財政課転職PUBLIC → PRIVATE 無料で相談する

業界研究 / ゼネコン・建設

未経験からゼネコン・建設に入るには|公務員経験の使い方

「現場の経験がなく、民間で働いたこともなく、建設の資格もない。それでもゼネコン・建設に入れるのか」——財政課の方からこの質問を受けたとき、当社の答えは「施工管理や設計の技術職には入れない。ただし、官公庁営業や契約・積算の事務系の枠なら、『発注者の予算と契約の内側』を知っていることが経験者として扱われる」です。

「未経験」と一括りにされているものは、3つの別のものです。施工の技術と資格がない(技術未経験)、民間企業で働いた経験がない(民間未経験)、発注者側の公共工事の予算と契約の仕組みを知らない(発注者側未経験)。ゼネコンの事務系の枠が重く見るのは3つ目で、財政課の方はここだけは経験者です。前の2つが未経験であることは、枠を選べば入り口を閉じません。

この記事では、「未経験」の3つの分解、財政課の経験が効く入り口の枠、資格の位置づけ、在職中にできる準備の順序、公務員が使えない支援制度と使える機会、服務の線を整理します。業界の構造と職種ごとの評価はゼネコン・建設は公務員のどの経験を評価するかに、選考の流れは選考フローと面接で見られている観点に、志望動機はゼネコン・建設の志望動機に書いています。建設コンサルに未経験から入る場合は未経験から建設コンサルタントに入るにはに書いており、入り口の考え方は共通しています。

業界構造の要点——「技術職」と「事務系」の線

建設業を営むには許可が要り(建設業法第3条第1項)、施工には主任技術者・監理技術者の設置が要ります(同法第26条)。会社の受注能力は技術者で決まり、技術職は資格と技術が前提です。一方で、公共工事(国・特殊法人等・地方公共団体が発注する建設工事——公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律第2条第2項)の受注は、発注者の予算と契約の仕組み——契約の方法(地方自治法第234条)、予定価格と最低制限価格(施行令第167条の10)、債務負担行為と繰越明許費(第214条・第213条)——に沿った営業と事務で左右されます。

この構造で押さえるべきことは、「技術職は財政課の経験では代替できない」線と、「官公庁営業と事務系は、発注者の内側の経験が評価される」枠が、同じ会社の中に並んでいることです。未経験から入る道は後者にあります。

「未経験」を3つに分ける

未経験の種類財政課の方の実態ゼネコンでの重み
発注者側未経験(公共工事の予算と契約を知らない)経験者。工事の予算査定、財源の組み方(起債・補助金・単独)、債務負担行為と繰越、積算と予定価格の関係、議会説明を実務で回している官公庁営業と事務系では最も重い。技術者が持っていない知識
民間未経験(会社で働いたことがない)未経験。ただし、受注者との折衝、検査、設計変更で「相手側」は見ている中程度。入社後の慣れで補える。選考では「入札で選ばれ、検査を受ける側」への転換の理解で見られる
技術未経験(施工の技術と資格がない)未経験技術職では決定的。官公庁営業と事務系では前提ではないが、工程と積算の基本的な用語は入社後に要る

財政課の方が「未経験」と感じているのは後ろの2つですが、事務系の枠で最も重いのは1つ目で、そこは経験者です。この認識を直すことが、応募できる枠を見つける最初の一歩です。

入り口になる枠——財政課の経験が効く順

1. 官公庁営業。自治体の発注の見通しを読み、入札への参加を判断し、提案する仕事です。予算の周期、財源の組み方、債務負担行為と繰越の使われ方、査定の視点を内側から知っていることが、そのまま価値になります。営業の型は入社後に学ぶ前提で採用されることが一般的で、最初の入り口として最も現実的な枠です。

2. 事務系(契約・積算・経理)。入札参加資格の管理、契約書、設計変更、検査と支払、工事の原価管理。公共工事の契約事務は自治体の制度に沿って進むので、財政課の経験が直接効く部分がありますが、民間の原価管理と企業会計は別途の学習が要ります。

3. PPP/PFI・事業企画。PFIの事業者グループの一員として公共施設の整備に関わる仕事です。財政負担の比較、債務負担行為、議会説明の経験が効きますが、事業収支と資金調達は学習が要り、1や2を経てから移ることが多い枠です。

4. 施工管理・設計(技術職)。未経験からの入り口としては現実的ではありません。施工管理技士などの資格と技術が前提で、財政課の経験だけで技術職に入る道は、当社の見る範囲では一般的ではありません。

