選考対策 / 職務経歴書
資格・免許の書き方と、書かないほうがよいもの
職務経歴書の資格欄に、10行以上並んでいる書類を拝見することがあります。
普通自動車第一種運転免許。初級システムアドミニストレータ。公務員向けの内部研修◯◯課程修了。防災士。◯◯検定3級。
多いほど有利に見えますが、逆です。
資格欄は、「この人が何の専門で立っているか」を示す欄です。10行並ぶと、専門が読めなくなります。
この記事では、3層に分けて、何を残すかを決めます。書類全体の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本にあります。
結論:資格は3層に分ける
| 層 | 中身 | 扱い |
|---|---|---|
| ① 職務に直結する免許 | 保健師、保育士、栄養士、建築士、電気主任技術者、社会福祉士、教員免許など | いちばん上。実務の件数を隣に添える |
| ② 民間で読まれる汎用の資格 | 簿記、宅地建物取引士、社会保険労務士、行政書士、情報処理技術者試験、衛生管理者など | 応募先に関係するものだけ残す |
| ③ 書かなくてよいもの | 内部の研修の修了、失効した免許、応募先と無関係の検定 | 落としてよい |
残すのは、合わせて5行以内が目安です。
役所の側も、「最少かつ適当な限度」で要件を決めています
絞ってよい理由は、採用の制度のほうに書かれています。
地方公務員法第19条です。
> 人事委員会等は、受験者に必要な資格として職務の遂行上必要であつて最少かつ適当な限度の客観的かつ画一的な要件を定めるものとする。
「職務の遂行上必要であつて最少かつ適当な限度」。つまり、役所の採用でも、必要な資格だけを最小限で課すという考え方が置かれています。
職務経歴書の資格欄も、同じ考え方で足ります。その職務に必要なものを、最少の行数で。
持っている資格を全部並べることは、能力の証明にはなりません。むしろ、応募先との関係が読めない資格が並ぶと、「何がしたい人か」が分からなくなります。
① 免許職は、免許の隣に件数を置く
保健師、保育士、管理栄養士、建築士、社会福祉士、獣医師、司書、教員免許。これらは、持っていること自体が職務の範囲を示します。
ただし、免許だけでは「実務がどれだけあるか」が読めません。隣に、扱った量を置いてください。
| ✕ 免許だけ | ○ 実務を添える |
|---|---|
| 保健師 | 保健師(登録◯年)/精神保健と難病の相談を年間約◯件、感染症の調査◯事案 |
| 一級建築士 | 一級建築士/公共建築の設計と工事監理を年間約◯件、延べ床約◯㎡ |
| 社会福祉士 | 社会福祉士/生活保護の実施機関で約◯世帯を担当、支援の計画◯件 |
| 保育士 | 保育士/公立保育所で◯歳児クラスを担当、施設の指導監査◯か所 |
この形にすると、資格欄が実績欄の要約としても働きます。
失効している免許、更新していない免許は、その旨を添えるか、落としてください。面接で確認されて訂正するより、最初から正確なほうが早いです。
② 汎用の資格は、応募先で選ぶ
全部を並べず、応募先に関係するものだけ残します。
| 応募先の方向 | 前に出す資格 |
|---|---|
| 経理・財務・内部統制 | 簿記、ファイナンシャル・プランニング技能士、内部監査関連 |
| 不動産・用地・建設 | 宅地建物取引士、土地区画整理士、測量士、施工管理技士 |
| 人事・労務 | 社会保険労務士、衛生管理者、キャリアコンサルタント |
| 自治体向けのシステム | 情報処理技術者試験の各区分、個人情報保護士 |
| 法務・契約 | 行政書士、ビジネス実務法務検定 |
級の表記は正確に書いてください。「簿記」ではなく「日商簿記検定2級」です。級が書かれていないと、下の級だと読まれることがあります。
取得の年も書いてください。10年前に取ったものと、去年取ったものでは、読まれ方が変わります。古いこと自体は問題になりません。
並べる順番は、取得の年の順ではなく、応募先との関係の強い順です。履歴書の資格欄は取得の年の順に書く慣行がありますが、職務経歴書は読ませるための書類なので、関係の深いものを上に置いて構いません。
③ 書かなくてよいもの
| 落としてよいもの | 理由 |
|---|---|
