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制度とお金 / 失業給付と税金

退職手当から差し引かれるもの

退職手当の支給見込額と銀行への振込額は、同じとは限りません。退職所得に対する税のほか、給与に係る住民税の残額や、共済貸付の未償還金などが差し引かれる場合があります。ただし、どの職員にも同じ項目が同じように発生するわけではありません。

本記事は2026年11月時点の公開情報にもとづきます。税法と自治体・共済組合の公式案内に沿って一般的な確認方法を説明します。本人の内訳は、所属の退職手当・給与担当、加入する共済組合、市区町村、税務署へ確認してください。

支給額と控除額と差引振込額を分ける

最初に見るのは、条例等に基づいて算定される退職手当の支給額です。その額から税や返済等を差し引いた結果が、実際の振込額になります。支給額そのものの算定が違うのか、控除項目が増えたのかを分けないと、どこへ問い合わせるべきかが分かりません。

退職手当の見込みを聞くときは、税引前か税引後か、貸付返済などを反映しているかを確認します。「概算」とだけ記された数字を、そのまま次の生活費に使える額と考えないようにします。見込みを出した日と、計算の前提も残しておくと後で比較できます。

明細では控除の合計だけでなく、項目名、金額、根拠、対象期間を見ます。住民税と書かれていても、退職所得に課税するものか、給与から引けなくなる残額かで意味が違います。貸付返済があれば、税の控除とは別の債務の精算です。

項目主に確かめる根拠・資料
退職所得の所得税等退職所得申告書、所得区分、源泉徴収票
退職所得の住民税特別徴収の計算、退職所得の明細
給与に係る住民税残額現年度の通知、徴収済み額と未徴収額
共済貸付等の返済貸付契約・償還条件、残高、精算日
その他の精算個別の制度、請求書や同意・手続きの内容

最終給与と退職手当が別の日に支払われる場合には、どちらで何を引くのかも確認します。同じ請求が二つの明細に載っていないか、片方で引いたと考えた項目が未払いでないかを、明細と通知を並べて確かめてください。

退職所得の所得税は申告書の有無で処理が変わる

所得税法第199条は、国内で居住者に退職手当等を支払う際の源泉徴収を定めています。第201条は徴収する税額、第203条は退職所得の受給に関する申告書について定めています。退職手当からの税は、通常の毎月の給与と同じ計算をするものではありません。

申告書を提出している場合は、記載された受給歴や勤続期間などを踏まえて、退職所得の区分と控除を確認して計算します。退職所得控除は税の計算上の控除であって、その控除額自体を現金として手当から取り上げるものではありません。

2026年分について、申告書を提出していない場合は支給額に20.42%の所得税・復興特別所得税を源泉徴収する取扱いがあります。その後、本人の確定申告で精算します。この率を、申告書を出した人も含む全員の最終的な税負担として使わないようにします。

公務員は税法上の役員等に含まれる点にも注意が必要です。役員等勤続年数が五年以下の期間に対応する特定役員退職手当等では、通常の二分の一計算が適用されません。庁内の役職が管理職でないことだけでは判断できないため、本人の区分を担当者へ確認します。

退職所得の計算の入口は、退職所得の分離課税で整理しています。支給額から一律の率を引いて手取りを予想するより、申告書の受理と本人に適用される計算を確認してください。

次の職務や勤務条件を調べる際は、公務員経験を生かせる求人一覧も利用できます。退職手当の手取りと、新しい仕事の条件は別の資料で確かめて比較しましょう。

退職所得の住民税は給与の住民税と別に見る

地方税法第328条の4は、退職所得に係る分離課税の所得割を特別徴収で徴収することを定めています。横浜市の事業者向け案内でも、退職手当等を支払う際に、退職所得に係る個人住民税の所得割を特別徴収することを説明しています。

この税は、退職所得について支払時に計算するものです。給与から毎月差し引かれていた住民税の残りとは別に確認します。退職手当の明細に住民税が載ったことだけで、以前の給与の税を二重に取られたとは判断できません。

税額が生じるかや計算に使う控除・期間は、本人の退職所得の条件によります。所得税の源泉徴収額と住民税額が同じになるわけでもありません。退職所得の源泉徴収票・特別徴収票と明細を照合し、どの税がどの欄に対応するかを担当者へ確認します。

給与の住民税残額をまとめて徴収する場合がある

給与の特別徴収は、通常、前年の所得などを基に計算した税を、六月から翌年五月にかけて納める仕組みです。途中で退職して給与から引けなくなると、その年度の未徴収分の納め方を変更する必要があります。

地方税法第321条の5は、退職等で給与が支払われなくなる場合の徴収と、一括徴収の条件を定めています。1月1日から4月30日までの退職では、5月31日までに支払われる給与・退職手当等が未徴収額を超える場合、原則として本人の申出を待たずに残額を一括して徴収する仕組みです。