入り口は1、次いで2、という順序が現実的です。「未経験だから」と技術の勉強から始める必要はなく、むしろ効く枠を先に探します。

資格の位置づけ——取るべきか

未経験の方から「施工管理技士や建築士を取ってから応募すべきか」と聞かれます。答えは、官公庁営業と事務系の枠では前提ではなく、取ることで技術職の枠が開くわけでもない(実務経験が要件になる)です。

技術者の資格は、建設業法第26条の主任技術者・監理技術者の設置に関わる会社側の要件で、施工管理の職種の前提です。事務系の枠で入る場合に必要なのは、資格ではなく、技術者と会話するための語彙(工程、積算の構成、設計変更の仕組み、検査の流れ)で、これは入社後に実務で学びます。

一方で、財政課の経験を示す材料として効くのは、資格より「予算と契約」の軸で棚卸しした業務の具体です。公共工事の予算査定、起債の協議、補助事業の査定、債務負担行為と繰越明許費の設定、設計変更に伴う予算の増減、議会での説明——それぞれで自分が何を判断し、何を作ったか。これが職務経歴書の中心です。

自分の業務の棚卸しが、どの会社のどの枠に当たるのかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。

在職中にできる準備——順序

1. 業務の棚卸し(建設の学習より先)。「予算と契約」の軸で、自分が判断し、作ったものを書き出す。「発注者側と受注者側が噛み合っていなかった場面」と「直した場面」(単年度→債務負担行為への組み替え、繰越の精査、設計変更の予算手当て)を中心に。

2. 自分の自治体の発注の見通しと入札結果を、受注者の視点で読み直す。公表されている発注見通し、入札の公告と結果、契約の相手方。「受注者はこの情報から何を読むか」「財政課としてどこを査定したか」の視点で読み直すと、業務のイメージがつかめます。

3. 「自治体が工事を出す理屈」を3分で話す練習。「いつ、どの予算で、どの契約の形で」を、予算の周期・財源・契約の形の3つで、公表資料の範囲で話せるようにしておきます。選考フローと面接で見られている観点に、質問の型を整理しています。

4. 建設の語彙を、必要な分だけ。工程の基本(着工、中間検査、竣工、引渡し)、積算の構成(直接工事費、共通仮設費、現場管理費、一般管理費)、設計変更の仕組み、検査と支払の流れ——技術者と会話するための語彙です。財政課で積算書を読んでいた方は、その延長で押さえられます。

5. 庁内の研修と、業務での機会。地方公務員法第39条は、職員に研修を受ける機会が与えられなければならないと定めています。契約事務、公共工事の積算、入札制度の庁内研修や、他の自治体との研究会は、在職中の正当な学習機会です。また、財政課として公共工事の予算査定、債務負担行為と繰越の設定、設計変更の予算に深く関わることは、そのまま経験になります。転職のためではなく、現在の業務としてこれらに関わることが、結果として最も強い準備です。

公務員が使えない支援制度と、代わりの機会

雇用保険の教育訓練給付金(雇用保険法第60条の2)は、対象が雇用保険の被保険者または被保険者でなくなってから一定期間内の人で、支給要件期間が3年以上あることが条件です。地方公務員は、離職時に条例等で受ける給与の内容が求職者給付等を超える場合、雇用保険法の適用除外なので(同法第6条第6号)、在職中の公務員はこの給付の対象になりません。建設関係の講座が指定の教育訓練になっていても、在職中は使えないということです。民間に転職した後、被保険者としての期間が要件を満たせば対象になります。

代わりに使えるのは、前述の庁内研修(地方公務員法第39条)と、自治体職員向けに開かれている外部の研修です。「転職の準備」としてではなく「今の業務の能率を上げる研修」として探すと、庁内の手続きも通りやすく、内容も業務に直結します。

行政が相手の求人は、掲載中のものから「官公庁営業・事務系の枠があるか」「未経験可の条件」が業務内容で見えます。行政が相手の求人を見てみる

服務の線——在職中の準備で触れてはいけないこと

1つ目は、自治体の内部資料を学習や応募の材料に使うこと。地方公務員法第34条の秘密を守る義務により、未公表の資料(個別の工事の予定価格、最低制限価格の算定、他社の入札状況、発注の未公表の見通し、設計変更の内部の判断)を持ち出して、勉強や応募の材料にすることはできません。入札に関わる情報は受注者側に直接の利害があるので、この線は特に厳しく見られます。棚卸しは公表資料の範囲で行い、資料を持ち出さないでください。

