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Excel|民間で最初に問われる水準はどこか
「表計算はどこまでできれば足りるのか」というご相談を伺います。
最初に問われるのは、速さではありません。
この記事では、水準の目安と、行政で身についている習慣を扱います。
数字は、別の人が検査する前提で作られます
地方自治法第235条の2第1項です。
> 普通地方公共団体の現金の出納は、毎月例日を定めて監査委員がこれを検査しなければならない。
同条第3項です。
> 監査委員は、第一項の規定による検査の結果に関する報告(略)を普通地方公共団体の議会及び長に提出しなければならない。
毎月、別の機関が検査し、その結果を報告する。
この仕組みが、制度として置かれています。
つまり、行政で扱う数字は、「後から別の人が確かめる」ことを前提に作られているということです。
そのため、根拠が追えるように作る、検算する、記録を残すという習慣が身につきます。
この習慣こそが、民間で最初に問われる水準です。
最初に問われる水準
| 段階 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| ① 入力と書式 | 見やすく、統一して入力する | できて当然 |
| ② 表の作り方 | 1行1件、1列1項目 | ここが分かれ目 |
| ③ 関数 | 集計、検索、条件の判定 | よく使う範囲 |
| ④ 分類ごとの集計 | 集計の機能 | 実務で頻出 |
| ⑤ 検算 | 合計が合うかを別の方法で確かめる | 信用に直結 |
| ⑥ 自動化 | 定型の処理 | 必要になってから |
②と⑤が中心です。
②について。
見た目を整えた表は、集計に使えません。
セルを結合する、1つの列に複数の情報を入れる、小計の行を途中に挟む。
これらをすると、後から集計できなくなります。
⑤について。
合計を2つの方法で出して突き合わせる。
行政の事務では、当たり前に行ってきた作業です。
行政で身についていること
| 習慣 | 民間での意味 |
|---|---|
| ① 根拠の資料と突き合わせる | 数字の出所が追える |
| ② 検算する | 誤りを残さない |
| ③ 様式を統一する | 誰が作っても同じ形になる |
| ④ 記録を残す | 後から確認できる |
| ⑤ 期限を守る | 締めに間に合わせる |
| ⑥ 引継ぎを前提に作る | 担当が交代しても回る |
⑥が、実は評価されます。
異動のたびに引き継いできたため、「自分にしか分からない表」を作らない習慣があります。
民間では、担当者しか使えない表が残り、その人が辞めると回らなくなる。
この場面は、実際に起きています。
足すべき範囲
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| ① 検索の関数 | 別の表から値を引く |
| ② 条件の判定 | 条件で処理を分ける |
| ③ 分類ごとの集計 | 集計の機能を使う |
| ④ 表の正規化 | 集計できる形に直す |
| ⑤ 見せる用と作業用を分ける | 作業の表と、報告の表 |
| ⑥ 共有を前提とした作り | 権限、履歴 |
⑤について。
作業のための表と、報告のための表を分けるという考え方があります。
作業の表は1行1件で作り、報告の表はそこから集計して作る。
1つの表で両方をしようとすると、どちらも中途半端になります。
書き方の例
悪い例
> Excelを使った資料の作成ができます。
良い例
> ◯◯に関する年間約◯件のデータについて、1行1件の形で管理の表を整備。検索と条件の関数を用いて別表から値を引く仕組みを作り、入力の手間を削減。合計を2通りの方法で算出して突き合わせる検算の手順を組み込み、月次の報告の資料を自動で生成できる形に整備。担当の交代時の引継ぎにも使用。
「件数」「構造」「仕組み」「検算」「引継ぎ」が入っています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
どの転職先で効くか
| 領域 | 使いどころ |
|---|---|
| ① 管理部門 | 集計、報告、検算 |
| ② 事務の受託 | 手順の整備 |
| ③ 行政が相手の事業 | 報告の様式の理解 |
| ④ 経理・財務 | 突き合わせ |
| ⑤ 現場の管理 | 進捗の集計 |
②について。
受託した業務では、担当が交代しても同じ処理ができる形が求められます。
引継ぎを前提に表を作ってきた経験は、そこで直接使えます。
探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 扱った規模 | 件数、項目の数 |
