選考対策 / 面接
業務改善の経験の話し方
中途採用の面接で、ほぼ必ず出る質問です。
「業務を改善された経験はありますか」
公務員の方は、材料を持っているのに出てこないことが多い質問です。理由は、改善したことを「当たり前の事務」として処理しているからです。
様式を作り直した、確認の順番を変えた、集計を自動化した。どれも改善です。
この記事では、その出し方と組み立てを扱います。書類での書き方は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本にあります。
合理化は、自治体の努力義務です
改善が例外的な取り組みではないことを、条文で確認しておきます。
地方自治法第2条第15項です。
> 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
「常に」「合理化に努める」。
つまり、業務の見直しは、自治体が継続して行うべきものとして位置づけられています。
あなたが様式を統一したことも、集計を自動化したことも、この努力義務の下で行われた業務の改善です。
「勝手にやったこと」ではありません。自信を持って話して構いません。
結論:4段で話す
| 段 | 内容 |
|---|---|
| ① 問題 | 何が、どう不都合だったか(できれば数字で) |
| ② 原因 | なぜそうなっていたか |
| ③ 変えたこと | 自分が何を設計したか |
| ④ 効果 | どう変わったか(測れない場合は、変化の内容で) |
②が入っているかどうかで、話の質が変わります。
原因を特定せずに変えた話は、「思いつきで変えた」と受け取られます。
改善の5類型
自分の経験がどれに当たるかを先に決めると、話しやすくなります。
| 類型 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| なくす | 必要のない工程を消す | 使用実績のない帳票を廃止した |
| 減らす | 回数や量を減らす | 添付書類を◯種類から◯種類にした |
| まとめる | 分散していたものを1つに | 係ごとの様式を統一した |
| 順番を変える | 工程の前後を入れ替える | 決裁に回す前に関係課と協議する形にした |
| 自動化する | 手作業を仕組みに | 手集計だった月次の報告を表計算で自動化した |
5つのうち、「なくす」がいちばん難しく、いちばん評価されます。
役所では、前例のある工程を消すには根拠が要ります。その根拠を作って、合意を取って、消した経験があるなら、それを話してください。
答え方の例
> 窓口で、記載の不備による再来庁が多い状態でした。月に約◯件の方が、書類を取りに戻られていました。(①)>> 原因を確かめたところ、必要な持ち物が申請の種類によって違うのに、案内が1種類しかありませんでした。窓口で口頭で説明していたため、担当者によって伝える内容にも差がありました。(②)>> 申請の種類ごとに、必要な持ち物と記入の例をまとめた案内を作り、電話の問い合わせの段階と、窓口の受付の段階で渡す運用にしました。係内で内容を確認し、係長の了解を得たうえで、翌月から運用を始めています。(③)>> 再来庁は月に約◯件まで減りました。あわせて、問い合わせの電話の時間も短くなっています。(④)
③に「合意を取った」ことが入っています。
これは、役所の話として自然であると同時に、民間でも同じことが必要です。
効果が測れない場合
測っていない改善も多いはずです。その場合は、変化の内容で話してください。
| 測れない場合の書き方 |
|---|
| 「担当者によって説明の内容が違う状態を、同じ内容で説明できる形にしました」 |
| 「引継ぎのときに口頭で伝えていた内容を、文書で渡せるようにしました」 |
| 「探すのに時間がかかっていた資料を、分類して所在が分かる形にしました」 |
数字が無くても、状態の変化は説明できます。
測っていない効果を数字にして話すのは避けてください。面接で根拠を聞かれ、答えられないと、他の数字も疑われます。
「勝手に変えたのか」と聞かれたら
確認として、この質問が入ることがあります。
意図は、独断で動く人かどうかの確認です。答え方は、手順を述べれば足ります。
> 変更の前に、係内で現状の件数を確認し、案を作って係長に相談しました。試行の期間を1か月設けて、問題が出ないことを確認してから、正式な運用に変えています。
「段取りを踏んだうえで変えた」ことが伝われば、この確認は終わります。
