制度とお金 / 任用
会計年度任用職員の期末手当・勤勉手当
会計年度任用職員の処遇で、最も大きく変わってきたのが、期末手当・勤勉手当です。かつての非常勤職員には手当の支給の根拠がなく、会計年度任用職員の制度で期末手当が、その後の改正で勤勉手当が、パートタイムの職員にも支給できるようになりました。
退職後に会計年度任用職員として自治体の仕事を続けることを考える方、そして財政課で会計年度任用職員の人件費を予算に組む立場の方の両方にとって、手当の根拠、支給の要件、算定の仕組みは、年間の収入の見込みと予算の見込みの両方に効きます。
この記事では、会計年度任用職員の期末手当・勤勉手当の根拠、支給の要件、算定の基礎、年度の途中の採用と退職の扱い、民間の賞与との違いを整理します。支給の要件、割合、額はすべて自治体の条例によるので、応募を考える方は募集の要項と条例で確かめてください。会計年度任用職員の制度は会計年度任用職員とはに書いています。
根拠——地方自治法第203条の2と第204条
| 条文 | 対象 | 内容 |
|---|---|---|
| 地方自治法第203条の2第1項 | 非常勤の職員(短時間勤務職員とフルタイムの会計年度任用職員を除く) | 報酬を支給しなければならない |
| 第203条の2第2項 | 同上 | 報酬は勤務日数に応じて支給。条例で特別の定めをした場合はこの限りでない |
| 第203条の2第3項 | 同上 | 職務を行うため要する費用の弁償を受けることができる |
| 第203条の2第4項 | パートタイムの会計年度任用職員(地方公務員法第22条の2第1項第1号の職員) | 条例で、期末手当または勤勉手当を支給することができる |
| 第203条の2第5項 | ── | 報酬、費用弁償、期末手当・勤勉手当の額と支給方法は、条例で定めなければならない |
| 第204条 | 常勤の職員、短時間勤務職員、フルタイムの会計年度任用職員 | 給料と手当(期末手当・勤勉手当を含む)を支給 |
パートタイムは第203条の2により「報酬+条例による期末手当・勤勉手当」、フルタイムは第204条により「給料+手当」という体系の違いがあります。パートタイムの期末手当・勤勉手当は「支給することができる」なので、条例で定めた自治体で支給されます。
支給の要件——条例で定める
条例の定め方は自治体ごとですが、一般的に次の要件が置かれています。
| 要件 | 一般的な内容 | 理由 |
|---|---|---|
| 任期 | 一定の期間以上の任期(6か月以上など) | 短期の任用を対象から外す |
| 勤務時間 | 1週間の勤務時間が一定以上(常勤の一定割合以上など) | ごく短時間の任用を対象から外す |
| 基準日の在職 | 期末手当・勤勉手当の基準日(6月1日、12月1日)に在職していること | 常勤の職員と同じ仕組み |
| 在職期間 | 基準日以前の一定期間の在職期間に応じた割合 | 常勤の職員と同じ仕組み |
要件を満たすかどうかは、募集の要項に書かれている任期と勤務時間で判断できます。要件を満たさない短期・短時間の任用では、期末手当・勤勉手当は支給されません。
算定の仕組み——常勤の職員に準じる
| 項目 | 一般的な内容 |
|---|---|
| 算定の基礎 | 報酬の月額(時間額の場合は月額に換算した額)に、常勤の職員の期末手当・勤勉手当の支給割合に相当する割合を乗じる |
| 支給割合 | 条例で定める。常勤の職員の支給月数と同じ水準に近づける運用が広がっている |
| 在職期間の割合 | 基準日以前6か月の在職期間に応じて、常勤の職員と同様に割合が変わる |
| 勤勉手当 | 勤務成績に応じた成績率を用いる(常勤と同様)。制度の導入の時期と運用は自治体による |
| 支給日 | 常勤の職員と同じ日(6月、12月)が一般的 |
期末手当は在職期間に応じた割合で、勤勉手当は勤務成績に応じた成績率でという考え方は、常勤の職員と同じです。パートタイムの職員には、これを報酬の月額を基礎に適用します。
年度の途中の採用・退職の扱い