六月から十二月の退職でも、本人の申出など所定の条件により一括徴収する場合があります。ほかに新勤務先で特別徴収を続ける手続きや、普通徴収に切り替える場合もあるため、退職月だけで振込額を断定せず、所属の担当と市区町村へ確認します。

横浜市の「退職後の住民税は」の説明では、退職時に納めた残税額と、退職年の所得に基づく翌年度の税が別であることを案内しています。退職時にまとめて引かれたから、今後の住民税がすべて済んだと考えないでください。

いま納める年度の残額、退職所得自体の税、翌年度に給与などから生じる税を分けて資金計画に置きます。新勤務先で特別徴収が始まる時期も、入社した月から必ず直ちに切り替わると見込まず、通知と手続きの状況を確認してください。

共済貸付の残額は税ではなく返済として確認する

共済組合の貸付を利用している場合、退職時の一括償還が関係することがあります。地方職員共済組合大阪府支部は、貸付金の残額を退職手当から一括控除し、手当を超える不足額は別途振り込む取扱いを案内しています。

宮城県市町村職員共済組合も、退職時の貸付の全額償還と、退職手当から控除しても残る場合の支払いについて説明しています。ただし、これらは各組合の案内です。自分の加入組合でも同じ期限・方法で進むとせず、契約と現在の残高を確認します。

借入れをした時の金額と、退職時に精算する未償還額は異なります。通常の返済がどこまで反映されているか、利息をどの日まで計算するか、先に繰上償還した分があるかを確認します。以前の残高表をそのまま最終控除額としないようにしてください。

住宅貸付以外の貸付や、物資の立替などを利用している場合も、制度ごとに確かめます。借入先が共済組合なのか、銀行など別の金融機関なのかによって、退職との関係や返済の扱いは違います。すべての住宅ローンが退職手当から自動的に返済されるわけではありません。

退職後の仕事の進め方や入社時期は、相談フォームでも整理できます。貸付の精算は加入組合や借入先に確認し、確認できた支出の時期を基に生活の予定を組みましょう。

その他の精算は項目ごとの根拠を尋ねる

税と貸付以外の項目が控除欄にある場合は、名目だけで納得したり、反対に誤りと決めたりせず、根拠となる制度や請求内容を確認します。給与や手当の返納などがある場合も、返す理由、対象期間、金額、どの支払いから精算するのかを資料で確かめてください。

給与で差し引かれていた会費や保険料などが、すべて退職手当でも継続して差し引かれるとは限りません。退職後に口座振替へ変わる項目や、別途本人が支払う項目も考え、控除がないことを支払い自体が終わったという意味で受け取らないようにします。

不明な項目があるときは、明細の項目名をそのまま担当者へ伝えます。税については税の種類と年分・年度、貸付については契約と残高、それ以外は根拠と対象期間を質問します。説明を受けた日と回答を残し、支給後の訂正や追加請求がある場合にも確認できるようにします。

振込後にも必要な支払いが残るか確かめる

退職手当の差引振込額は、その時点で入金される額です。退職後の保険料、翌年度の住民税、貸付の不足額など、その後に支払うものまで自動的に差し引いた残りとは限りません。手当の明細と、今後の支払予定を分けて作ります。

再就職まで期間が空く場合は、保険と年金の資格、納付方法も確認します。退職手当の税の計算が済んだことと、退職後の社会保険の手続きが済んだことは別です。共済組合や年金事務所の案内に沿って、本人に必要な切替を確認してください。

よくある質問

退職所得控除の金額を現金で引かれるのですか

退職所得控除は税の計算上の控除です。その額を手当から現金で差し引くという意味ではありません。支給額、税額、実際の返済等を分けて見ます。

退職時に住民税を一括で引かれたら納税は終了ですか

その年度の給与に係る残額などを納めた場合でも、退職年の所得に基づく翌年度の住民税とは別です。対象年度と税の種類を確認してください。

共済貸付が退職手当より多い場合はどうなりますか

不足額の別途償還が必要となる取扱いがあります。加入組合と本人の契約により方法や期限を確認し、手当から引かれた分だけで完済したと判断しないようにします。

退職手当の控除は、税、給与住民税の残額、貸付等の返済に分けて確認します。働き方の希望はLINEの相談窓口でも整理できます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担)。

出典

  1. 所得税法 第199条・第201条・第203条
  2. 地方税法 第321条の5・第328条の4
  3. 国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき
  4. 国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収
  5. 横浜市 個人の市民税特別徴収に関すること
  6. 横浜市 退職後の住民税は
  7. 地方職員共済組合大阪府支部 退職する場合の償還について
  8. 宮城県市町村職員共済組合 貸付事業

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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