制度とお金 / 失業給付と税金
扶養に入る収入基準の考え方
退職後に「家族の扶養に入れるか」を考えるときは、どの制度の話かを先に分ける必要があります。税の控除、健康保険の被扶養者、国民年金の第3号被保険者は、同じ一つの認定ではありません。確認する所得や収入の時期も違います。
一つの金額の基準だけで、すべての制度の可否を判断しないことが大切です。本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。一般的な仕組みを整理し、税は勤務先の給与担当・税務署、健康保険は家族の保険者、年金は勤務先・共済組合・年金事務所に確認してください。
扶養という言葉を三つの制度へ分ける
所得税法第83条は配偶者控除、第84条は扶養控除を定めています。これは控除を受ける人の税を計算する制度です。健康保険の資格を取得したり、国民年金の保険料を納めなくてよくなったりする手続きを兼ねているわけではありません。
健康保険の被扶養者は、健康保険法第3条などに基づき、生計維持関係や親族の範囲、収入などを確認します。認定は加入する保険制度で行います。家族が公務員の共済組合員の場合は、その共済組合の案内を確認してください。
国民年金第3号は、国民年金法第7条に基づく被扶養配偶者の制度です。健康保険の被扶養者となる人が、すべて第3号になるわけではありません。子や親の健康保険の被扶養者になる場合と、配偶者として年金の第3号になる場合を分けます。
| 確認する制度 | 主に見るもの | 手続きの確認先 |
|---|---|---|
| 所得税の控除 | その年の合計所得金額、親族・配偶者の要件等 | 給与担当・税務署 |
| 健康保険の被扶養者 | 今後の見込収入、生計維持、同居等 | 家族の勤務先・保険者 |
| 国民年金第3号 | 配偶者の年金資格、本人の年齢・収入等 | 配偶者の勤務先・共済組合等 |
勤務先独自の扶養手当や家族手当がある場合は、それも別の規定です。税や保険の認定を受けたことだけで、給与上の手当の支給まで自動的に決まるとは考えないようにします。
税の控除は一年の所得と親族関係で確認する
税法上の扶養控除は、配偶者以外の一定の親族などについての制度です。配偶者については配偶者控除や配偶者特別控除を確認します。国税庁の案内は、本人と家族の合計所得金額、生計を一にする関係、年齢などの要件を示しています。
確認するのは原則としてその年の一月から十二月までの所得です。退職後の給与がゼロになっても、退職までに受け取った給与等を含む一年の所得が関係します。今後の収入がないという理由だけで、税の控除対象になるとは限りません。
また、給与の収入額と所得額は違います。給与所得控除を踏まえた所得を確認し、ほかの所得があればその扱いも確かめます。預金に振り込まれた手取り額を、そのまま所得要件の金額として使わないでください。
配偶者控除では、控除を受ける人自身の所得も関係します。家族側の所得だけが一定以下なら、誰でも同じ額の控除を受けられるわけではありません。退職手当がある場合も、合計所得金額の確認に必要な資料と所得区分を税務署に確かめます。
2026年の税の基準は施行日と年分を確認する
国税庁は、扶養親族や控除対象配偶者などの所得要件について、2026年12月1日に施行され、2026年分から適用される見直しを案内しています。原則として合計所得金額62万円以下という改正後の要件と、施行日前の取扱いを区別して確認する必要があります。
同じ国税庁のページにも、改正前の説明と改正後の注記が併記されている場合があります。記事の一部の金額だけを抜き出さず、どの年分に、どの時点で適用する話かを確認します。十一月までの毎月の源泉徴収事務と、十二月の年末調整を同じ処理と考えないでください。
給与収入だけの場合の目安も、給与所得控除の改正に影響されます。給与以外の所得がある人へ同じ給与収入の目安をそのまま当てはめるのは適切ではありません。本人の所得の種類を伝えて確認します。
また、所得税の改正が、住民税や健康保険の基準も同じように変えるとは限りません。税目や年度、健康保険の認定基準をそれぞれ確認してください。年末調整に申告する項目は年末調整で申告する項目でも整理しています。
希望する勤務条件を調べる場合は、掲載中の求人一覧も確認できます。社会保険への加入条件は、実際の勤務時間や契約内容を応募先に示して確かめてください。
健康保険は今後の見込みと生計維持を見る
日本年金機構の被扶養者の案内は、年間収入を過去の収入そのものではなく、該当時点と認定日以後の見込収入で確認するとしています。在職中の給与が一定額を超えていても、退職後の見込みを改めて確認する仕組みです。
