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制度とお金 / 給与・手当

60歳以降の給与|定年引上げ後の水準

定年の引上げにより、60歳を超えて常勤職員として働く期間が生じます。その給与を考えるときは、俸給・給料の水準、役職定年による職の変更、各種手当を分けて確認する必要があります。「60歳になったら手取りが一律に7割」と理解するのは適切ではありません。

この記事は、主に常勤のまま引き続き働く場合を扱います。国の制度を例に、適用される日と給与の項目、本人が確認する順番を整理します。地方公務員の具体的な扱いは条例・規則によります。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。本人の生年月日、職種、役職、任用区分を伝え、人事・給与担当へ確認してください。

7割措置は、誕生日からの手取りの割合ではない

国の一般職給与法附則第8項は、当分の間、原則として60歳に達した日後の最初の4月1日以後の俸給月額を、適用する俸給表の級・号俸に応じた額の7割とする仕組みを定めています。人事院の令和8年4月のパンフレットは、この日を特定日として説明しています。

ここでは、何歳からという表現より、具体的な日付を確認することが大切です。60歳に達した日と特定日、給与明細に反映される支給日を分けます。人事院の案内には、60歳に達した日は誕生日の前日であるとの説明もあります。特に年度の境目に誕生日がある場合などは、本人の適用日を担当へ確かめてください。

また、7割の対象となるのは、基本給に当たる俸給月額を中心とする制度です。手当や税・共済掛金を含めた給与明細の振込額へ、そのまま7割を掛けるものではありません。毎月の支給額と控除を分けた見込みが必要です。

地方公務員法第24条・第25条は、給与の条件を条例で定め、条例に基づいて支給するとしています。所属の条例で、対象職員、適用日、給料月額の計算、例外や経過措置を確認します。国の説明を、そのまま自分の自治体の確定した条件にしないようにします。

全職種・全任用区分に同じ時期で適用されるとは限らない

人事院のパンフレットには、旧定年の異なる官職等について、措置の始まる年齢が異なる例や、対象とならない職員の区分が示されています。任期を定めて任用される職員や非常勤職員などについても、通常の常勤職員と同じ条件ではありません。

したがって、同じ年齢の同僚の説明だけで自分の給与を判断しないことが必要です。職務と責任の特殊性、特例定年、勤務延長等が関係する場合は、その扱いを人事担当に確認します。例外の存在を知っただけで、自分も対象外になるとは考えないでください。

年度ごとの定年年齢も確認します。定年が最終的に引き上がる年齢と、自分が退職する年度の定年が同じとは限りません。給与の適用日と定年退職日を別々に示してもらうと、その間にどの制度で働くかを整理できます。

確認する日・区分人事担当へ聞く内容
自分の職種と任用区分常勤継続の給与措置の対象か
生年月日に対応する適用日いつから給料の扱いが変わるか
役職定年の対象と異動日どの職へ、いつ移るか
定年退職日いつまで常勤で勤務する制度か
例外や経過措置自分に適用される規定があるか

外の仕事も調べる場合は、行政が相手の求人を見てみることができます。現在の制度を確かめる作業と並行して、担当業務と勤務条件を比較します。

役職定年と給与措置は、別の制度として確認する

地方公務員法第28条の2は、条例で定める管理監督職勤務上限年齢に達した職員について、一定の異動期間内に他の職へ降任等を行う仕組みを定めています。いわゆる役職定年です。定年による退職そのものとは異なり、管理監督職以外の職等で勤務を続ける場合があります。

国の案内でも、役職定年による異動と、特定日からの7割措置は分けて説明されています。役職を離れる日と給料措置の適用日が同じとは限りません。役職の変更で、級や号俸、役職に関係する手当の扱いが変わる場合は、その前後を確認します。

ここで、役職定年による給与の変化と7割措置を単純に重ね、二重に減った額だけで将来を見積もるのも適切ではありません。国には、管理監督職勤務上限年齢による降任等に伴う俸給の減額に対応する、管理監督職勤務上限年齢調整額の仕組みがあります。

人事院のパンフレットは、特定日以後の7割措置後の俸給に調整額を合わせる基本的な計算を示し、上限や個別の算出方法も説明しています。調整額があるからすべての給与が以前のままという意味ではなく、また、誰にでも同じ加算があるという意味でもありません。地方では対応する条例上の調整額と適用要件を確認します。

給料本体、調整額、各手当を分けて見積もる

見込みを照会する際は、まず給料表の種類、役職変更前後の級・号給、措置の適用日を伝えます。調整額が関係する場合は、給料本体と分けて示してもらいます。計算の途中で使う基礎額と、実際に支給される額を混同しないことが必要です。