| 場面 | 扱い(一般的な条例) |
|---|---|
| 年度の途中で採用 | 基準日に在職していれば、基準日以前の在職期間に応じた割合で支給。採用から基準日までの期間が短いと、割合が小さくなるか、要件を満たさない |
| 年度の途中で退職 | 基準日の前に退職すると、その期の手当は支給されない(常勤の職員と同様)。基準日の後に退職した場合は支給される |
| 再度の任用 | 翌年度に再度任用された場合、前年度の在職期間を通算するかどうかは条例による |
| 転職先の入社日との調整 | 基準日(6月1日、12月1日)の前後で退職の時期を決めると、手当の有無が変わる |
退職後に会計年度任用職員として働き、その後に民間に転職する形を考える方は、基準日と退職の時期の関係を確かめてください。常勤の職員の期末手当・勤勉手当と同じ考え方です。
民間の賞与との違い
| 項目 | 会計年度任用職員の期末手当・勤勉手当 | 民間の賞与 |
|---|---|---|
| 根拠 | 地方自治法第203条の2と条例 | 就業規則、労働契約、労働協約。法律上の支給の義務はない |
| 支給の要件 | 条例で定める任期・勤務時間・基準日の在職 | 就業規則の定め(支給日の在籍要件など) |
| 算定 | 報酬の月額×条例の割合×在職期間の割合(勤勉手当は成績率) | 企業の業績、個人の評価、基本給の月数など、企業による |
| パートタイムへの支給 | 条例で定めれば支給される | 企業による。支給しない企業も多い |
| 安定性 | 条例に基づくので、要件を満たせば支給される | 業績により変動、または支給されないことがある |
会計年度任用職員の期末手当・勤勉手当は、条例に基づく分だけ、民間のパートタイムの賞与より安定しています。一方で、報酬の月額が基礎なので、額は常勤の職員より小さくなります。
転職するとどうなるか
転職を考えている方にとって、会計年度任用職員の期末手当・勤勉手当で効いてくる点は3つです。
1. 退職後に会計年度任用職員として働くなら、手当の要件を確かめる
任期と勤務時間の要件を満たせば、条例により支給されます。年間の収入に入れて見込んでください。
2. 基準日と退職の時期の関係で、手当の有無が変わる
常勤の職員と同じ仕組みです。民間に転職する時期を決めるときに、基準日を確かめてください。
3. 財政課の予算で会計年度任用職員の人件費を組む場合、手当の分を見込む
期末手当・勤勉手当の支給は条例に基づく義務的な経費で、要件を満たす職員の分を予算に組みます。
手続きと期限
| 順序 | 手続き | 時期 | 場所 |
|---|---|---|---|
| 応募の前 | 募集の要項で、任期、週の勤務時間、期末手当・勤勉手当の有無と要件を確かめる | 募集の時期 | 自治体の採用情報 |
| 採用 | 任期の明示を受ける。基準日(6月1日、12月1日)との関係を確かめる | 採用の日 | 任命権者 |
| 在職中 | 勤勉手当の成績率の仕組み(勤務成績の評価)を確かめる | 在職中 | 所属 |
| 退職を考えたら | 基準日の前後で退職の時期を決める | 退職の前 | 自分で |
| 年度末 | 再度の任用の場合、在職期間の通算の扱いを確かめる | 年度末 | 人事の担当課 |
誤解されやすい点
「非常勤には期末手当・勤勉手当がない」と思い込む
地方自治法第203条の2第4項により、条例で定めれば支給されます。多くの自治体が条例で定めています。
「採用されれば必ず手当が出る」と思い込む
条例で定める任期と勤務時間の要件を満たす必要があります。短期・短時間の任用は対象外のことがあります。
「額は常勤の職員と同じ」と思い込む
報酬の月額が基礎なので、常勤の職員より額は小さくなります。割合は常勤に準じます。
「年度の途中で辞めても手当は出る」と思い込む
基準日の前に退職すると、その期の手当は支給されません(常勤の職員と同様)。
まとめ
