選考対策 / 退職と在職中の進め方
住宅ローンがある状態での転職
住宅の借入がある状態で転職を考えるとき、確認すべき点があります。
借入の種類によって、扱いが異なります。
この記事では、確認の順序を扱います。
⚠ 借入の条件は、契約と規程によって異なります。この記事は一般的な整理にとどめます。必ず、借入先に確認してください。
期限の利益という考え方
借入の返済は、期限まで待ってもらえるという前提で成り立っています。
民法第137条です。
> 次に掲げる場合には、債務者は、期限の利益を主張することができない。>> 一 債務者が破産手続開始の決定を受けたとき。>> 二 債務者が担保を滅失させ、損傷させ、又は減少させたとき。>> 三 債務者が担保を供する義務を負う場合において、これを供しないとき。
「期限の利益」とは、期限が来るまで返さなくてよいという利益です。
この条文は、法律上、期限の利益を失う場合を定めています。
加えて、契約や規程で、期限の利益を失う事由が定められていることがあります。
共済組合の貸付では、退職が事由として定められている場合があります。
2種類に分けて確認する
| 借入の種類 | 退職時の扱い |
|---|---|
| ① 共済組合の貸付 | 退職により、一括での返済を求められることがあります |
| ② 金融機関の住宅ローン | 通常、退職だけで一括の返済にはならないのが一般的 |
①と②を、分けて確認してください。
①は、共済組合の組合員であることを前提とした制度です。
退職により組合員でなくなるため、扱いが変わることがあります。
①——共済組合の貸付
| 確認すること | 確認先 |
|---|---|
| 残高 | 共済組合 |
| 退職時の取扱い | 同上 |
| 一括での返済の要否 | 同上 |
| 返済の方法 | 同上 |
2つ目を、退職を決める前に確認してください。
残高が大きい場合、退職手当の使途に影響します。
面談で伺った例では、この確認により退職の時期を調整した方がいらっしゃいます。
在職中に、一般的な照会として聞くことができます。
②——金融機関の住宅ローン
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 契約の内容 | 期限の利益を失う事由に何が定められているか |
| 勤務先の変更の届出 | 必要とされていることがあります |
| 返済の条件 | 金利、期間、団体信用生命保険の扱い |
| 借換えの予定 | 転職の前後で条件が変わることがあります |
2つ目について補足します。
勤務先が変わった場合、届出を求められることがあります。
契約の内容を確認してください。
なお、一般に、転職そのものが直ちに一括の返済につながることは多くありません。
ただし、契約によって扱いは異なります。
借換えや新規の借入を考えている場合
転職の前後で、審査の条件が変わることがあります。
| 時期 | 一般的な傾向 |
|---|---|
| 転職の前 | 勤続の年数が評価される仕組みがあります |
| 転職の直後 | 勤続の年数が短い状態になります |
| 一定の期間の経過後 | 実績が積み上がります |
借換えや新規の借入を予定している場合、時期を検討してください。
転職の前に手続きを済ませるという判断もあります。
ただし、借入の後すぐに転職すると、届出や説明が必要になることがあります。
金融機関に確認してください。
確認の順序
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 共済組合の貸付の残高と退職時の取扱いを確認 |
| 2 | 金融機関の契約の内容を確認 |
| 3 | 退職手当の見込みと、支給の時期を確認 |
| 4 | 資金の計画に反映 |
| 5 | 必要に応じて、退職の時期を調整 |
1を最初にしてください。
扱いによっては、以降の計画が変わります。
住宅に関する手当の扱い
借入とは別に、手当の変化も確認してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在職中の住居に関する手当 | 条例にもとづき支給されている場合があります |
| 転職後 | 勤務先の制度による(ない場合もあります) |
| 影響 | 手取りの変化として現れます |
2つ目に注意してください。
住居に関する手当は、会社によって有無と内容が異なります。
在職中に支給されていた額が、そのまま続くとは限りません。
内定の提示を受けたときに、手当の内訳を確認してください。扱いはオファー面談で確認すべきことに整理しています。