人事院の案内は、俸給月額に連動する手当などと、7割水準にしない手当を区別しています。すべての手当へ一括して7割を掛ける計算ではありません。自分の明細の手当を一つずつ挙げ、支給要件と算定基礎を確認します。

役職の変更で管理職に関係する手当が終わる場合には、今後の時間外勤務等の扱いも合わせて質問します。手当を受ける対象となることと、実際にその勤務が発生して支給されることは別です。将来の勤務実績を、確定した給与として加えないようにします。

賞与に当たる期末・勤勉手当も、基礎額、対象期間、勤務成績等を確認します。給与の変更月を含む初年度と、変更後の条件で通年勤務した場合を別に試算してもらうと、過渡期と通常時の違いを把握できます。

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再任用へ移る場合は、給与の前提を切り替える

常勤を継続する場合の給与措置と、退職後の再任用は、同じ計算ではありません。定年前再任用短時間勤務は、退職と選考を経て短時間の職へ採用される制度です。暫定再任用にも、フルタイムと短時間の区分があります。

再任用では、職務の級ごとの基準額と勤務時間による給与を確認します。常勤継続の見込みに、単純に勤務日数の割合を掛けて再任用の額を作ることは避けます。詳しくは再任用職員の給与に整理しています。

会計年度任用職員など別の任用を考える場合も、それぞれの給与条例と条件によります。働く時間が短いという共通点だけで、再任用と同じ処遇だと考えないようにします。対象制度、任期、職務、給与と手当を同じ項目で並べます。

退職手当、年金、控除は別の窓口でも確認する

給料が減ることと、退職手当の見込みが同じ割合で減ることは同一ではありません。人事院のパンフレットには、定年引上げ後の給与減額に対応する退職手当の計算上の特例が示されています。地方で自分にどう適用されるかは、退職手当条例と担当窓口で確認します。

年金の支給開始や在職中の調整も、給料の措置とは別です。一般的な取扱いとして、本人の年齢や加入記録、就労の状況などにより確認が必要になります。所属の共済組合や年金事務所へ、常勤継続と再任用などの候補条件を伝えて尋ねます。

税や共済の掛金等の控除も、給料と同じ比率で変わるとは限りません。給与担当には、額面の見込みか、控除まで反映した見込みかを確認します。税の個別の適用や申告の判断は、税務署等へ確認してください。

情報提供の機会に、本人の確認事項をまとめる

国の情報提供・意思確認制度は、60歳以降に適用される任用、給与、退職手当等の制度を事前に知り、働き方の意思を伝えるための仕組みです。地方でも、所属の説明会や人事面談、資料の提供がある場合は、対象と日程を確認します。

質問は、制度の一般説明と個人の条件に分けます。「7割措置とは何か」を知った後に、「自分の適用日、役職変更後の給与、調整額、退職手当をどの前提で試算するか」を尋ねます。希望する勤務時間や担当業務も、給与額とは別に伝えます。

担当してきた仕事の整理については、LINEで短く聞くこともできます。個別の給与計算は所属の人事・給与担当に確認します。

よくある質問

60歳の誕生日に、給与がすべて7割へ変わりますか

国の原則的な措置は、60歳に達した日後の最初の4月1日以後の俸給月額に関するものです。手取りの全項目を一律に7割にする制度ではありません。例外や任用区分もあるため、所属で自分の具体的な適用日を確認します。

役職定年で給料が下がり、その後さらに7割になりますか

制度を単純に重ねた計算だけでは確認できません。国には、役職定年による降任等に対応する管理監督職勤務上限年齢調整額があります。給料本体、調整額、手当を分け、地方では所属の条例の適用を給与担当へ尋ねてください。

退職して短時間で再任用されても、同じ給与の仕組みですか

異なります。常勤継続の給与措置と、再任用の基準額・勤務時間による給与は分けます。退職と採用、任期、手当、保険や年金も合わせて確認し、常勤の見込みへ単純に時間の割合を掛けないようにします。

出典

  1. 一般職の職員の給与に関する法律 附則第8項等
  2. 地方公務員法 第24条・第25条・第28条の2
  3. 人事院 国家公務員の60歳以降の働き方について(令和8年4月)
  4. 人事院 定年引上げ・再任用制度FAQ(令和8年4月)
  5. 人事院 管理監督職勤務上限年齢制
  6. 人事院 情報提供・意思確認制度

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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