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選考対策 / 志望動機

自治体向け事業の会社への志望動機

公務員からの転職で、経験がいちばん直接に使えるのが、自治体を顧客とする会社です。

システムの導入、建設コンサルタント、発注者支援、業務の委託、人材の派遣。いずれも、顧客は自治体です。

ただし、立場が逆になります。

この記事では、その転換を踏まえた志望動機を扱います。志望動機の組み立ては公務員からの転職で志望動機をどう組み立てるかにあります。

発注者は、監督と検査をする立場です

立場の違いを、条文で確認します。

地方自治法第234条の2第1項です。

> 普通地方公共団体が工事若しくは製造その他についての請負契約又は物件の買入れその他の契約を締結した場合においては、当該普通地方公共団体の職員は、政令の定めるところにより、契約の適正な履行を確保するため又はその受ける給付の完了の確認をするため必要な監督又は検査をしなければならない。

職員は、監督又は検査をしなければならない。

これまでは、監督し、検査する側でした。

転職すると、監督され、検査される側になります。

この転換を、志望動機でどう位置づけるかが、この記事の主題です。

面接で必ず確認されること

確認意図
立場が逆になることをどう受け止めているか抵抗がないか
元の職場との関係をどう扱うか法令上の制限を理解しているか
役所の仕組みを説明できるか知識が実用の水準か

1つ目が、この業界特有の確認です。

検査する側から、検査を受ける側へ。指摘する側から、指摘される側へ。

「立場が変わることは理解しています」と述べたうえで、それでもこの仕事を選ぶ理由を示してください。

志望動機の型

段内容
① 立場の転換の理解発注者から、受注者・支援者の側へ
② 転換する理由なぜ、その側で働きたいか
③ 経験との接点発注者側の経験が、どこで使えるか

②が芯です。

「発注する側では、できなかったこと」を1つ挙げてください。

理由の例内容
作る側に回りたい仕様を書く側から、仕様に応える側へ
複数の団体に関わりたい1つの自治体から、多くの団体へ
継続して関わりたい異動で担当が変わらない環境で
提案する側に回りたい要求を受ける側から、提案する側へ

4つとも、役所では構造上できないことです。

書き方の例

> 基幹システムの更改を、発注する側の担当として経験しました。要件を整理し、提案を評価し、稼働後の定着まで見てきました。(③の前提)>> 発注者として関われるのは、自分の団体の1件だけです。同じ課題を抱えている団体は他にも多くありますが、そこには関われません。(②)>> 御社は、県内の複数の自治体で導入の支援をされています。発注者側で詰まった箇所を知っているぶん、提案する側でも使えると考えました。(①③)

「立場が逆になる」ことを、後ろ向きに扱っていません。

③——発注者側の経験が効く場面

場面なぜ効くか
提案の時期の組み立て予算の要求と査定の時期を知っている
決裁の流れの想定誰の承認が要るかが分かる
仕様の読み方発注者が何を求めて書いたかが分かる
議会との関係説明が必要な案件かどうかが判断できる
単年度と複数年度の区別契約の組み方に影響する

5つとも、業界の社員が苦労している部分です。

とくに1つ目は、志望動機に書くと具体性が出ます。

> 自治体の予算は、前年度の秋に要求し、冬に査定され、年度末の議会で議決されます。提案の時期がこの流れと合っていないと、内容が良くても予算化されません。発注者側にいたぶん、この時期の組み立てができると考えています。

これは、業界の社員が知りたい情報でもあります。

会社ごとの違いを押さえる

「自治体向け」と一括りにすると、志望動機が薄くなります。同じ顧客でも、事業の形が違います。

事業の形内容求められる経験
製品を提供するシステム、機器、資材業務の要件を整理できること
業務を受託する窓口の運営、事務の処理、施設の管理実務の手順を設計できること
支援・助言をする発注者支援、計画の策定、調査制度の読み解きと資料の作成
人材を提供する派遣、紹介、研修職員の業務の内容を知っていること

4つは、求められる経験が違います。

自分の経験がどれに対応するかを見てから、応募先を絞ってください。

たとえば、窓口の運営を担当してきた方は、②の業務の受託と接点が強いです。計画の策定に関わってきた方は、③の支援・助言と重なります。

志望動機の③では、この対応を明示してください。「御社は◯◯の形で自治体に関わられていると理解しています」と書けると、事業を理解したうえで応募していることが伝わります。

避けたほうがよい書き方

✕理由
「行政の非効率を改善したい」顧客を批判する立場になります
「役所の内部を知っています」守秘の扱いを疑われます
「前の職場に営業できます」法令上の制限があります
「行政向けなら分かります」会社ごとに事業が違います

1つ目に注意してください。

顧客は自治体です。顧客を批判する姿勢は、この業界では通りません。

書くなら、「制度上そうなっている構造を理解したうえで、その中で使える仕組みを提供したい」という形です。

経験の言い換えから相談することもできます。

なお、1社の中に複数の形が併存していることもあります。その場合は、応募する職種がどの形に属するかを求人票で確認してください。

よくある失敗

1. 立場の転換に触れない

必ず確認される点です。

2. 「なぜその側か」が抜ける

②が芯です。

3. 行政を批判する

顧客を批判する立場になります。

4. 元の職場への営業を売り込む

法令上の制限があります。

5. 「行政向けなら分かる」と一括りにする

会社ごとに事業が違います。

6. 内部の情報を示唆する

守秘の扱いを疑われます。

LINEで短く聞くこともできます

まとめ

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よくある質問

出身の自治体を担当することはありますか

制限があります。地方公務員法第38条の2により、離職前5年間の職務に属する契約等の事務について、離職後2年間、元の組織の職員への働きかけが制限されます。そのため、元の職場を担当から外す運用が取られるのが通常です。入社前に共有しておけば、会社側が配慮します。なお、2年を経過した後の扱いや、制限の範囲の解釈は、個別の事情によって判断されます。判断に迷う場合は、所属の人事担当や、応募先の法務の担当に確認してください。制限を理解したうえで応募していること自体が、面接での材料になります。

行政の知識は、どのくらい求められますか

会社と職種によります。営業や導入の支援では、自治体の意思決定の流れと予算の時期を知っていることが実用的な水準で求められます。一方、開発や技術の職種では、技術の経験が中心になり、行政の知識は補助的です。判断の目安は、求人票の応募条件です。「行政での実務経験」が挙げられていれば、知識が直接の要件になっています。なお、知識があることと、それを説明できることは別です。面接では、「自治体の予算はどう決まるか」を1分で説明できる状態にしておいてください。

元の同僚と、仕事で会うことはありますか

業界によってはあり得ます。制限の範囲内であれば、業務上の接触そのものが禁じられているわけではありません。ただし、契約等の事務に関する働きかけには制限があります。線引きが難しい場面では、会社の法務の担当に確認してください。なお、個人的な関係と、業務上の働きかけは分けて考える必要があります。退職後も、守秘の義務は続きます(地方公務員法第34条)。元の職場の内部の情報を、新しい職場で使うことはできません。使えるのは、制度の一般的な理解と、自分の業務の進め方です。

出典

  1. 地方自治法 第234条の2(契約の履行の確保)|e-Gov法令検索

監修

松岡 良次

株式会社エージェントベスト代表。大手人材会社およびスタートアップ人材企業にて、IT・スタートアップ・メガベンチャー企業の採用支援に従事。独立後はIT・スタートアップ・コンサル領域に特化し、20〜30代のキャリア支援を行う。(厚生労働大臣許可 13-ユ-316964)

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