一般の収入要件として年間130万円未満、60歳以上または一定の障害がある場合は180万円未満などを案内しています。19歳以上23歳未満の人の150万円未満という要件には、配偶者を除くという条件があります。年齢だけで退職した配偶者へ別の基準を当てはめないでください。
同居の場合は被保険者との収入の関係、別居なら仕送り額との関係なども確認します。収入が基準未満であれば、親族関係や生計維持などを確認せず全員認定されるという仕組みではありません。
2026年4月1日以後の認定については、収入が給与収入のみの人は労働契約の内容により年間収入を判定できる取扱いも案内されています。労働条件通知書等の条件と、ほかの収入の有無などを確認します。すべての人が契約書一枚だけで判断できる、という説明には置き換えられません。
本人が新しい勤務先で健康保険・厚生年金の加入要件を満たす場合は、収入の目安だけを理由に家族の被扶養者を選べるわけではありません。本人の就労による加入資格を先に確認してください。
失業給付は非課税でも健康保険では収入になる
税法上非課税の給付が、健康保険の収入判定からも無条件に除かれるわけではありません。日本年金機構は、被扶養者の収入に雇用保険の失業等給付、公的年金、傷病手当金、出産手当金なども含むと説明しています。
失業給付を受ける場合は、給付の日額、受給開始、終了の予定を伝えて認定を確認します。退職した日と給付が始まる日で条件が変わる場合もあるため、待期中と受給中を区別します。一度認定されたから、給付開始後も連絡不要とは考えないでください。
公務員の失業者の退職手当を受ける場合も、正式名称と支給資料を家族の保険者へ示し、収入の扱いを確認します。通常の退職手当の一時金と、失業に応じて支給される給付を混同しないことが重要です。
退職金などの一時的な支払いも、税の所得判定と保険者の収入の取扱いを分けて照会します。ほかの制度で非課税と説明されたことを、健康保険の認定へそのまま転用せず、本人が受け取る給付を漏れなく伝えてください。
年金第3号は被扶養配偶者の制度
国民年金第3号は、原則として第2号被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者について確認する制度です。親や子の健康保険に被扶養者として入った人が、親族だからという理由で年金第3号になるわけではありません。
配偶者の年齢や老齢給付等の受給権、本人の厚生年金加入、国内居住または特例の要件なども関係します。健康保険の資格と併せて手続きする場合でも、年金の要件を満たすかを別に確認してください。
日本年金機構は、原則の収入基準を満たしていても、本人が厚生年金の加入要件に当たる場合は第3号ではなく自ら加入すると説明しています。また、扶養を外れた後に厚生年金に加入しない場合には、第1号への切替えが必要なことがあります。
仕事や入社時期を整理する場合は、相談の申込みも利用できます。年金・健康保険の認定を相談先の見込みで代用せず、担当制度で確認した条件を基に仕事の希望を考えましょう。
手続き先と変更後の連絡まで整理する
確認前には、その年の給与等の資料、退職日、家族関係、今後の仕事の契約、給付や年金の予定を整理します。税には年間所得、保険には認定後の収入、年金には配偶者と本人の資格というように、目的に合わせて情報を伝えます。
健康保険の申請には退職や収入、生計維持を確認する資料などを求められる場合があります。税の扶養控除等申告書だけを提出して保険の申請も済んだと考えず、家族の勤務先で必要な届出と期限を確認してください。
就職、収入の変化、失業給付の開始、年齢、家族の退職などで条件が変わった場合は、その都度照会します。認定時の状況だけで翌年以降も同じ扱いになるとは限りません。認定日・非該当日と次に加入する制度を確認し、空白や重複を防ぎましょう。
よくある質問
税の配偶者控除を受けられれば健康保険も扶養ですか
自動的には決まりません。税と健康保険は別の制度で、所得・収入の範囲や確認する期間が異なります。それぞれの窓口で認定・申告を確認します。
失業給付は非課税なので健康保険の収入から除けますか
健康保険では失業等給付も収入に含めると案内されています。日額や受給開始時期を保険者へ伝え、認定中の場合も条件の変化を確認してください。
親の健康保険の扶養に入れば国民年金第3号ですか
第3号は原則として第2号被保険者の被扶養配偶者の制度です。親の被扶養者となる場合は年金資格を別に確認し、必要な納付や切替えを年金事務所へ照会してください。
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