選考対策 / 志望動機
複数社に出すときの作り分け
在職中に応募できるのは、同時に3〜5社が現実的です。
1社ごとに志望動機をゼロから書くと、時間が足りません。
一方、全社に同じ文章を出すと、通りません。
この記事では、どこを共通にし、どこを変えるかを扱います。志望動機の組み立ては公務員からの転職で志望動機をどう組み立てるかにあります。
事実と異なる記載をしない
作り分けの前に、守る線を確認します。
職業安定法第5条の4第1項は、求人を出す側に対して、求人等に関する情報について、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならないと定めています。
求人の側に的確な表示が求められているのと同じように、応募する側も、事実と異なる記載をしないのが前提です。
作り分けとは、事実の中から何を選んで前に出すかの作業です。
書いていない経験を足したり、規模を大きく見せたりすることではありません。
この線を守れば、作り分けは正当な作業です。
共通にする部分、変える部分
志望動機の3要素で整理します。
| 要素 | 扱い |
|---|---|
| ① 応募先の役割の理解 | 応募先ごとに変える |
| ② 経験との接点 | 材料は共通。選ぶものを変える |
| ③ 入社後の行動 | 一部を共通にできる |
変えるのは①と、②で選ぶ材料だけです。
②の材料そのものは、何度も書き直す必要がありません。
②の材料を、3つ用意する
これが、作り分けの土台です。
| 材料 | 書いておくこと |
|---|---|
| 機能1 | 何を、どの規模で、何を判断したか |
| 機能2 | 同上 |
| 機能3 | 同上 |
各材料は、3〜5行で書いておきます。
応募先ごとに、この3つから1つを選ぶ。それだけです。
材料の例
> 機能1:予算の査定> 財政課で◯部局、事業約◯件の要求(要求総額約◯億円)を査定。要求の資料の様式を統一し、単価と数量を分解して比較できる形に変更。◯件の事業について見直しに合意。
> 機能2:システムの更改> 基幹システムの更改で、業務側の担当として現行の帳票◯種類と例外の処理◯類型を棚卸し。要件の一覧を作成し、稼働後は手順書の作成と問い合わせ約◯件に対応。
> 機能3:住民への説明> 事業の説明会を◯回実施。反対の意見について懸念の中身を個別に聞き取り、規制の時間帯を変更する案を作成して合意。
この3つを持っておけば、ほとんどの応募先に対応できます。
作り分けの手順
| 順 | やること | 時間 |
|---|---|---|
| 1 | 求人票の「仕事内容」を読む | 5分 |
| 2 | 3つの材料のうち、いちばん近いものを選ぶ | 3分 |
| 3 | ①を、その会社の事業の説明にもとづいて書く | 10分 |
| 4 | ②に、選んだ材料を入れる | 5分 |
| 5 | ③の最後の1行を、その会社向けに調整する | 5分 |
合計で30分程度です。
1社目に3〜4時間かけて材料を作っておけば、2社目以降はこの時間で済みます。
なお、①を書くときに使った調べ物のメモも残しておいてください。面接の準備でそのまま使えます。同じ会社について二度調べる必要がなくなります。
使い回しの跡を残さない
作り分けで、いちばん避けたいのが使い回しの跡です。
| 跡 | 確認 |
|---|---|
| 会社名の誤り | 提出の前に必ず確認 |
| 旧名称や略称 | 正式名称を確認 |
| 業種の取り違え | 「貴社のシステム事業」が、実は別の事業 |
| 前の応募先の固有名詞 | 検索して確認 |
| 職種名の誤り | 募集されている職種の名称と一致しているか |
5つとも、提出の前の3分で確認できます。
この誤りは、内容とは関係なく印象に影響します。
職務経歴書も、同じ考え方で作り分ける
志望動機だけでなく、職務経歴書も応募先ごとに調整します。ただし、書き直すのは一部だけです。
| 部分 | 扱い |
|---|---|
| 職務要約(5行) | 応募先ごとに書き直す |
| 担当業務(機能ごと) | 順番を入れ替えるだけ |
| 実績 | 上位に置く項目を入れ替える |
| 資格 | 応募先に関係するものを上に |
| 在籍の一覧 | 変更なし |
書き直すのは、職務要約の5行だけです。
残りは順番の入れ替えで足ります。中身を作り直す必要はありません。
この作業は、15分程度です。志望動機の30分と合わせて、1社あたり45分で応募の準備が整います。
