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制度とお金 / 失業給付と税金

退職年のふるさと納税の上限の考え方

退職する年のふるさと納税は、前年と同じ寄附額でよいとは限りません。寄附をする年の給与や控除が変わるうえ、退職手当は給与とは別の税の仕組みで扱われるためです。退職手当を受け取ったことだけを理由に、控除の上限が大きく増えると考えるのは避けます。

本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。国内の居住者の一般的な取扱いです。本人の所得税は税務署、住民税と特例の適用は市区町村へ、源泉徴収票の内容は支払者へ確認してください。

まず寄附の年と住民税の年度を分ける

所得税の寄附金控除は、寄附した年分の所得について計算します。2026年中の寄附であれば、原則として2026年分の所得税と2027年度の個人住民税に関係します。前年の給与を基礎に届いた今年度の住民税通知は、今年の寄附の上限を確定する資料ではありません。

年の途中で退職し、その後しばらく給与を受け取らない場合、通年で在職した前年と所得の見込みが変わります。転職した場合は、前職と新勤務先のその年の給与を合わせて検討します。新勤務先の月給だけを年換算して入力すると、退職までの給与や賞与を取り落とすことがあります。

確認する資料は、その年の給与明細と賞与明細、前職の源泉徴収票、新勤務先の支払見込み、本人が支払った社会保険料などです。給与の収入金額と、給与所得控除を差し引いた所得金額は違います。試算画面がどちらを求めているかを確かめます。

退職後に支払う国民年金保険料などによって所得控除も変わります。扶養の状況、医療費控除、住宅ローン控除、ほかの所得の有無も、税額や申告方法を確認する材料です。すべてを退職前と同じ条件で入力しないようにします。

「上限」が何を指すのかを確認する

ふるさと納税には、所得税の寄附金控除、住民税の基本分、住民税の特例分という異なる計算があります。国税庁No.1155では、所得税の所得控除の対象となる寄附金は総所得金額等の40%まで、住民税の特例分は所得割額の20%までという限度を示しています。これらは同じ意味の上限ではありません。

所得税法第78条は、寄附金控除について総所得金額、退職所得金額、山林所得金額に関係する計算を定めています。一方、地方税法第314条の7の住民税の寄附金税額控除には別の限度と計算があります。寄附した全額が必ず同じ割合で控除されるわけではありません。

一般に試算で示される、自己負担を一定額に収めるための目安と、所得税で控除対象になり得る寄附金の限度は分けて読みます。前者を知りたいのに後者の割合だけで計算しても、必要な答えにはなりません。特例分の限度、本人にかかる税、適用する控除を含めた確認が必要です。

試算は予測を含む道具です。年末までの給与や控除が未確定なら、表示された額も確定値ではありません。複数の試算で結果が違うときは、有利な結果を採る前に、対象年、入力した所得の種類、控除の前提を比べてください。

退職手当を給与の欄へ足さない

通常の退職手当は退職所得として、給与などと分けて課税する仕組みがあります。受取額を給与収入の欄に加えると、給与所得として計算され、本人の税の構造と違う試算になります。退職所得控除後の課税対象と、実際に振り込まれた金額も別です。

柏市の公式FAQは、退職所得に係る現年分離課税の住民税所得割額を、ふるさと納税の寄附金税額控除の対象となる住民税所得割額に含めないと説明しています。現年分離課税とならない退職所得の場合は除く、という留保もあります。通常の給与分と退職手当分の住民税を、単純に合計して特例分の限度を計算しないことが大切です。

だからといって、退職所得は寄附金控除のすべての計算に無関係、と言い切ることもできません。所得税の控除対象額の計算と、通常の住民税所得割を用いる特例分の限度は別の論点です。退職手当がある人の申告や上限は、給与だけを前提にした早見表で済ませず、税務署と市区町村に対象の所得を示して確認します。

退職所得の源泉徴収の基本は退職所得の分離課税でも整理しています。退職所得の受給に関する申告書を提出し、源泉徴収で課税が済む場合でも、別の理由で確定申告をする場合の記載は別途確認が必要です。