- パートタイムの会計年度任用職員には、地方自治法第203条の2第4項により、条例で期末手当または勤勉手当を支給することができ、額と支給方法は条例で定めます(第5項)。フルタイムは第204条により給料と手当の体系です
- 支給の要件は条例で定められ、一般的に任期、週の勤務時間、基準日(6月1日、12月1日)の在職が要件です
- 算定は報酬の月額×条例の割合×在職期間の割合で、勤勉手当は勤務成績に応じた成績率を用います。考え方は常勤の職員と同じです
- 基準日の前に退職すると、その期の手当は支給されません。年度の途中の採用は、基準日までの在職期間で割合が変わります
- 民間のパートタイムの賞与と比べて、条例に基づく分だけ安定していますが、報酬の月額が基礎なので額は常勤より小さいです
- 応募するなら、募集の要項で任期、勤務時間、手当の有無と要件を確かめ、採用の時期と基準日の関係を計算に入れてください
よくある質問
週3日、1日6時間の会計年度任用職員です。期末手当・勤勉手当は出ますか
自治体の条例で定める任期と勤務時間の要件を満たしていれば支給されます。募集の要項と条例で確かめてください。多くの自治体の条例では、任期が一定の期間以上(6か月以上など)で、1週間の勤務時間が一定以上(常勤の一定割合以上など)の会計年度任用職員に、期末手当・勤勉手当を支給すると定めています。週3日・1日6時間は週18時間で、要件の水準は自治体によるので、条例の要件と照らしてください。要件を満たす場合、基準日(6月1日、12月1日)に在職していること、基準日以前の在職期間に応じた割合が適用されることは、常勤の職員と同じです。額は、報酬の月額(時間額なら月額に換算)に条例の割合を乗じた額で、常勤の職員の月数に近づける運用が広がっています。勤勉手当は勤務成績に応じた成績率が用いられ、制度の導入の時期は自治体によります。人事の担当課または募集の担当に「この任期と勤務時間で期末手当・勤勉手当の対象になるか、年間の見込額はいくらか」を聞くと、年間の収入が正確に見込めます。
会計年度任用職員の期末手当・勤勉手当は、財政課の予算でどう組みますか
条例に基づく義務的な経費として、要件を満たす職員の分を、報酬とは別に計上します。会計年度任用職員の人件費は、パートタイムは報酬(節の区分では「報酬」)と期末手当・勤勉手当、費用弁償で、フルタイムは給料と手当で計上します。期末手当・勤勉手当は、各課の会計年度任用職員の任期と勤務時間から要件を満たす職員を把握し、報酬の月額×条例の割合×在職期間の見込みで積算します。年度の途中の採用・退職の見込み、再度の任用の見込み、勤勉手当の成績率の分布を考慮する必要があり、当初予算では要件を満たす全員が基準日に在職する前提で組み、補正で調整する運用が一般的です。会計年度任用職員の制度の導入と勤勉手当の支給の拡大は、自治体の人件費に影響し、財政課ではこの積算の精度が予算の精度に直結します。転職先が自治体向けの人事・給与のシステムや業務の支援を行う企業なら、この積算の実務の経験は、そのまま業務の理解として評価されます。
民間に転職する前に、少しの期間だけ会計年度任用職員として働くと、手当は出ますか
任期が短いと、条例の要件(一定の期間以上の任期)を満たさず、支給されないことがあります。要件を満たしても、基準日の前に退職すれば、その期の手当は支給されません。期末手当・勤勉手当の要件は、多くの自治体で任期が一定の期間以上であることを含み、数か月の短期の任用は対象外です。要件を満たす任期でも、基準日(6月1日、12月1日)に在職していることが要件なので、基準日の前に退職すれば、その期の手当は出ません。民間への転職の入社日が決まっている場合、その前の短期の会計年度任用職員の任用は、報酬のみで手当は見込めないことが多いです。「退職から入社までの空白を会計年度任用職員で埋める」形は、収入の面では報酬のみと考え、健康保険と年金の加入(勤務時間による)の面で意味があるかを確かめてください。逆に、退職後に一定の期間、会計年度任用職員として働きながら転職先を探す形なら、任期と勤務時間の要件を満たし、基準日の後に退職すれば、手当を受けてから転職できます。