月々の返済がある場合、この差は直接に影響します。
確認に要する期間
| 確認 | 目安 |
|---|---|
| 共済組合への照会 | 数日(回答に時間がかかることがあります) |
| 金融機関への照会 | 数日 |
| 契約書の確認 | 手元にあれば即日 |
| 家族との相談 | 事情による |
1つ目と2つ目は、平日の日中の対応になることが多いです。
在職中は時間が限られるため、早めに着手してください。
内定が出てから確認を始めると、回答の期限に間に合わないことがあります。
応募を始める段階で、残高と契約の内容だけでも把握しておいてください。
転職後の届出
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 勤務先の変更 | 契約により、届出が必要な場合があります |
| 返済の口座 | 給与の振込先が変わる場合、変更の手続き |
| 団体信用生命保険 | 契約の内容を確認 |
2つ目を忘れやすいです。
給与の振込先を変える場合、返済の引落しの口座も確認してください。
引落しができないと、延滞の扱いになることがあります。
配偶者と共有している場合
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| 連帯債務・連帯保証 | 契約の形 |
| 収入合算 | 審査の前提が変わることがあります |
| 借換えの可否 | 転職後の条件 |
世帯の収入の構成が変わる場合、影響を確認してください。
家族と共有している借入は、自分だけの判断では決められません。
伝え方は、次の記事で整理します。
経験の言い換えから相談することもできます。
なお、これらの確認は、転職しない場合にも意味があります。借入の残高と契約の内容を把握しておくことは、在職中にしておいて損のない作業です。
よくある失敗
1. 共済の貸付を確認しない
一括での返済を求められることがあります。
2. 金融機関の契約を読まない
届出が必要な場合があります。
3. 返済の口座を変更し忘れる
延滞の扱いになることがあります。
4. 退職手当を返済に充てる前提で計画する
支給の時期を確認してください。
5. 借換えの時期を考えない
転職の前後で条件が変わることがあります。
6. 家族に相談せずに進める
世帯の条件が変わります。
まとめ
- 民法第137条は、期限の利益を主張できない場合を定めています。契約や規程で、さらに事由が定められていることがあります
- 借入は、①共済組合の貸付 ②金融機関の住宅ローンに分けて確認してください
- ①は、退職により一括での返済を求められることがあります。先に確認してください
- ②は、転職そのもので直ちに扱いが変わることは多くありません。ただし契約によります
- 借換えや新規の借入を予定している場合、時期を検討してください
- 返済の口座の変更を忘れないでください。延滞の扱いになることがあります
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よくある質問
共済の貸付を、退職後も分割で返済できますか
扱いは共済組合によって異なります。一括での返済を求められる場合と、継続して分割で返済できる場合があります。規程で定められているため、共済組合に確認してください。なお、退職手当から差し引かれる形で精算されるという扱いもあります。その場合、手元に入る退職手当の額が変わります。資金の計画に影響するため、金額まで確認してください。在職中に、制度の照会として聞くことができます。
転職を金融機関に伝える必要がありますか
契約の内容によります。勤務先の変更について、届出を求める条項があることがあります。契約書か、借入の際の書類を確認してください。不明な場合は、金融機関に問い合わせて差し支えありません。「勤務先が変わる場合の手続きを知りたい」という照会であれば、一般的な説明が得られます。なお、伝えたことで、直ちに条件が変わることは多くありません。届出の義務があるのに怠るほうが、後で問題になります。
転職で収入が下がる場合、返済が心配です
数字で比べてください。月々の返済額と、転職後の手取りの見込み。この2つを並べれば、負担の度合いが分かります。そのうえで、返済の条件の変更が可能かを金融機関に相談する方法もあります。返済の期間や方法について、相談に応じる仕組みがあることがあります。なお、処遇が下がることが確実な場合は、応募の段階で条件を絞るほうが確実です。扱いは「年収が下がっても大丈夫か」への答え方に整理しています。漠然と心配するより、条件を確認してから判断してください。