選考対策 / 職務経歴書
転職理由を職務経歴書に書くか
結論から書きます。
転職理由は、職務経歴書には書きません。
理由は2つあります。職務経歴書は経歴を示す書類であること。そして、書くと、たいてい現職の説明に紙幅を使ってしまうことです。
ただし、面接では必ず聞かれます。書かないことと、準備しないことは別です。
この記事では、理由の整理の仕方と、答え方の型を扱います。志望動機との分担は志望動機欄と職務経歴書の役割分担にあります。
結論:書類に書かず、面接で答える
| 場面 | 扱い |
|---|---|
| 職務経歴書 | 書かない(指定があれば1〜2行) |
| 履歴書の志望動機欄 | 書かない。志望動機を書く欄です |
| 面接 | 聞かれたら答える。1分以内 |
面接での比重は、思われているより小さいです。聞かれるのは1回で、答えが破綻していなければ、そこで終わります。
破綻するのは、現職への不満だけで構成されている場合です。
「公共の利益のために勤務し」という前提
答え方を考えるうえで、自分が置かれてきた前提を確認しておきます。
地方公務員法第30条です。
> すべて職員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない。
「公共の利益のために勤務し」「全力を挙げてこれに専念」。
この条文の下で働いてきた人が、現職を否定する理由を語ると、聞く側に違和感が残ります。「全力で専念してきた仕事を、いま否定している」という形になるからです。
逆に、この前提を否定しないまま接続する言い方は、自然に通ります。
「公共の利益のために働いてきた。その働き方を、別の形で続けたい」という筋です。
現職を良い仕事だったと認めることは、次に進む理由と矛盾しません。むしろ、矛盾しない形で語れる人のほうが、信用されます。
理由の4類型と、伝え方
転職の理由は、だいたい4つに分かれます。どれであっても、言い換えれば伝えられます。
| 類型 | そのまま言うと | 伝わる形 |
|---|---|---|
| 処遇 | 給与が上がらない | 専門性に応じた評価の仕組みがある環境で働きたい |
| 働き方 | 残業が多い、転勤がある | 働く場所や時間の条件を、生活に合わせて選びたい |
| 仕事の内容 | 異動で専門が積み上がらない | 同じ分野を継続して深める環境で働きたい |
| 将来 | 組織の先が見えない | 自分の判断で動かせる範囲を広げたい |
言い換えは、嘘をつくことではありません。同じ事実の、どちらの面を言うかの選択です。
「給与が上がらない」は、裏を返せば「成果と処遇の対応が薄い」ということです。後者のほうが、事実として正確でもあります。
面接での型
3段で答えます。全体で1分以内。
| 段 | 内容 |
|---|---|
| ① 事実 | いまの仕事で何をしてきたか(1文) |
| ② 気づき | その中で、何を続けたいと思ったか(1〜2文) |
| ③ 方向 | だから、どういう環境を選んでいるか(1文) |
悪い例
> 異動が多く、専門性が積み上がりません。また、年功的な給与の仕組みで、成果を出しても処遇に反映されないことに疑問を感じています。
①と③が無く、②が不満で占められています。
良い例
> 財政課で3年間、部局の予算の査定を担当してきました。>> 事業ごとに単価と件数を分解して比較する仕組みを作り、部局と協議して見直しに合意する、という進め方が自分に合っていると感じています。一方で、来年度は定期の異動の時期に当たり、この分野を続けられるかどうかは選べません。>> 同じ進め方を継続して深められる環境を選びたいと考え、事業の計画や予実の管理に関わる仕事を探しています。
現職を否定していません。それでも、動く理由は明確です。
書いてはいけない3つ
| 内容 | なぜ避けるか |
|---|---|
| 組織や制度への批判 | 次の職場でも同じことを言う人と読まれる |
| 特定の人物への不満 | 人間関係が理由と受け取られる |
| 処遇だけを理由にする | より条件のよい会社が出たら動くと読まれる |
3つ目は、処遇を理由にしてはいけないという意味ではありません。処遇「だけ」にしないということです。仕事の内容や働き方と併せて述べれば、処遇に触れても問題になりません。
「安定を捨てるのはなぜか」と聞かれたら
