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制度とお金 / 任用

非常勤職員と常勤職員の違い

「常勤」と「非常勤」。自治体の職員の区分として日常的に使う言葉ですが、法律上、何がどう違うのかを条文で説明できる人は多くありません。転職の場面では、この違いが3つの形で効きます。自分が退職した後に非常勤として自治体に関わる場合、転職先で自治体の任用の形態を説明する場合、そして民間の正社員・契約社員・パートと公務員の区分を対応づける場合です。

常勤職員と非常勤職員の違いは、任期、定数、身分保障、給与の体系(給料か報酬か)、共済、退職手当、服務の範囲に表れます。根拠は、地方公務員法の任用の規定と、地方自治法の給与の規定に分かれています。

この記事では、常勤と非常勤の法律上の違いを、条文ごとに整理し、転職の場面で効く点をまとめます。非常勤の各制度(会計年度任用職員、定年前再任用短時間勤務など)の細目は条例によるので、個々の制度は人事の担当課で確かめてください。

区分の全体

区分主な職根拠
常勤の職員常時勤務を要する職を占める一般職の職員(正規の職員、任期付職員、フルタイムの会計年度任用職員)地方公務員法第3条第2項(一般職)、地方自治法第172条
短時間勤務職員定年前再任用短時間勤務職員、任期付短時間勤務職員地方公務員法第22条の4
非常勤の職員(一般職)パートタイムの会計年度任用職員地方公務員法第22条の2第1項第1号
非常勤の職員(特別職)臨時または非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員など(専門的な知識経験に基づき助言・調査・診断などを行う職に限る)、委員会・審議会の構成員地方公務員法第3条第3項第2号・第3号

「非常勤」には、一般職の会計年度任用職員と、特別職の非常勤(専門的な助言などを行う職)の両方が含まれます。特別職の非常勤は、地方公務員法の服務などの規定が原則として適用されず、一般職の非常勤とは別の扱いです。

条文ごとの違い

項目常勤の職員非常勤の職員(パートタイムの会計年度任用職員)根拠
定数条例で定める定数の範囲内定数の対象外地方自治法第172条第3項
任期原則として任期なし(定年まで)会計年度の末日まで(最長)地方公務員法第22条の2第2項
条件付採用6か月1か月第22条、第22条の2第7項
給与の名称給料と手当報酬、費用弁償、条例による期末手当・勤勉手当地方自治法第204条、第203条の2
身分保障分限・懲戒の規定により、法定の事由がなければ意に反して免職・降任されない任期の範囲内では同様の身分保障。任期の満了で退職第27条、第28条
共済組合員勤務時間により、健康保険・厚生年金または国民健康保険・国民年金地方公務員等共済組合法
退職手当条例により支給原則として対象外退職手当条例
営利企業への従事等の制限対象対象外(第38条第1項ただし書)第38条
その他の服務適用適用(守秘義務、職務専念義務、信用失墜行為の禁止など)第30条〜第37条

「常勤か非常勤か」で変わるのは、任期・定数・給与の名称・共済・退職手当・第38条で、変わらないのは守秘義務などの服務です。

短時間勤務職員——常勤と非常勤の間

定年前再任用短時間勤務職員(第22条の4)と任期付短時間勤務職員は、「短時間勤務の職」を占める職員で、常勤の職員ではありませんが、パートタイムの会計年度任用職員とも違います。

項目短時間勤務職員
任期定年前再任用は定年退職日相当日まで。任期付短時間は3年以内(条例で5年)
給与地方自治法第204条により給料と手当(常勤の職員と同じ体系。勤務時間に応じた額)
定数条例の定数に含める扱いが一般的(自治体による)
第38条対象(第38条第1項ただし書は短時間勤務の職を占める職員を除外の対象から外している)

「短時間勤務職員は、勤務時間が短いだけで、身分と給与の体系は常勤に近い」という位置づけです。

民間の区分との対応——転職先で説明するとき

民間の区分対応する公務員の区分(近い形)違い
正社員常勤の職員(任期なし)公務員は分限の事由がなければ免職されない身分保障。民間は解雇のルール
契約社員(有期)任期付職員、フルタイムの会計年度任用職員任期付は最長5年、会計年度任用は年度内。民間の有期は5年で無期転換の申込権
パート・アルバイトパートタイムの会計年度任用職員公務員は報酬と条例の手当。民間はパートタイム・有期雇用労働法の均等・均衡の規定
嘱託・顧問特別職の非常勤(顧問、参与など)公務員の特別職は地方公務員法の服務が原則として適用されない

転職先で「自治体の会計年度任用職員は民間の何に当たるか」を聞かれたら、この対応表で説明できます。自治体向けの企業では、自治体の人件費や人員の構造を理解するうえで、この区分の理解が提案の精度に効きます。

転職の場面で効く点

場面効く点
退職後に非常勤として自治体に関わるパートタイムの会計年度任用職員は第38条の対象外で、民間の仕事と兼ねられる。報酬と共済の扱いは常勤と別
特別職の非常勤(顧問、参与)として関わる専門的な知識経験に基づく助言などを行う職に限られる。地方公務員法の服務は原則として適用されないが、条例・規則で守秘義務などが定められることが多い
転職先で自治体の人員構造を説明する常勤・短時間・非常勤の区分と、定数・給与・任期の違いを条文で説明できると、提案の精度が上がる
民間の有期雇用との比較民間の有期は通算5年で無期転換の申込権(労働契約法)があるが、公務員の任期付・会計年度任用にはその仕組みがない

