選考対策 / 志望動機
志望動機の提出前チェック
志望動機は、書き終えた時点では完成していません。
自分で書いた文章は、自分にとっては筋が通って見えます。書いた本人には、抜けている部分が見えません。
この記事では、提出の前に見る項目を挙げます。職務経歴書の点検は職務経歴書を自分で見直すチェックリストにあります。
出す前に、審査を通す
確認を仕組みにする、という考え方は、役所の実務にもあります。
地方自治法第233条第2項です。
> 普通地方公共団体の長は、決算及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければならない。
決算は、議会に提出する前に、監査委員の審査を通します。
作った本人が確認するだけでなく、別の目を通すという仕組みです。
志望動機も、同じ考え方で扱ってください。
自分の確認に加えて、可能であれば他人に読んでもらう。それが難しければ、項目に当てて機械的に確認する。
「よく読み返す」では、抜けが見つかりません。
見る順番
| 順 | 群 | 理由 |
|---|---|---|
| 1 | 事実 | 誤りがあれば、他を直しても意味がありません |
| 2 | 構成 | 順番を変えると、書く内容も変わります |
| 3 | 具体 | 構成が固まってから、中身を厚くします |
| 4 | 体裁 | 最後。先にやると、直すたびに崩れます |
① 事実(4項目)
| # | 確認 |
|---|---|
| 1 | 会社名が正しいか(正式名称、旧名称でないか) |
| 2 | 職種名が、募集されている名称と一致しているか |
| 3 | 事業の内容の理解に、誤りがないか |
| 4 | 自分の経験の数字が、職務経歴書と一致しているか |
1と2は、使い回しの跡が出やすい部分です。
3について補足します。公式サイトを読み違えて、別の事業を主力だと書いてしまうことがあります。
「御社の◯◯事業」と書く場合は、それが実際に主力かを確認してください。
② 構成(4項目)
| # | 確認 |
|---|---|
| 5 | ①応募先の理解 ②経験との接点 ③入社後の行動が揃っているか |
| 6 | ②がいちばん長くなっているか |
| 7 | 最後が足元の話で締まっているか |
| 8 | 全体が300〜400字に収まっているか |
6が崩れている場合が多いです。
応募先の説明が長く、自分の経験が短い。この形だと、判定の材料が渡せません。
③ 具体(5項目)
| # | 確認 |
|---|---|
| 9 | ①に、その会社にしか当てはまらない記述があるか |
| 10 | ②に、数字が入っているか |
| 11 | ②の経験が、求人票の仕事内容と対応しているか |
| 12 | 「貢献したい」「活かしたい」で終わっていないか |
| 13 | 辞める理由が混ざっていないか |
9が、いちばん効く項目です。
書いた①を読んで、「これは同業他社にも当てはまるか」を確認してください。
当てはまるなら、それは業種の説明であって、その会社の説明ではありません。
④ 体裁(3項目)
| # | 確認 |
|---|---|
| 14 | 誤字、とくに固有名詞 |
| 15 | 指定された文字数や様式に従っているか |
| 16 | 敬称・表記が統一されているか(「貴社」「御社」の使い分け) |
16について補足します。書面では「貴社」、話し言葉では「御社」を使うのが一般的とされています。
混在していると、確認の手間が生じます。
面接で聞かれる前提で読み返す
志望動機は、面接で質問の材料になります。書いた内容について、掘られる前提で読み返してください。
| 書いた内容 | 想定される質問 |
|---|---|
| 「◯◯に比重を置かれていると理解しています」 | 「どこでそう思われましたか」 |
| 「◯件の要件を整理しました」 | 「具体的には、どういう作業ですか」 |
| 「導入後の定着に課題を感じました」 | 「どういう場面でそう感じましたか」 |
| 「最初の3か月で◯◯を覚えたい」 | 「どのように覚えるつもりですか」 |
4つとも、書いた内容から自然に出る質問です。
答えられない記述があれば、そこは書き直してください。
書けるが説明できない、という状態が、いちばん危険です。面接でその一文だけでなく、全体の信頼性が下がります。
提出の前に、自分の志望動機に対して「なぜ」を3回ぶつけてみてください。答えが出ない箇所が、弱い部分です。
職務経歴書との整合を見る
志望動機と職務経歴書は、同時に読まれます。
| 確認 | 内容 |