この質問も、よく出ます。意図は、覚悟の確認ではなく、条件の理解の確認です。採用する側は、入社後に「思っていたのと違う」となることを避けたいだけです。
答えるときは、比べている軸を具体的にしてください。
> 身分や雇用の安定という点では、いまの環境のほうが有利だと理解しています。そのうえで、担当する分野を自分で選べるかどうか、成果が処遇に反映されるかどうかという点を重く見て、環境を変えることにしました。
「安定より、やりがいを取りました」では、答えになりません。何と何を比べて、どちらを重く見たのか。ここが示せると、この質問は終わります。
加えて、制度の違いを事前に調べてあることを示すと、確認の意図はほぼ満たされます。退職手当、年金の取扱い、休暇の制度。違いを把握したうえで決めた、という事実が伝われば足ります。
退職の時期と、在職中であること
在職中の応募は、不利になりません。むしろ、在職のまま探している方のほうが多いです。
書類や面接で触れるのは、次の2点で足ります。
- 現在も在職していること(履歴書の職歴欄に「現在に至る」)
- 内定後、退職の手続きにどのくらい要する見込みか
退職の時期は、所属の規程や、担当している業務の区切りによって変わります。先に確認しておくと、入社の時期の相談がしやすくなります。
経験の言い換えから相談することもできます。
よくある失敗
1. 職務経歴書に転職理由を書く
経歴の情報が減ります。面接で答えれば足ります。
2. 不満だけで構成する
①事実と③方向を入れてください。
3. 答えが長い
4文、1分以内。長くなるほど言い訳に近づきます。
4. 処遇だけを理由にする
仕事の内容や働き方と併せて述べてください。
5. 現職を過度に否定する
全力で専念してきた前提と衝突します。
6. 準備せずに面接に臨む
必ず聞かれる質問です。用意しておけば詰まりません。
まとめ
- 転職理由は、職務経歴書には書きません。面接で聞かれたときに答えます
- 地方公務員法第30条は、職員が全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、全力を挙げて専念することを定めています。現職を否定する語り方は、この前提と衝突します
- 理由は、処遇・働き方・仕事の内容・将来の4類型。どれも言い換えれば伝わります
- 面接では、①事実 ②気づき ③方向の3段、4文・1分以内で答えます
- 組織への批判、個人への不満、処遇だけの理由は避けてください
- 在職中の応募は不利になりません。退職の手続きの見込みだけ確認しておいてください
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よくある質問
実際の理由が、人間関係です。どう答えればよいですか
人間関係を理由として挙げないでください。嘘をつくという意味ではなく、その情報は選考の判断に使えないからです。採用する側は、相手方の事情を確認できません。確認できない情報を出されると、判断のしようがないので、結果として不利に働きます。答えるなら、その状況で自分が何をしたか、そこから何を選びたいかに移してください。「担当の範囲が個人の関係で変わる環境ではなく、役割と手順が定義された環境で働きたい」という形です。事実に反しておらず、判断に使える情報になります。
在職中で、面接の日程が組みにくいのですが
この事情は、率直に伝えて構いません。中途採用では、在職中の応募者の日程に合わせるのが一般的です。平日の夕方以降、あるいは休暇を取得できる日。候補を3つ程度示すと、調整が早く進みます。なお、年度末や議会の時期など、動きにくい期間がある場合は、先に伝えておいてください。「◯月は議会のため日程が限られます」と言えば、多くの場合は考慮されます。隠して直前に調整すると、双方の手間が増えます。
家族の事情(介護・配偶者の転勤など)が理由です
書いて構いませんし、面接で述べても問題ありません。ただし、理由の全部にしないでください。「家族の事情で勤務地を変える必要がある」という事実に加えて、「その中で、どういう仕事を選びたいか」を必ず添えてください。事情だけを述べると、仕事の選び方が示されません。また、勤務地や時間に制約がある場合は、最初に伝えておくほうが確実です。入社後に判明するより、応募の段階で条件が合う先に絞るほうが、双方にとって早いです。