選考対策 / 職務経歴書
管理職経験の書き方|部下の人数と権限の示し方
課長級以上の方の職務経歴書で、よく見かける形です。
「◯◯市 ◯◯課長(◯年〜◯年) 課の業務全般を統括。職員20名を管理。」
肩書きと人数だけです。20人の課を5年間回した中身が、2行に圧縮されています。
管理職の経歴は、書けることがいちばん多いはずの層です。それが2行になるのは、「管理職としてやったこと」を、役職名が代表してしまうからです。
この記事では、規模・権限・成果・人の4点に分けて書き方を決めます。係長・課長補佐の場合は係長・課長補佐の経験をマネジメント経験として書くにあります。
結論:管理職の書類は、4点で構成する
| 点 | 何を示すか |
|---|---|
| 規模 | 課の人数、予算、担当する制度・施設・事業者の数 |
| 権限 | 自分の名前で決めていた範囲(専決、評価、契約、処分) |
| 成果 | 自分が変えた仕組み(部下の成果ではなく) |
| 人 | 配置、育成、評価、非常勤を含めた総数 |
このうち、書類でいちばん抜けるのが「権限」です。肩書きでは、権限は伝わりません。
「管理職員等」は、4つの類型で定義されています
役所の管理職は、民間の管理職とは定義の由来が違います。そこを押さえると、権限の書き方が決まります。
地方公務員法第52条第3項ただし書は、職員団体との関係で、管理職員等をこう定義しています。
> 重要な行政上の決定を行う職員、重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員、職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員、職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し(中略)当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員
そして同条第4項は、その範囲を人事委員会規則または公平委員会規則で定めるとしています。
つまり、自分がどの類型に当たるかは、規則で決まっているということです。4つの類型を並べると、こうなります。
| 類型 | 職務経歴書での書き方 |
|---|---|
| 重要な行政上の決定を行う | ◯◯に関する処分の決定、◯◯計画の決定を専決。年間約◯件 |
| 決定に参画する管理的地位 | 部の政策会議の構成員として、◯◯の方針の決定に関与 |
| 任免に関して直接の権限を持つ監督的地位 | 人事評価の1次・2次の評価者(対象◯人)、配置の原案の作成 |
| 機密の事項に接する監督的地位 | 職員の勤務条件、団体との協議に関する事項を担当 |
自分に当てはまる類型を、具体の数字に置き換えて書く。これが、権限の示し方です。
「管理職でした」よりも、「年間約◯件を自分の名前で決めていました」のほうが、はるかに具体的です。
規模の示し方
| 数えるもの | 書き方の例 |
|---|---|
| 人 | 課◯人(うち正職員◯人、会計年度任用職員◯人)、◯係を所管 |
| 予算 | 課の当初予算約◯億円(一般財源約◯億円)、うち補助事業◯件 |
| 対象 | 対象の世帯数、施設数、事業者数、所管する施設◯か所 |
| 契約 | 年間の契約◯件、うち自ら締結した契約◯件 |
「うち正職員◯人」と分けて書いてください。会計年度任用職員を含めた総数だけを書くと、面接で必ず内訳を聞かれます。最初から分けておくほうが早いです。
成果の示し方——「部下の成果」と分ける
管理職の実績欄でいちばん難しいのが、成果の帰属です。課の成果は、担当者が出したものでもあります。
書き分けの基準は1つです。「自分が変えたか」。
悪い例
> 課の業務を統括し、住民サービスの向上と業務の効率化を推進した。
何を変えたのか、書かれていません。
良い例
> 課の◯係にまたがっていた申請の受付を、窓口を1つに集約。係ごとに異なっていた受付の様式を統一し、住民の手続きの回数を◯回から◯回に削減。係の間の引継ぎの手順を文書化。>> 時間外の勤務が特定の係に偏っていたため、繁忙期の応援の枠組みを課内で整備。年度末の◯か月について、係をまたぐ応援の体制を設計。>> 所管する施設◯か所の点検の結果を一覧化し、修繕の優先順位を決める基準を設定。◯か年の修繕の計画を策定し、予算の要求に反映。
