選考対策 / 面接
失敗経験の話し方
面接の定番の質問です。
「これまでで、いちばん失敗したと思う経験を教えてください」
準備していないと、その場で事案を探すことになります。そして、探しながら話すと、説明が長くなり、言い訳に近づきます。
準備するのは1件で足ります。ただし、選び方と組み立てに、基準があります。
この記事では、面接での話し方を扱います。書類に書くかどうかの判断はうまくいかなかった仕事を書くべきかにあります。
誤りは、制度が想定しています
前提を、条文で確認しておきます。
行政不服審査法第1条第1項です。
> この法律は、行政庁の違法又は不当な処分その他公権力の行使に当たる行為に関し、国民が簡易迅速かつ公正な手続の下で広く行政庁に対する不服申立てをすることができるための制度を定めることにより、国民の権利利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とする。
違法または不当な処分が生じ得ることを前提に、救済と是正の手続きが用意されています。
つまり、誤りが起きないという前提で制度が作られているわけではありません。起きたときに、どう是正するかまで含めて設計されています。
面接で聞かれているのも、同じことです。失敗しない人を探しているのではなく、失敗したときに処理できる人を探しています。
選ぶ事案の3条件
| 条件 | 理由 |
|---|---|
| ① 自分の判断が含まれている | 他人の判断による事案は、話が続きません |
| ② 対処が終わっている | 進行中の事案は、④が語れません |
| ③ 深刻すぎない | 重い事案は、確認の質問で面接の時間を使います |
③について補足します。懲戒に関わる事案、訴訟になった事案、健康を損ねた事案。これらを選ぶと、面接官は内容の確認に時間を使わざるを得ません。
適度な事案としては、見込みの誤り、調整の失敗、期限の遅れがあります。
4段で組み立てる
| 段 | 内容 | 長さ |
|---|---|---|
| ① 状況 | 何を目指し、どういう条件だったか | 15秒 |
| ② 自分の判断 | そのとき、何を選んだか | 20秒 |
| ③ 結果 | 何が起きたか(評価語を使わない) | 15秒 |
| ④ 変えたこと | その後、何を変えたか | 30秒 |
全体で1分半です。④にいちばん時間を使ってください。
答え方の例
> 新しい事業の初年度に、利用の見込みを年間約◯件と算定して、予算と人員を配置しました。類似の事業の実績から積んだ数字です。(①②)>> 実績は約◯件で、想定の半分以下でした。配置した人員に余裕が生じ、年度の途中で他の業務に振り分けることになりました。(③)>> 原因を確かめたところ、参考にした事業と比べて、対象者の要件が狭いことを算定に反映していませんでした。以降は、見込みを作るときに、前提となる条件の違いを一覧にしてから算定するようにしています。翌年度の事業では、見込みと実績の差が約◯割まで縮まりました。(④)
④に、「行動が変わった」ことが示されています。
「反省しています」「気をつけます」では、行動が変わったことになりません。
追加の質問に備える
この質問は、1回で終わらないことがあります。次の3つが続きやすい質問です。
| 追加の質問 | 準備すること |
|---|---|
| 「他にできたことはありましたか」 | 当時取れた別の選択肢を1つ |
| 「なぜそうなったと思いますか」 | 構造の要因(自分の判断以外の部分) |
| 「周りの反応はどうでしたか」 | 報告の仕方、上司や関係者への説明 |
3つ目が、意外に見られている部分です。
失敗が起きたときに、隠さずに報告したか。報告が遅れると、対処の選択肢が減ります。
「気づいた時点で、上司と関係する課に報告し、対応の案を2つ用意して相談しました」という一言があると、処理の仕方が伝わります。
「短所は」と聞かれたときも、同じ型
短所を聞く質問も、構造は同じです。短所を述べて終えず、対処を添えてください。
| 短所の例 | 添える対処 |
|---|---|
| 確認を優先して判断が遅れる | 後戻りできる判断と、できない判断を分けて、前者は先に進める |
| 手順を整えることに時間をかけすぎる | 使う回数で判断し、年に数回のものは整えない |
| 前例を確認してから動く癖がある | 前例が無い場合の判断の基準を、先に決めておく |
