制度とお金 / 給与・手当
給料表の読み方|級と号給で何が決まるか
給与明細の「給料」の欄に載っている金額は、どこから来ているのか。辞令に書かれた「行政職給料表 3級 25号給」のような記載は、何を意味しているのか。採用されてから毎年見ているはずなのに、表そのものを開いたことがない方は少なくありません。
公務員の給料月額は、条例で定める給料表の上で、「級」と「号給」の交点として決まります。級は担っている職務の重さ、号給は同じ級の中での位置です。この記事では、給料表の根拠になる条文、表の読み方、級と号給がそれぞれ何で決まるか、転職を考えるときにどう読めばよいかを整理します。
給料表の具体的な額、級の数、号給の数は自治体ごとに違います。この記事では特定の額を示しません。自分の位置と額は、所属の給与条例と人事担当課で確かめてください。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。
給料表は条例で定める——地方公務員法第24条・第25条
地方公務員の給与は、まず職務と責任に応ずるものでなければならないとされています(地方公務員法第24条第1項)。そのうえで、生計費、国や他の自治体の職員の給与、民間の給与などを考慮して定め(同条第2項)、給与その他の勤務条件は条例で定める(同条第5項)とされています。
第25条は、条例に何を書くかを具体的に定めています。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 第25条第1項 | 給与は条例に基づいて支給しなければならず、条例に基づかずに金銭や有価物を支給してはならない |
| 第25条第3項 | 給与に関する条例に定める事項として、第1号「給料表」、第2号「等級別基準職務表」、第3号「昇給の基準に関する事項」、手当に関する事項などを挙げる |
| 第25条第4項 | 給料表には、職務の複雑、困難及び責任の度に基づく等級ごとに、明確な給料額の幅を定めなければならない |
| 第25条第5項 | 等級別基準職務表には、職務を等級ごとに分類する際の基準となる職務の内容を定めなければならない |
つまり給料表は、「職務の重さで等級に分け、等級ごとに額の幅を持たせた表」として、法律で形が決められています。条文の「等級」が、給料表では一般に「級」と呼ばれています。
縦に号給、横に級——表の読み方
給料表は、横に級(1級、2級、3級……)、縦に号給(1号給、2号給……)が並ぶ一覧表です。自分の級の列と、自分の号給の行が交わる欄の額が、その月の給料月額になります。
| 要素 | 表すもの | 変わるとき |
|---|---|---|
| 給料表の種類 | 職種の区分(行政職、技能労務職、医療職、教育職など) | 職種が変わったとき |
| 級 | 職務の複雑、困難及び責任の度。係員、主任、係長、課長補佐、課長といった職の段階と対応する | 昇格・降格 |
| 号給 | 同じ級の中での位置。経験と勤務成績の積み上げ | 昇給(毎年の定期の昇給など)、昇格・降格時の号給の決定 |
読むときのポイントは3つです。
1. 級ごとに号給の数と額の幅が違う。第25条第4項が等級ごとに「明確な給料額の幅」を求めているため、級ごとに最低の額と最高の額、号給の数が決まっています。自分の級に何号給まであるかは、表で確かめます。
2. 級の最後の号給より上はない。同じ級に長くいると、いずれ最高の号給に届き、それ以上は昇給しません。国の法律では「昇給は、その属する職務の級における最高の号俸を超えて行うことができない」とされています(給与法第8条第9項)。
3. 隣り合う級の額の幅は、つながったり重なったりする。級ごとに幅を持たせた表なので、下の級の上のほうの号給と、上の級の下のほうの号給の額が近いことがあります。昇格したときにどの号給になるかは、国では人事院規則で表として決められています。
国家公務員の場合は同じものを「俸給表」「職務の級」「号俸」と呼びます。地方では「給料表」「級」「号給」と呼ぶことが多く、仕組みの考え方は同じです。
国の俸給表と級の目安——給与法第6条と標準職務表
