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制度とお金 / 任用

公募と再度の任用

会計年度任用職員として働く方、そして退職後に会計年度任用職員を考える方が、最も気にするのが「来年も働けるのか」です。任期は最長で会計年度の末日までで、翌年度も働くには再度の任用が要ります。そして、再度の任用には、公募が行われる場合と、公募によらない選考が行われる場合があります。

この仕組みは、地方公務員法第22条の2が、翌年度の任用を「新たな採用」と位置づけていることから来ています。任期の更新ではなく、採用のやり直しです。そのため、成績主義(第15条)に基づく能力の実証が毎回求められ、公募の有無や回数の運用は自治体ごとに違います。

この記事では、再度の任用と公募の法律上の仕組み、成績主義との関係、任期が保証されない意味、退職後に応募する場合の考え方を整理します。公募の時期、回数、選考の方法は自治体の運用によるので、人事の担当課と募集の要項で確かめてください。会計年度任用職員の制度は会計年度任用職員とはに書いています。

法律上の仕組み——翌年度は「新たな採用」

条文内容再度の任用での意味
第22条の2第1項会計年度任用職員の採用は、競争試験または選考による翌年度の任用も採用なので、競争試験または選考を経る
第22条の2第2項任期は、採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内任期は年度を越えない。翌年度は別の任期
第22条の2第4項任期が年度の末日に満たない場合、勤務実績を考慮して、その範囲内で更新できる更新できるのは年度内だけ。年度を越える更新はない
第22条の2第6項職務の遂行に必要かつ十分な任期を定め、必要以上に短い任期で採用・更新を反復してはならない年度内の細切れの任用を防ぐ規定
第15条職員の任用は、受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行わなければならない再度の任用でも、能力の実証が要る
第17条の2人事委員会を置く自治体では採用は競争試験、規則で定める場合は選考。置かない自治体では競争試験または選考会計年度任用職員は第22条の2により競争試験または選考

「再度の任用」は法律上の用語ではなく、翌年度に同じ職または類似の職に新たに採用されることを指す実務上の言い方です。法律上は、毎年度、採用のやり直しです。

公募と、公募によらない選考

方法内容運用
公募広く募集を行い、応募者の中から競争試験または選考で採用する。現に在職している職員も応募する一定の回数の再度の任用の後に公募を行う運用が多い
公募によらない選考現に在職している職員について、勤務実績などの能力の実証に基づく選考で再度任用する公募の間の年度に行われることが多い

公募の頻度(毎年か、数年に1回か)、公募によらない再度の任用の回数の上限は、自治体の運用によるので、一般論では答えられません。総務省の示す考え方を踏まえつつ、各自治体が要綱などで定めています。現に在職している職員が公募で不採用になることもあり、逆に、公募によらない選考で勤務実績により再度任用されないこともあります。

成績主義との関係——毎年、能力の実証が要る

第15条の成績主義は、会計年度任用職員の再度の任用にも及びます。

場面能力の実証の形
公募応募者全員について、競争試験または選考(書類、面接、実技など)
公募によらない選考現に在職している職員の勤務実績(人事評価など)に基づく選考
条件付採用採用のたびに1か月の条件付採用(第22条の2第7項)。この期間の勤務が良好でなければ正式採用にならない

勤務実績が再度の任用の判断の材料になるので、会計年度任用職員として働く間の人事評価は、翌年度の任用に直接効きます。

任期が保証されない意味

点内容
法律上任期は年度内で、翌年度の任用は新たな採用。翌年度の任用を約束する規定はない
期待再度の任用が続いていても、次年度の任用が保証されるわけではない。職の廃止、業務量の減少、公募での不採用があり得る
不利益取扱い再度の任用を理由なく拒むことは成績主義に反するが、任用しないこと自体は採用の判断であり、分限処分ではない
生活の設計年度ごとの任用を前提に、収入の見込みと次の道(民間の仕事、他の自治体の会計年度任用職員、転職)を並行して考える

「毎年続けられる」を前提にした生活の設計は、制度の構造と合いません。年度ごとの任用であることを踏まえて、次の道を並行して持つのが、会計年度任用職員として働く方の現実的な形です。

退職後に応募する場合の考え方

点内容
応募の時期公募の時期(多くは年度末に向けて、または欠員の発生時)を自治体の採用情報で確かめる
経験の評価財政課の経験は、財政・会計の業務の選考で評価されやすい。公募の選考で有利に働くことがある
再度の任用の見込み採用後も、翌年度は再度の任用の判断。数年の見込みを持って応募する場合は、公募の運用(回数の上限)を確かめる
民間との組合せパートタイムは営利企業への従事等の制限の対象外。民間の仕事と組み合わせれば、再度の任用がなくても収入の柱が残る
定年前再任用短時間勤務との比較60歳以上で退職する方は、任期が定年退職日相当日まで続く定年前再任用短時間勤務のほうが安定する

