選考対策 / 面接
残業と働き方について聞かれたとき
面接では、両方向から出る話題です。
応募先からは、「繁忙期は残業が発生しますが、対応できますか」。
こちらからは、「実際の残業時間はどのくらいですか」。
どちらも、確認しておくべき事項です。曖昧なまま入社すると、双方にとって損になります。
この記事では、答え方と確認の仕方を扱います。面接の全体像は公務員からの転職面接|全体の流れと準備にあります。
民間の時間外労働は、協定が前提です
仕組みの違いを、先に押さえておきます。
労働基準法第36条第1項です。
> 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし(中略)これを行政官庁に届け出た場合においては(中略)労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
協定を結び、届け出て、はじめて時間外労働をさせられる。
つまり、民間では、時間外労働は「協定の範囲内で行うもの」という枠組みがあります。上限も、法令で定められています。
面接で「残業はどのくらいですか」と確認することは、この枠組みの中で当然の確認です。遠慮する必要はありません。
確認するときは、「協定はどのような内容ですか」ではなく、「実際の平均はどのくらいですか」と聞くほうが、実態が分かります。
答え方:3点で足りる
| 段 | 内容 |
|---|---|
| ① 経験 | 繁忙期を経験してきた事実を1文 |
| ② 条件 | 制約があれば、正確に(無ければ述べなくてよい) |
| ③ 姿勢 | 必要な時期に必要な対応をする、という一言 |
答え方の例(制約がない場合)
> 現在の職場でも、予算の編成の時期と年度末は、時間外の勤務が増えます。その期間は集中して対応してきました。御社でも繁忙の時期があると伺っているので、同様に対応します。
答え方の例(制約がある場合)
> 平日は、保育園の送迎のため18時までに退勤する必要があります。その分、始業を早めるか、持ち帰らずに処理の順番を組み替えることで対応してきました。繁忙期の対応が必要な場合は、事前に分かっていれば調整できます。
制約がある場合は、隠さないでください。入社後に判明するほうが、調整の余地が小さくなります。
制約を述べるときは、「どう対応してきたか」を必ず添えてください。条件だけを述べると、受け入れられるかどうかの話になります。
こちらから確認する項目
面接の質問の時間で、確認しておくとよい項目です。
| 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|
| 実際の時間 | 「部署の平均的な時間外は、月どのくらいですか」 |
| 繁忙の時期 | 「繁忙期は、いつ頃にどの程度集中しますか」 |
| 支給の方法 | 「時間外手当は実績に応じた支給ですか」 |
| 在宅勤務 | 「在宅勤務の運用は、部署によって違いますか」 |
| 休暇 | 「有給休暇の取得の状況を教えていただけますか」 |
| 持ち帰り | 「業務を自宅で行う運用はありますか」 |
3つ目は、確認しておくと差が出ます。固定の残業代が含まれる仕組みの場合、何時間分が含まれるかで、実質の条件が変わります。
聞き方は、条件の確認として自然な形にしてください。「残業はありますか」ではなく、「繁忙期の見込みを把握しておきたい」という趣旨で聞くと、意図が伝わります。
入社直後は、増えることが多い
確認したうえで理解しておくとよいことがあります。入社直後の数か月は、時間外が増える傾向があります。
理由は単純で、商品も顧客も社内の手順も分からない状態で仕事を始めるためです。役所で異動した直後に、同じ仕事でも時間がかかるのと同じ構造です。
面接で確認するなら、「入社後の3か月で、どの程度の立ち上がりを想定されていますか」という聞き方があります。業務量の見込みと、教育の体制の両方が分かります。
この時期の負荷を前提に、生活の条件を組んでおくと、入社後に慌てずに済みます。とくに、育児や介護の事情がある場合は、立ち上がりの時期の見込みを先に共有しておくほうが、双方にとって安全です。
休暇の取りやすさは、数字で聞く
「有給は取りやすいですか」と聞くと、「取りやすいです」と返ってくることがほとんどです。聞き方を変えてください。