多くの自治体の給料表は、国の俸給表を参考に作られています。国の構造を知っておくと、自分の表も読みやすくなります。
給与法第6条第1項は、俸給表の種類として行政職俸給表(一)・(二)、専門行政職、税務職、公安職、海事職、教育職、研究職、医療職、福祉職、専門スタッフ職、指定職の各俸給表を挙げています。同条第3項は、職員の職務をその複雑、困難及び責任の度に基づいて職務の級に分類し、分類の基準となる標準的な職務の内容は人事院が定めるとしています。
その標準的な職務を示すのが、人事院規則9-8の別表第一「標準職務表」です(第3条)。行政職俸給表(一)では、たとえば次のように書かれています。
| 級 | 標準的な職務(行政職俸給表(一)・抜粋) |
|---|---|
| 1級 | 定型的な業務を行う職務 |
| 2級 | 主任の職務、特に高度の知識又は経験を必要とする業務を行う職務 |
| 3級 | 本省・管区機関・府県単位機関の係長の職務など |
| 5級 | 本省の課長補佐の職務、府県単位機関の課長の職務など |
| 7級 | 本省の室長の職務、府県単位機関の長の職務など |
| 10級 | 本省の特に重要な業務を所掌する課の長の職務など |
自治体では、これに当たるものが条例の等級別基準職務表(地方公務員法第25条第3項第2号)です。「1級は係員」「3級は係長」のように、どの職がどの級に当たるかが書かれています。級の数、級と職の対応、各級の額は自治体ごとに条例で決まるので、国の表をそのまま自分に当てはめないでください。
給料表に載っていないもの
給料表が決めるのは給料月額だけです。給与明細の総支給額は、これに手当が加わったものです。
地方自治法第204条は、常勤の職員に給料と旅費を支給するとしたうえで(第1項)、扶養手当、地域手当、住居手当、通勤手当、時間外勤務手当、期末手当、勤勉手当などを条例で支給できるとしています(第2項)。
| 区分 | 決まり方 |
|---|---|
| 給料月額 | 給料表の級と号給 |
| 給料月額に連動する手当 | 地域手当や期末手当・勤勉手当などは、給料月額などを基礎に割合を掛けて計算されることが多い |
| 給料月額と別に決まる手当 | 扶養手当、住居手当、通勤手当などは、家族や住まい、通勤の事情で決まる |
給料月額が上がると、連動する手当も動きます。逆に、給料表の額だけを見ても、年間の受取額は分かりません。
転職するとどうなるか
民間企業に移ると、給料表は使われなくなります。転職を考えるときに効いてくる点は3つです。
1. 号給は持ち越せない
民間の給与は、その会社の等級制度や個別の提示で決まります。「何号給だったか」は、転職先の給与の算定には基本的に使われません。比べるときは、級と号給ではなく、給料月額と手当を合わせた年間の額で並べます。
2. 級は「担っていた職務の重さ」の説明に使える
級は職務の複雑、困難及び責任の度に基づいて分類されたものです。応募書類では「3級」ではなく、「係長として予算要求の取りまとめを担当」のように職と仕事の中身で書くほうが伝わります。
3. 退職手当は給料月額が基礎になる
退職手当の基本額は、退職日の給料月額を基礎に計算されます。級と号給が退職の時期によって変わるなら、その分も見込みに入ります。仕組みは基本額の計算の考え方に書いています。
辞めてから公務員に戻る道もありますが、その場合は新規採用として号給が決め直されます。辞めた公務員は戻れるかも合わせてご覧ください。
自分の経歴がどう言い換えられるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。相談の申込みはこちら
自分の級と号給を確かめる手順
| 順序 | 確かめること | どこで |
|---|---|---|
| 1 | 自分の給料表の種類、級、号給 | 辞令、給与明細、人事給与システムの画面 |
| 2 | その欄の給料月額と、同じ級の最高の号給 | 給与条例の別表(例規集で公開されていることが多い) |
| 3 | どの職がどの級に当たるか | 条例の等級別基準職務表 |
