選考対策 / 面接
転勤の可否を聞かれたとき
公務員から民間に移るときに、条件として大きく変わる項目の1つです。
転勤。
自治体の職員は、異動があっても勤務地は自治体の区域内に収まるのが通常です。通勤の範囲が大きく変わることは多くありません。
民間では、全国に拠点がある会社の場合、転居を伴う異動があります。
面接では、「転勤は可能ですか」と確認されます。この質問には、正確に答えてください。
この記事では、答え方と、確認しておく項目を扱います。面接の全体像は公務員からの転職面接|全体の流れと準備にあります。
結論:3つに分けて答える
| 段 | 内容 |
|---|---|
| ① 可否 | 可能か、条件付きか、難しいかを先に言う |
| ② 事情 | 難しい場合は、理由を簡潔に(詳細は不要) |
| ③ 確認 | 頻度・範囲・時期の見込みを確認したい旨 |
曖昧に答えないでください。「できれば避けたいですが、必要なら」という答えは、双方にとって情報になりません。
配置の変更には、配慮の義務があります
事情がある場合に、それを伝えることは正当な行為です。
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第26条です。
> 事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない。
育児や介護の状況について、配慮しなければならない。これは、事業主の義務として定められています。
つまり、事情を伝えること自体が、制度の前提になっているということです。
隠して入社し、転勤の内示が出てから相談するよりも、応募の段階で伝えるほうが確実です。
なお、この条文は「配慮」を求めるもので、転勤を拒否できる根拠ではありません。その点は正確に理解しておいてください。
答え方の例
転勤が可能な場合
> 転居を伴う異動は可能です。現在の住まいに特段の制約はありません。頻度と範囲について、一般的な運用を教えていただけますか。
条件付きの場合
> 転居を伴う異動は可能ですが、◯年後に家族の介護が必要になる見込みがあります。その時期については、配慮をお願いできるかを確認させてください。それ以外の期間については制約はありません。
難しい場合
> 現在、家族の介護のため、通勤の範囲を◯◯県内に限る必要があります。地域を限定した採用の枠があれば、そちらで検討いただけますでしょうか。
3つ目のように述べても、その場で不採用になるとは限りません。地域限定の枠がある会社もあります。
確認しておく項目
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 頻度 | 「異動の周期は、一般的にどの程度ですか」 |
| 範囲 | 「転勤の範囲は、全国ですか、エリア内ですか」 |
| 時期の予告 | 「内示から赴任までの期間は、どの程度ですか」 |
| 支援 | 「転居に関する費用や住宅の支援はありますか」 |
| 職種との関係 | 「この職種で、実際に転勤された方はどの程度いますか」 |
5つ目が、実態を知るのに有効です。制度として転勤があっても、その職種では実際にほとんど発生していないという場合があります。
逆に、「転勤は基本的にありません」と言われても、制度上の可能性がある場合は、その旨を確認してください。入社後の相違を防げます。
地域を限定する働き方
転居が難しい場合の選択肢を挙げます。
| 選択肢 | 内容 |
|---|---|
| 地域限定の採用の枠 | 転居を伴う異動がない区分。処遇が異なる場合があります |
| 拠点が限られる会社 | そもそも転勤が生じにくい |
| 在宅勤務が中心の職種 | 勤務地の制約が小さい |
| 自治体向けの事業で、担当地域が固定 | 顧客が地域に紐づく |
地域限定の枠は、処遇や昇進の扱いが異なる場合があります。選ぶ場合は、その違いも確認してください。
求人票のどこを見るか
応募の前に、次の3か所を確認してください。面接で聞く前に、ほとんどが分かります。
| 欄 | 確認すること |
|---|---|
| 勤務地 | 具体の地名か、「全国各地の事業所」か |
| 転勤の有無 | 「あり」「なし」「当面なし」の表記の違い |
| 就業の場所の変更の範囲 | 変更があり得る範囲が記載されていることがあります |