| 内部の研修の修了 | 外では中身が読めない。自治体ごとに名前も違う |
| 失効・更新していない免許 | 確認のやり取りが増える |
| 応募先と無関係の検定 | 専門が読みにくくなる |
| 3級以下の汎用の検定 | 実務があるなら、実務のほうが強い |
| 取得の予定を5つ並べる | 「まだ無い」情報が5行並ぶことになる |
普通自動車免許だけは、別扱いです。現場に出る職種(建設、インフラ、設備、営業)では必要とされることがあるので、その分野に応募するなら書いてください。内勤の職種では、あってもなくても影響しません。
取得予定の書き方
1つだけ書いてください。
> 日商簿記検定2級(◯年◯月受験予定)
複数並べると、「まだ無いもの」が並ぶ欄になります。また、受験の予定が無いものを「取得を目指しています」と書くのは避けてください。面接で進捗を聞かれます。
勉強中であることを伝えたい場合は、自己PRの中で1行触れるほうが自然です。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 持っている資格を全部書く
5行以内に絞ってください。専門が読めなくなります。
2. 免許だけ書いて、実務の量を書かない
免許の隣に件数を置いてください。免許職は、ここで差が付きます。
3. 級と取得年を書かない
「簿記」だけでは、級が読めません。正確に書いてください。
4. 内部の研修を資格として並べる
外では読めません。書くなら、自己PRの中で内容に触れてください。
5. 失効した免許を現在有効として書く
確認されます。注記するか、落としてください。
6. 資格が無いことを理由に、応募を止める
実務があれば応募はできます。資格は、実務の隣で効きます。
まとめ
- 資格は、①職務に直結する免許 ②民間で読まれる汎用の資格 ③書かなくてよいものの3層。残すのは5行以内
- 地方公務員法第19条は、受験に必要な資格を職務の遂行上必要であつて最少かつ適当な限度で定めるとしています。資格欄も同じ考え方で絞ります
- 免許職は、免許の隣に実務の量を置きます。免許だけでは経験が読めません
- 汎用の資格は、応募先に関係するものだけ。級と取得年を正確に書きます
- 内部の研修、失効した免許、無関係の検定は落として構いません
- 取得の予定は1つだけ。複数並べると「まだ無いもの」の欄になります
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よくある質問
資格がまったくありません。不利になりますか
職種によります。免許が要件になっている職種(有資格者でなければ就けない仕事)を除けば、資格が無いことが理由で書類が落ちることは多くありません。見られているのは、実務の範囲と、判断していた範囲です。とくに、事務系の中途採用では、簿記2級や宅建が「あれば尚可」の扱いであることがほとんどです。資格欄が空欄になるのが気になる場合は、扱ってきた制度・法令の名前を書く欄として使う方法があります。「住民基本台帳法、戸籍法に基づく事務を担当」という形です。資格ではありませんが、専門の領域は示せます。
昇任試験の合格や、庁内の研修の修了は書けますか
職務経歴書の資格欄には書きません。外の読み手には、制度も難易度も伝わらないからです。ただし、中身を経歴の中で使うことはできます。たとえば、庁内の政策形成の研修で実際に提案をまとめたのであれば、「◯◯に関する提案をまとめ、◯◯会議で報告」と実績として書けます。修了の事実ではなく、作った成果物のほうを書くという考え方です。昇任の試験についても同様で、合格したことより、昇任後に担当した範囲を書くほうが読まれます。
英語の資格は書いたほうがよいですか
応募先で使う見込みがあるなら書いてください。自治体の仕事では英語を使う場面が限られるため、スコアだけを書いても実務の裏づけがないと読まれにくい面があります。書くなら、使った場面を添えてください。「国際交流の事業で、海外の自治体との連絡調整を担当」「外国籍の住民の窓口対応を担当」という形です。使った場面があるスコアは、そのまま実務の経験として読まれます。なお、外国籍の住民対応の経験は、英語以外の言語であっても書く価値があります。多言語の案内を整備した経験も同様です。