逆に、「必要だと思ったので変えました」だけだと、確認が続きます。
入社後の改善について聞かれたら
この質問の後に、続けて聞かれることがあります。
「入社されたら、どこを改善したいですか」
答え方に注意が要ります。入社前の段階で、社内の業務の実態は分かりません。分からないまま「ここが非効率だと思います」と述べると、現場を知らずに判断する人と受け取られます。
答えるなら、前提を置いてください。
> 入社前に分かる範囲では判断できないので、まずは現状の手順を把握したいと考えています。そのうえで、役所で経験してきた観点として、同じ作業を複数の担当者がそれぞれのやり方でやっている部分があれば、そこは揃えられる可能性が高いと思っています。
「観点を持っているが、判断は入ってから」という形にすると、姿勢と謙抑の両方が伝わります。
小さい改善でよい
大きな改革の話である必要はありません。
| 規模 | 例 |
|---|---|
| 小 | 案内の1枚、記入例、チェックの表 |
| 中 | 様式の統一、手順書の作成、集計の自動化 |
| 大 | 業務の分担の見直し、システムの要件の整理、制度の運用の変更 |
「小」でも、①〜④が具体的であれば十分です。「大」の話を漠然と語るより、「小」を具体的に語るほうが読まれます。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. ②の原因を飛ばす
思いつきで変えたと受け取られます。
2. 合意を取った部分を話さない
実行できた理由が抜けます。
3. 測っていない効果を数字にする
根拠を聞かれます。
4. 大きな話を選ぶ
小さい改善を具体的に話すほうが伝わります。
5. 「改善したことはありません」と答える
様式、案内、順番。必ず何かあります。
6. 効果を自分の手柄だけにする
他の要因があれば、認めたうえで話してください。
まとめ
- 地方自治法第2条第15項は、地方公共団体が常にその組織及び運営の合理化に努めることを求めています。改善は例外的な取り組みではありません
- 話し方は、①問題 ②原因 ③変えたこと ④効果の4段。②が抜けると思いつきと受け取られます
- 類型は、なくす・減らす・まとめる・順番を変える・自動化するの5つ。「なくす」がいちばん評価されます
- 合意を取った部分を1文入れてください。実行できた理由になります
- 効果が測れない場合は、状態の変化で話します。測っていない効果を数字にしないでください
- 小さい改善で構いません。具体的であることのほうが大事です
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よくある質問
改善しようとして、実現しなかった経験しかありません
それも話せます。①②③まで進んでいるので、④を「実現しなかった理由と、その後」に置き換えてください。「案を作って係内で協議しましたが、システムの改修が必要で、予算の措置ができませんでした。代わりに、手作業の範囲で確認の項目を絞る形に変更し、一部だけ実施しています」という形です。全部が通らなくても、一部を実現した経験は実行の経験です。加えて、なぜ通らなかったかを分析できているなら、それも述べてください。実現の条件を理解している人として読まれます。
前任者のやり方を変えたことが、改善と言えるか自信がありません
言えます。前任者のやり方を引き継いだうえで、自分の判断で変えた部分があるなら、それが改善です。注意するのは、前任者を評価しないことです。「前任者のやり方が非効率で」と述べると、人を評価する話になります。「引き継いだ時点では口頭での確認が中心だったため、確認の項目を一覧にしました」と、状態の説明にとどめてください。入社後も同じ場面(前任者のやり方を引き継ぐ場面)があるため、その言い方ができるかどうかが見られます。
改善の提案をしたが、上司に止められた経験があります
これも材料になります。ただし、上司を原因として語らないでください。「提案しましたが、上司の理解が得られず」と述べると、組織や人への不満として読まれます。代わりに、なぜ通らなかったかを構造で述べてください。「他の係の業務にも影響する内容だったため、係の判断では決められず、課をまたぐ調整が必要でした。その調整の段取りを自分で用意できていなかったのが、通らなかった理由だと考えています」という形です。自分が足りなかった部分を特定できていると、次に活かせる人として読まれます。