選考対策 / 立場・年代別
公立保育士から民間へ
公立の保育所で働いてきた方からのご相談です。
保育士は、他の職種と決定的に違う点があります。
この記事では、その違いと、経験の示し方を扱います。
資格が、法律で定義されています
児童福祉法第18条の4です。
> この法律で、保育士とは、第十八条の十八第三項に規定する保育士登録(略)を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者をいう。
2つの点に注目してください。
1つ目。登録に基づく資格であるという点です。
公立か私立かを問わず、同じ資格です。
つまり、資格がそのまま持ち運べます。
多くの公務員の職種では、経験を民間の言葉に言い換える作業が必要になります。
保育士は、その作業が小さいという特徴があります。
2つ目。定義に「児童の保育」と「児童の保護者に対する保育に関する指導」の2つが入っているという点です。
保護者への支援も、職務の内容として定義されています。
この点は、書類に書いてよいということです。
経験を分ける
| 要素 | 実際にやっていること |
|---|---|
| ① 保育の実施 | 日々の保育、個別の対応 |
| ② 指導の計画 | 年間・月間の計画、記録 |
| ③ 保護者への支援 | 面談、相談、連絡 |
| ④ 園の運営 | 行事、分掌、シフト |
| ⑤ 後輩の育成 | 指導、手順の共有 |
| ⑥ 関係機関との連携 | 保健、福祉、学校、医療 |
| ⑦ 制度の事務 | 入所の事務、給付、監査への対応 |
③と⑦が、公立ならではの材料です。
⑦について。
公立では、制度の運用に関わる場面があります。
入所の調整、保育料の仕組み、監査への対応、計画の策定。
これらは、保育の運営を行う会社で必要とされます。
書き方の例
悪い例
> ◯◯保育所で、保育士として勤務しました。
良い例
> ◯◯において、◯歳児クラス(児童◯名、職員◯名)の担任を担当。年間・月間の指導の計画を作成し、個別の記録を作成。保護者◯世帯との面談を年◯回実施し、相談への対応を担当。行事の企画・運営を担い、新規に採用された職員◯名への指導を実施。監査への対応として、書類の整備を担当。
「人数」「計画」「保護者」「指導」「制度の事務」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
言い換えの対応
| 保育の言葉 | 民間での読まれ方 |
|---|---|
| 指導の計画の作成 | 計画の立案、進行の管理 |
| 記録の作成 | 記録の管理、経過の記録 |
| 保護者への対応 | 顧客対応、相談の対応 |
| 行事の企画・運営 | 企画、運営、進行 |
| 後輩の指導 | 育成、手順の整備 |
| 関係機関との連携 | 部門間・社外との調整 |
| 監査への対応 | 内部統制、書類の整備 |
| シフトの調整 | 人員の配置、勤務の管理 |
3行目です。
保護者への対応は、「相手を選べない状況での対応」にあたります。
苦情や相談を含む対応の経験は、顧客の対応を担う部署で評価されます。
見る領域
| 領域 | 内容 |
|---|---|
| ① 私立の保育所・認定こども園 | 資格がそのまま使えます |
| ② 保育の運営の会社 | 指定管理、受託、複数園の運営 |
| ③ 企業内の保育 | 事業所内の施設 |
| ④ 学童・児童発達支援 | 近接する分野 |
| ⑤ 保育に関するサービス | 教材、システム、人材 |
| ⑥ 自治体が相手の事業 | 制度の実務が分かる |
②と⑥が、公立の経験と重なります。
②について。
指定管理や受託で保育所を運営する会社があります。
公立の運営を知っている人は、そこで必要とされます。
探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 何を担当したか | 年齢、人数、期間 |
| 保護者への対応 | 難しい場面での進め方 |
| 記録・計画の作成 | 作成したものの種類 |
| 制度の事務の経験 | 入所、給付、監査 |
| 勤務の条件 | 時間、シフト、行事 |
4行目です。
制度の事務に関わった経験は、聞かれたときに答えられるよう整理しておいてください。
保育の実務だけでなく、運営の側面も担えると伝わります。
なお、特定の児童や保護者が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、退職した後も続きます。
準備の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 担当したクラス・年齢・人数を書き出す |
| 2 | 作成した計画・記録の種類を書き出す |
| 3 | 保護者への対応と、制度の事務を書き出す |
| 4 | 後輩の指導、行事の運営を書き出す |
| 5 | 民間の言葉に置き換える |
| 6 | 求人を読む |
3が要です。
この2つが、公立ならではの材料です。
経験の言い換えから相談することもできます。
在職中の進め方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 記録 | 担当した人数、作成した資料 |
| 制度の確認 | 退職の手続き、時期 |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 日程の確保 | 年度の変わり目と行事の時期を避ける |
4行目です。
保育の現場は、年度の変わり目と行事の時期に時間が取れません。
選考の開始を、この時期と重ならないように選んでください。
扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。
よくある失敗
1. 保育の実務だけを書く
それ以外の部分で差がつきます。
2. 人数を書かない
規模が伝わりません。
3. 保護者への対応を書かない
顧客対応として読まれます。
4. 制度の事務を書かない
公立ならではの材料です。
5. 後輩の指導を書かない
育成として書けます。
6. 運営の会社を見ない
公立の運営を知っている人が必要とされます。
7. 年度の変わり目に選考を始める
時間が取れません。
8. 特定の児童が分かる説明をする
守秘の義務は退職後も続きます。
まとめ
- 児童福祉法第18条の4は、保育士を、登録を受け、専門的知識及び技術をもつて、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者と定義しています
- 登録に基づく資格であるため、公立・私立を問わず持ち運べます
- 定義に保護者に対する指導が含まれています。保護者への支援も職務です
- 差がつくのは、保育以外の部分です。制度の事務、監査への対応、計画の策定を書いてください
- 保育所を運営する会社では、公立の運営を知っている人が必要とされます
- 保育の現場以外にも選択肢があります
- 年度の変わり目と行事の時期を避けて選考を始めてください
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よくある質問
私立の保育所に移ると、進め方が違いますか
運営の主体が変わるため、違いはあります。行事の規模、保育の方針、職員の体制、保護者との関わり方。園によって異なります。確認の仕方は、見学と面接です。「一日の流れを教えてください」「職員の体制を伺えますか」と聞けば、具体が分かります。なお、公立での経験が評価される場面もあります。制度に沿った運営、記録の作法、監査への対応。これらは、園の運営で必要とされます。判断の目安は、保育の方針が自分の考えと合うかです。求人票だけでは分からないため、見学を申し込んでください。
ブランクがありますが、戻れますか
資格は登録に基づくものです。期間が空いても、登録が有効であれば資格は続きます。ただし、制度や運用は変わっていることがあります。復帰の前に、最近の動向を確認しておくと安心です。なお、復帰を支援する仕組みが置かれている団体もあります。居住する市区町村の担当に確認してください。求人の側でも、ブランクのある方を前提とした募集があります。求人票に「ブランク可」「復帰の支援あり」と記載があるものを見てください。短時間の勤務から始めるという選択もあります。
保育以外の職種に移ることはできますか
できます。保育で身につけた計画の立案、記録の作成、保護者への対応、後輩の指導、行事の運営は、業種を問わず使えます。とくに、顧客の対応を担う職種では、相手を選べない状況での対応の経験が評価されます。また、公立での制度の事務の経験は、自治体が相手の事業で直接使えます。なお、職種を変える場合、説明の組み立てが必要になります。なぜ変えるのか、何を持ち込めるのか。扱いは職種を変える転職と、変えない転職に整理しています。求人票の応募条件を読んで、該当するかを確認してください。