資格・スキル / 資格
保育士・保健師の資格を民間でどう使うか
資格を持つ方から、「公立を離れたら資格は使えないのか」というご相談を伺います。
資格は、職場ではなく人に付きます。
この記事では、その前提と、使える領域を扱います。
資格に伴う義務は、資格を離れた後も続きます
児童福祉法第18条の22です。
> 保育士は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏らしてはならない。保育士でなくなつた後においても、同様とする。
「保育士でなくなつた後においても、同様とする」と定められています。
義務が、資格を離れた後も続くということです。
これは、資格が個人に結び付いていることの裏返しでもあります。
勤務先が変わっても、資格そのものは変わりません。
保健師についても、保健師・看護師から民間へに整理したとおり、免許に基づく資格です。
公立で働いていたか、私立で働いていたかは、資格の内容に影響しません。
資格の扱いを3つに分ける
| 扱い | 内容 |
|---|---|
| ① 資格が必須 | その資格がなければ就けない職 |
| ② 資格が評価される | 必須ではないが、経験として読まれる |
| ③ 資格の知識が活きる | 資格は問われないが、理解が役立つ |
①だけを探すと、候補が限られます。
②と③にも広げてください。
②について。
保育や保健の知識を持つ人を、相談や企画の担当として求める場面があります。
③について。
制度を作る側、支える側の仕事では、資格そのものは問われなくても、理解があることが前提になります。
保育士の資格が使える領域
| 領域 | 扱い |
|---|---|
| ① 保育所・認定こども園 | ①資格が必須 |
| ② 企業内の保育の施設 | ①資格が必須 |
| ③ 学童・児童の発達の支援 | 施設によります |
| ④ 保育の運営の会社(本部) | ②評価される |
| ⑤ 保育に関するサービス | ②③ |
| ⑥ 自治体が相手の事業 | ③知識が活きる |
④が見落とされやすいです。
複数の園を運営する会社には、本部の職務があります。
運営の管理、職員の採用と育成、制度への対応、行政との協議。
現場の経験と資格を持つ人が、本部で必要とされます。
扱いは公立保育士から民間へにも整理しています。
保健師の資格が使える領域
| 領域 | 扱い |
|---|---|
| ① 企業の健康の管理 | ①② |
| ② 健診の機関 | ①② |
| ③ 保険・共済 | ②③ |
| ④ 介護・福祉の事業 | ②③ |
| ⑤ 健康に関するサービス | ②③ |
| ⑥ 自治体が相手の事業 | ③知識が活きる |
①について。
企業の中で、従業員の健康の管理を担う職務があります。
個別の相談と、集団の傾向の把握の両方を行うため、行政での動作に近いものです。
登録・免許の確認
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 登録・免許の状況 | 有効かどうか |
| 氏名の変更 | 手続が済んでいるか |
| 証明の書類 | 提示を求められることがあります |
| 研修の受講 | 分野による |
1行目と2行目を確認してください。
氏名が変わっている場合、手続が必要なことがあります。
⚠ 手続と要件は、資格を所管するところの公表を確認してください。
この記事では、個別の要件には触れません。
面接で聞かれやすいこと
| 質問の趣旨 | 用意しておくこと |
|---|---|
| 担当した対象と規模 | 人数、年齢、期間 |
| 記録・計画の作成 | 作ったものの種類 |
| 難しい対応の経験 | 3件、経緯と結論 |
| 制度の事務の経験 | 公立ならではの材料 |
| 勤務の条件 | 時間、シフト、夜間 |
4行目です。
制度の運用に関わった経験は、運営の側で評価されます。
なお、特定の対象者が分かる説明は避けてください。
守秘の義務は、資格を離れた後も続きます。
経験の言い換えから相談することもできます。
資格を活かせないと感じたとき
| 状況 | 考えること |
|---|---|
| 現場に戻りたくない | ②③の領域を見る |
| 体力に不安がある | 相談・企画・管理の職務 |
| 勤務の条件が合わない | 短時間、日勤中心の求人 |