「当面なし」という表記は、将来的な可能性を残していることがあります。気になる場合は、面接で確認してください。
3つ目は、労働条件の明示に関わる項目です。記載がある求人では、入社後にどこまで変わり得るかが読み取れます。記載が無い場合は、内定の提示の際に書面で確認してください。労働基準法第15条により、労働条件は明示されるものです。
公務員の異動との違いを説明する
面接で、「異動のご経験は」と聞かれる場合があります。
自治体の異動と、民間の転勤は、性質が違います。その違いは説明できます。
| 項目 | 自治体の異動 | 民間の転勤 |
|---|---|---|
| 範囲 | 原則として区域内(都道府県は広域) | 拠点のある地域 |
| 頻度 | 3〜5年程度が一般的 | 会社と職種による |
| 内容 | 職務の内容が大きく変わる | 職務は同じで、場所が変わることが多い |
3つ目が、説明しておくとよい点です。
自治体の異動は、仕事の中身がまるごと変わります。税から福祉、福祉から財政。転居はしませんが、職務の変化は大きい。
この経験は、「新しい分野を短期間で立ち上げた回数」として説明できます。転勤の経験がないことは、適応力が無いことを意味しません。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 曖昧に答える
双方にとって情報になりません。可否を先に述べてください。
2. 制約を隠して応募する
最終まで進んでから判明すると、時間を失います。
3. 事情を詳しく説明しすぎる
業務の調整に関わる範囲で足ります。
4. 求人票の勤務地の欄を確認しない
応募の前に外せる求人があります。
5. 「転勤なし」の言葉だけで安心する
制度上の可能性を確認してください。
6. 転勤の経験がないことを弱点として述べる
自治体の異動は、職務がまるごと変わります。
まとめ
- 答えは、①可否 ②事情(あれば簡潔に)③確認したいことの3段です。曖昧に答えないでください
- 育児・介護休業法第26条は、就業の場所の変更を伴う配置の変更にあたり、子の養育や家族の介護の状況に配慮しなければならないとしています
- 事情を伝えることは、制度の前提です。ただし、転勤を拒否できる根拠ではありません
- 確認するのは、頻度・範囲・内示から赴任までの期間・支援・その職種での実績です
- 地域限定の枠がある会社もあります。処遇の違いも併せて確認してください
- 転勤の経験がないことは、弱点ではありません。自治体の異動は、職務がまるごと変わります
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
配偶者も公務員で、転居が難しい状況です
その事実を、そのまま伝えて構いません。「配偶者が勤務の都合で転居が難しく、通勤の範囲を◯◯に限る必要があります」という形です。理由を詳しく述べる必要はありません。そのうえで、地域限定の枠の有無を確認してください。なお、共働きで双方に勤務地の制約がある世帯は珍しくありません。会社側も、この事情には慣れています。伝えたことで選考が不利になるより、条件が合わない求人を早く外せる利点のほうが大きいです。人材会社を経由している場合は、担当者に先に伝えておくほうが効率的です。
「将来的に転勤の可能性がある」と言われました
「将来的に」の中身を確認してください。聞くのは2点です。「どのような場合に生じますか」と、「現在の部署で、直近で転勤された方はいますか」。制度上の可能性として述べているだけの場合と、数年以内に高い確率で生じる場合では、判断が変わります。確認したうえで、自分の条件と照らして判断してください。なお、入社後に事情が変わることもあります。その場合に相談できる窓口があるか(人事の制度、上長への申出の運用)を聞いておくと、入社後の見通しが立ちます。
単身赴任なら可能ですが、そう答えてよいですか
答えて構いません。むしろ、条件を具体的にしたほうが、会社側も検討しやすくなります。「家族の事情で転居は難しいのですが、単身での赴任であれば対応可能です」という形です。そのうえで、単身赴任に関する支援の制度(住宅の手当、帰省に関する費用の扱い)を確認してください。制度がある会社と、無い会社があります。なお、単身赴任が可能と答えると、それを前提に配置が検討されることがあります。本当に可能かどうかを、家族と確認したうえで答えてください。面接での回答は、入社後の前提になります。