2つ目は、報酬を得る副業的な準備。地方公務員法第38条は、任命権者の許可なく、報酬を得て事業や事務に従事することを制限しています。ゼネコンから「入社前に自治体向けの提案を手伝ってほしい」「有償で助言してほしい」と言われた場合、許可なく報酬を受ければこの条文に触れます。在職中の副業・兼業の許可に、許可の仕組みを整理しています。

3つ目は、在職中に応募先の会社が受注した工事の予算査定や入札に関わっている場合。予定価格の積算の確認、入札の執行、検査、設計変更の承認に該当する場合は、選考の中で隠さず伝え、応募の時期と入社後の担当の切り分けを会社側と相談してください。退職後に元の職場へ働きかけることは地方公務員法第38条の2で規制されています。再就職者による働きかけの規制に整理しています。

内定後は、労働基準法第15条により労働条件が書面などで明示されるので、未経験での入社に伴う条件(研修期間、試用期間、就業場所に現場が含まれるか、業務の変更の範囲——労働基準法施行規則第5条第1号の3、転勤の範囲)を通知書で確かめてから承諾してください。

まとめ

よくある質問

30代後半で、建設も民間も未経験です。年齢で入り口は狭くなりますか

年齢そのものより、「自治体がいつ、どの予算で、どの契約の形で工事を出すかを、複数の自治体を相手にする視点で語れるか」で見られます。財政課の経験が長い方は、公共工事の予算査定、債務負担行為と繰越の設定、設計変更の予算を複数年度経験していることが多いので、官公庁営業で使う材料はむしろ豊富です。避けたほうがよいのは、年齢を理由に「若手向け」と書かれた技術職や一般的な営業の枠に絞ることで、経験を評価する官公庁営業の枠のほうが合う可能性が高いです。

施工管理技士を取ってから応募したほうが有利ですか

技術職を目指すなら実務経験と資格が要り、資格だけでは入り口は開きません。官公庁営業と事務系の枠では、資格が選考で有利になる度合いは限られ、それより公共工事の予算と契約を発注者側でどう見ていたかを具体的に説明できることのほうが、面接で重く見られます。技術者と会話するための語彙(工程、積算の構成、設計変更、検査)は、財政課で積算書を読んでいた延長で押さえられ、資格の取得を目的にする必要はありません。

在職中に、ゼネコンが主催する自治体向けの技術説明会に参加してよいですか

自治体の担当者として業務で参加する説明会は、業務そのものです。転職の準備として個人で参加する場合は、報酬を伴わず、勤務時間外で、内部の資料を持ち出さなければ、参加そのものは服務の線に触れません。ただし、主催する会社が自分の自治体の工事を受注している場合、在職中の関係の持ち方は慎重に扱う必要があるので、参加前に所属の服務担当に確認するのが安全です。入札に関わる業界なので、この点は他の業界より慎重に扱われます。在職中の副業・兼業の許可に、許可の要否の考え方を整理しています。

出典

  1. 建設業法 第3条(建設業の許可)/第26条(主任技術者及び監理技術者の設置等)|e-Gov法令検索
  2. 公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律 第2条(定義)|e-Gov法令検索
  3. 地方自治法 第213条(繰越明許費)/第214条(債務負担行為)/第234条(契約の締結)|e-Gov法令検索
  4. 地方自治法施行令 第167条の10(最低価格の入札者以外の者を落札者とすることができる場合)|e-Gov法令検索
  5. 地方公務員法 第34条(秘密を守る義務)/第38条(営利企業への従事等の制限)/第38条の2(再就職者による依頼等の規制)/第39条(研修)|e-Gov法令検索
  6. 雇用保険法 第6条(適用除外)/第60条の2(教育訓練給付金)|e-Gov法令検索
  7. 労働基準法 第15条(労働条件の明示)|e-Gov法令検索
  8. 労働基準法施行規則 第5条(労働条件の明示事項)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

「自分の経験に、どこで値段が付くのか」から相談できます

在職中でも、情報収集だけでも構いません。応募する求人が決まっていない段階のほうが、むしろ整理する意味があります。ご利用はすべて無料です。