3つとも、「自分が設計した」形です。課の実績の数字ではなく、自分が変えた仕組みで書かれています。
人の示し方
次の3つを、分けて書いてください。
- 配置:事務分担の決定、係の間の人の動かし方、繁忙期の応援の設計
- 育成:新任◯人の育成の担当、係長級◯人の指導、研修の実施
- 評価:人事評価の評価者の段階(1次/2次)、対象の人数
評価者の段階は、権限の強さを示す情報です。2次の評価者であれば、民間でいえば部門長の評価に近い位置になります。必ず書いてください。
係長級を育てた経験がある方は、それも書いてください。担当者を育てるのと、管理する側を育てるのは別の経験として読まれます。
自分の権限がどう書けるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。経験の言い換えから相談することもできます。ご利用は無料です(紹介手数料は採用企業の負担です)。
よくある失敗
1. 肩書きと人数だけ書く
権限と成果が消えます。4点で書いてください。
2. 課の成果を、自分の成果として書く
「自分が変えたか」で線を引いてください。混ぜると、面接で切り分けを求められます。
3. 予算の規模だけを大きく書く
規模は組織の話です。自分が決めた範囲と並べて書いてください。
4. 職員数に非常勤を混ぜる
内訳を分けてください。後から確認されます。
5. 議会対応を書かない
答弁の作成と説明は、民間でいえば経営層・取締役会への説明です。書き落とされやすい部分です。
6. 部長級・次長級の経験を、課長級と同じ書き方で書く
部の総合調整、複数の課にまたがる判断、対外的な代表が加わります。そこを分けて書いてください。
まとめ
- 管理職の書類は、規模・権限・成果・人の4点。いちばん抜けるのが「権限」です
- 地方公務員法第52条第3項ただし書は、管理職員等を決定を行う/決定に参画する/任免に関して直接の権限を持つ/機密の事項に接するの4類型で定義し、同条第4項で範囲は規則で定められます
- 自分がどの類型かを、専決の件数・評価者の段階・契約の件数に置き換えて書きます
- 職員数は、正職員と会計年度任用職員を分けて書きます
- 成果は、課の実績ではなく「自分が変えた仕組み」で書きます
- 議会・委員会への説明は、経営層への説明として読まれます。書き落とさないでください
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よくある質問
管理職手当の対象かどうかと、書き方は関係しますか
書き方には直接関係しません。手当の対象の範囲は条例と規則で定められていて、自治体によって線の引き方が違います。職務経歴書に書くのは、手当の有無ではなく、実際に決めていた範囲です。専決の区分、評価者の段階、契約の締結の権限。この3つが書いてあれば、職責の位置は伝わります。逆に、手当の対象であることだけを書いても、外では意味が読み取れません。なお、給与や手当の額を職務経歴書に書く必要はありません。応募先から現在の処遇を聞かれたときに答えれば足ります。
技術系の課長です。専門職としての経験も書くべきですか
両方書いてください。順番は、応募先で変わります。技術の実務が求められている求人なら、専門の経験を上に。組織の運営が求められているなら、管理の経験を上に置きます。技術系の管理職には、専門の判断と組織の運営を両方担っているという強みがあります。設計の妥当性を自分で判断できる管理職は、建設コンサルタントや施工管理の会社では読まれる経歴です。書くなら、「技術的な照査を自ら行いながら、◯人の課の進行を管理」という形です。保有している資格と、扱った工種の範囲も忘れずに添えてください。
定年前です。この年代で転職の書類を出す意味はありますか
意味はあります。ただし、求められる説明が変わります。この年代の中途採用で見られているのは、「何年働けるか」よりも「入ってすぐ何を任せられるか」です。書類では、規模と権限よりも、具体的に持ち込める仕事を前に出してください。行政との折衝、補助金の申請、制度の読み解き、自治体向けの営業の同行。この4つは、年代に関係なく需要があります。加えて、再任用や定年の延長で在職を続ける選択も同時に検討して構いません。どちらが有利かは、所属の制度と、家庭の事情で変わります。両方を並べて比べるところから相談できます。