選考対策 / 立場・年代別
管理職からの転職
課長、部長、次長。
組織を預かる立場からの転職です。
担ってきた範囲が広いぶん、書類にまとめにくいという相談を伺います。
この記事では、所管の範囲の示し方と、求人の選び方を扱います。
所管した範囲は、条例で確認できます
地方自治法第158条第1項です。
> 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。
組織と、その組織が分掌する事務が、条例で定められているという仕組みです。
部の分掌は条例、課や係の分掌は規則で定められているのが一般的です。
つまり、自分が所管していた事務の範囲は、文書で確認できるということです。
分掌の規定を読み返して、所管した事務を書き出してください。
「課長でした」ではなく、「◯◯に関する事務を所管していた」という形になります。
管理職が担っていること
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 組織の運営 | 人数、係の数、業務の範囲 |
| ② 予算 | 編成、執行の管理、決算 |
| ③ 人事 | 配置、評価、育成 |
| ④ 議会 | 説明、答弁、資料 |
| ⑤ 対外 | 住民、事業者、他団体、報道 |
| ⑥ 危機の対応 | 事故、災害、苦情、不祥事 |
| ⑦ 制度の設計 | 条例・規則・要綱の立案 |
⑥と⑦が、民間で読まれにくい項目です。
書いておいてください。
危機の対応は、どの業界でも必要とされます。
書き方の例
悪い例
> ◯◯課長として、課の運営に当たりました。
良い例
> ◯◯課長として、係◯つ・職員◯人の組織を所管。◯◯に関する事務を分掌し、年間約◯億円の予算の編成と執行の管理を担当。議会における説明と答弁の調整、◯◯に係る条例の改正の立案を担った。苦情の申出が集中した事案について、対応の方針を整理し、記録の様式と対応の手順を整備。
「人数」「予算」「分掌」「作ったもの」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
言い換えの対応
| 役所の言葉 | 民間での読まれ方 |
|---|---|
| 課の所管 | 部門の統括 |
| 予算の編成 | 予算の策定、資源の配分 |
| 執行の管理 | 予算の管理、原価の管理 |
| 議会への答弁 | 経営層・社外への説明 |
| 条例の立案 | 制度の設計、規程の整備 |
| 不祥事への対応 | 危機の対応、再発の防止 |
| 監査への対応 | 内部統制、是正の対応 |
4行目です。
議会での説明は、事前の想定と、その場での応答の両方を含みます。
この経験は、民間の経営層への報告や、社外への説明に対応します。
求人の選び方
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| ① 管理部門 | 総務、人事、経営の企画 |
| ② 事業の責任者 | 部門の運営を担う |
| ③ 行政が相手の事業の責任者 | 受託・指定の事業の統括 |
| ④ 専門の職種 | 経験のある分野での実務 |
| ⑤ 制度・渉外 | 公共政策、渉外、渉外の窓口 |
③が、経験と最も重なります。
指定管理や業務の受託では、発注した側の考え方を理解している人が求められます。
予算の年度、議会の時期、報告の様式。
これらを知っていること自体が、業務の前提になります。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 何人を、どう動かしたか | 人数、配分の方法、育成 |
| どこまで自分で決めたか | 所管の範囲、決裁の区分 |
| 難しい局面の対応 | 3件、経緯と結論 |
| 数字の管理 | 予算の規模と管理の方法 |
| 役割が変わることへの受け止め | 入社時の役割の考え方 |
5行目が確認されることがあります。
前職より狭い範囲での採用になる場合があるためです。
担いたい範囲があるなら、条件として伝えて差し支えありません。
なお、特定の事案が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、退職した後も続きます。扱いは口コミサイトとの付き合い方に整理しています。
準備の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 分掌の規定を確認する(条例・規則) |
| 2 | 人数、係の数、予算の規模を確認する |
| 3 | 決裁の区分を確認する |
| 4 | 決めた場面を3つ書き出す |
