選考対策 / 面接
退職理由の答え方
面接で聞かれる質問のうち、「なぜ民間へ」と混同されやすいのがこれです。
「退職の理由を教えてください」
似ていますが、別の質問です。「なぜ民間へ」は動機を聞いています。「退職の理由」は、事実を聞いています。
動機で答えようとすると、話が長くなります。事実を1文で答え、動機は別に用意しておく。この分け方で、両方に対応できます。
この記事では、事実の側の答え方を扱います。動機の側は面接で「なぜ民間へ」と聞かれたときにあります。
結論:事実を1文、動機は別に
| 質問 | 答えること | 長さ |
|---|---|---|
| 退職の理由 | いつ、どういう区分で退職する(した)か | 1文 |
| 転職の理由・なぜ民間へ | 何を続けたくて、なぜその環境か | 1分 |
公務員の場合、退職の区分は「自己都合による退職」になるのが通常です。
そのまま言って構いません。「一身上の都合により退職しました」で足ります。この一文に、説明を足す必要はありません。
退職の事由は、証明の対象になります
なぜ事実を正確に言う必要があるのか。制度の側に理由があります。
労働基準法第22条第1項です。
> 労働者が、退職の場合において、使用期間、業務の種類、その事業における地位、賃金又は退職の事由(退職の事由が解雇の場合にあつては、その理由を含む。)について証明書を請求した場合においては、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければならない。
退職の事由は、証明書の記載事項です。請求されれば、事業主は交付しなければならない。
つまり、退職の事由は、記録として扱われる情報だということです。
面接で述べる説明と、記録が食い違うと、後で確認の手間が生じます。だから、事実は正確に、短く述べる。そのうえで、動機は別に語る。この分け方が確実です。
在職中の場合
まだ退職していない場合は、次の3点で足ります。
| 伝えること | 言い方の例 |
|---|---|
| 現在も在職していること | 「現在も在職しています」 |
| 退職の意思の状況 | 「内定をいただいた段階で、退職の手続きに入る予定です」 |
| 必要な期間の見込み | 「引継ぎを含めて、◯か月程度を見込んでいます」 |
退職を申し出ていない段階で、「もう辞めると伝えてあります」と言う必要はありません。
所属の規程で手続きの時期が決まっている場合があります。先に確認しておくと、入社の時期の相談がしやすくなります。
「退職の意思は固まっていますか」と確認されることがあります。これは、①の意図(続くか)の確認です。「条件が合えば退職します」と答えて差し支えありません。
退職済みの場合
すでに退職している場合は、退職の時期と、その後の期間の説明が必要になります。
| 期間 | 説明の仕方 |
|---|---|
| 3か月以内 | 説明は不要。退職の時期を述べれば足ります |
| 3か月〜1年 | その期間に何をしていたかを1文で |
| 1年以上 | 事情(療養、介護、育児、学習)を簡潔に |
空白の期間を隠す必要はありません。むしろ、書類に書かずに面接で判明するほうが、確認に時間を使います。
説明の例を挙げます。
> ◯年◯月に退職し、現在は◯◯の資格の取得に向けて学習しています。◯月に受験の予定です。
> ◯年◯月に退職しました。家族の介護のため、一時的に仕事を離れていましたが、現在は状況が落ち着いています。
どちらも1〜2文です。詳しく説明する必要はありません。
答えにくい理由の扱い
| 実際の理由 | 面接での扱い |
|---|---|
| 人間関係 | 挙げない。確認できない情報は判断に使えません |
| 健康 | 回復していれば、回復した旨を。業務に支障がなければ詳細は不要 |
| 家族の事情 | 事実として述べて構いません。そのうえで仕事の選び方を添える |
| 処遇 | 単独では挙げない。仕事の内容と併せて |
| 組織の方針への不満 | 挙げない。次の職場でも同じ言い方をすると読まれます |
健康上の理由については、業務の遂行に支障がなければ、詳細を述べる必要はありません。採用の選考で収集される情報は、業務の目的の達成に必要な範囲内とされています。
「現在は問題なく勤務できる状態です」で足ります。
「もっと早く動かなかったのはなぜか」
在職の年数が長い方に、この確認が入ることがあります。20年、25年勤めてから動く場合です。
