制度とお金 / 給与・手当
休職中の給与はどうなるか
休職を命じられたとき、あるいは休職を考えなければならなくなったとき、まず気になるのは「給与はいつまで、どれだけ出るのか」です。
公務員の休職中の給与は、原則として支給されず、法律に定めがある場合だけ、一定の期間、一定の割合が支給される仕組みです。割合は休職の事由で変わり、対象になる手当とならない手当があります。この記事では、国の給与法第23条を例に、事由別の支給割合、対象になる手当、期末手当・勤勉手当・退職手当への影響、共済の傷病手当金との関係を整理します。
病気休暇と病気休職の違い、休職の期間の上限は病気休暇と病気休職に、復職の手続は復職の仕組みに書いています。この記事は給与の面だけを扱います。地方公務員の休職の効果は条例で定めるので(地方公務員法第28条第3項)、自分の扱いは所属の条例と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
休職は「原則無給」から始まる
地方公務員法第28条第2項は、職員の意に反して休職できる場合として、心身の故障のため長期の休養を要する場合と、刑事事件に関し起訴された場合を挙げています。条例で定める事由による休職もあります(第27条第2項)。
国家公務員法第80条は、休職者は職員としての身分を保有するが職務に従事せず、給与に関する法律で別段の定めをしない限り、何らの給与を受けてはならないとしています。出発点は無給で、例外を定めているのが給与法第23条です。地方公務員の給与条例も、この国の形を参考に休職者の給与を定めていることが多いので、ここでは国の条文で読みます。
事由別の支給割合——給与法第23条
| 休職の事由(国) | 支給の期間 | 支給の内容 |
|---|---|---|
| 公務上・通勤による負傷や疾病による休職(第1項) | 休職の期間中 | 給与の全額 |
| 結核性疾患による休職(第2項) | 休職の期間が満2年に達するまで | 俸給・扶養手当・地域手当・広域異動手当・研究員調整手当・住居手当・期末手当のそれぞれ100分の80を支給できる |
| その他の心身の故障による休職(第3項) | 休職の期間が満1年に達するまで | 同じく100分の80を支給できる |
| 刑事事件に関し起訴されたことによる休職(第4項) | 休職の期間中 | 俸給・扶養手当・地域手当・広域異動手当・研究員調整手当・住居手当の100分の60以内を支給できる(期末手当は含まない) |
| 人事院規則で定める休職(第5項。学術研究への従事など) | 休職の期間中 | 規則の定めにより、100分の100以内を支給できる |
読むときのポイントは3つです。
1. 病気休職の80%は「満1年まで」。国では、その他の心身の故障による休職の期間が満1年に達した後は、給与の支給はありません。休職の期間そのものは3年を超えない範囲で定められるので(人事院規則11-4第5条)、休職の期間と、給与が出る期間は一致しません。
2. 80%の対象は列挙された手当だけ。第2項・第3項に並ぶのは、俸給、扶養手当、地域手当、広域異動手当、研究員調整手当、住居手当、期末手当です。第6項は、休職者にはこれらのほか他のいかなる給与も支給しないとしています。通勤手当や時間外勤務手当、勤勉手当は、休職中は支給されないと読めます。
3. 「支給することができる」と書かれている。第1項の全額は「支給する」ですが、第2項〜第5項は「支給することができる」です。地方では、条例でどの割合をどの期間支給するかを定めます。
期末手当・勤勉手当への影響
休職中の給与と別に、賞与にあたる2つの手当にも影響があります。
| 手当 | 扱い(国の例) |
|---|---|
| 期末手当(給与が出ている期間) | 第2項・第3項の休職では、期末手当も100分の80の対象(第23条) |
| 期末手当(無給になった後) | 基準日に無給休職者・刑事休職者である職員には支給しない(人事院規則9-40第1条) |
| 期末手当の在職期間 | 休職の期間は2分の1を除算(同規則第5条第2項第5号。公務上の傷病による休職などは除く) |
| 勤勉手当の勤務期間 | 休職の期間は除算(同規則第11条第2項第5号) |
なお、第2項・第3項・第5項の休職者が、給与の出る期間内で、基準日前1か月以内に退職した場合には、その例による額の期末手当を支給できる規定もあります(第23条第7項)。期末手当と勤勉手当の仕組みは期末手当と勤勉手当にまとめています。
共済の傷病手当金との関係
給与が減ったり無給になったりした後の生活を支えるのが、共済組合の傷病手当金です。公務によらない病気や負傷の療養のため引き続き勤務できない場合に、勤務できなくなった日から3日を経過した日以後、支給されます(地方公務員等共済組合法第68条第1項)。額は1日につき、直近12か月の標準報酬の月額の平均額の22分の1の3分の2で(第68条第2項)、支給期間は通算して1年6月間(結核性の病気は3年間)です(同条第4項)。
休職中に給与の一部が出ている間は、その額を基準として政令で定める限度で、傷病手当金の全部または一部が支給されないとされています(第71条第1項)。給与が出ている期間は、給与が中心で傷病手当金は差額の調整にとどまり、給与が終わった後は傷病手当金が中心になる、という順番です。退職後に傷病手当金を受け続けられる場合の扱いは共済の短期給付に書いています。
退職手当への影響
国家公務員退職手当法第7条第4項は、在職期間のうちに休職月等があるときは、その月数の2分の1に相当する月数を在職期間から除算すると定めています。公務上の傷病による休職などは除かれます。自治体の退職手当条例も国に準じた定めを置いていることが一般的です。休職が長引くほど、退職手当の基礎になる在職期間が短く数えられます。