要約欄の作り方は職務経歴書の要約欄|最初の5行で何を書くかにあります。
応募の順番を考える
複数社を進めるとき、応募の順番にも工夫の余地があります。
| 順番 | 考え方 |
|---|---|
| 第一希望を後に回す | 他社の面接で慣れてから臨む |
| 第一希望を先に出す | 募集の枠が埋まる前に |
| 同時に出す | 選考の時期が揃い、比較しやすい |
3つのうち、どれが良いかは状況によります。
募集の期限が近い求人があれば、そちらを優先してください。枠が埋まると、応募できません。
一方、面接に慣れていない段階であれば、第一希望を少し後にするという考え方もあります。2〜3社受けると、答えが整います。
複数社の管理
同時に3〜5社を進めると、内容が混ざります。
| 管理すること | 方法 |
|---|---|
| どの材料を出したか | 表に記録 |
| ①に書いた内容 | 提出したものを保存 |
| 選考の段階 | 何次まで進んだか |
| 面接で話した内容 | 記録を残す |
2つ目が重要です。
面接では、書いた志望動機にもとづいて質問されます。
提出したものを手元に持っていないと、何を書いたか分からなくなります。
記録の残し方は面接後に残しておくべき記録にあります。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、同時に進める社数が増えると、面接の日程が重なります。在職中は調整の幅が限られるため、3社を超えるときは、選考の段階がばらけるように出す時期をずらすほうが回しやすくなります。日程の組み方は平日日中の面接をどう調整するかにあります。
よくある失敗
1. 1社ごとにゼロから書く
②の材料は共通です。
2. 全社に同じ文章を出す
①が合いません。
3. ②に時間をかけて①を省く
逆のほうが効きます。
4. 会社名や職種名を確認しない
内容と関係なく印象に影響します。
5. 提出したものを保存しない
面接で何を書いたか分からなくなります。
6. 事実と異なる記載をする
面接で確認されます。
まとめ
- 職業安定法第5条の4第1項は、求人の側に虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならないとしています。応募する側も、事実と異なる記載をしないのが前提です
- 変えるのは、①応募先の役割の理解と、②で選ぶ材料だけです
- ②の材料を3つ用意してください。各3〜5行で、機能・規模・判断を書いておきます
- 2社目以降は、30分程度で作れます
- ①に時間をかけてください。同業の2社を並べて読むと、材料が見つかります
- 提出したものは保存してください。面接で質問されます
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よくある質問
3つの材料が思い浮かびません
2つでも構いません。むしろ、2つを厚く書くほうが、3つを薄く書くより使えます。材料の探し方は、担当してきた機能を書き出すことです。部署名ではなく、機能で分けてください。「税務課3年」ではなく「債権の管理と回収」です。分け方は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本にあります。加えて、職務経歴書の実績欄に書いた内容が、そのまま材料になります。書類を作っているなら、新たに考える必要はありません。
同じ材料を、複数の会社に出してよいですか
問題ありません。応募先は、他社に何を出したかを知りません。同じ経験を、複数の応募先に対して述べること自体は自然です。注意するのは、①がその会社に合っているかだけです。なお、同じ会社に複数の職種で応募する場合は、材料を変えてください。同じ会社の中で、同じ内容の応募書類が2通届くことになります。職種ごとに求められる経験が違うため、選ぶ材料も変わるはずです。
人材会社を経由する場合も、作り分けは必要ですか
必要です。担当者が推薦の理由を添える場合でも、志望動機は本人が書きます。ただし、担当者から応募先の情報を得られることがあります。「この会社は、稼働後の支援に力を入れている」といった情報は、①に書く材料になります。公式サイトで分からない部分は、担当者に聞いてください。加えて、担当者に志望動機を見てもらうこともできます。業界での読まれ方について、意見が得られることがあります。作り分けの精度が上がります。