意図は、いま動く理由の確認です。責める質問ではありません。
答えるときは、区切りで説明してください。
> 担当していた制度の改正が、今年度の施行で一区切りつきました。次の異動で分野が変わる見込みがあり、このまま役所の中で分野を変えるよりも、いままでの分野を続けられる環境を選びたいと考えました。
「ずっと考えていました」という答えは避けてください。それなら、なぜ今なのかが説明できません。
逆に、年数の長さは不利になりません。同じ分野を続けてきた実績として読まれます。気をつけるのは、「定年まで勤めるつもりだったが、状況が変わった」という説明です。受け身の印象になるため、自分の区切りで述べるほうが通ります。
退職の手続きの実務
在職中の方が確認しておくとよい点を挙げます。
| 項目 | 確認する先 |
|---|---|
| 退職の申し出の時期 | 所属の規程、人事の担当 |
| 退職の日と、次の入社日の間隔 | 双方の調整 |
| 退職手当の取扱い | 所属の退職手当の規程 |
| 共済から健康保険への切替え | 共済組合、次の勤務先 |
| 年金の取扱い | 共済組合、年金事務所 |
税・社会保険・年金は個別性が高いので、所属の共済組合や年金事務所で確認してください。一般的な取扱いと、自分の場合が異なることがあります。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 退職理由を動機で答える
事実は1文です。動機は別に聞かれます。
2. 理由を詳しく説明する
長くなるほど、言い訳に近づきます。
3. その理由が応募先では生じないことを添えない
「うちでも起きませんか」と続きます。
4. 空白の期間を書類に書かない
面接で判明するほうが、確認が増えます。
5. 人間関係を理由に挙げる
確認できない情報は、判断に使えません。
6. 退職の手続きを調べずに面接に臨む
入社の時期の相談ができません。
まとめ
- 退職の理由(事実)と、転職の理由(動機)は別の質問です。事実は1文で足ります
- 労働基準法第22条第1項は、退職の事由を退職時の証明書の記載事項としています。記録として扱われる情報です
- 在職中なら、在職している事実・退職の意思の状況・必要な期間の3点を伝えます
- 退職済みなら、空白の期間を1〜2文で説明します。隠す必要はありません
- 理由を述べたら、その理由が応募先では生じないことを1文添えてください。質問が1回で終わります
- 人間関係と組織への不満は挙げない。確認できない情報は判断に使えません
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よくある質問
「一身上の都合」だけでは、不十分ではありませんか
書類の記載としては、それで足ります。履歴書の職歴欄には、「◯年◯月 ◯◯市役所 一身上の都合により退職」と書くのが一般的です。面接で理由を聞かれたときに、口頭で説明すれば足ります。書類に詳しい理由を書くと、その記述だけが独り歩きします。なお、退職の予定が確定していない在職中の方は、履歴書に退職の予定を書かないでください。「現在に至る」で足ります。面接で、退職に要する期間の見込みを口頭で伝えるほうが、調整がしやすくなります。
懲戒処分を受けたことがあります。申告する必要はありますか
応募先から聞かれた場合は、正確に答えてください。履歴書に「賞罰」の欄があり、該当する場合は記載が必要とされるのが一般的です。判断に迷う場合は、人材会社の担当者に事前に相談するほうが確実です。隠したまま入社すると、後で判明した際に問題になります。そのうえで申し上げると、処分の事実だけで採否が決まるとは限りません。内容、時期、その後の勤務の状況によって受け止め方は変わります。事実を述べたうえで、その後どう勤務してきたかを添えるという説明の仕方があります。
定年退職・再任用からの転職です。退職理由はどう説明しますか
この場合、退職の理由の説明は簡単です。「定年により退職しました」で足ります。説明が必要になるのは、なぜ再任用を選ばずに(あるいは再任用の途中で)民間に移るのかのほうです。答え方は、再任用の働き方と、応募先の仕事を比べた結果として述べるのが自然です。「再任用では担当する範囲が限られるため、これまでの経験をそのまま使える環境を選びました」という形です。この年代で見られているのは、入ってすぐ持ち込める経験です。退職の経緯より、何を持ち込めるかを具体的に述べるほうが、時間を有効に使えます。