働き方の比較では、税の試算とは別に仕事内容と入社時期を確認できます。行政に関わる求人を見ながら条件を整理することも情報収集の一つです。

ワンストップ特例は退職しただけで決まらない

国税庁は、確定申告が不要な給与所得者などについて、寄附先が5団体以内の場合に申請できる特例を案内しています。同じ自治体に複数回寄附することと、寄附先団体数は分けて数えます。退職したかどうかだけで利用の可否は決まりません。

退職後に再就職せず、年末調整を受けなかった給与について還付申告をする場合や、医療費控除を申告する場合には注意が必要です。ワンストップ特例を申し込んでいても、確定申告をするとその申請は無効になります。確定申告では、特例申請分を含むその年の寄附をまとめて寄附金控除の計算に含めます。

一部の寄附だけを申告し、残りは特例のまま残せると考えないようにします。住民税の申告をする場合も、特例との関係を市区町村に確認してください。申告が必要な事情があるのに、特例を残すため申告をしないという選び方はできません。

国税庁No.1420は、退職所得のある人が医療費控除や寄附金控除などのため確定申告書を提出する場合、退職所得を含めて申告する必要があると案内しています。退職手当を給与へ合算するという意味ではなく、分離した所得の情報を申告書に記載するということです。

転居と年明けの書類も確認する

退職とともに転居すると、寄附時の住所、特例申請時の住所、翌年1月1日の住所が異なることがあります。横浜市の公式案内では、申請内容に変更が生じた場合の変更届や、翌年1月10日までという手続きを示しています。転居後の自治体に住民票を移しただけで、寄附先への変更手続きまで完了したとは考えないようにします。

寄附の受領証明書、特例の申請状況、変更届の提出記録は保管します。確定申告に切り替えるときにも、その年の寄附先と寄附額を一覧にできると、申請済みの寄附を落としにくくなります。電子証明書を使う場合は、対象年と対象となる寄附の範囲を確かめてください。

翌年度の住民税通知が届いたら、控除の記載を確認します。ワンストップ特例では所得税から直接還付されるのではなく、所得税相当分も含めて翌年度の住民税から控除する仕組みです。税務署から入金がないことだけで、適用されていないとは判断できません。

申告後に寄附を入れ忘れたと分かった場合は、申告の状況に応じた訂正方法を相談します。国税庁は、寄附金控除を適用しても最終的な所得税等に変動がない場合は更正の請求ができず、市区町村への相談が必要になる場合を示しています。手続きを一律に決めないでください。

転職活動を進める順番や、在職中の経験の整理は相談窓口で話せます。個別の控除額の計算は税務署・市区町村へ確認してください。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。

まとめ

退職年の寄附は、その年の給与・控除と翌年度の住民税を基礎に検討します。通常の退職手当に係る現年分離課税分を、給与分の住民税所得割に足さないことが要点です。所得税の寄附金控除と住民税の特例分は計算が異なるため、退職所得を含む本人の条件で確認してください。

在職中に選択肢を整理する段階でも構いません。LINEで転職活動の進め方を短く相談することもできます。

よくある質問

退職前年の上限額をそのまま使えますか

その年の所得や控除が違う場合は使えません。前職と新勤務先の給与、その年に支払う社会保険料などを確認して試算し直します。前年の住民税通知は参考資料にはなりますが、その年の寄附の上限の確定資料ではありません。

退職手当が多ければ寄附の上限も増えますか

受取額だけでは判断できません。通常の退職手当の現年分離課税の住民税所得割額は、ふるさと納税の特例分の計算に使う通常の所得割額に含まれません。所得税の寄附金控除との関係もあるため、給与に足して試算せず、税務署と市区町村へ確認します。

ワンストップ特例の後に還付申告をしたらどうなりますか

確定申告をすると特例申請は無効になるため、申請済みの分も含めて寄附金控除を申告します。退職所得のある人は、その情報の記載も確認してください。寄附を入れ忘れた場合は、申告内容に応じた訂正方法を相談します。

出典

  1. 所得税法 第78条
  2. 地方税法 第314条の7
  3. 国税庁 No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)
  4. 国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき
  5. 柏市 退職金は寄附金の限度額の計算に含まれるのか
  6. 横浜市 寄附金税額控除

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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