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転職するとどうなるか
1. 休職中に退職すると、給与はその日で止まる
退職すれば休職者ではなくなるので、休職者の給与もそこで終わります。傷病手当金は、1年以上組合員であった人が退職の際に受けていれば、継続して支給される定めがあります(第68条第5項)。ただし、他の組合の組合員の資格を取得したときは、この限りでないとされています。
2. 転職先の休職制度は会社ごとに違う
民間企業の休職制度は、法律で一律に定められたものではなく、就業規則によります。休職中に給与が出るか、休職の期間がどれだけあるかは会社によって違うので、内定の段階で就業規則を確かめてください。
3. 休職の経歴の伝え方
休職の事実を転職先にどう伝えるかは、メンタル不調による休職と転職と休職中の転職活動にまとめています。
手続きと確認のしかた
- 休職の事由と発令日:辞令で確かめる。事由によって給与の割合が違う(給与法第23条)
- 給与が出る期間の終わる日:国の病気休職なら発令から満1年。自治体は条例による
- 対象になる手当:自分の明細で、どの手当が何割になるか
- 傷病手当金の請求:共済組合へ。給与との調整の扱いも合わせて確かめる
- 期末手当・勤勉手当・退職手当の見込み:人事担当課へ照会する
誤解されやすい点
「休職中はずっと給与の8割が出る」と思い込む
国では、病気休職の100分の80は休職の期間が満1年に達するまでです(第23条第3項)。休職の期間は3年まで定められるので、後半は無給になりえます。
「休職すると一切お金が入らない」と思い込む
公務上の傷病による休職は全額が支給され(第1項)、病気休職は一定期間100分の80を支給できる定めがあります。給与が終わった後も、共済の傷病手当金があります(共済法第68条)。
「給与と傷病手当金を両方満額もらえる」と思い込む
給与の一部が出ている間は、その額に応じて傷病手当金の全部または一部が支給されません(第71条第1項)。
「通勤手当も8割出る」と思い込む
第2項・第3項に列挙されているのは俸給・扶養手当・地域手当・住居手当・期末手当などで、通勤手当は入っていません。第6項は、これら以外の給与を支給しないとしています。
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まとめ
- 休職者は職を保有するが職務に従事せず、法律に別段の定めがない限り給与を受けない(国家公務員法第80条)。地方は条例で定める(地方公務員法第28条第3項)
- 国では、公務上・通勤による傷病の休職は全額、結核性疾患は満2年まで、その他の心身の故障は満1年まで、列挙された手当の100分の80を支給できる(給与法第23条)
- 刑事休職は100分の60以内(期末手当を含まない)
- 通勤手当・勤勉手当などは休職中は支給されない(第23条第6項、人事院規則9-40第11条)
- 給与が出ている間は傷病手当金と調整され、無給になった後は傷病手当金が中心になる(共済法第68条・第71条)
- 休職の月は、退職手当の在職期間から2分の1が除算される(国家公務員退職手当法第7条第4項)
よくある質問
休職中も住民税や共済の掛金は差し引かれますか
給与が出ている間は、一般的にはその給与から差し引かれます。住民税は前年の所得にもとづいて決まるので、休職で給与が減っても、その年度の税額はすぐには変わりません。給与が無給になった後は、給与から差し引けないので、納め方を人事担当課や共済組合、市区町村から案内されるのが一般的です。扱いは所属と自治体によって違うので、休職に入る前に人事担当課と共済組合に確かめてください。住民税の仕組みは住民税の記事にまとめています。
休職の期間が満1年を超えると、すぐに無給になりますか
国の給与法第23条第3項では、その他の心身の故障による休職の100分の80の支給は、休職の期間が満1年に達するまでとされています。その後は給与が支給されず、共済の傷病手当金が受けられる場合は、それが所得の中心になります。傷病手当金は支給の開始から通算して1年6月間が上限です。自治体の支給期間と割合は条例によるので、自分の発令日から数えた終わる日を人事担当課で確かめてください。
公務災害で休職した場合も同じ扱いですか
国では、公務上または通勤による負傷や疾病による休職は、休職の期間中、給与の全額が支給されます(給与法第23条第1項)。期末手当の在職期間の除算や退職手当の在職期間の除算も、公務上の傷病による休職は除かれる扱いです。公務災害と認定されるかどうかは手続によって決まり、補償は傷病手当金ではなく公務災害補償の仕組みになります。くわしくは公務災害の補償をご覧ください。
出典
- 地方公務員法 第27条第2項/第28条第2項・第3項(休職)|e-Gov法令検索
- 国家公務員法 第79条(本人の意に反する休職の場合)/第80条(休職の効果)|e-Gov法令検索
- 一般職の職員の給与に関する法律 第23条(休職者の給与)|e-Gov法令検索
- 人事院規則一一―四(職員の身分保障) 第3条(休職の場合)/第5条(休職の期間)|e-Gov法令検索
- 人事院規則九―四〇(期末手当及び勤勉手当) 第1条/第5条(期末手当に係る在職期間)/第11条(勤勉手当に係る勤務期間)|e-Gov法令検索
- 地方公務員等共済組合法 第68条(傷病手当金)/第71条(報酬との調整)|e-Gov法令検索
- 国家公務員退職手当法 第7条第4項(在職期間の除算)|e-Gov法令検索