選考対策 / 職務経歴書
職務経歴書の要約欄|最初の5行で何を書くか
職務経歴書のいちばん上にある5行。ここが、目次になっている書類をよく拝見します。
「◯◯県庁に入庁後、税務、商工、人事の各分野を経験。現在は人事課に在籍しています。」
下に書いてあることの、短い版です。これでは、読む側に何も足していません。
要約欄は、下の内容を縮めて置く場所ではありません。下を読むかどうかを決めてもらう場所です。採用の担当者は、1日に何十通も書類を見ます。最初の5行で、続きを読む理由が見つからなければ、そこで終わります。
この記事では、その5行に何を入れるかを決めます。書類全体の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本にあります。
結論:5行に入れるのは、この5つ
| 行 | 入れる要素 | 具体例 |
|---|---|---|
| 1行目 | 規模 | 人口約◯万人の市、一般会計約◯億円、職員約◯人 |
| 2行目 | 担った機能(2〜3個) | 債権の管理と回収、予算の編成、事業者の指導 |
| 3行目 | 判断の範囲 | 自分がどこまで決めていたか。決裁、査定、審査、決定 |
| 4行目 | 成果の芯(1つだけ) | 作った手順、動かした数字、まとめた合意 |
| 5行目 | 応募先との接点 | その経験が、応募先の何に当たるか |
5つとも、下の担当業務欄に書いてあることです。要約欄の役割は、そこから「読む価値のある部分」を5つだけ引き上げることにあります。
順番も、この順で固定してください。規模から入るのは、読む側が最初に知りたいのが「どのくらいの大きさを相手にしていた人か」だからです。
役所の側にも、職責の大きさを測る仕組みがあります
要約欄で示すのは、結局のところ「職責の大きさ」です。
地方公務員法第24条第1項は、こう定めています。
> 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。
「職務と責任に応ずる」。つまり、自治体の側も、職員の職責の大きさを測って、それに応じた処遇をする建て付けになっています。級別の職務分類も、職務の級も、この条文の下にあります。
役所の中では、この職責の大きさが「級」と「役職」で表現されています。ところが、民間の採用担当者は、級も役職名も読めません。「主査」が何を決める職か、自治体によって違うからです。
だから、職責を別の言葉に置き換える必要があります。置き換える先が、規模・機能・判断の範囲の3つです。級は伝わりませんが、「何を、どのくらい、どこまで決めていたか」は伝わります。
なお、給与の額そのものを要約欄に書く必要はありません。職責は、扱っていた対象の大きさと、決めていた範囲で示せます。
悪い例と良い例
事務職(税務・財政)
悪い例
> ◯◯市役所に入庁後、税務課、財政課等で行政事務に従事。正確かつ丁寧な事務処理を心がけ、住民サービスの向上に努めてきました。
後半は、姿勢の話です。姿勢は、全員が書きます。差が付きません。
良い例
> 人口約◯万人の市において、市税の賦課徴収と予算編成を担当してきました。税務課では個人市民税の賦課と滞納整理を担当し、年間約◯件の課税処理と約◯件の滞納案件を管理。財政課では一般会計約◯億円の予算について、◯部局からの要求の査定を担当しています。滞納整理では着手の基準を金額と経過月数で整理し、担当者ごとにばらついていた着手の時期を統一しました。期限の管理が必要な債権の回収と、事業の費用対効果の検証を、同じ組織の中で両方経験しています。
5行です。規模・機能・判断の範囲・成果の芯・応募先との接点が、1つずつ入っています。
技術職(土木)
良い例
> 人口約◯万人の市において、道路と橋梁の整備と維持管理を担当してきました。年間約◯件、総額約◯億円の工事について、設計の照査、積算、発注、施工の監督を一貫して担当。橋梁約◯橋の点検の計画と、修繕の優先順位の設定を担当しています。点検の結果を健全度で区分し、予算の制約の中で修繕の順番を決める基準を整理しました。限られた予算の中で、資産の状態を見ながら投資の順番を決める仕事を続けてきました。
最後の1行が、応募先との接点です。インフラの維持管理を扱う会社にも、同じ形の仕事があります。
福祉・専門職
良い例
> 人口約◯万人の市において、生活保護の実施機関として約◯世帯を担当してきました。申請の受付から資力の調査、決定、その後の訪問による状況の確認までを一貫して担当。就労の支援では、ハローワークと就労支援の事業所を含む関係機関と連携し、◯件の支援の計画を作成しています。新任の担当者向けに、訪問時の確認の項目と記録の様式を整理しました。制度の要件を満たすかを判断しながら、本人の状況に合わせて支援の形を組み立てる仕事です。