3つとも、公務員の仕事で身につきやすい傾向です。短所として挙げても、対処が添えてあれば問題になりません。
避けるのは、「心配性です」「真面目すぎます」といった抽象的な答えです。対処のしようがないため、話が続きません。
話さないほうがよいこと
| ✕ | 理由 |
|---|---|
| 他人の失敗 | 自分の判断が語れません |
| 組織や制度への批判 | 次の職場でも同じことを言うと読まれます |
| 個別の事案が特定できる説明 | 守秘に関わります |
| 「失敗したことはありません」 | 振り返っていないと受け取られます |
| 失敗に見せかけた自慢 | 「完璧を求めすぎて」など。見抜かれます |
4つ目は、この質問でもっとも評価が下がる答えです。
「思い当たりません」と答えるくらいなら、小さな事案でよいので1件挙げてください。
公務員特有の材料
| 場面 | 失敗の型 |
|---|---|
| 制度の改正への対応 | 周知の時期が遅れ、問い合わせが集中した |
| 予算の見積り | 執行率が低く、不用額が生じた |
| 事業の設計 | 対象者の要件を狭く設定し、利用が伸びなかった |
| 庁内の調整 | 関係課への事前の説明が不足し、差し戻しになった |
| 窓口の運用 | 案内の内容に不足があり、再来庁が発生した |
5つとも、自分の判断が含まれ、対処が具体的に語れる型です。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 事案が重すぎる
確認の質問で時間を使います。1分半で説明できる事案を選んでください。
2. ④が薄い
行動が変わったことを示してください。
3. 「反省しています」で締める
何を変えたかです。
4. 他人の判断を原因にする
自分の判断を語ってください。
5. 追加の質問に備えない
「他にできたことは」は高い確率で続きます。
6. 「失敗はありません」と答える
振り返っていないと受け取られます。
まとめ
- 行政不服審査法第1条は、違法又は不当な処分に対する不服申立ての制度を定め、救済と行政の適正な運営の確保を目的としています。誤りは制度が想定しています
- 選ぶ事案は、①自分の判断が含まれる ②対処が終わっている ③深刻すぎないの3条件です
- 組み立ては、①状況 ②自分の判断 ③結果 ④変えたことの4段。全体で1分半、④に30秒です
- 「他にできたことは」「なぜそうなったと思うか」「周りの反応は」への備えを用意してください
- 「失敗はありません」は、もっとも評価が下がる答えです
- 準備は1件で足ります。応募先によって変える必要はありません
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よくある質問
若手で、大きな仕事を任された経験がありません
規模は関係ありません。「窓口の案内の内容に不足があり、再来庁が発生した」「引継ぎの確認が足りず、前任者に確認することになった」。この程度の事案で十分です。見られているのは、失敗の大きさではなく、原因を自分で特定して、行動を変えたかどうかです。むしろ、若手で大きな失敗を語ると、「そんな仕事を任されていたのか」という確認が入ります。等身大の事案を、4段で具体的に話すほうが評価されます。④で「以降は、案内の内容を一覧にして、渡す前に確認するようにしています」と言えれば、それで完結します。
失敗の原因が、明らかに制度や前例の側にありました
その場合も、自分が動かせた範囲を探してください。制度に無理があったことは事実として述べて構いませんが、それだけで終えると、④が書けません。「制度上、◯◯の運用が必要でしたが、その制約を事前に関係課へ共有していなかったため、実施の段階で混乱が生じました。以降は、制約となる条件を先に一覧にして共有しています」という形です。制度は変えられなくても、伝え方や段取りは変えられます。その部分を④に置いてください。
同じ質問が、二次の面接でも出ました
一次と同じ事案を話して構いません。面接官が違えば、情報は共有されていても、本人の口から聞きたいと考えるのが通常です。ただし、二次でも出る場合は、一次の答えに引っかかりが残っている可能性があります。多いのは、④が薄いまま終わったという形です。二次では、④を厚くして話してください。「その後、同じ状況が◯回ありましたが、変えた手順で対応できています」と、再現の話まで加えると、確認は終わります。答えを変える必要はありません。同じ事案を、深く話してください。