> 「部署の平均的な有給の取得の日数は、年間どのくらいですか」
数字で聞くと、実態に近い答えが返ります。取得の日数は、公表している会社もあります。応募の前に確認できる場合は、面接で聞く項目を減らせます。
役所の働き方を、正確に説明する
「公務員は定時で帰れるのでは」と言われることがあります。
部署と時期によります。この点は、事実として説明して構いません。
| 時期・部署 | 状況 |
|---|---|
| 予算の編成、年度末・年度初め | 時間外が増える時期がある |
| 議会の開会中 | 答弁の準備で時間が延びることがある |
| 災害や感染症の発生時 | 通常の業務と並行して対応する |
| 窓口の繁忙期 | 制度の改正や申請の集中で増える |
ただし、特定の自治体の実態を具体的に述べるのは避けてください。「うちの部署は月◯時間でした」という話は、在職している同僚に関わる情報でもあります。
「時期によって増える部署にいました」という程度で足ります。
なお、確認の質問は3つまでにしてください。条件の確認が続くと、仕事の内容への関心が薄いと受け取られることがあります。優先順位をつけて、残りは選考が進んだ段階や、人材会社の担当者を通じて確認すれば足ります。
よくある失敗
1. 「残業は問題ありません」とだけ答える
繁忙期を経験した事実を1文添えてください。
2. 制約を隠す
入社後に判明するほうが、調整の余地が小さくなります。
3. 制約だけを述べる
どう対応してきたかを添えてください。
4. 時間外の仕組みを確認しない
固定残業代や裁量労働制は、役所とは仕組みが違います。
5. 「公務員は楽だった」という前提で話す
部署と時期によります。事実で説明してください。
6. 在宅勤務の制度の有無だけを確認する
実際に使われているかを聞いてください。
まとめ
- 労働基準法第36条第1項は、時間外労働に書面による協定と行政官庁への届出を求めています。確認することは、枠組みの中で当然の行為です
- 答えは、①繁忙期を経験した事実 ②制約があれば正確に ③姿勢の3点です
- 制約は隠さない。そのうえで、どう対応してきたかを添えてください
- 確認するのは、実際の時間・繁忙の時期・支給の方法・在宅勤務・休暇・持ち帰りです
- 固定残業代や裁量労働制は、役所の仕組みとは異なります。自分の職種にどれが適用されるかを確認してください
- 在宅勤務は、制度の有無ではなく、実際に使われているかを聞いてください
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よくある質問
育児中であることを、面接で伝えるべきですか
勤務の条件に影響する範囲では、伝えておくほうが確実です。伝える内容は、「何時までに退勤する必要があるか」「急な休みが生じる可能性があるか」といった、業務の調整に関わる事実で足ります。家族の構成や、配偶者の勤務の状況まで述べる必要はありません。採用の選考で収集される情報は、業務の目的の達成に必要な範囲内とされています。伝えるときは、対応してきた方法を必ず添えてください。「処理の順番を組み替えて対応してきました」という一言があると、条件ではなく実績として伝わります。
「うちは残業が多いですよ」と言われました
その場で判断する必要はありません。確認するのは、「多い」の中身です。月にどのくらいか、時期が偏るのか通年か、支給はどうなっているか、在宅勤務で調整できるのか。この4点を聞けば、実態が分かります。そのうえで、自分の条件と照らして判断してください。なお、面接でこの発言があること自体は、悪い情報ではありません。入社後の相違を避けようとしている、とも受け取れます。曖昧に「そんなに多くありません」と言われるより、情報として扱いやすいです。
副業について聞かれた、または聞きたい場合は
公務員は、地方公務員法第38条により、営利企業への従事等が許可制とされています。在職中に副業をしていなくても、それは制度上のことです。面接で「副業の経験は」と聞かれた場合は、その旨を述べれば足ります。逆に、入社後に副業ができるかを確認したい場合は、「副業に関する規定はありますか」と聞いて差し支えありません。会社によって、届出制、許可制、禁止と運用が分かれます。入社後にトラブルにならないよう、先に確認しておくほうが確実です。