管理計画、更新需要の試算、統廃合の検討 |
| 施設運営・指定管理 | 公の施設の管理、協定、指定管理者の監督 |
| 自治体を顧客にする企業 | 台帳の実態、目的外使用許可、統廃合の実際 |
質問7:希望する条件について
給与や勤務条件の話も出ます。ここで長く話す必要はありません。
「現在の水準を基準に考えています」と伝え、具体的な調整は選考が進んでからにするのが一般的な進め方です。
なお、退職手当や共済の扱いは在職期間で変わる部分があります。手続きの前に、必ず所属の人事担当課と共済組合で確認してください。公務員には雇用保険が適用されないため、辞めてから探すと収入のない期間がそのまま持ち出しになります(公務員に雇用保険がない理由)。
逆質問で聞いておくこと
1. 固定資産台帳と中長期の保全計画が、いまどの段階にあるか
管財課の強みは、台帳と計画に基づいて判断することです。そもそも何を持っているか分かっていない組織では、まず作るところから始まります。作る側に回る前提なら、そう言われたほうが準備できます。
2. 拠点を閉める判断は、誰がしているか
資産管理の部署が提案するのか、事業部門が決めるのか、経営が決めるのか。管財課は提案する側にいたので、同じ立場なら進め方がそのまま使えます。
3. 採算だけで判断できない拠点があるか
あると答える会社のほうが、この経歴は活きます。創業の地、労使の合意で維持している施設、取引先との関係で残している営業所。採算以外の基準で優先順位をつけてきた経験が、直接使えます。
つまずきやすい点
1. 最初の質問で枠を作らない
1文目で民間の職種名に置き換えてください。
2. 延べ床面積を言わない
規模がいちばん伝わる数字です。筆数、棟数、延べ床面積は暗記しておいてください。
3. 数字を持っていない
ほかに、台帳の件数、委託契約の件数、年間の維持管理費、対象施設数も必要です。概数で構いません。
4. 制約の話だけで終わる
動かした話を1つ用意してください。小さくても構いません。
5. 個別の相手方が分かる話をしてしまう
貸付け、減免、境界の紛争。判断の構造だけで話してください。
答え方の組み立ては、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 地方自治法第238条の4は、第1項で行政財産の処分を原則として禁じたうえで、第2項で「その用途又は目的を妨げない限度において」貸付けや私権の設定ができるとしています
- 制約の条文そのものが、余地の在りかを示しています
- 最初の質問では、1文目で「御社でいうとアセットマネジメントにあたる仕事です」と枠を作ってください
- 延べ床面積は必ず入れてください。規模がいちばん伝わる数字です
- 「制約の中で工夫した話」には、制約 → 余地の発見 → 実行 → 結果の順で答えます
- 制約の話だけで終わらせないでください。小さくても、動かした話を1つ用意してください
よくある質問
「公有財産」という言葉は、面接で使ってよいですか
一度説明を添えれば使えます。「自治体が持つ土地・建物や権利のことで、御社でいう固定資産にあたります」と一言足せば通じます。ただし、「行政財産」「普通財産」の区別まで説明し始めると長くなります。「用途を廃止すれば売れる区分に変えられる」という結論だけ言えば足ります。
施設の技術的な知識がなくても大丈夫ですか
方向によります。設備管理の求人では、技術的な理解が前提になることがあります。一方、資産管理や拠点再編の方向では、台帳・費用・計画を扱えることが中心なので、技術は前提になりません。面接では、「設備の技術的な判断は技術職が担い、自分は計画と契約を回していました」と正確に言ってください。
何社くらい受けるものですか
決まった数はありません。ただ、この経歴は「資産の管理」と「施設の運営」で求められるものが違うため、1方向に絞ると選択肢が少なくなります。アセットマネジメントとファシリティマネジメントのように、説明の型が近い2方向を並行して見ておくと、書類の作り直しが少なく済みます。方向ごとの違いは管財課からの転職先に整理しています。