| 使える関数 | 正確に、範囲を明示して |
| 検算の方法 | どう確かめたか |
| 引継ぎ | 他の人が使えたか |
| 自動化の経験 | あれば、内容 |
2行目です。
できないことを書かないでください。
「集計・検索・条件の関数と、分類ごとの集計の経験あり」という形で、範囲を明示してください。
経験の言い換えから相談することもできます。
学ぶ前に考えること
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| ① すでにある経験 | 作った表と、その規模 |
| ② 応募したい求人の条件 | どこまで求められているか |
| ③ 足りない部分 | 検索、条件、集計の機能 |
| ④ 期限 | 応募の時期までに間に合うか |
なお、資格や講座を取れば転職できる、という関係にはありません。
どの規模の表を、どう作り、どう確かめたかが、評価の対象です。
集計できない表の直し方
行政の様式には、印刷を前提にした表が残っていることがあります。
| よくある形 | 直し方 |
|---|---|
| セルが結合されている | 結合を解き、値を各行に入れる |
| 小計の行が途中にある | 別の表に分ける |
| 1つの列に複数の情報 | 列を分ける |
| 見出しが2段になっている | 1段にまとめる |
| 空白の行で区切っている | 区分の列を作る |
1行目が最も多いです。
結合されたセルがあると、並び替えも集計もできません。
直す手順は、作業用の表を別に作り、そこへ値を展開するという形です。
元の様式は、報告用として残して差し支えありません。
この作業自体が、実務でよく求められます。
よくある失敗
1. 「使えます」とだけ書く
規模と作り方を書いてください。
2. 検算の手順を書かない
実務の水準が伝わります。
3. 見た目を整えた表を作る
1行1件、1列1項目が原則です。
4. セルを結合する
集計できなくなります。
5. 作業用と報告用を分けない
どちらも中途半端になります。
6. 引継ぎを前提にしない
担当が交代すると回りません。
7. できる範囲を広く書く
入社後に困ります。
8. 講座を受ければ進めると考える
どう作り、どう確かめたかが評価の対象です。
まとめ
- 地方自治法第235条の2は、毎月例日を定めた現金出納の検査と、その結果の議会及び長への報告を定めています
- 行政の数字は、後から別の人が確かめる前提で作られます。根拠を追える形、検算、記録の習慣が身につきます
- 最初に問われるのは、①入力と書式 ②表の作り方 ③関数 ④分類ごとの集計 ⑤検算です
- ②と⑤が分かれ目です。1行1件、1列1項目で作ってください
- 引継ぎを前提に作る習慣は、民間で評価されます
- 作業用の表と報告用の表を分けてください
- 速さではなく正確さです。「確かめてから出します」と言えるようにしてください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
関数をあまり使っていません
表の作り方から見直してください。関数を覚える前に、1行1件、1列1項目の形になっているかを確認します。この形であれば、分類ごとの集計の機能だけで、多くの集計ができます。そのうえで、検索の関数と条件の判定を覚えると、実務の範囲がほぼ埋まります。なお、応募条件に「基本的な操作」と書かれている場合、この範囲で足りることがあります。読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。関数の数を増やすことを目標にしないでください。
資格を取ったほうがよいですか
応募条件に記載がある場合に、満たす材料になります。記載がない場合、判断の中心にはなりません。なお、体系的に学ぶ手段としては有効です。独学では触れない機能を知る機会になります。ただし、応募の時期が近い場合は優先順位を下げてください。職務経歴書の作成と、求人を読む作業のほうが、時期に直接効きます。扱いは選考スケジュールの組み方に整理しています。資格より、作った表の実物と運用を説明できるほうが伝わります。
共有の環境での作法は違いますか
権限と履歴の考え方が加わります。共有を前提とする環境では、誰に、どこまで見せるかの設定が操作の一部になります。また、変更の履歴が残るため、数字が変わったときに追えます。なお、1行1件、1列1項目という原則は、環境が変わっても同じです。表の作り方が正しければ、どの環境でも使えます。扱いはGoogleスプレッドシート|庁内のExcel運用との違いに整理しています。⚠ 業務のデータを、許可のない環境に置かないでください。