5行を作る手順
上から書こうとすると、手が止まります。次の順で埋めてください。
| 手順 | やること |
|---|---|
| 1 | 担当業務欄を先に書く(機能で分ける) |
| 2 | その中から、応募先に関係のある機能を2〜3個選ぶ |
| 3 | 選んだ機能について、規模の数字を1つずつ拾う |
| 4 | 自分が決めていた範囲を、決裁・査定・審査・決定のどれかの言葉で書く |
| 5 | 成果を1つだけ選ぶ。複数書かない |
要約欄は、最後に書きます。先に書くと、下に書いていないことを要約してしまうからです。
そして、応募先ごとに書き直してください。書き直すのは要約欄だけで足ります。下の担当業務欄は、順番を入れ替えるだけで構いません。
よくある失敗
1. 下の内容の要約になっている
要約欄は、要約ではありません。引き上げる欄です。読ませたい5つを、上に持ってきてください。
2. 姿勢で埋める
「正確かつ丁寧」「住民目線で」「誠実に」。書いていない人がいないので、差が付きません。
3. 成果を3つも4つも並べる
1つだけにしてください。3つ並ぶと、どれも印象に残りません。残りは実績欄で書けます。
4. 役職名と級で職責を示す
「主査」「◯級」は、外では読めません。規模と、決めていた範囲に置き換えてください。
5. 全部の応募先に同じ5行を出す
要約欄だけは、応募先ごとに書き直してください。5行の書き直しに、30分もかかりません。
6. 異動の多さを謝る
「広く浅くなってしまいましたが」。この一文は不要です。機能で数えれば、担った機能の数になります。
自分の5行がどう読まれるかは、一度話しながら整理したほうが早いことが多いです。どの経験に値が付くのかから相談できます。
まとめ
- 要約欄は、下の内容を縮める場所ではなく、読む価値のある部分を5つ引き上げる場所です
- 入れるのは、規模・担った機能・判断の範囲・成果の芯・応募先との接点の5つ。この順で固定します
- 地方公務員法第24条第1項は、職員の給与をその職務と責任に応ずるものと定めています。役所の側にも職責を測る仕組みはありますが、級と役職名は外では読めません
- 職責は、扱っていた対象の大きさと、決めていた範囲に置き換えると伝わります
- 成果は1つだけ。3つ並べると、どれも残りません
- 要約欄だけは、応募先ごとに書き直してください。下の担当業務欄は、順番の入れ替えで足ります
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よくある質問
入庁して3年目です。5行も書くことがありません
3年でも5行は埋まります。埋め方が変わるだけです。1行目の規模は、在籍している組織と担当の対象で書けます。2行目の機能は、1つで構いません。「窓口での申請の受付と審査」だけでも、年間の件数が入れば具体的な仕事になります。3行目の判断の範囲は、「◯件の申請について、要件の確認と起案を担当」という形です。4行目の成果は、手順や様式を整理したこと、引継ぎの資料を作ったことで構いません。大きな成果である必要はありません。自分で考えて変えた部分があるかどうかが見られています。5行目は、応募先との接点です。年数の短さを謝る一文を入れるより、この5つを具体的に書くほうが読まれます。
役職に就いています。役職名を書かないほうがよいのですか
役職名は書いてください。書かないのではなく、役職名だけで職責を示さないという意味です。「係長」と書いたうえで、その係が何人で、何を担当していて、自分が何を決めていたかを添えてください。「係長(部下◯人、担当は市税の賦課、年間約◯件)」という形です。自治体によって、同じ係長でも担当の範囲がまったく違います。民間の採用担当者は、その違いを知りません。役職名は肩書として、職責は数字として。2つを並べるのが確実です。
転職の理由や志望動機も、要約欄に入れるべきですか
入れません。要約欄は、経歴の要約です。志望動機は別の欄か、職務経歴書とは別に用意する書類で書きます。要約欄に志望動機を混ぜると、5行のうち2行が「これからの話」で埋まり、経歴の情報が減ります。ただし、5行目の「応募先との接点」は、志望動機の材料になります。「期限の管理が必要な債権の回収を担当してきた」と書いてあれば、債権管理の会社に応募したときの動機は、その1行から自然につながります。動機を書く欄ではありませんが、動機が読める要約にはなります。