転職するとどうなるか

転職を考えている方にとって、公募と再度の任用で効いてくる点は3つです。

1. 翌年度の任用は新たな採用で、保証はない

第22条の2の構造です。年度ごとの任用を前提に、次の道を並行して持ってください。

2. 公募の運用は自治体による。応募の前に確かめる

公募の頻度と再度の任用の回数の上限を人事の担当課に聞くと、何年の見込みで働けるかが見えます。

3. 民間の仕事と組み合わせれば、公募の結果に左右されにくい

パートタイムは営利企業への従事等の制限の対象外です。転職先の兼業の規程を確かめてください。

手続きと期限

順序手続き時期場所
応募の前公募の頻度、再度の任用の回数の上限、選考の方法を確かめる応募の前人事の担当課、募集の要項
公募募集の要項に従って応募。競争試験または選考公募の時期(年度末に向けて、または欠員時)任命権者
採用任期の明示。条件付採用1か月採用の日任命権者
在職中勤務実績(人事評価)が再度の任用の材料になる在職中所属
年度末公募によらない選考、または公募に応募年度末任命権者
並行して民間の仕事との組合せ、転職の準備継続転職支援

誤解されやすい点

「再度の任用は任期の更新」と思い込む

年度を越える更新はなく、翌年度は新たな採用です(第22条の2第2項・第4項)。

「在職していれば公募で優先される」と思い込む

公募では在職者も応募者の1人で、成績主義(第15条)に基づく選考です。勤務実績は考慮されますが、優先の規定はありません。

「公募は毎年ある」または「公募はない」と思い込む

公募の頻度と再度の任用の回数の上限は、自治体の運用によるので、確かめる必要があります。

「再度の任用がないのは不利益処分」と思い込む

任用しないことは採用の判断で、分限処分ではありません。理由なく拒むことは成績主義に反しますが、職の廃止や公募での不採用はあり得ます。

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まとめ

よくある質問

会計年度任用職員として何年まで働けますか

法律上の上限はありませんが、翌年度の任用は毎年新たな採用で、公募の運用(回数の上限、頻度)は自治体によります。地方公務員法第22条の2は、任期を年度内と定め、翌年度の任用を新たな採用と位置づけていますが、再度の任用の回数に法律上の上限は設けていません。ただし、多くの自治体が、公募によらない再度の任用を一定の回数までとし、その後は公募を行う運用を要綱などで定めており、公募の年には在職者も応募者の1人として選考されます。公募で採用されれば、その後も再度の任用が続き得るので、公募の年を越えて長く働いている方もいます。逆に、職の廃止や業務量の減少で任用が終わることもあります。人事の担当課に「公募によらない再度の任用は何回まで可能か、公募は何年ごとか」を確かめ、公募の年を見越して、その先の道を並行して考えてください。60歳以上で退職する方は、任期が定年退職日相当日まで続く定年前再任用短時間勤務(定年前再任用短時間勤務)のほうが安定します。

公募の年に、在職者は有利ですか

勤務実績は選考で考慮されますが、法律上の優先の規定はなく、在職者も応募者の1人として成績主義に基づき選考されます。第15条は任用を受験成績、人事評価その他の能力の実証に基づいて行うと定め、公募の選考では、在職者の勤務実績(人事評価)も能力の実証の1つとして考慮されます。その意味で、良好な勤務実績がある在職者は有利に働くことがありますが、「在職者を優先する」という規定はなく、他の応募者の能力の実証と比べて選考されます。財政課の経験がある方が財政・会計の業務の公募に応募する場合、在職中の勤務実績と前職の経験の両方が評価の材料になります。公募の選考の方法(書類、面接、実技)と評価の観点は募集の要項で示されるので、在職者であっても、応募の書類と面接の準備を、初めて応募する場合と同じように行ってください。公募で不採用になった場合、他の自治体の会計年度任用職員、民間の仕事、転職が次の道になります。

再度の任用がないと言われました。理由を聞けますか

理由の説明を求めることはできますが、任用しないことは採用の判断で、分限処分ではないので、処分の理由の説明のような法律上の義務はありません。翌年度の任用は新たな採用で、任用しないことは「採用しない」という判断です。成績主義(第15条)に反して理由なく拒むことは許されませんが、職の廃止、業務量の減少、勤務実績、公募での他の応募者との比較など、採用の判断の理由は幅広く、本人に詳細を説明する法律上の義務はありません。実務上は、所属や人事の担当課に、任用されない理由(職の廃止か、勤務実績か、公募の結果か)を聞くことはでき、多くの場合は概略を教えてもらえます。勤務実績が理由であれば、その評価の内容を確かめて、次の応募や他の道に生かします。任用の判断に不服がある場合、勤務条件に関する措置の要求(第46条)や、人事委員会・公平委員会への相談の道がありますが、採用の判断そのものを覆すことは難しいのが実情です。再度の任用がない場合に備えて、民間の仕事との組合せや転職の準備を並行して持っておくのが、会計年度任用職員として働く方の現実的な備えです。

出典

  1. 地方公務員法 第15条(任用の根本基準)/第17条の2(採用の方法)/第22条の2(会計年度任用職員の採用の方法等)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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