転職するとどうなるか

転職を考えている方にとって、常勤・非常勤の違いで効いてくる点は3つです。

1. 退職後に非常勤として関わる形は、常勤とは別の制度

任期、報酬、共済、退職手当が変わり、第38条は対象外です。

2. 転職先で自治体の人員構造を説明できる

常勤・短時間・非常勤の区分と条文を押さえておくと、提案の精度が上がります。

3. 民間の有期雇用との違いを知っておく

民間の無期転換の申込権に相当する仕組みは、公務員の任期付・会計年度任用にはありません。

手続きと期限

順序すること時期
転職を考えたら自分の自治体の常勤・短時間・非常勤の人数と人件費の構造を、条文の区分で整理する転職前
退職後に非常勤として関わるなら会計年度任用職員(一般職)か特別職の非常勤かを確かめ、任期・報酬・共済・服務を確かめる応募の前
転職先で自治体の人員を扱うなら常勤・短時間・非常勤の区分と、定数・給与・任期の違いを説明できるようにする入社後
民間の有期雇用で働くなら通算5年の無期転換の申込権(労働契約法)を確かめる契約時

誤解されやすい点

「非常勤には守秘義務がない」と思い込む

一般職の非常勤(会計年度任用職員)には守秘義務などの服務が適用されます。対象外なのは第38条です。

「短時間勤務職員は非常勤」と思い込む

短時間勤務の職を占める職員で、給与は給料の体系、第38条も対象です。常勤に近い位置づけです。

「非常勤は定数に含まれる」と思い込む

条例の定数の対象外です(地方自治法第172条第3項ただし書)。

「会計年度任用職員は民間のパートと同じ」と思い込む

報酬と条例の手当、年度内の任期、成績主義による再度の任用など、公務員の制度としての仕組みがあります。

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まとめ

よくある質問

特別職の非常勤(顧問、参与)として自治体に関わる場合、服務はどうなりますか

地方公務員法の服務は原則として適用されませんが、条例・規則や委嘱の条件で守秘義務などが定められることが多いです。地方公務員法第3条第3項第3号は、臨時または非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員などで、専門的な知識経験または識見に基づき助言、調査、診断などを行う職を特別職としており、特別職には地方公務員法の規定が、法律に特別の定めがある場合を除き適用されません(第4条第2項)。そのため、守秘義務(第34条)、職務専念義務(第35条)、営利企業への従事等の制限(第38条)などの服務の規定は、法律上は及びません。ただし、自治体は条例・規則や委嘱の条件で、職務上知り得た秘密の保持、利益相反の回避などを定めることが多く、委嘱を受ける際に誓約書の提出を求められることもあります。退職した財政課の職員が、財政の専門的な助言を行う顧問や参与として委嘱される例があり、この場合、民間の仕事と兼ねることに法律上の制限はなく、報酬は地方自治法第203条の2により支給されます。委嘱の内容と条件は、委嘱する自治体に確かめてください。

会計年度任用職員は、民間の無期転換のような仕組みで常勤になれますか

なれません。公務員の任用には、民間の労働契約法の無期転換の申込権に相当する仕組みがなく、常勤の職員になるには採用試験または選考を経る必要があります。民間の有期雇用では、労働契約法により、同じ使用者との有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者の申込みにより無期労働契約に転換します。地方公務員には労働契約法が適用されず(労働契約法第21条第1項)、会計年度任用職員の任期は年度内で、翌年度は新たな採用です。長く再度の任用が続いても、常勤の職員に自動的に転換する仕組みはありません。常勤の職員になるには、採用試験(競争試験)または選考を経る必要があり、経験者採用の枠で会計年度任用職員としての経験が評価されることはあります。転職の場面で、公務員の会計年度任用職員から民間の有期雇用に移る場合は、逆に無期転換の申込権が働くので、通算5年の起算と契約の更新の条件を確かめてください。

転職先で「自治体の職員の何割が非常勤か」と聞かれました。どう答えればよいですか

常勤・短時間・非常勤の区分を条文で示したうえで、自分の自治体の実態を、把握している範囲で答えてください。自治体の職員数の統計は、常勤の職員(条例の定数の対象)と、会計年度任用職員などの非常勤の職員を分けて公表されていることが多く、総務省の地方公務員の定員管理の調査と、会計年度任用職員の任用状況の調査が、全国の数字の出典になります。自分の自治体の実態は、財政課で人件費の予算を組んでいた方なら、常勤の職員の給料と手当、会計年度任用職員の報酬と手当の予算の構造から把握できます。答え方は、「常勤の職員は条例の定数で○人、パートタイムの会計年度任用職員は定数の対象外で○人程度、特別職の非常勤は別」のように、区分と根拠を添えて答えると、転職先は自治体の人員構造を制度として理解できます。数字は在職中に扱った予算の資料から思い出せる範囲で、公表されている統計を出典として示すのが、守秘義務(公表されていない内部の数字を話さない)の面でも安全です(在職中に得た情報の持ち出し)。

出典

  1. 地方公務員法 第3条(一般職に属する地方公務員及び特別職に属する地方公務員)/第22条の2(会計年度任用職員の採用の方法等)/第22条の4(定年前再任用短時間勤務職員の任用)/第38条(営利企業への従事等の制限)|e-Gov法令検索
  2. 地方自治法 第172条(職員の定数等)/第203条の2(非常勤の職員の報酬等)/第204条(常勤の職員等の給与等)|e-Gov法令検索
  3. 労働契約法 第18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)/第21条(適用除外)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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