| 分野を変えたい | 資格の知識が活きる領域 |
1行目です。
現場の職務に限らず、資格の知識を前提とする職務があります。
教材や制度に関わる事業、行政を相手とする事業、相談の窓口。
資格を捨てる必要はありません。
書き方の例
悪い例
> 保育士として◯年勤務しました。
良い例
> 資格:保育士(登録◯年)> ◯◯において、◯歳児クラス(児童◯名、職員◯名)の担任を担当。年間・月間の指導の計画と個別の記録を作成。保護者◯世帯との面談を年◯回実施。行事の企画・運営を担い、新規に採用された職員◯名への指導を実施。監査への対応として書類の整備を担当。
資格の欄と、職務の欄が分かれています。
基本の型は公務員の職務経歴書|民間で読まれる形にする基本に整理しています。
探すときの手順
| 順 | やること |
|---|---|
| 1 | 働き方の条件を先に決める(時間、日数、通勤) |
| 2 | 資格が必須の求人を見る |
| 3 | 資格が評価される求人に広げる |
| 4 | 知識が活きる領域まで広げる |
| 5 | 条件に合うものを比べる |
1を最初に置いてください。
条件が決まっていないと、比べられません。
3と4に広げると、候補の数が変わります。
探し方は公務員経験が活きる求人の探し方に整理しています。
よくある失敗
1. 資格が必須の職だけを探す
②③にも広げてください。
2. 資格と経験を混ぜて書く
どちらも薄く読まれます。
3. 規模を書かない
人数、年齢、期間を書いてください。
4. 制度の事務の経験を書かない
公立ならではの材料です。
5. 登録・免許の状況を確認しない
氏名の変更の手続を確認してください。
6. 本部の職務を見ない
運営の管理、育成、行政との協議があります。
7. 現場に戻ることを前提にする
知識が活きる領域もあります。
8. 特定の対象者が分かる説明をする
守秘の義務は資格を離れた後も続きます。
まとめ
- 児童福祉法第18条の22は、保育士の秘密保持義務を定め、保育士でなくなった後も同様としています。義務が続くのは、資格が個人に結び付いているからです
- 勤務先が変わっても、資格そのものは変わりません
- 資格の扱いは、①必須 ②評価される ③知識が活きるの3つに分かれます。①だけを探さないでください
- 保育士では、運営の会社の本部の職務が見落とされやすい領域です
- 保健師では、企業の健康の管理が行政での動作に近い領域です
- 資格と経験を分けて書いてください。差がつくのは経験のほうです
- 「資格を使うか」ではなく「どう働きたいか」から考えてください
行政が相手の求人もまとまっています。行政が相手の求人を見てみる。
よくある質問
長く現場を離れていますが、戻れますか
登録や免許が有効であれば、資格は続いています。ただし、制度や運用は変わっていることがあります。復帰の前に、最近の動向を確認しておくと安心です。なお、復帰を支援する仕組みが置かれている場合があります。居住する市区町村や、資格を所管するところの公表を確認してください。求人の側でも、ブランクのある方を前提とした募集があります。求人票に「ブランク可」「復帰の支援あり」と記載があるものを見てください。短時間の勤務から始めるという選択もあります。
資格があると、給与の条件は変わりますか
会社の制度によります。資格に応じた手当が定められている場合と、基本給に含まれている場合があります。求人票の賃金の欄で、基本給と手当の区分を確認してください。なお、この記事では金額には触れません。内定の段階で、書面で提示を受けてください。読み方は求人票の読み方|どこを見れば実態が分かるかに整理しています。資格があることと、条件がよいことは、直接には結び付きません。業務の内容と条件で判断してください。
資格を使わない職に就いたら、無駄になりますか
無駄にはなりません。資格の取得の過程で学んだ内容は、知識として残ります。制度の仕組み、対象者の状況、関係機関の役割。これらは、資格を前提としない職務でも使える場面があります。とくに、行政を相手とする事業では、福祉や保健の分野の制度を理解している人が求められます。また、登録や免許が有効であれば、将来戻ることもできます。扱いは職種を変える転職と、変えない転職に整理しています。選択肢として残しておくという考え方で差し支えありません。