|---|---|
| 数字 | 志望動機に書いた件数や規模が、書類と一致しているか |
| 機能の名前 | 同じ経験を、違う言葉で書いていないか |
| 在籍の期間 | 「◯年担当」が、在籍の一覧と合っているか |
| 実績の内容 | 志望動機で触れた実績が、書類にも書かれているか |
4つ目が抜けやすい部分です。
志望動機で挙げた経験が、職務経歴書に書かれていないと、読む側は確認できません。
志望動機で使う材料は、書類にも記載されている内容から選んでください。
他人に読んでもらう
可能であれば、1人に読んでもらってください。
| 誰に | 何を見てもらうか |
|---|---|
| 役所の外で働いている人 | 意味が通じるか。庁内の言葉が残っていないか |
| 人材会社の担当者 | 業界での読まれ方、求人票との対応 |
| 家族 | 全体の印象 |
聞くのは「どこで止まったか」です。評価ではなく、引っかかった場所が必要な情報です。
役所の同僚に読んでもらうのは、この目的には向きません。庁内の言葉がそのまま通じてしまうためです。
なお、点検は応募先ごとに全項目を通す必要がありません。2社目以降で見るのは、①の事実(会社名・職種名・事業の理解)と、③の9(一般論になっていないか)だけで足ります。他の項目は、1通目で整えた構成がそのまま使えます。
声に出して読む
最後に、1回読み上げてください。
| 見つかるもの |
|---|
| 長すぎる文 |
| 同じ語尾の繰り返し |
| 日常会話で使わない語(庁内の言葉) |
| 読点が多すぎる箇所 |
面接では、この内容を話すことになります。
読み上げにくい文章は、話しにくい文章でもあります。
経験の言い換えから相談することもできます。
この整合の確認は、提出の直前に5分で済みます。志望動機と職務経歴書を並べて、数字と機能の名前だけを照らしてください。
よくある失敗
1. 体裁から直し始める
事実→構成→具体→体裁の順です。
2. 会社名と職種名を確認しない
使い回しの跡が出やすい部分です。
3. ①が一般論のまま
同業他社に置き換えて確認してください。
4. ②に数字がない
規模が分かりません。
5. 辞める理由を混ぜる
志望動機ではありません。
6. 読み上げない
話しにくい文章になっていることがあります。
まとめ
- 地方自治法第233条第2項は、決算を監査委員の審査に付さなければならないとしています。出す前に、別の目を通すという考え方です
- 見る順番は、事実 → 構成 → 具体 → 体裁。体裁は最後です
- 会社名と職種名は、使い回しの跡が出やすい部分です。必ず確認してください
- ②がいちばん長くなっているかを確認してください。応募先の説明が長いと、材料が渡せません
- ①を、同業他社の名前に置き換えて読む。通るなら、それは一般論です
- 声に出して1回読む。読み上げにくい文章は、面接でも話しにくい文章です
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
読んでもらえる相手がいません
1日おいてから、自分で読み返してください。書いた直後は、頭の中の情報が文章を補って読めてしまいます。1日おくと、その補正が外れます。それも難しければ、印刷して読む、あるいは文字の大きさを変えて表示するだけでも、見え方が変わって抜けが見つかります。加えて、声に出して読むことは1人でもできます。録音して聞き返すと、さらに気づく点が増えます。なお、人材会社を経由している場合は、担当者に見てもらえます。業界での読まれ方について、意見が得られることがあります。
文字数の指定がある場合は
指定に従ってください。「300字以内」であれば、その範囲に収めます。その場合、削る順番は①③②です。②を最後まで残してください。①は1〜2行に圧縮し、③は1行にします。②の具体だけは、削らないでください。逆に「800字程度」と長めの指定がある場合は、②を厚くしてください。①を長くすると、応募先の説明が中心になります。指定がない場合は、300〜400字が目安です。
提出した後に誤りに気づきました
内容に関わる誤り(会社名、職種名、事実の誤認)であれば、連絡して差し支えありません。「先ほど提出した書類に誤りがあり、訂正したものをお送りします」という形です。早く連絡するほうが確実です。一方、軽微な誤字であれば、連絡の必要はありません。面接で触れられることも、ほとんどありません。判断の目安は、その誤りが、読む側の理解に影響するかです。影響するなら連絡、しないなら次から気をつける。提出のたびに完璧を求めるより、この切り分けのほうが実用的です。