| 5 | 民間の言葉に置き換える |
| 6 | 求人を読む |
1と4が、この立場ならではの作業です。
4について。
「難しかった」と感じた案件を3つ思い出してください。
何が難しく、どう整理し、どう結論づけたか。
これが、面接で話す材料になります。
経験の言い換えから相談することもできます。
在職中の進め方
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資料の確認 | 分掌の規定、決裁の区分、予算の資料 |
| 記録 | 決めた場面を書き留める |
| 求人を読む | 週に30分 |
| 日程の確保 | 議会・予算・決算の時期を避ける |
4行目です。
管理職は、議会と予算の時期に時間が取れません。
選考の開始を、繁忙期と重ならないように選んでください。
扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。
処遇と役割の考え方
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 入社時の役割 | 求人票の仕事内容 |
| 処遇の構成 | 基本給と手当の内訳 |
| 決裁の範囲 | どこまで任されるか |
| 中長期の展開 | 面接で確認できます |
1行目です。
入社時の役割は、求人票に書かれた内容で決まります。
面接での印象で変わるものではありません。
求人票の仕事内容を、先に確認してください。読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。
よくある失敗
1. 所管の一覧だけを書く
決めた場面を3つ置いてください。
2. 分掌の規定を確認しない
範囲が文書で確認できます。
3. 危機の対応を書かない
どの業界でも必要とされます。
4. 条例・要綱の立案を書かない
制度の設計として読まれます。
5. 議会対応を書かない
経営層への説明に対応します。
6. 管理の職種だけを探す
専門の職種も候補です。
7. 議会・予算の時期に選考を始める
途中で止まります。
8. 入社時の役割を求人票で確認しない
書かれた内容で決まります。
まとめ
- 地方自治法第158条第1項は、内部組織の設置と、直近下位の内部組織の分掌する事務を条例で定めるとしています。所管した範囲は文書で確認できます
- 書くのは、人数・予算・分掌・作ったものです
- 危機の対応と、条例・要綱の立案を書いてください
- 所管の一覧の後に、「決めた場面」を3つ置いてください
- 議会での説明は、経営層・社外への説明に対応します
- 行政が相手の事業の責任者が、経験と最も重なります
- 何を手放せるかを先に決めてください。1つを軸にすると候補が残ります
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
管理職の求人は、どこにありますか
掲載されていない募集が多い領域です。組織の体制に関わるため、公開を控えることがあります。このため、紹介を通じて示される形が中心になります。扱いは非公開求人とは何かに整理しています。一方、掲載されている求人もあります。探すときは、「管理」「マネージャー」で絞るのではなく、仕事内容の欄を見てください。「部門の統括」「事業の責任者」「立ち上げ」といった記載があれば該当します。なお、行政が相手の事業では、受託や指定が決まった後に責任者の募集が出ることがあります。時期は事業の周期によります。
部下を持たない役割でも、応募してよいですか
差し支えありません。管理職の経験を持つ方が、専門の職種で採用されることは珍しくありません。制度の理解、判断の経験、対外の説明。これらは、人を持たない役割でも使えます。とくに、行政が相手の事業では、実務の中核を担う人が求められることがあります。判断の目安は、求人票の応募条件です。「マネジメントの経験」が必須でなければ、専門の経験で応募できます。なお、役割が変わることへの受け止めを聞かれることがあります。担いたい範囲を条件として伝えて差し支えありません。
在職中に、選考の時間が取れません
時期を選んでください。管理職は、議会・予算・決算の時期に時間が取りにくくなります。空いている期間が2か月以上あるところから始めると、途中で止まりません。また、オンラインでの実施が可能な会社もあります。面接の時間帯についても、相談の対象になります。なお、紹介を通す場合、日程の調整を任せられます。在職中の事情を伝えておけば、調整が可能な先を優先して示すこともできます。扱いは転職エージェントの使い方に整理しています。準備(分掌の確認、記録の整理)は、繁忙期でも進められます。