| 4 | 級ごとの職員数 | 任命権者の報告を長が取りまとめて毎年公表(地方公務員法第58条の3) |
| 5 | 自治体全体の給与水準 | 各自治体の「給与・定員管理等の状況」、総務省の調査結果 |
例規集は多くの自治体がウェブで公開しています。表が読み取りにくいときは、人事担当課や給与担当に「自分の給料表と級・号給」を尋ねれば確かめられます。
誤解されやすい点
「号給が高いほど偉い」と思い込む
号給は同じ級の中での位置です。職務の重さを表すのは級です。号給の数字だけを他の人と比べても、級が違えば意味がありません。
「級は年数で自動的に上がる」と思い込む
級が上がる昇格は、職務と勤務成績にもとづいて決まります(国では人事院規則9-8第20条)。年数だけで決まる仕組みではありません。
「給料表の額=月の手取り」と思い込む
給料表の額は給料月額です。手当が加わり、税・社会保険料・共済掛金が差し引かれて手取りになります。
「国の俸給表と同じ額だろう」と思い込む
給料表は自治体ごとに条例で定めます。国の表を参考にしていても、額や級の構成が違うことがあります。
在職中でも、情報収集だけでも構いません。LINEで短く聞くこともできます
まとめ
- 地方公務員の給与は職務と責任に応ずるものとされ、条例で定める(地方公務員法第24条)。条例には給料表・等級別基準職務表・昇給の基準を定める(第25条第3項)
- 給料表は、職務の複雑、困難及び責任の度に基づく等級ごとに給料額の幅を定めた表(第25条第4項)。級と号給の交点が給料月額になる
- 級は職務の重さ、号給は同じ級の中での位置。級の最高号給より上には昇給しない(国の例:給与法第8条第9項)
- どの職がどの級に当たるかは、条例の等級別基準職務表で決まる。国の目安は人事院規則9-8の標準職務表
- 給料表が決めるのは給料月額だけで、手当は地方自治法第204条にもとづき条例で別に定める
- 転職では号給は持ち越せない。比べるときは年間の額で、応募書類では級ではなく職と仕事の中身で書く
よくある質問
自分の給料表と級・号給はどこで分かりますか
辞令、給与明細、人事給与システムの画面のいずれかに書かれていることが多いです。採用や昇格、昇給のときに交付される辞令や通知には、適用される給料表と級・号給が記載されるのが一般的です。給与明細には給料月額だけが載っていて、級と号給が書かれていない様式もあります。その場合は、人事担当課や給与担当に尋ねれば教えてもらえます。級と号給が分かったら、給与条例の別表(給料表)で、その欄の額と、同じ級の最高の号給を確かめます。条例は自治体の例規集で公開されていることが多いです。自分の位置と表の両方を見ると、この先の昇給の余地も読み取れます。
給料表の額は毎年変わりますか
人事委員会の勧告などを受けて、条例改正で給料表そのものが改定されることがあります。地方公務員法第26条は、人事委員会が毎年少なくとも1回、給料表が適当かどうかを議会と長に報告し、給料額を増減することが適当と認めるときは勧告できると定めています。勧告を受けて条例が改正されると、同じ級・同じ号給でも額が変わります。これとは別に、毎年の昇給で自分の号給が進めば、表が変わらなくても給料月額は上がります。「表の改定」と「自分の号給が進むこと」は別の動きとして見てください。人事委員会を置いていない自治体の改定の進め方は、自治体によって異なります。
民間の内定先に、今の給料をどう伝えればよいですか
級と号給ではなく、給料月額と手当を合わせた年間の額で伝えるのが一般的です。民間の採用担当は給料表を見ても額を読み取れないため、源泉徴収票の支払金額など、年間でいくら受け取っていたかの数字で比べます。その際、給料月額、地域手当などの月々の手当、期末手当・勤勉手当、時間外勤務手当がそれぞれいくらかを分けておくと、提示額との差がどこから来ているのかを説明しやすくなります。社会保険料や共済の掛金、退職手当の扱いも民間とは違うので、手取りや将来の受取額まで含めて比べたいときは、所属の共済組合や人事担当課で確かめてください。個別の税や社会保険の扱いは、税務署や年金事務所で確かめるのが確実です。